有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007X19
三菱自動車工業株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、お客様の期待と社会の要請に応えるため、「環境への貢献」「走る歓び」「確かな安心」を追求する次世代テクノロジー「@earth TECHNOLOGY」を技術キーワードに掲げ、研究開発を推進している。また、商品開発の「10年の計」として、SUV・電動車両へ開発資源を集中し、商品力強化を推進することを明確にしている。研究開発体制については、日本では「技術開発センター」および「EV技術センター」があり、デザイン・技術の先行研究・設計・試験を行っている。また、北米・欧州・中国・タイに有する海外R&D拠点との連携により、市場特性を踏まえたグローバルな商品開発を行っている。
「環境への貢献」については、持続可能なクルマ社会の実現に向け、次世代電動車両技術や次世代エンジン(ダウンサイジング直噴ターボエンジン,クリーンディーゼルエンジン)の開発、車体・コンポーネントの軽量化など、燃費向上技術を開発推進している。特に、電動車両技術に関しては、長距離走行と環境性能を両立させた、当社独自の『プラグインハイブリッドEVシステム』を搭載した『アウトランダーPHEV』が高い評価を得ており、引き続き電動車両技術のリーディングカンパニーを目指し開発に取り組んでいる。
「走る歓び」については、走行性能と環境性能を両立する次世代エンジンの開発や、当社が得意とする四輪駆動の統合制御技術『S-AWC*1』の進化などに継続して取り組んでいる。これらの技術は、電動車両も含め逐次他の車種へも活用・展開していく。特に、モータードライブと『S-AWC』の融合を「e-EVOLUTION」と位置付け、走る歓びと環境性能の両立を目指して開発を推進している。こうした取組みの結果、8月8日(土)~14日(金)にタイ北部で開催された、国際自動車連盟(FIA)公認のクロスカントリーラリー「アジアクロスカントリーラリー2015」において、『アウトランダーPHEV』は3年連続となる完走を果たし、信頼性・耐久性および走破性の高さを実証した。
「確かな安心」については、お客様に安心してお乗りいただける安全性を実現するため、当社の先進予防安全技術である『e-Assist*2(イーアシスト)』、衝突安全技術である衝突安全強化ボディ『RISE*3(ライズ)』などの開発に取り組んでいる。これらの安全技術への継続した取り組みにより、タイにおける生産・販売会社ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)で生産している新型ミッドサイズSUV『モンテロスポーツ(パジェロスポーツ)』が、中南米・カリブ諸国で販売される車両を対象とした自動車アセスメントである2015年「Latin NCAP(Latin America and the Caribbean New Car Assessment Programme)」成人乗員保護評価において、最高評価である5★を獲得した。さらに、オーストラリア向けの同型車である『パジェロスポーツ』も、「ANCAP(The Australasian New Car Assessment Program)」の最高評価となる5★を獲得しており、三菱自動車の最新ミッドサイズSUVの高い安全性能が各国で証明されている。
その他、快適な室内環境(乗り心地,静粛性,利便性向上など)を提供するための技術開発、車内でのスマートフォン等の情報機器との接続技術の開発にも取り組んでいる。
また、当社製車両の燃費試験における不正行為において、お客様をはじめとする全てのステークホルダーにご迷惑をおかけした。今後、コンプライアンスを徹底し、お客様にとって魅力ある商品開発をすることで、信頼回復を図っていく。
*1:S-AWC:Super All Wheel Control
*2:e-Assist:以下の機能で構成され、ドライバーの安全な走りをアシストする。
・衝突被害軽減ブレーキシステム(Forward Collision Mitigation System:FCM)「アウトランダー/同PHEV,パジェロスポーツに搭載」
先行車との車間距離が急に縮まった場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートする。
・低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM-City)「eKシリーズ,ミラージュに搭載」
