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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10083TR

有価証券報告書抜粋 日本電信電話株式会社 事業等のリスク (2016年3月期)


対処すべき課題メニュー経営上の重要な契約等

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を、NTTグループの事業を取り巻く環境及びそれに対応した事業戦略、業務運営に係るリスクのほか、規制をはじめとした政府との関係に係るリスク等の観点から総合的な評価を行った上で、以下のように取りまとめております。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。当社が現在関知していないリスク、あるいは当社が現時点では重要ではないと考えるリスクであってもNTTグループの事業活動を損なうことになる可能性があります。さらに、本有価証券報告書は、リスクと不確実性を伴う将来見通しに基づく情報も含んでおります。NTTグループは、下記リスクのほか、本有価証券報告書中の他の箇所に記載されているリスクに直面しておりますが、これらのリスクの影響により、NTTグループの実際の業績が、将来見通しに基づく記述が想定しているものとは大きく異なってくる可能性があります。

《事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスク》
○NTTグループの事業は、世界及び日本の経済状況から影響を受ける可能性があります。

NTTグループは日本、北米、中南米、ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジア、オセアニアなど世界各地で事業を展開しております。これらの国・地域での景気後退や経済成長速度の減速といった経済状態により、NTTグループが提供するサービスに対する需要やNTTグループの事業運営に悪影響が生じる可能性があります。NTTグループの事業は、海外事業の割合が増加傾向にあるものの、その収益の多くが日本において生み出されているため、NTTグループの経営成績や財政状態は特に日本経済の状況の影響を受ける可能性があります。
NTTグループの事業のうち、特にソリューション事業では、景気後退により企業収益が悪化した場合は企業のIT投資に係るコスト低減要求及びIT投資効果への評価が厳格化するなどIT投資を抑制する傾向があるため、NTTグループの扱うシステムやサービスの販売価格及び受注額の低下につながる可能性があります。
金融事業では、景気後退の影響により、取引先の経営状況がNTTグループの与信管理の想定を超えて期中に変動し不良債権が発生する可能性があります。不動産事業では、景気後退の影響により不動産賃貸市場やマンション分譲市場の需給が悪化し、投資の採算性が低下する可能性があり、これらのリスクが顕在化した場合には、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、NTTグループは、社債・借入金等の多様な手段により資金調達を実施し、低利かつ安定的な資金の確保に努めておりますが、金融市場において大きな変動が生じた場合には、NTTグループの資金調達コストの増加につながる可能性があります。
NTTグループは投資有価証券等の資産を保有しております。景気後退による株式市場や金融市場の低迷により、それらの資産価値が下落した場合には評価損が発生し、NTTグループの業績に影響が生じる可能性があるほか、NTTグループの年金基金についても、景気後退による株式市場や金融市場の低迷が生じた場合には、年金運用等に影響を及ぼす可能性があります。

