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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10079BF

有価証券報告書抜粋 キヤノン株式会社 事業等のリスク (2015年12月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動

当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当該事項は有価証券報告書提出日(2016年3月30日)現在において判断した記載となっております。
経済環境に関連するリスク

1.主要な市場の経済動向に関連するリスク
当社は日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの世界各地において事業活動を展開しております。これらの主要な市場において景気が後退した場合、消費の低迷や投資の抑制が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社の事務機や産業機器などのコーポレート向け製品の需要は顧客の業績に影響され、業績悪化により顧客が投資を抑制する場合があります。また、カメラやインクジェットプリンターのようなコンシューマ向け製品の需要は、個人消費の度合いに左右されます。さらに、このような事態が発生した場合、当社製品の販売価格が急激に低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.為替・金利変動に関連するリスク
当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、当社の経営成績及び財政状態は外貨に対する円の価値変動により大きな影響を受ける可能性があります。当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。当社は、外国為替変動の影響を緩和するために最大限の措置を講じておりますが、当社の連結財務諸表は継続的に影響を受ける可能性があります。また、当社は、当社の金融資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。

3.有価証券に関連するリスク
当社の資産には、有価証券への投資も含まれております。その結果、当社の経営成績及び財政状態は、株式及び債券市場の変動によって影響を受けます。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、将来において当社が実現する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じさせる可能性があります。さらに、株式市場・債券市場の状況によって投資資産の評価が減少する場合、年金に関する追加拠出及び年金債務引当の計上が必要となり、結果として、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

4.原材料価格に関連するリスク
当社の生産活動に使用される鉄鋼、非鉄金属、石油化学製品等の原材料価格の高騰は生産コスト上昇につながる恐れがあり、これらのコストを当社の販売価格に充分に転嫁できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



業界及び事業活動に関連するリスク

5.国際的な事業活動に関連するリスク
当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には以下のような様々なリスクがあります。
・政治、外交問題または不利な経済状況の発生
・急激な為替レートの変動
・予期しない政策及び法制度、規制等の変更
・知的財産権制度の未整備
・人材の採用と維持の難しさ
・生産インフラの未整備
当社が国際的な企業活動を行う際に伴う様々なリスクについて対処していくことができない場合は、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.次世代技術への投資に関連するリスク
当社は、次世代技術の研究開発に率先して投資を行っておりますが、当社の競合者は、そのような技術における研究開発において、当社より早期に画期的な進歩を遂げる可能性があります。また、競合している技術において、他社に先行されることで、結果として当社で開発中の製品が競争力を失う可能性があります。
技術の進歩に伴い、開発及び生産設備への投資も継続しております。当社の経営戦略と市場のニーズにズレが生じた場合、当社はその投資を回収できず、ビジネスチャンスを失い、結果として、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は自動化・内製化を推進するための生産技術開発及び装置製造に取り組んでおりますが、これらを効果的に実施できなかった場合は、製品のコスト優位性や差別化が実現できず、同様に当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また技術・製品開発において差別化は重要な戦略ですが、当社が開発する新技術・製品の需要を正確に評価し、かつ市場において受け入れられるか検証する必要があります。当社が独自性を追求しすぎ、結果として市場のトレンドと相反するような事態が発生した場合、同様に当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。
また、次世代技術をもって新たな事業分野に参入することも当社の経営戦略における重点施策として想定されますが、その場合においても、ビジネスモデルが構築できない、あるいは新たな競合者との競争に巻き込まれるリスクは存在し、結果として、当社の経営成績は悪影響を受ける可能性があります。

7.新製品への移行に関連するリスク
当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しておりますが、新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさ、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、かかるリスクが発生した場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8.事務機市場におけるプリント環境の変化に関連するリスク
複合機や複写機、レーザープリンターなどの事務機市場では、近年、顧客のコスト削減や環境保護の観点から、オフィスでのプリント環境の最適化を目指したマネージドプリントサービスの導入が進められてきており、それによって事務機のプリント枚数が減少していく可能性があります。
また、タブレットPCの普及が、顧客のプリント機会の減少をもたらす可能性があります。こうした市場動向に対応した製品やサービスを当社が提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