低速走行時(約5~約30km/h)先行車との車間距離が急に縮まった場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートする。
・車線逸脱警報システム(Lane Departure Warning System:LDW)「アウトランダー/同PHEVに搭載」
走行中の車線から逸脱しそうな場合に、ドライバーに警報で注意を促す。
・レーダークルーズコントロールシステム(Adaptive Cruise Control System:ACC)「アウトランダー/同PHEV,パジェロスポーツに搭載」
渋滞での走行時でも、先行車との車間を維持しながらの走行を可能とする。
・後側方死角警報システム 「パジェロスポーツに搭載」
死角になり易い斜め後方に車両がいた場合、ドライバーにドアミラーのインジケーターで注意を促す。
・誤発進抑制機能「前進&後退時:アウトランダーPHEV,パジェロスポーツ」「前進時:eKシリーズ,ミラージュに搭載」
シフトやペダルの操作ミスによる急発進を抑制する。
*3:RISE:Reinforced Impact Safety Evolution
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費(自動車事業)は45,012百万円である。2015年4月から2016年3月にかけて発売した主な新商品は次のとおりである。
1. 新型『アウトランダーPHEV』/新型『アウトランダー』を発売した。先代モデルからフロントデザインを一新したほか、パワートレイン、ボディ、シャシーなどを大幅改良することで、静粛性、加速性、操縦安定性、乗り心地、燃費などの向上を図った。主な商品特長を以下に挙げる。
(1) 「エクステリアデザイン」
一新したフロントフェイスは、三菱自動車の新しいフロントデザインコンセプト「ダイナミック・シールド」のもとデザインした。パワー・パフォーマンスを表現するセンターのブラック部を左右から包み込むバンパーサイドの造形により、人とクルマを守る機能をダイナミックで力強い形として表現した。
(2) 「インテリアデザイン」
『アウトランダーPHEV』
上質でラグジュアリーな空間を演出したプレミアム感のあるインテリアとした。シートの表皮デザインや素材を変更すると共に、既存のスポーティなブラック本革内装に加え、ラグジュアリーなブラウンの本革内装を新たに採用した。
『アウトランダー』
シックで落ち着きのある上質さとスポーティ感にこだわったインテリアとした。ファブリックシートの表皮デザインを変更すると共に運転席・助手席のサイド部にステッチを追加したほか、シートクッション部の硬さを適正化した。
(3) 「操縦安定性と乗り心地の向上」
サスペンションからの入力を受ける箇所を補強し、ボディ剛性を向上させた。サスペンション取付部の剛性を向上させ、ステアリングホイールやサスペンションからの入力を正確にボディに伝えることで、操舵感と操舵に対する応答性と正確性を向上させた。また、ショックアブソーバーのシリンダーを大径化することにより、走行安定性と乗り心地の両立など走りの質感を向上させた。
(4) 「静粛性のさらなる向上」
吸音材や遮音材、制振材やダイナミックダンパーの追加など30点以上の改良を施すことで、エンジン音、ロードノイズ、風切り音を大幅に低減した。走行時、停車時の遮音性を向上させ、快適なキャビンを実現した。また、ドアシールの構造を改良することでドアのしまり音を改良した。
(5) 「環境性能の改善」
『アウトランダーPHEV』
プラグインハイブリッドEV制御の最適化やエンジンのフリクション低減により、ハイブリッド燃料消費率(JC08モード)を1.6km/L向上させ、20.2km/Lとしたほか、モーター効率向上により充電電力使用時走行距離(JC08モード)を0.6km向上させ、60.8kmを実現した。
『アウトランダー』
新世代CVTを搭載し、エンジン制御とCVT制御の協調制御を最適化することで、燃料消費率 (JC08モード)を2WD車で0.8km/L向上させ16.0km/Lとし、4WD車で0.2km/L向上させ14.6km/Lとすることで、クラストップレベル(同排気量クラスでの比較)の環境性能を実現した。(Gプレミアムを除く)
2. タイで新型ミッドサイズSUV『パジェロスポーツ』を発売した。新型『パジェロスポーツ』は、「Stylish & Comfortable OFFROAD SUV」をコンセプトに、『パジェロ』ブランドを継承した本格オフロードSUVでありながら、洗練された上質なデザイン、上質な走りと快適な居住空間、クラストップレベルの環境性能、先進の予防安全装備などを持ち合せた新世代のミッドサイズSUVである。タイのラムチャバン工場で生産され、豪州、アセアン、中東、アフリカ、中南米、ロシアなどに順次投入し、約90ヶ国に輸出する計画である。主な商品特長を以下に挙げる。
