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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007URY

有価証券報告書抜粋 シスメックス株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、臨床検査の総合サプライヤーを目指して、常に最先端技術に対する積極的な挑戦と信頼性を追求しながら新たな診断技術の研究開発に取り組み、顧客の幅広いニーズを先取りした製品の開発を進めております。
当社グループの研究開発は、主として当社のヘマトロジープロダクトエンジニアリング本部商品開発部、UBプロダクトエンジニアリング本部商品開発第一部・商品開発第二部、免疫・生化学プロダクトエンジニアリング本部商品開発グループ、凝固プロダクトエンジニアリング本部商品開発グループ、ライフサイエンスプロダクトエンジニアリング本部商品開発部、ソリューション推進本部システム開発部、技術開発本部及び中央研究所において臨床検査分野及びライフサイエンス分野を中心に推進しております。また、当社の研究開発企画本部において、研究開発全般の技術戦略の立案と研究開発活動の支援を行っており、戦略に基づく経営資源配分の最適化を図る体制を整備しております。
研究開発活動においては、その対象領域を「血液疾患及び免疫疾患」、「がん」、「慢性疾患」、「感染症」とし、細胞を検出するフローサイトメトリー技術、遺伝子を増幅、検出する直接遺伝子増幅技術やDNAチップ技術、抗体検査のための化学発光酵素免疫測定技術やクロマト技術、測定により得られた結果から病態をシミュレーションするシステムバイオテクノロジー技術などを技術プラットフォームとして、疾患の早期発見、患者個々に最適な治療の選択を可能とする価値の高い診断技術の創出を目指しております。
また、トータル・ソリューション・プロバイダーをコンセプトとして掲げ、検体検査機器のみならず検体検査試薬及び臨床検査情報システムを含む一貫した製品開発に取組んでおります。当連結会計年度における主な研究成果は次のとおりであります。
(1)全自動尿中有形成分分析装置「UF-5000/4000/3000」の発売
当社は、尿検査分野の新製品として全自動尿中有形成分分析装置「UF-5000/4000/3000」を2015年9月に発売しました。尿検査は、一次的な検査として行われる尿試験紙を用いた尿定性検査と、尿定性検査で異常と認められた検体をより詳しく分析する二次的な検査の尿沈渣検査に分けられます。尿沈渣検査は、腎疾患、尿路疾患の診断に活用される重要な検査で、尿中に現れる有形成分である赤血球、白血球、細菌などを分類・測定するものですが、当社は、1995年にフローサイトメトリー法を用いた尿中有形成分の自動定量分析をUF-100にて実現し、2006年にはその後継機種であるUF-1000iを発売し、尿沈渣検査の効率化、標準化に貢献してきました。このたび発売した製品は、UF-1000iの次世代モデルであり、ブルーレーザー等を採用することで、精度や分画能の向上を実現するとともに、尿に加え体液を用いた検査も可能にしました。この製品は、検体数の増加に応じて装置の増設が可能であり、将来的には、尿定性検査装置との連携や大規模施設における複数台の搬送接続にも対応が可能となります。
(2)転移性大腸がんの血中RAS遺伝子変異バイオマーカー検査の運用開始
当社の子会社であるシスメックス アイノスティクス ゲーエムベーハー(以下、「アイノスティクス」という。)と独メルク社が共同で開発した転移性大腸がんにおける血中RAS遺伝子※1変異検査「OncoBEAMTM※2RAS CRCテスト」(研究用)をドイツの病院において運用を開始しました。アイノスティクスと独メルク社は、2014年5月に血中遺伝子検査技術による大腸がんコンパニオン診断薬※3の共同開発契約を締結し、以降、アイノスティクスは独メルク社が販売している転移性大腸がんの抗がん剤(製品名:アービタックス®)を対象としたコンパニオン診断薬の開発に取組んできましたが、このたび、転移性大腸がんにおける血中RAS遺伝子※1変異検査「OncoBEAMTM※2RAS CRCテスト」(研究用)をドイツのルール大学ボーフム・鉱員共済組合病院で運用を開始しました。本検査により、従来の患者から採取したがん組織を用いた生体検査と比較し、より迅速かつ容易にRAS遺伝子変異を特定することができ、個々の患者に最適な治療に貢献します。
※1RAS遺伝子:RAS遺伝子が変異するとがんを引き起こすことが知られている遺伝子。
※2OncoBEAMTM:Johns Hopkins大学が開発したBEAMing技術(Bead, Emulsion, Amplification, and Magneticsの各頭文字をとって命名されたもので、高感度PCR技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法)によって血中の微量遺伝子変異を検出する技術名称。
※3コンパニオン診断薬:医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行われる臨床検査のこと。
(3)非小細胞肺がんのリンパ節転移検査の自動化を実現