○市場構造の変化や競争の進展により、NTTグループの営業収益が低下する可能性があります。

情報通信市場は、スマートフォンやタブレット端末の普及、LTE(注1)をはじめとしたワイヤレスブロードバンドの高速化、クラウドサービスの利用拡大等が進行しております。また、通信事業者だけではなく様々な事業者が市場に参入し、OTT(注2)事業者が提供するサービスが普及しグローバルレベルの競争が進展しているほか、固定通信サービスと移動通信サービスの組み合わせによるFMCサービスの展開が加速しており、通信サービスにおける市場構造は大きく変化しています。さらに、既存の通信事業者との競争も継続しており、競争環境は一段と厳しくなっています。このような市場構造の変化や競争の進展に適切に対応できない場合、NTTグループの営業収益が低下する可能性があります。
固定通信市場では、音声定額サービスやOTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービス等の影響による音声収益の減少傾向が続いております。また、ブロードバンドサービスは普及率の上昇に伴い市場が成熟しつつあり、成長率が鈍化しているほか、ワイヤレスブロードバンドの高速化により、スマートフォンなどの携帯端末をもっぱら利用し、固定通信を利用しないユーザが若年層を中心に見られるようになっています。
移動通信市場では、既存の通信事業者との間で端末価格も含めた料金、ネットワーク品質、提供するサービス等、様々な側面で激しい競争が続いています。それに加え、OTT事業者が提供する無料もしくは低価格の通信サービスとの競争やMVNO(注3)の拡大等、市場構造の変化に伴う競争も進展しています。
こうした市場環境のなか、NTTグループは高度で多様なサービスの提供及び契約者の利便性向上を目的として、各種の新たな料金プランや新サービスの提供を行っているほか、国内ビジネスの持続的な成長に向けた、B2B2Xモデルへの転換に取り組んでおります。
NTT東日本及びNTT西日本は、光アクセスサービスをエンドユーザに直接提供する従来のビジネスモデルに加えて、光アクセスサービスを多様なプレイヤーに提供し、各プレイヤーが光アクセスサービスと自社サービスを組み合わせ、各プレイヤーのサービスとしてエンドユーザに提供する新たなビジネスモデルである「光コラボレーションモデル」を提供しています。
NTTドコモは、国内音声通話を定額とし、パケット通信のデータ通信量を家族で分け合える料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」や「光コラボレーションモデル」を活用した光ブロードバンドサービス「ドコモ光」とスマートフォン・携帯電話をまとめて提供する「ドコモ光パック」を提供しています。加えて、移動通信と金融・決済、コマース、生活関連、IoT(注4)、環境・エネルギー、教育・学習等の様々なサービスや産業を融合させた新たな事業領域への取り組みを継続しています。
しかし、これらの取り組みにもかかわらず、NTTグループが期待する水準で契約数を獲得・維持できない場合や、各種料金・割引サービスの契約率や定額制サービスへ移行する契約数の動向等が想定した通りにならない場合があり、結果としてNTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
ソリューション事業は、情報サービス市場の中で有力な成長分野であると目されており、ハードウェアベンダー等もビジネスの主軸として取り組んで取り組んでおります。また、急成長するインドや中国といった新興国の情報サービス企業が、グローバル競争をもたらしつつあり、競合会社の積極参入による競争激化が経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、NTTグループは情報通信以外の市場においても様々な事業を営んでおりますが、それらの事業において想定した通りの収益が得られない可能性があり、結果として経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(注1)Long Term Evolutionの略。高速・大容量、電波利用効率の高さ、低遅延などを特徴とする通信方式。標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)で仕様が作成された。
(注2)Over The Top の略。自社でサービスの配信に必要な通信インフラを持たずに、他社の通信インフラを利用してコンテンツ配信を行うサービス。
(注3)Mobile Virtual Network Operatorの略。無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを展開している事業者。
(注4)Internet of Thingsの略。あらゆるモノがインターネットを通じて接続され、制御等を可能にする概念のこと。

○グローバルビジネスの成長が、想定通り進展しない可能性があります。

NTTグループは、グローバルビジネスを事業の基軸として拡大させるとともに、利益創出スピードを加速させるための取り組みを実行しております。
海外事業における着実な売上成長を実現していくために、グループ全体でのサービスやプロダクトの強化を図るとともに、グローバルアカウントの拡大やアップセル・クロスセルの更なる推進など、セールス/マーケティングを強化しております。
グループ各社におけるサービス/オペレーションの効率化・最適化や、調達コストの低減等、徹底したコスト効率化にも取り組んでおります。
しかしながら、これらの取り組みが想定通り進捗しない場合や、クラウドサービス市場が期待するほど成長しない場合、競争の進展等により収益が想定通り拡大しない場合には、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○NTTグループは、想定するコスト削減を実現できない可能性があります。

NTTグループは、飽和傾向にある国内の固定通信市場/移動通信市場において、設備投資の効率化やコスト削減による利益創出に向けて取り組んでおります。
設備投資の効率化については、各社でネットワークのシンプル化・スリム化を実施することに加え、既存設備の利用効率の向上や調達コストの削減に取り組んでおります。ITシステムについても、最新技術を活用して共通基盤化を進めております。
あわせて、コスト削減に継続的に取り組んでいるほか、B2B2Xモデルへの転換などを踏まえたシンプルで生産性の高い業務運営の確立に向けて取り組んでおります。
これらの取り組みにより、国内ネットワーク事業の効率化に努めてまいりますが、競争環境の変化や、設備関連・業務全般の効率化の進捗状況等によっては、想定通りに設備投資の効率化が図れない場合や、販売経費や設備関連コスト、人件費等の削減効果が十分発揮されない場合があります。こうした場合は、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○国内外の出資、提携及び協力関係等は、NTTグループが期待するようなリターンや事業機会を生まないとともに適切なコントロールが及ばない可能性があります。

NTTグループは、市場構造の変化やお客様ニーズに速やかに対応するため、国内外の企業・組織との合弁事業、事業提携、協力関係の構築、出資、買収等の活動を実施しております。しかし、NTTグループが既に出資をしている、または出資に合意している国内外の事業者や、将来出資や事業提携を行う国内外の事業者について、これら事業者の企業価値や経営成績を維持・向上させること及びNTTグループとのシナジー効果を十分に発揮することができない場合があります。さらに、投資、提携または協力関係を解消・処分することにより、損失が生じる場合があります。
NTTグループでは、グローバルビジネスの拡大に積極的に取り組んでおり、買収後には定期的なモニタリングを実施するなど、期待したリターンを得られるよう取り組んでいるほか、グループガバナンスやリスクマネジメントの強化についても取り組んでおります。しかし、海外子会社の増加により事業戦略に関する意識統一が困難になり、適切なコントロールが及ばず、事業・業務運営が円滑に行うことが困難となる場合があります。また、海外における事業活動は、投資や競争等に関する法的規制、税制、契約実務を含めた商習慣の相違、労使関係、国際政治等様々な要因の影響下にあります。
これらのリスクが顕在化した場合には、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○事業遂行上必要な知的財産権等のライセンスが受けられない場合や、他者から知的財産権等の侵害に関する主張を受けた場合、知的財産権等が不正使用された場合には、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