(1) 「洗練された上質なデザイン」
外観は歴代『パジェロ』で培ったデザインを継承・進化させた新しいフロントフェイスデザインコンセプト「ダイナミック・シールド」を採用し、従来のクロスカントリー系SUVと一線を画す、スポーティさとダイナミックさを併せ持つ上質でスタイリッシュなデザインとした。内装は上級SUVに相応しいハイコンソールプロポーションを採用し、ダイナミックなシルバー加飾や立体的な造形のシートなどにより高級感を演出している。
(2)「上質な走りと快適な居住空間」
サスペンションの見直しやボディマウントの改良により、操縦安定性、乗り心地、静粛性を同時に向上させるとともに、新ディーゼルエンジンの採用やボディの遮音性能強化により、さらに静粛性を高めた。格段にレベルアップしたシートの座り心地や空調性能と相まって、ひとクラス上の快適な室内空間を実現している。
(3)「優れた環境性能」
エンジンは2.4L MIVEC*4ディーゼルターボエンジンを新たに採用した。『パジェロスポーツ』用に新開発された8速AT(三菱車初)と組み合わせることで、先代モデルに対して燃費を約17%向上させ、2016年1月よりタイで施行された新税制においてCO2排出量の最低税区分に適合する200g/km以下を達成している。
(4) 「先進の予防安全装備」
衝突安全強化ボディRISEと合計7つのSRSエアバッグによる優れたパッシブセーフティに加え、衝突被害軽減ブレーキシステム、後側方死角警報システム(三菱車初)、誤発進抑制制御システムなど先進の予防安全装備のほか、電動パーキングブレーキ(三菱車初)、マルチアラウンドモニター、前席左右の温度調整オートエアコンなど、従来の枠を超えた先進装備を多数採用している。
*4:MIVEC:Mitsubishi Innovative Valve timing Electronic Control system
3. コンパクトカー『ミラージュ』をマイナーチェンジして発売した。『ミラージュ』は、「低燃費」「扱いやすさ」をコンセプトとしたコンパクトカーで、今回の改良では、スポーティ感と質感を高めた内外装を採用したほか、要望の多かった予防安全技術「e‐Assist」を全車に採用するとともに、アイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」にコーストストップ機能を追加、また、エンジンフリクション低減などにより「低燃費」に磨きをかけた。主な商品特長を以下に挙げる。
(1)「スポーティ感と質感を高めた内外装」
ボリューム感のあるボンネットフード、クロームメッキで加飾した上質感のあるアッパーグリルとロワーグリル、下部にエアダム形状を配したスポーティなフロントバンパーを採用し、従来よりもスポーティで上質なフロントフェイスとした。
ステアリングホイール及びスポークの一部をピアノブラック&メッキ加飾として上質感を向上させたリモコンスイッチ付きの本革巻ステアリングホイールを「G」に採用した。また、メッキリングをあしらった、高輝度常時透過照明点灯タイプのメーターを採用した。
(2) 予防安全技術「e-Assist」
低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM-City」と誤発進抑制機能(前進時)を標準装備とした。低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM-City」は、約5km/h~約30km/hの低速走行時に、レーザーレーダーが前方車両を検知し、衝突の危険があるときは、ブザー音とメーター内の警告灯で注意喚起するとともに、自動ブレーキで衝突の回避または衝突被害の軽減を図る。また、「誤発進抑制機能(前進時)」は、停車~約10㎞/h以下の走行時に、レーザーレーダーが前方(約4m以内)に車両や障害物を検知している状態で、踏み間違いなどの操作ミスによって、アクセルペダルを素早く、強く踏み込んだときは、ブザー音とメーター内の警告灯で注意喚起するとともに、エンジン出力を抑制。発進をゆるやかにし、衝突被害の軽減を図る。
(3)「燃費性能・走行性能・乗り心地」
アイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」に、減速時(約13km/h以下)からエンジンを停止させるコーストストップ機能を採用し、低フリクションタイプのタイミングチェーンや冷気を導入するダクトを追加するなど、細部にわたる改良により、燃費を+0.4km/Lの25.4km/L(JC08モード燃料消費率)に向上させた。サスペンションは、リヤスプリングのバネ定数と、フロント及びリヤショックアブソーバーの減衰力を最適化し、ボディ側の取付部の剛性を高めることで、操縦安定性と走りの質感を向上させた。