9.デジタルカメラ業界における競争に関連するリスク
昨今、スマートフォン市場が、全世界的に急激に伸びています。スマートフォンでは、搭載されたカメラで写真を撮影し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などにその場で共有することができ人々の写真に纏わる行動を変えました。今後スマートフォンカメラと比較して、当社のデジタルカメラの優位性を訴求できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク
半導体・FPD業界のビジネスサイクルには時期、期間、変動が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやFPDパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置やFPD露光装置を含む製造設備への投資は大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は現在の競争力を維持するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

11.販売に関連するリスク
特に欧米においては、大手ディーラーによる寡占化が進んでおり、当社もそのような大手ディーラーへの売上比率が高い状況にあります。大手ディーラーに依存している特定地域において大手ディーラーとの間に支障が生じた場合、販売計画の達成等に影響を与える可能性があります。またディーラーの寡占化が進むことにより、当社は価格決定に関するイニシアティブを失い、結果として利益面においても悪影響を受けることも考えられます。さらに、インターネットビジネスの急速な普及により、従来の流通プロセスが通用しなくなる可能性があり、このような環境の変化は、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

12.特定サプライヤ―への依存に関連するリスク
当社は、品質、効率及び環境の面で当社の厳密な基準を満たす製品に使用する重要な部品や材料を、外部の特定サプライヤーに依存しております。製品ラインアップで横断的に使用されている部品や材料のサプライヤーに不測の事態が発生する場合、またその部品や材料に品質問題あるいは供給不足が発生する場合等には、当社の生産活動が中断される可能性があります。さらに、市場の需給状況等により特定サプライヤーから購入する部品や材料の価格が高騰する場合もあります。特定のサプライヤーに依存していることにより、これらの事象が顕在化すると、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

13.消耗品市場における独占禁止法に関連するリスク
当社の売上高の一部は、製品販売後に発生する消耗品の販売及びサービスの提供から構成されております。このような消耗品やサービスは競合者によっても商品化され、その競合者の数も増加してきております。これらのアフター・セールス事業をさらに確固たるものにするためには、当社より低価格で製品やサービスを提供している競合者に打ち勝つ必要があります。このような競合者の増加にもかかわらず、現在も当社は消耗品市場で高いシェアを占めております。それに伴い、当社は独占禁止法規制関連の訴訟、調査、訴訟手続を受ける可能性があり、その際の訴訟、調査、一連の手続には費用が嵩み、当社の経営成績あるいは評判に悪影響を与える可能性があります。

14.売上・需要予測に関連するリスク
当社のコンシューマ向け製品の売上には、一般的に季節的なトレンドがあります。季節的なトレンドを作り出す多くの要因は、当社ではコントロールできない可能性があります。結果として不均衡な売上パターンは、当社の短期の需要予測を困難にし、在庫管理や物流システムに負担をかける結果となります。当社の供給が実際の需要を超過する場合、過剰在庫となり、それにより値下げや資金効率の低下を引き起こし、収益の減少につながる可能性があります。一方で、実際の需要が当社の供給を超過する場合、全ての注文に対応することができず、結果として売上の機会損失をもたらし、経営成績の予期せぬ変動要因となる可能性があります。

15.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク
当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。当社は、企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産を貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下によりこれらは減損の対象となる可能性もあります。また、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

16.物流・流通に関連するリスク
当社が製品を世界各国に供給できるかどうかは、物流サービスがどれだけ有効であるかにかかっております。コンピュータ化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、当社のオペレーションの混乱を招くのみならず物流コストを増加させ、また配送の遅延による売上の機会損失をもたらします。また、当社のコンシューマ向け製品の需要は年間を通じて変動するため、輸送スペース(船舶、航空機)の予約や倉庫の確保等について適切な調整が必要となりますが、その調整が行えない場合、売上の機会損失の発生、もしくは不必要なコスト増を引き起こすこととなります。
また、半導体露光装置やFPD露光装置等は近年、より精密化、高価格化、大型化が進み、それに対応した荷役や輸送が必要です。しかしながら、精密な故に荷役や輸送段階における軽微な衝撃等によって全損害となり、高価格化が故に損害が拡大するリスクをはらんでおります。当社の抱える精密化・高価格化が進んだ製品の多くが、全損害となる場合は、当社は当該製品に対する販売の機会損失やコスト増、または顧客からの信頼を失う可能性があります。
また、原油価格の高騰や輸送スペースの需給バランスを原因とする運賃の高騰は、当社の物流コストの増加をもたらし、結果として経営成績に悪影響を与える可能性があります。