NTTグループや事業上のパートナーがその事業を遂行するためには、事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利について、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける必要がある場合があります。現在、NTTグループ等は、当該権利の保有者との間で契約を締結することによりライセンス等を受けており、また、今後の事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利については、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける予定ですが、当該権利の保有者との間でライセンス等の付与について合意できなかったり、または、一旦ライセンス等の付与に合意したもののその後当該合意を維持できなかった場合には、NTTグループや事業上のパートナーの特定の技術、商品またはサービスの提供ができなくなる可能性があります。
NTTグループ各社による海外企業の買収などに伴い、グローバルビジネスが拡大しており、NTTグループが海外企業からその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受ける機会が増える可能性があります。仮に他者より、NTTグループがその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受けた場合には、その解決に多くの時間と費用を要する可能性があり、さらに当該他者の主張が判決等により認められた場合、あるいは和解等により当事者間で合意した場合には、当該権利に関連する事業の収益減や当該権利の侵害を理由に損害賠償責任等を負ったり、当該事業の実施の差止めを受ける可能性があります。さらに、NTTグループが保有する知的財産権等の権利について、第三者が不正に使用する等により、本来得られるライセンス収入が減少したり、競争上の優位性をもたらすことができない可能性があります。
これらのリスクが顕在化した場合には、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○人材の確保が想定通りに進まない場合、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

情報通信市場においては、国内外の様々なプレイヤーが市場に参入し、サービスや機器の多様化・高度化が急速に進んでおり、今後、クラウドサービスを中心として変化が一層加速していくと見込まれます。このような状況の中で、NTTグループの事業は、高スキルを保有する優秀な人材の確保に大きく影響されます。こうした優秀な人材の確保・育成が想定どおりに進まないことで、新技術の開発、新サービスの企画、既存サービスの改善、成長戦略の実行等に影響を及ぼす場合があり、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

《業務運営に係るリスク》
○自然災害、ソフトウェア・ハードウェア障害、サイバー攻撃などによるシステム障害、ネットワーク障害、システム構築上の問題が発生し、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

NTTグループは国内外において事業を展開しており、NTTグループのサービス提供に必要なシステムやネットワークについては、通信ビルの耐震機能・水防機能の強化、伝送路のルート見直しなど安全かつ安定して運用できるよう様々な対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず、地震・津波・台風・洪水等の自然災害、新型インフルエンザ等伝染病の大規模な流行、ソフトウェア及びハードウェアの障害、サイバー攻撃、テロリズム、武力行為、地域紛争といった要因により、システム及びネットワーク障害の発生や、社員の安全が脅かされることによって、事業運営に混乱が生じ、サービスを安定的に提供できない場合や、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下する恐れがあります。
特に、大規模災害等が発生した場合には、ネットワークに大きな影響を受けるだけでなく、社員が被災する可能性やシステム障害の復旧に長い時間を要する可能性、緊急の電力使用制限によりサービスを安定的に提供できない可能性があり、その結果として、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされる可能性があります。
また、NTTグループにおいては、高度で複雑な技術を利用したサービスや製品が増えており、品質管理のリスクが増大しております。特に、スマートフォンやタブレット端末上で動作するアプリケーション等のソフトウェアの中には、通信の確立、切断等をするために、端末とネットワーク間でやりとりされる制御信号の増加等、NTTグループの想定を大きく上回る設備負荷を生じさせる可能性を有するものがあります。設備増強によるネットワーク耐力の強化、故障対応の迅速化などにより信頼性及び品質の向上に取り組んでおりますが、既存の設備ではそうしたトラヒックを処理できない場合や、サービスや製品に関わるシステム障害、機器の設定誤り等の人為的要因による問題が生じた場合には、その損害についてNTTグループが責任を負う可能性があると共に、サービスや製品の品質への信頼を失う可能性があります。
さらに、近年では、スマートフォンやクラウドサービス等の新たなICT分野におけるサービスの情報セキュリティへの対策が大きな課題となっております。NTTグループでは、多様化するサイバー攻撃に対し、標的型攻撃や脆弱性への対応などのセキュリティ対策の高度化を実施するとともに、グループ横断での演習の実施や、各種教育システムを活用した人材育成の取り組みを推進しておりますが、想定外の事象が起こった場合には、不正アクセス等によるサービス停止・サービス品質の低下や、社内ネットワークへの侵入等による情報の漏洩・改竄・喪失が発生し、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下する可能性があります。
また、NTTグループはシステムインテグレーションビジネスにおいてお客様にシステム・サービスを提供・納品していますが、それらのシステム・サービスに障害・欠陥が発生する可能性があります。NTTグループがお客様に提供・納品したシステム・サービスのなかには、社会的なインフラとなり、経済活動や日常生活に大きな影響力をもつものがあります。特にそれらのシステム・サービスに障害、欠陥、不正アクセス、ウイルス感染、サイバー攻撃等が発生した場合には、それらによって発生した損害に対する賠償金の支払いが必要となる可能性があるほか、NTTグループの社会的信用や企業イメージが低下する可能性があります。なお、システムインテグレーションビジネスにおいては、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っていることから、当初想定していた見積りからの乖離や開発段階におけるプロジェクト管理等の問題によって、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害の発生等が生じる可能性があります。
これらの結果として、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○国内外における不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取り扱い・流出により、NTTグループの信頼性・企業イメージに影響を与える可能性があります。