4. 上記のほかに、安全・機能装備の充実や、内外装の差異化、燃費向上を図った商品を一部機種に設定し発売した。
「環境への貢献」については、持続可能なクルマ社会の実現に向け、次世代電動車両技術や次世代エンジン(ダウンサイジング直噴ターボエンジン,クリーンディーゼルエンジン)の開発、車体・コンポーネントの軽量化など、燃費向上技術を開発推進している。特に、電動車両技術に関しては、長距離走行と環境性能を両立させた、当社独自の『プラグインハイブリッドEVシステム』を搭載した『アウトランダーPHEV』が高い評価を得ており、引き続き電動車両技術のリーディングカンパニーを目指し開発に取り組んでいる。
「走る歓び」については、走行性能と環境性能を両立する次世代エンジンの開発や、当社が得意とする四輪駆動の統合制御技術『S-AWC*1』の進化などに継続して取り組んでいる。これらの技術は、電動車両も含め逐次他の車種へも活用・展開していく。特に、モータードライブと『S-AWC』の融合を「e-EVOLUTION」と位置付け、走る歓びと環境性能の両立を目指して開発を推進している。こうした取組みの結果、8月8日(土)~14日(金)にタイ北部で開催された、国際自動車連盟(FIA)公認のクロスカントリーラリー「アジアクロスカントリーラリー2015」において、『アウトランダーPHEV』は3年連続となる完走を果たし、信頼性・耐久性および走破性の高さを実証した。
「確かな安心」については、お客様に安心してお乗りいただける安全性を実現するため、当社の先進予防安全技術である『e-Assist*2(イーアシスト)』、衝突安全技術である衝突安全強化ボディ『RISE*3(ライズ)』などの開発に取り組んでいる。これらの安全技術への継続した取り組みにより、タイにおける生産・販売会社ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)で生産している新型ミッドサイズSUV『モンテロスポーツ(パジェロスポーツ)』が、中南米・カリブ諸国で販売される車両を対象とした自動車アセスメントである2015年「Latin NCAP(Latin America and the Caribbean New Car Assessment Programme)」成人乗員保護評価において、最高評価である5★を獲得した。さらに、オーストラリア向けの同型車である『パジェロスポーツ』も、「ANCAP(The Australasian New Car Assessment Program)」の最高評価となる5★を獲得しており、三菱自動車の最新ミッドサイズSUVの高い安全性能が各国で証明されている。
その他、快適な室内環境(乗り心地,静粛性,利便性向上など)を提供するための技術開発、車内でのスマートフォン等の情報機器との接続技術の開発にも取り組んでいる。
また、当社製車両の燃費試験における不正行為において、お客様をはじめとする全てのステークホルダーにご迷惑をおかけした。今後、コンプライアンスを徹底し、お客様にとって魅力ある商品開発をすることで、信頼回復を図っていく。
*1:S-AWC:Super All Wheel Control
*2:e-Assist:以下の機能で構成され、ドライバーの安全な走りをアシストする。
・衝突被害軽減ブレーキシステム(Forward Collision Mitigation System:FCM)「アウトランダー/同PHEV,パジェロスポーツに搭載」
先行車との車間距離が急に縮まった場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートする。
・低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM-City)「eKシリーズ,ミラージュに搭載」
低速走行時(約5~約30km/h)先行車との車間距離が急に縮まった場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートする。
・車線逸脱警報システム(Lane Departure Warning System:LDW)「アウトランダー/同PHEVに搭載」
走行中の車線から逸脱しそうな場合に、ドライバーに警報で注意を促す。
・レーダークルーズコントロールシステム(Adaptive Cruise Control System:ACC)「アウトランダー/同PHEV,パジェロスポーツに搭載」