当社は、既に乳がん、大腸がん、胃がんのリンパ節転移検査用として販売している検査試薬「リノアンプBC」の非小細胞肺がんリンパ節転移検査への適応拡大について、厚生労働省より2015年11月4日付で製造販売承認を取得しました。肺がんは、大きくは組織型の違いにより非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられ、肺がんの約85%は非小細胞肺がんとされており※4、非小細胞肺がん治療において、リンパ節転移の有無、その位置や個数はがんの進行度を決定する指標の一つで、肺の切除を伴う治療や抗がん剤投与などの治療方法の決定に有用です。このたび適応拡大の承認を取得した非小細胞肺がんリンパ節転移迅速検査は、乳がん、大腸がん、胃がんと同じ機器・試薬を用いて非小細胞肺がんのリンパ節転移の有無を判定することが可能です。当社が開発したOSNA法※5によるリンパ節転移迅速検査システムは、短時間でリンパ節転移検査の判定結果を得ることができ、非小細胞肺がんリンパ節転移迅速検査の精度向上、より適切な治療方法の決定に貢献することが期待できます。
※4出典:「もっと知ってほしい肺がんのこと2014年度版」NPO法人キャンサーネットジャパン
※5OSNA法:当社が開発した直接遺伝子増幅法(One-Step Nucleic Acid Amplification)。
(4)全自動尿化学分析装置「UC-3500」の発売
当社は、尿定性検査分野の新製品として全自動尿化学分析装置「UC-3500」を2016年1月より海外市場において発売しました。尿検査は、一次的な検査として行われる尿試験紙を用いた尿定性検査と、尿定性検査で陽性とされた検体をより詳しく分析する二次的な検査の尿沈渣検査に分けられており、尿沈渣検査は、腎疾患、尿路疾患の診断に活用される重要な検査で、尿中に現れる有形成分である赤血球、白血球、細菌などを分類・測定するものです。当社は、従来は臨床検査技師が顕微鏡で観察(鏡検)していた尿沈渣検査において、1995年にフローサイトメトリー法を用いた尿中有形成分の自動定量分析を実用化し、全自動尿中有形成分分析装置「UFシリーズ」を通じて尿沈渣検査の効率化、標準化に貢献してきました。このたび発売した製品は、シンプルな操作パネルを搭載する等、ユーザビリティを優先した設計としており、最大276テスト/時間の処理能力を有しています。また、尿定性検査分野の「UC-3500」と尿沈渣検査分野の「UF-5000/4000/3000」を組み合わせることにより、多様な尿検査のワークフローニーズに対応が可能となります。さらに、尿検査部門情報管理システム「U-WAM」※6上で患者情報や尿定性、尿沈渣検査の結果等を確認することにより、これまで以上に価値のある診断サポート情報の提供やワークフローの効率化を図ることができます。
※6尿検査部門情報管理システム「U-WAM」:尿検査の結果を一括管理する検査情報管理システム。
(5)全自動尿中有形成分撮像ユニット「UD-10」の発売
当社は、尿沈渣検査分野の新製品として全自動尿中有形成分撮像ユニット「UD-10」を2016年1月に発売しました。尿検査は、一次的な検査として行われる尿試験紙を用いた尿定性検査と、尿定性検査で陽性とされた検体をより詳しく分析する二次的な検査の尿沈渣検査に分けられており、尿沈渣検査は、腎疾患、尿路疾患の診断に活用される重要な検査で、尿中に現れる有形成分である赤血球、白血球、細菌などを分類・測定するものです。当社は、従来は臨床検査技師が顕微鏡で観察(鏡検)していた尿沈渣検査において、1995年にフローサイトメトリー法を用いた尿中有形成分の自動定量分析を実用化し、鏡検の低減に取り組んできましたが、分析装置が異常と判断した検体の確認には鏡検が必要とされており、臨床検査技師が検体を遠心分離した上で、スライド標本を作製する必要がありました。このたび発売した製品は、全自動尿中有形成分分析装置「UF-5000/4000/3000」において再検査が必要と判定された検体を撮像し、尿検査部門情報管理システム「U-WAM」を介して検体内に含まれる有形成分を大まかなサイズごとに画面に表示させることにより、顕微鏡による標本スライド観察同様に目視確認が可能となるため、臨床検査技師の作業負担を大幅に軽減することができます。さらに、「UC-3500」及び「UF-5000/4000/3000」と「UD-10」を組み合わせることにより、多様な尿検査のワークフローニーズに対応し、尿検査全体の所要時間の短縮にも貢献します。

今後も、医療を最適化、標準化するための価値の高い検査を提供し、シスメックスグループの企業理念である「Sysmex Way」のミッションとして掲げている「ヘルスケアの進化をデザインする。」の実現を目指した研究開発活動に取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は17,775百万円となっています。また、2016年3月31日現在取得の工業所有権の総数は6,713件(海外を含む)となっております。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02015] S1007URY)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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