NTTグループは、国内外で多くの拠点を持ち、様々な製品やサービスを取り扱う関係上、関連する法令や規則は多岐にわたり、事業活動を営むにあたり免許・届出・許認可等が必要とされるものもあります。また、海外での事業運営においては、当該国での法令の存在または欠如、法令の予期しえない解釈、法規制の新設や改定等によって、法令遵守のための負担が増加する場合があります。
NTTグループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、近年の米国・英国を中心とした諸外国の贈収賄防止法の厳格化も踏まえ、国内外を問わず、より一層のコンプライアンスの強化に取り組んでおります。しかしながら、こうした対策を行っても、従業員による個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合もあります。
また、お客様情報をはじめとする個人情報等の業務上の機密情報の取り扱いについては、厳重な管理などに努めると共に、「NTTグループ情報セキュリティポリシー」を制定し、グループとして、社内における管理体制の整備、役員や従業員への啓発活動等に取り組んでおります。このような取り組みにより、個人情報等の機密情報の管理には万全を期しておりますが、個人情報等の機密情報の流出や不適切な取り扱いが発生するリスクを排除できない場合もあります。
これらの場合、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下し、契約者獲得や入札資格停止等事業への影響が生じるおそれがあり、その結果として、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○NTTグループの提供する製品やサービスの不適切な利用等により、NTTグループの信頼性・企業イメージに影響を与える社会的問題が発生する可能性があります。

NTTグループの提供している製品やサービスがユーザに不適切に使用されることにより、NTTグループの製品やサービスに対する信頼性の低下や、企業イメージの悪化を招く可能性があります。
代表的なものとして、迷惑メールの送信、ネットバンキングの不正送金等のサイバー犯罪や振り込め詐欺等の犯罪にNTTグループのサービスが利用される可能性があるほか、NTTグループの契約者が迷惑メールを大量に受信してしまう等、これらの行為の被害を受けてしまう可能性があります。また、未成年者の有害サイトへのアクセス制限サービスの機能・精度等に関しては様々な議論があります。これらの問題によって、顧客満足度の低下や企業イメージの低下が起こり、解約数の増加を引き起こす可能性もあります。
そのほか、歩行中や運転中の携帯電話使用によるトラブルの発生や、有料コンテンツの過度な利用による高額課金、不正アプリ(ソフト)を通じた個人情報の流出といった社会的な問題については、歩きスマホ防止機能やフィルタリング機能の提供等によって適切に対応していると考えておりますが、将来においても適切な対応を続けることができるかどうかは定かではなく、仮に適切な対応ができなかった場合には、既存契約者の解約が増加したり、新規契約者を期待通り獲得できないという結果になる可能性があり、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○訴訟等においてNTTグループに不利な判断がなされた場合は、NTTグループの事業に影響を与える可能性があります。

NTTグループは、国内外で多くの拠点を持ち、様々な製品やサービスを取り扱っているため、各種訴訟、係争、損害賠償請求の当事者となる可能性があります。NTTグループが当事者となる訴訟、係争、損害賠償請求において、不利な判断がなされた場合は、金銭的負担が発生するおそれがあるほか、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下するおそれがあり、その結果として、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。


《規制等、政府との関係に係るリスク等》
○通信規制の決定及び変更がNTTグループの事業に影響を与える可能性があります。

日本の情報通信市場においては、競争促進、サービス利用者保護等を目的とした電気通信関連の法改正等、多くの分野で規制の変更が行われてきております。政府等による規制に関する決定、それに伴う通信業界における環境変化は、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
規制の内容や、現在見直しが行われている規制の概要については「(参考情報)当社事業にかかる法規制等 (1)規制」をご参照ください。