渋滞での走行時でも、先行車との車間を維持しながらの走行を可能とする。
・後側方死角警報システム 「パジェロスポーツに搭載」
死角になり易い斜め後方に車両がいた場合、ドライバーにドアミラーのインジケーターで注意を促す。
・誤発進抑制機能「前進&後退時:アウトランダーPHEV,パジェロスポーツ」「前進時:eKシリーズ,ミラージュに搭載」
シフトやペダルの操作ミスによる急発進を抑制する。
*3:RISE:Reinforced Impact Safety Evolution
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費(自動車事業)は45,012百万円である。2015年4月から2016年3月にかけて発売した主な新商品は次のとおりである。
1. 新型『アウトランダーPHEV』/新型『アウトランダー』を発売した。先代モデルからフロントデザインを一新したほか、パワートレイン、ボディ、シャシーなどを大幅改良することで、静粛性、加速性、操縦安定性、乗り心地、燃費などの向上を図った。主な商品特長を以下に挙げる。
(1) 「エクステリアデザイン」
一新したフロントフェイスは、三菱自動車の新しいフロントデザインコンセプト「ダイナミック・シールド」のもとデザインした。パワー・パフォーマンスを表現するセンターのブラック部を左右から包み込むバンパーサイドの造形により、人とクルマを守る機能をダイナミックで力強い形として表現した。
(2) 「インテリアデザイン」
『アウトランダーPHEV』
上質でラグジュアリーな空間を演出したプレミアム感のあるインテリアとした。シートの表皮デザインや素材を変更すると共に、既存のスポーティなブラック本革内装に加え、ラグジュアリーなブラウンの本革内装を新たに採用した。
『アウトランダー』
シックで落ち着きのある上質さとスポーティ感にこだわったインテリアとした。ファブリックシートの表皮デザインを変更すると共に運転席・助手席のサイド部にステッチを追加したほか、シートクッション部の硬さを適正化した。
(3) 「操縦安定性と乗り心地の向上」
サスペンションからの入力を受ける箇所を補強し、ボディ剛性を向上させた。サスペンション取付部の剛性を向上させ、ステアリングホイールやサスペンションからの入力を正確にボディに伝えることで、操舵感と操舵に対する応答性と正確性を向上させた。また、ショックアブソーバーのシリンダーを大径化することにより、走行安定性と乗り心地の両立など走りの質感を向上させた。
(4) 「静粛性のさらなる向上」
吸音材や遮音材、制振材やダイナミックダンパーの追加など30点以上の改良を施すことで、エンジン音、ロードノイズ、風切り音を大幅に低減した。走行時、停車時の遮音性を向上させ、快適なキャビンを実現した。また、ドアシールの構造を改良することでドアのしまり音を改良した。
(5) 「環境性能の改善」
『アウトランダーPHEV』
プラグインハイブリッドEV制御の最適化やエンジンのフリクション低減により、ハイブリッド燃料消費率(JC08モード)を1.6km/L向上させ、20.2km/Lとしたほか、モーター効率向上により充電電力使用時走行距離(JC08モード)を0.6km向上させ、60.8kmを実現した。
『アウトランダー』
新世代CVTを搭載し、エンジン制御とCVT制御の協調制御を最適化することで、燃料消費率 (JC08モード)を2WD車で0.8km/L向上させ16.0km/Lとし、4WD車で0.2km/L向上させ14.6km/Lとすることで、クラストップレベル(同排気量クラスでの比較)の環境性能を実現した。(Gプレミアムを除く)
2. タイで新型ミッドサイズSUV『パジェロスポーツ』を発売した。新型『パジェロスポーツ』は、「Stylish & Comfortable OFFROAD SUV」をコンセプトに、『パジェロ』ブランドを継承した本格オフロードSUVでありながら、洗練された上質なデザイン、上質な走りと快適な居住空間、クラストップレベルの環境性能、先進の予防安全装備などを持ち合せた新世代のミッドサイズSUVである。タイのラムチャバン工場で生産され、豪州、アセアン、中東、アフリカ、中南米、ロシアなどに順次投入し、約90ヶ国に輸出する計画である。主な商品特長を以下に挙げる。
(1) 「洗練された上質なデザイン」
外観は歴代『パジェロ』で培ったデザインを継承・進化させた新しいフロントフェイスデザインコンセプト「ダイナミック・シールド」を採用し、従来のクロスカントリー系SUVと一線を画す、スポーティさとダイナミックさを併せ持つ上質でスタイリッシュなデザインとした。内装は上級SUVに相応しいハイコンソールプロポーションを採用し、ダイナミックなシルバー加飾や立体的な造形のシートなどにより高級感を演出している。
