有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007887
ローランド ディー.ジー.株式会社 業績等の概要 (2015年12月期)
(1)業績
当社は、2015年6月17日開催の定時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けまして、2015年度より決算期を3月31日から12月31日に変更いたしました。従いまして、経過期間となる2015年12月期につきましては、当社は4月から12月の9ヶ月間、12月決算の連結子会社は1月から12月の12ヶ月間を連結対象期間としております。なお、前期と比較する場合については、前期実績を当連結対象期間と同一の期間に調整した数値に補正して増減比を記載しております。当期における世界経済は、米国や欧州、日本等の先進国を中心に緩やかな回復基調が続きましたが、中国をはじめとする新興国経済の成長鈍化や、東欧、中東等における地政学的リスク、原油価格の落ち込み等、様々な景気下振れリスクを抱えながら、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループでは、このような変化の激しい経営環境に対応すべく、グループ一体となり総合力を発揮することを目指す構造改革「GlobalOne(グローバルワン)」に取り組んでおり、当期においても①新たな成長機会の創出、②グローバル・ブランドの強化、③多様性に対応するマネジメントの3つの重点テーマに沿った活動を推進しました。
これまでの主力市場であるサイン(広告・看板製作)市場における活動に加え、オリジナルグッズ等の製作を行うリテイル市場や布地への印刷を行うテキスタイル市場に対する新しい印刷ビジネスの提案や、デンタル(歯科医療)市場に向けてデンタル加工機を活用したデジタル化の提案を行う等、新たな成長市場の開拓に注力しました。
販売体制においては、世界を「欧州・中東・アフリカ」「アジア・パシフィック」「北米・中南米」の3つのブロックに分け、地域ごとのマネジメント体制の強化及び販売網の再構築に取り組みました。また、生産体制においては、海外生産拠点であるタイ工場における生産を拡充し、生産体制の分散と共に需要変動への対応力を強化し、グループの全体最適による効率化を進めました。
これらの取り組みの結果、当連結会計年度の売上高は、為替によるプラス効果もあり、前期比0.6%増の451億21百万円となりました。費用面では、売上原価率が、サイン市場における販売単価の下落に加え、原材料費や技術力強化のための研究開発費の増加等により、前期より2.0%上昇しました。また、販売費及び一般管理費は、成長市場の拡大に向けた人件費の増加等により、前期比3.1%増となりました。これにより、営業利益は、前期比23.5%減の40億57百万円となり、経常利益は、連結子会社の為替差損等があった影響で、前期比28.4%減の36億46百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等調整額の減少や、前期に大きなマイナス要因として連結子会社に関するのれんの減損損失を計上したこともあり、前期比7.3%増の24億68百万円となりました。
なお、当連結会計年度における主要通貨の為替レート(海外連結子会社の事業年度は1月~12月のため2015年1月~2015年12月の平均レート)は、121.06円/米ドル(前期105.85円)、134.36円/ユーロ(前期140.44円)でした。
当社及び連結子会社の事業は、コンピュータ周辺機器の製造販売であり、区別すべき事業セグメントが存在しないため、単一セグメントとなっております。なお、品目別の売上高は、以下の通りであります。
品目別売上高
品目 | 前連結会計年度 (補正後) | 当連結会計年度 | 増減額 (百万円) (補正後) | 構成比増減 (%) (補正後) | 前期比 (%) (補正後) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | ||||
プリンター | 20,422 | 45.5 | 19,631 | 43.5 | △791 | △2.0 | 96.1 |
プロッタ | 1,313 | 2.9 | 1,399 | 3.1 | 86 | 0.2 | 106.6 |
工作機器 | 3,721 | 8.3 | 3,693 | 8.2 | △27 | △0.1 | 99.3 |
サプライ | 13,756 | 30.7 | 14,365 | 31.8 | 609 | 1.1 | 104.4 |
その他 | 5,653 | 12.6 | 6,031 | 13.4 | 378 | 0.8 | 106.7 |
合計 | 44,867 | 100.0 | 45,121 | 100.0 | 254 | ― | 100.6 |
[プリンター]
先進国では、サイン市場が成熟化傾向にあることを受け、高付加価値製品の提案や良質なサービス・サポートの提供により、顧客満足度を向上させていくことで、市場シェアの維持・拡大を図っております。一方、成長が見込まれる新興国では、セールス・マーケティング活動を強化し市場拡大に努めております。また、多様な素材に印刷できるUVプリンターや布地への印刷用途に特化したテキスタイル用プリンターによる“新たな印刷市場の開拓”に積極的に取り組みました。