○NTTグループが使用できる周波数が限られているなか、事業運営に必要な周波数割当が得られない可能性があります。

NTTグループがサービスを提供するために使用できる周波数には限りがあります。代表的なものとして、移動通信ネットワークは、都心部などではピーク時に使用可能な周波数の限界、もしくはそれに近い状態で運用されることがあるため、サービス品質が低下する可能性があります。
また、スマートフォンやタブレット端末等の普及拡大に伴い、契約者当たりのトラヒック量が増加していくなか、事業の円滑な運営のために必要な周波数が得られなかった場合や、新しい周波数帯域の運用開始が想定通りに進まない場合に、サービス品質が低下したり、追加の費用が発生する可能性があります。詳細については、「(参考情報)当社事業にかかる法規制等 (1)規制 ③電波法」をご参照ください。
NTTグループは、周波数利用効率の向上、及び新たな周波数の獲得に努めておりますが、これらの努力によってサービス品質の低下を回避できるとは限りません。もしNTTグループがこの問題に十分かつ適時に対処しきれない場合、サービスの提供が制約を受け、契約者が競合他社に移行してしまうかもしれず、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○NTTグループは、温室効果ガス排出量削減等の環境に関する法令・規制・制度の影響を受ける可能性があります。

NTTグループは、温室効果ガス排出量削減、省エネルギー、廃棄物処理、有害物質処理等に関する日本および海外の環境に関する法令・規制の適用を受けております。NTTグループはこれらの環境に関する法令・規制に対応すべく、高効率電源の導入や通信設備のリユース・リサイクル等の様々な取り組みを実施しておりますが、将来環境に関する社会的な要求がより厳しくなり、新たな法令・規制の導入や、法令・規制の強化等がなされた場合には、コスト負担が増加し、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

○政府は、株主総会での決議に多大な影響力を与えるに十分な当社株式を保有しております。

政府は現在当社の発行済株式の35.21%(自己株式除き発行済株式総数の35.21%、議決権比率35.26%)を保有しております。政府は株主として当社の株主総会での議決権を有していることから、最大株主として、理論的には株主総会等における決定に対し多大な影響力を行使する権限を有しております。しかしながら、政府は1997年の国会答弁において、基本的に当社の経営に積極的に関与する形での株主権の行使はしないことを表明しており、事実、過去において政府は当社の経営に直接関与するためにそのような権限を行使したことはありません。法令に基づく政府のNTTグループに対する規制権限については「(参考情報)当社事業にかかる法規制等 (1)規制」をご参照ください。

○株式市場における需給悪化またはその懸念により、当社の株式及びADSの価格が影響を受ける可能性があります。

1986年10月までは、政府は当社の発行済株式総数の100%を保有しておりましたが、売出しや当社の自己株式取得に応じた売却により、2016年3月31日現在、発行済株式の約35.21%(自己株式除き発行済株式総数の35.21%)を保有しております。今後もNTT法が改正され、政府の当社株式保有義務が緩和・撤廃された場合や、当社が自己株式を消却した場合、政府が売却できる当社株式が増加します。
政府による当社株式の売却または売却の可能性、あるいは、当社による新株の発行、自己株式の処分またはそれらの可能性は、当社の株式及びADSの価格に影響を与える可能性があります。
政府との関係に関する詳細については、「(参考情報)当社事業にかかる法規制等 (2)当社株式に係る事項」をご参照ください。
(参考情報)当社事業にかかる法規制等

(1)規制
情報通信産業を所管する日本の主要な監督機関は総務省であり、総務大臣は電気通信事業者を規制する権限を「電気通信事業法」により付与されております。1985年、NTTが民営化されると同時に「電気通信事業法」が施行され、日本における電気通信事業の法規制の枠組みは大幅に変更されるとともに、日本の情報通信産業に競争が導入されました。それ以降、政府は日本の電気通信市場における競争を促進するさまざまな措置を講じております。この結果、NTTグループはその事業分野の多くで、新規参入企業や新規に事業参入しようとしている企業との競争激化に直面しております。
当社及びその子会社の中には、その事業を行うにあたり、「電気通信事業法」のほか、「日本電信電話株式会社等に関する法律」及び「電波法」に基づく規制を受けている会社が存在いたします。その概要は次のとおりであります。