(2)「上質な走りと快適な居住空間」
サスペンションの見直しやボディマウントの改良により、操縦安定性、乗り心地、静粛性を同時に向上させるとともに、新ディーゼルエンジンの採用やボディの遮音性能強化により、さらに静粛性を高めた。格段にレベルアップしたシートの座り心地や空調性能と相まって、ひとクラス上の快適な室内空間を実現している。
(3)「優れた環境性能」
エンジンは2.4L MIVEC*4ディーゼルターボエンジンを新たに採用した。『パジェロスポーツ』用に新開発された8速AT(三菱車初)と組み合わせることで、先代モデルに対して燃費を約17%向上させ、2016年1月よりタイで施行された新税制においてCO2排出量の最低税区分に適合する200g/km以下を達成している。
(4) 「先進の予防安全装備」
衝突安全強化ボディRISEと合計7つのSRSエアバッグによる優れたパッシブセーフティに加え、衝突被害軽減ブレーキシステム、後側方死角警報システム(三菱車初)、誤発進抑制制御システムなど先進の予防安全装備のほか、電動パーキングブレーキ(三菱車初)、マルチアラウンドモニター、前席左右の温度調整オートエアコンなど、従来の枠を超えた先進装備を多数採用している。
*4:MIVEC:Mitsubishi Innovative Valve timing Electronic Control system
3. コンパクトカー『ミラージュ』をマイナーチェンジして発売した。『ミラージュ』は、「低燃費」「扱いやすさ」をコンセプトとしたコンパクトカーで、今回の改良では、スポーティ感と質感を高めた内外装を採用したほか、要望の多かった予防安全技術「e‐Assist」を全車に採用するとともに、アイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」にコーストストップ機能を追加、また、エンジンフリクション低減などにより「低燃費」に磨きをかけた。主な商品特長を以下に挙げる。
(1)「スポーティ感と質感を高めた内外装」
ボリューム感のあるボンネットフード、クロームメッキで加飾した上質感のあるアッパーグリルとロワーグリル、下部にエアダム形状を配したスポーティなフロントバンパーを採用し、従来よりもスポーティで上質なフロントフェイスとした。
ステアリングホイール及びスポークの一部をピアノブラック&メッキ加飾として上質感を向上させたリモコンスイッチ付きの本革巻ステアリングホイールを「G」に採用した。また、メッキリングをあしらった、高輝度常時透過照明点灯タイプのメーターを採用した。
(2) 予防安全技術「e-Assist」
低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM-City」と誤発進抑制機能(前進時)を標準装備とした。低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM-City」は、約5km/h~約30km/hの低速走行時に、レーザーレーダーが前方車両を検知し、衝突の危険があるときは、ブザー音とメーター内の警告灯で注意喚起するとともに、自動ブレーキで衝突の回避または衝突被害の軽減を図る。また、「誤発進抑制機能(前進時)」は、停車~約10㎞/h以下の走行時に、レーザーレーダーが前方(約4m以内)に車両や障害物を検知している状態で、踏み間違いなどの操作ミスによって、アクセルペダルを素早く、強く踏み込んだときは、ブザー音とメーター内の警告灯で注意喚起するとともに、エンジン出力を抑制。発進をゆるやかにし、衝突被害の軽減を図る。
(3)「燃費性能・走行性能・乗り心地」
アイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」に、減速時(約13km/h以下)からエンジンを停止させるコーストストップ機能を採用し、低フリクションタイプのタイミングチェーンや冷気を導入するダクトを追加するなど、細部にわたる改良により、燃費を+0.4km/Lの25.4km/L(JC08モード燃料消費率)に向上させた。サスペンションは、リヤスプリングのバネ定数と、フロント及びリヤショックアブソーバーの減衰力を最適化し、ボディ側の取付部の剛性を高めることで、操縦安定性と走りの質感を向上させた。
4. 上記のほかに、安全・機能装備の充実や、内外装の差異化、燃費向上を図った商品を一部機種に設定し発売した。
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