当期は、主力のサイン市場において、高価格帯のプロ用機種から中・低価格帯のスタンダード機種へと市場ニーズが変化してきた影響により、導入しやすい低価格機種の販売が進んだ一方で、これまで売上を牽引してきたプロ用機種が伸び悩みました。加えて、シェアの維持・拡大のため値下げキャンペーン等を実施したことも、売上高の減少要因となりました。しかしながら、昨年10月には、高生産性と低ランニングコストを両立した新製品「SOLJET(ソルジェット)EJ-640」及び専用インク「EJ INK」を発表する等、ユーザーのビジネス競争力向上を実現する新たなソリューションを提案しました。
一方、UVプリンターでは、スマートフォンケースやノベルティ等に写真やイラストを印刷してオリジナルグッズ製作を行うリテイル市場において、小型UVプリンターが堅調に推移しました。また、厚みのある材料に直接印刷が行える大型UVプリンターが、広告・看板製作用途を中心に売上を伸ばしました。
さらに、テキスタイル市場においては、スポーツユニフォームやオリジナルウェア等の製作に適した低価格機種RTシリーズの導入が進みました。加えて、昨年11月には、高い生産性を実現したプロ用機種XT-640を市場に投入しました。
これらの結果、プリンターの売上高は、196億31百万円(前期比96.1%)となりました。
[プロッタ]
昨年1月に発売した新製品GS-24が順調な立ち上がりを見せたこともあり、プロッタの売上高は13億99百万円(前期比106.6%)となりました。
[工作機器]
従来からの主力市場である製造業や彫刻業等に加えて、デジタル化のニーズが高まる歯科医療をはじめとするヘルスケア分野やパーソナル分野に注力し、新分野での事業拡大を目指しております。
当期は、3次元切削加工機が、3Dデータの活用が進むものづくり市場において堅調な販売となりました。デンタル市場向けの加工機DWXシリーズは、前期の日本における特需が一巡した影響があったものの、欧州や中国等を中心に売上を伸ばしました。歯の治療に使用される詰め物や被せ物の製作プロセスをトータルソリューションとして提案できる体制作りや、販売網の整備・拡充が世界各地域で順調に進みました。また、昨年9月に、当社初のウェット加工機DWX-4Wと主力モデルの後継機種DWX-51Dの新製品2機種を市場投入したこともあり、着実に成果を上げております。一人ひとりに合った治療やサービスが必要とされる歯科医療をはじめとするヘルスケア分野は、デジタル技術やものづくりのノウハウといった当社の持つ強みを発揮できる分野であり、今後も成長市場と位置付けて、さらなる事業拡大を図ってまいります。
これらの結果、工作機器の売上高は36億93百万円(前期比99.3%)となりました。
[サプライ]
プリンター用のインクの売上が増加し、サプライの売上高は143億65百万円(前期比104.4%)となりました。
[その他]
保守やサービスパーツ等のその他売上については、プリンターやデンタル加工機の導入に伴う保守契約やサービスパーツの売上が増加したことにより、売上高は60億31百万円(前期比106.7%)となりました。
地域別の売上高は、以下の通りであります。
地域別売上高
地域 | 前連結会計年度 (補正後) | 当連結会計年度 | 増減額 (百万円) (補正後) | 構成比増減 (%) (補正後) | 前期比 (%) (補正後) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | ||||
日本 | 3,608 | 8.0 | 3,706 | 8.2 | 98 | 0.2 | 102.7 |
北米 | 12,351 | 27.5 | 13,491 | 29.9 | 1,140 | 2.4 | 109.2 |
欧州 | 16,616 | 37.0 | 16,415 | 36.4 | △200 | △0.6 | 98.8 |
アジア | 4,195 | 9.4 | 3,715 | 8.2 | △479 | △1.2 | 88.6 |
その他 | 8,095 | 18.1 | 7,791 | 17.3 | △303 | △0.8 | 96.2 |
合計 | 44,867 | 100.0 | 45,121 | 100.0 | 254 | ― | 100.6 |
[日 本]
プリンターでは、サイン市場向けの低価格機種が堅調だったことに加え、オリジナルグッズ製作用途に提案している小型UVプリンターや、テキスタイル用途向けのプリンターが好調に推移しました。一方、工作機器では、デンタル加工機DWXシリーズが、前期好調の要因となった「デジタルデータを用いて製作した歯の詰め物や被せ物に対する保険適用」に伴う歯科技工所の設備投資の特需が一巡した影響により、大きく減少しました。
これらの結果、日本の売上高は37億6百万円(前期比102.7%)となりました。
[北 米]
回復基調が続く米国は堅調でしたが、カナダでの販売が低調となりました。