① 電気通信事業法(1984年法律第86号)
電気通信事業法による規制は次のとおりです。
※ 2016年5月に施行の改正内容を反映しております。
(a) 全ての電気通信事業者に課される規制
a 電気通信事業の開始等
・ 電気通信事業の開始についての総務大臣の登録制(第9条)
ただし、設置する電気通信回線設備の規模及び設置する区域の範囲が一定の基準を超えない場合や電気通信回線設備を設置しない事業の開始については総務大臣への届出制となっております(第16条)。
・ 合併や株式取得等を行う際の電気通信事業の登録の更新制(第12条の2)
・ 電気通信事業の休廃止についての総務大臣への届出制及び利用者への周知義務(第18条)
b 利用者料金その他の提供条件の設定等
・ 基礎的電気通信役務の契約約款の総務大臣への届出制(第19条)
基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、基礎的電気通信役務に関する料金その他の提供条件について契約約款を定め、総務大臣に届け出ることとされています。
・ 消費者保護関連
電気通信事業者は、契約前の説明義務(第26条)、書面交付義務(第26条の2)、初期契約解除制度(第26条の3)、苦情等処理義務(第27条)、不実告知等や勧誘継続行為の禁止(第27条の2)及び媒介等業務受託者に対する指導等の措置義務(第27条の3)等が課されています。
(注)
基礎的電気通信役務 国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべき電気通信役務(いわゆるユニバーサルサービス)として総務省令で定めるもの。具体的には加入電話(基本料)又は加入電話に相当する光IP電話、第一種公衆電話(総務省の基準に基づき設置される公衆電話)、緊急通報(110番、118番、119番)等。
c 相互接続
・ 電気通信回線設備への接続について他の電気通信事業者の請求に応ずる義務(第32条)
d ユニバーサルサービス基金制度
ユニバーサルサービス基金制度は、ユニバーサルサービスの確保に必要な費用を、主要な電話会社全体で支えていくための制度です。基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)の提供を確保するため、総務大臣の指定を受けた支援機関が、不採算地域等を含めて当該役務を提供する適格電気通信事業者(第108条)に対してその提供に要する費用の一部に充てるための交付金を交付する(第107条)こととされており、これに伴い支援機関が必要とする費用については各電気通信事業者が応分の負担金を納付する義務を負う(第110条)こととされています。
このユニバーサルサービス基金制度については、2006年4月に基金の対象となる役務や交付金・負担金の算定方法等を定める総務省令が改正されたことを受け、同年6月より実際に支援機関の業務が開始されました。
東西地域会社は、NTT法により、ユニバーサルサービス(国民生活に不可欠な電話役務)の全国提供を義務付けられており、総務大臣から適格電気通信事業者に指定されています。なお、2015年度と2016年度の東西地域会社への補填額はそれぞれ69億円、68億円となっています。


(b) 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(東西地域会社)のみに課される規制
a 利用者料金その他の提供条件の設定
・ 指定電気通信役務に関する保障契約約款の総務大臣への届出制(第20条)
第一種指定電気通信設備を用いて提供する指定電気通信役務の料金その他の提供条件については、利用者と別段の合意がある場合を除き適用される保障契約約款を定め、総務大臣に届け出ることとされています。
・ 特定電気通信役務の料金の規制(第21条)
特定電気通信役務については、その料金の指数が総務大臣から通知される基準料金指数以下となる場合には総務大臣への届出制とする一方、基準料金指数を越える場合には総務大臣の認可を必要とする、いわゆる「プライスキャップ規制」が適用されています。
(注)
・第一種指定電気通信設備 各都道府県において電気通信事業者の設置する固定端末系伝送路設備のうち、同一の電気通信事業者が設置するものであって、当該都道府県内の総数の2分の1を超えるもの及びこれと一体として設置する電気通信設備で、他の電気通信事業者との接続が利用者の利便向上及び電気通信の総合的かつ合理的な発達に不可欠な設備として、総務大臣が指定するもの。具体的には、東西地域会社の主要な電気通信設備が指定されている。
・指定電気通信役務 第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が当該設備を用いて提供する電気通信役務であって、他の電気通信事業者によって代替役務が十分提供されないこと等の事情を勘案して、適正な料金その他の提供条件に基づく提供を保障することにより利用者の利益を保護するため特に必要があるものとして総務省令で定めるもの。具体的には、加入電話、ISDN、公衆電話、専用サービス、フレッツ光、ひかり電話等であるが、利用者の利益に及ぼす影響が少ない付加的な機能の提供に係る役務等は除かれる。
・特定電気通信役務 指定電気通信役務のうち利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定めるもの。具体的には、東西地域会社の提供する加入電話、ISDN、公衆電話。
・基準料金指数 特定電気通信役務の種別ごとに、能率的な経営の下における適正な原価及び物価その他の経済事情を考慮して、通常実現することができると認められる水準の料金を表す指数として、総務大臣が定めるもの。
・プライスキャップ規制 料金の上限を規制する制度のこと。なお、東西地域会社の実際の料金指数は、2015年10月1日から始まった1年間の基準料金指数を下回る水準にあることから、プライスキャップ規制に基づく値下げは行っていない。
b 相互接続等
・ 第一種指定電気通信設備との接続に関する接続約款の総務大臣の認可制(第33条)
東西地域会社は、第一種指定電気通信設備を有する電気通信事業者として、相互接続に係る接続料及び接続条件について接続約款を定め、接続料が能率的な経営の下における適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものであること等を要件に総務大臣の認可を受けることになっております。