その他のリスク

17.自然災害等に関連するリスク
当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。当社は設備や情報システムに対してのバックアップ体制を整えておりますが、先に述べたような災害、有害物質の流出、情報システムの停止の影響を防いだり、軽減したりできる保証はありません。また、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で生産するというバックアップ体制も一部整えておりますが、全ての機種と数量を保証できるものでもありません。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランドイメージを傷つける可能性があり、さらには当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

18.ブランド価値に関連するリスク
当社が市場において成功するためには、当社のブランド価値を維持・発展させることが重要です。このブランド価値を毀損する主な要因として、製品の品質不良、偽造品の流通、コンプライアンス遵守の不徹底が存在しております。製品の品質に関して、当社は当社製品を構成するハードウェア及びソフトウェア個々の機能性に加え、それらの組み合わせを含め、当社製品の品質責任問題から発生するあらゆるリスクの最小化を目指す取り組みをしております。しかし、これらの問題の発生、及びそれに伴う損害を完全に排除もしくは減少させることができるという保証はありません。当社の営業活動に悪影響を及ぼすような要因、例えば、製品リコール、サービス及び賠償金などの追加費用等が発生し、ブランド価値が毀損した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。偽造品に関して、当社は偽造品の増加を防止するための施策をとっておりますが、偽造品の生産や販売が続く場合、当社のブランド価値や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、法令や規制の遵守及びその適切な対応を中心として、コンプライアンスの遵守が当社において全般的に徹底されない場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。
19.環境に関連するリスク
当社は、省エネルギー、有害物質の使用削減、製品リサイクル、大気汚染防止、水質保護及び廃棄物処理等に関する日本及び外国の環境に関する規制の適用を受けており、これらの規制により環境に関する費用負担や賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、現在所有あるいは操業している事業所、また以前に所有あるいは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあり、この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。

20.訴訟に関連するリスク
当社は、通常の事業活動から生じる、種々の要求及び法的行為にさらされております。現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。しかし当社にとって不利な結果が生じた場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

21.知的財産に関連するリスク
頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、市場でのプロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっております。当社は自らが開発した技術を軸に事業運営を行っており、そのため、特許、商標及びその他の知的財産権の組み合わせにより、技術の保全に努めておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。
また、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。
当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。
また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。
また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明の承継に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。
上記の要因は全て、当社のビジネス、会社イメージ及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

22.人材の確保に関連するリスク
当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、また研究成果や技術が流出するリスクが発生します。これらの結果、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。現在、一部の技能については、計画的な後継者育成を行っておりますが、このような技能が適切に伝承されない場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。


23.電子データへの依存に関連するリスク
当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。
これらの電子データの利用に関しては、管理体制の継続的な改善を図り、安全対策に努めているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃や予期せぬ事態によりサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止するリスクがあります。
このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。
その結果、社会的信用失墜やブランド・イメージダウン、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

24.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク
当社は、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測などに照らし、定期的に実現可能性の評価を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積もりの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また近年、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が、政治問題化したことを契機として、各国が協調し、税制度の調和を図るべくG20により委託を受けたOECDにおいてBEPSプロジェクト(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)が発足しました。2013年7月にBEPS行動計画が公表され、この行動計画に基づき検討が進められ、2015年10月にBEPSに関する最終報告書がOECDにより公表されました。今後各国は、この報告書を踏まえ、国内税法や租税条約の改正や見直しを行うことになります。
当社は、企業市民として税金を納めるのは、基本的かつきわめて重要な責任と考えており、国際的な課税ルールの制定により重要な影響を受けることはないと考えております。しかしながら、新たに定められた移転価格文書などを通し、企業グループの活動実態が各国の税務当局間で共有されることにより、各国の税務当局との見解の相違が生じる可能性があります。

25.退職給付会計に関連するリスク
当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



対処すべき課題研究開発活動


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