プリンターでは、サイン市場向けの低価格機種が堅調に推移したものの、プロ用機種や主力機種VS-iシリーズが伸び悩みました。一方、UVプリンターでは、厚みのある材料に直接印刷ができる大型UVプリンターが伸長しました。工作機器では、デンタル加工機DWXシリーズが前期並みにとどまりました。
しかしながら、米ドルに対する円安効果もあり、北米の売上高は134億91百万円(前期比109.2%)となりました。
[欧 州]
ロシアや北欧は、地政学的リスク等の影響もあり低迷しましたが、南欧を中心に復調傾向が続きました。
プリンターでは、主力機種VS-iシリーズをはじめとする導入しやすい価格帯の製品が堅調に推移しました。また、テキスタイル用プリンターがオリジナルウェアの製作用途において導入が進みました。工作機器では、セールス・マーケティング活動の強化を図っているデンタル加工機DWXシリーズが新製品を中心に売上を伸ばしました。
しかしながら、ユーロに対する円高の影響により、欧州の売上高は164億15百万円(前期比98.8%)となりました。
[ア ジ ア]
中国では、UVプリンターやデンタル加工機をはじめとする工作機器が伸長しましたが、サイン市場においては、現地販売店の在庫調整等の影響によりプリンターの販売が低調だったことで、前期を大きく下回りました。また、韓国では、デンタル加工機が伸長したものの、プロ用機種を中心にプリンターの売上が減少しました。インドでは、プリンターを中心に好調な販売となり、前期を上回りました。
これらの結果、アジアの売上高は37億15百万円(前期比88.6%)となりました。
[そ の 他]
ブラジルでは、経済環境の悪化に伴いサイン市場向けのプリンターを中心に低調に推移し、前期を大きく下回りました。一方、中東地域では、現地販売店との連携強化や新規販売網の開拓が進んだことが奏功し、売上を伸ばしました。
しかしながら、主にブラジルレアルに対する円高の影響もあり、その他地域の売上高は77億91百万円(前期比96.2%)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フロー計算書の要約
科目 | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減 (百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 5,467 | 3,543 | △1,924 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △523 | △1,282 | △758 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △5,407 | △2,270 | 3,137 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 159 | △391 | △550 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △303 | △400 | △96 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 10,409 | 10,009 | △400 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、35億43百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ19億24百万円の減少となりました。主な増加要因としましては、仕入債務が増加したことや未払金等のその他の流動負債が増加したこと等によります。主な減少要因としましては、税金等調整前当期純利益が減少し、たな卸資産が増加したことに加え、前連結会計年度にブラジルやデンマークの連結子会社に対してのれんの減損損失を計上したこと等によります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が5億23百万円の支出であったのに対し、当連結会計年度は12億82百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ7億58百万円の支出額の増加となりました。有形固定資産の取得による支出が減少した一方、子会社株式の取得による支出に加え、前連結会計年度には定期預金の払戻し等による収入があったこともあり、支出増となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が54億7百万円の支出であったのに対し、当連結会計年度は22億70百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ31億37百万円の支出額の減少となりました。前連結会計年度は、主に公開買付けによる自己株式の取得を目的とした長期借入れによる収入が72億円あった一方で、自己株式の取得代金として121億28百万円の支出がありました。当連結会計年度は、長期借入金の返済による支出がありますが、全体として支出額は大きく減少しました。
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