(電話接続料)
1998年5月、日米両政府の規制緩和等に関する共同報告の中で、日本政府は、接続料への長期増分費用方式の導入の意向を表明、2000年5月に長期増分費用方式の導入を定めた改正電気通信事業法が成立し、それ以降、同方式により接続料の値下げが行われました。また、その後、通信量が大幅に減少する中で、接続料の上昇による通話料の値上げを回避する観点から、NTSコスト(Non-Traffic Sensitive Cost、通信量に依存しない費用)を接続料原価から控除し基本料で回収することとされました(2004年10月の情報通信審議会答申)。
なお、NTSコストの一部については、ユニバーサルサービス基金の利用者負担の増加を抑制する観点から同基金の見直しが行われた際、基金の補填対象範囲の縮小分の負担について東西地域会社のみに負わせるのではなく、各事業者から公平に回収することが適当とされたことから、再度接続料原価に算入することとされています。
2016年度以降の接続料については、2015年の情報通信審議会における検討の結果、引き続き長期増分費用方式を、2016年度から2018年度まで適用することとされました。

(光ファイバ接続料)
東西地域会社が有する光ファイバは、電気通信事業法における第一種指定電気通信設備として他事業者に認可料金(接続料)で貸し出すことを義務付けられております。
加入者光ファイバ接続料については、接続料低廉化の見通しを示すことにより他事業者が参入しやすい環境を整えるため、将来原価方式により算定しています。なお、今回の接続料においても、実績接続料収入と実績費用の差額を次期以降の接続料原価に加えて調整する乖離額調整制度を導入しており、未回収リスクはないものと考えています。
なお、加入者光ファイバの分岐端末回線単位の接続料設定の問題については、情報通信行政・郵政行政審議会における検討の結果、依然として様々な解決すべき課題がある(2012年3月の情報通信行政・郵政行政審議会答申)とされ、分岐端末回線単位の接続料は設定されていません。

・ 第一種指定電気通信設備の機能に関する計画の総務大臣への届出制(第36条)
東西地域会社は、第一種指定電気通信設備の機能の変更又は追加の計画について、総務大臣に届け出ることとされています。
・ 第一種指定電気通信設備の共用に関する協定の総務大臣への届出制(第37条)
東西地域会社は、他の電気通信事業者との第一種指定電気通信設備の共用の協定について、総務大臣に届け出ることとされています。
・ 第一種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務に関する総務大臣への届出制(第38条の2)及び整理・公表制(第39条の2)
東西地域会社は、第一種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務の提供の業務を開始・変更・廃止したときは、その旨、卸電気通信役務の種類、一定の要件を満たす卸先事業者に対する料金その他の提供条件等を総務大臣に届け出ることとされています。また、総務大臣は、当該届出に関して作成し、又は取得した情報について、整理・公表することとされています。

c 禁止行為
東西地域会社は、市場支配的な事業者として、接続情報の目的外利用や他の電気通信事業者に対し不当に優先的な取扱いを行うこと等を禁止されている(第30条)ほか、特定関係事業者として総務大臣に指定されたエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社との役員兼任等の禁止(第31条)が定められています。
また、東西地域会社の業務委託先子会社において禁止行為が行われないよう、東西地域会社が委託先子会社に対し必要かつ適切な監督を行うことや、東西地域会社が接続の業務に関して知り得た情報の適切な管理、接続の業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備等が義務付けられています(第31条)。
したがって、NTTグループ内の電気通信事業者間で排他的に連携してサービスを提供することには一定の制約があり、NTTグループとしては、この禁止行為規制を含め公正競争条件を確保しつつ市場ニーズに応じたサービスを提供していく考えですが、例えば、新サービスの迅速な提供に支障をきたす等の影響が生じる可能性があります。

(c) 株式会社NTTドコモのみに課される規制
a 相互接続等
・ 第二種指定電気通信設備との接続に関する接続約款の総務大臣への届出制(第34条)
株式会社NTTドコモの携帯電話に係る主要な電気通信設備については、他の電気通信事業者との適正かつ円滑な接続を確保すべきものとして総務大臣より第二種指定電気通信設備に指定されており、他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、接続料及び接続の条件について接続約款を定め、総務大臣に届け出ることとされております。
・ 第二種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務に関する総務大臣への届出制(第38条の2)及び整理・公表制(第39条の2)
株式会社NTTドコモは、第二種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務の提供の業務を開始・変更・廃止したときは、その旨、卸電気通信役務の種類、一定の要件を満たす卸先事業者に対する料金その他の提供条件等を総務大臣に届け出ることとされています。また、総務大臣は、当該届出に関して作成し、又は取得した情報について、整理・公表することとされています。

なお、第二種指定電気通信設備に関する規制については、株式会社NTTドコモのほか、第二種指定電気通信設備を設置する全ての電気通信事業者に課されています。
b 禁止行為
株式会社NTTドコモは、市場支配的な事業者として、接続情報の目的外利用やグループ内の事業者であって総務大臣が指定するものに対し不当に優先的な取扱いを行うこと等を禁止(第30条)されております。
(注)
・第二種指定電気通信設備 電気通信事業者の設置する携帯電話機に接続される伝送路設備のうち同一の電気通信事業者が設置するものであって、その業務区域内の全ての当該伝送路設備の総数の10分の1を超えるもの及びその事業者が当該電気通信役務を提供するために設置する電気通信設備で、他の電気通信事業者の電気通信設備との適正かつ円滑な接続を確保すべき設備として、総務大臣が指定するもの。

(d) 今後の動向等
情報通信審議会は2014年12月に「2020年代に向けた情報通信政策の在り方」について答申を行いました。本答申を踏まえ、電気通信事業の公正な競争の促進や電気通信サービスの利用者の保護を図るために、東西地域会社の光回線の卸売サービス等に関する制度整備や初期契約解除制度の導入等を行う電気通信事業法等の一部を改正する法律が2016年5月に施行されました。なお、本改正によるNTTグループへの影響については、大きくはないと考えております。
また、その中で、政府は、法施行後3年を経過した場合において、改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じるものとされていますが、NTTグループへの影響については、現時点では不明です。

② 日本電信電話株式会社等に関する法律(1984年法律第85号)
(a) 概要
1997年6月に公布された「日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律」は、1999年7月に施行されました(これにより「日本電信電話株式会社法」は「日本電信電話株式会社等に関する法律」に改題され、当社を純粋持株会社とする再編成がおこなわれました。)。同法は2001年6月公布、同年11月施行の「電気通信事業法等の一部を改正する法律」等によっても改正されています。
一 目的
1 当社は、東西地域会社がそれぞれ発行する株式の総数を保有し、これらの株式会社による適切かつ安定的な電気通信役務の提供の確保を図ることならびに電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うことを目的とする株式会社とする。
2 東西地域会社は、地域電気通信事業を経営することを目的とする株式会社とする。
二 事業
1 当社は、その目的を達成するため、次の業務を営むものとする。
(1)東西地域会社が発行する株式の引受け及び保有ならびに当該株式の株主としての権利の行使をすること
(2)東西地域会社に対し、必要な助言、あっせんその他の援助を行うこと
(3)電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うこと
(4)(1)(2)及び(3)に掲げる業務に附帯する業務
2 当社は、二の1に掲げる業務を営むほか、総務大臣へ届け出ることによって、その目的を達成するために必要な業務を営むことができる。
3 東西地域会社は、その目的を達成するため、次の業務を営むものとする。
(1) それぞれ次に掲げる都道府県の区域において行う地域電気通信業務(同一の都道府県の区域内における通信を他の電気通信事業者の設備を介することなく媒介することのできる電気通信設備を設置して行う電気通信業務をいう。)
イ 東日本電信電話株式会社にあっては、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県及び長野県
ロ 西日本電信電話株式会社にあっては、京都府及び大阪府ならびにイに掲げる県以外の県
(2)二の3の(1)に掲げる業務に附帯する業務
4 東西地域会社は、総務大臣へ届け出ることによって、次の業務を営むことができる。
(1)二の3に掲げるもののほか、東西地域会社の目的を達成するために必要な業務
(2)それぞれ二の3の(1)により地域電気通信業務を営むものとされた都道府県の区域以外の都道府県の区域において行う地域電気通信業務
5 東西地域会社は、3、4に規定する業務のほか、総務大臣へ届け出ることによって、地域電気通信業務の円滑な遂行及び電気通信事業の公正な競争の確保に支障のない範囲内で、3に規定する業務を営むために保有する設備若しくは技術又はその職員を活用して行う電気通信業務その他の業務を営むことができる。
三 責務
当社及び東西地域会社は、それぞれその事業を営むに当たっては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意し、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もって公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない。

(b) 総務大臣の認可を必要とする事項
・ 当社及び東西地域会社の新株及び新株予約権付社債の発行(第4条、第5条)
(注)当社は、総務省令で定める一定の株式数に達するまでは、認可を受けなくても総務大臣に届け出ることにより新株の発行が可能(附則第14条)
・ 当社の取締役及び監査役の選任及び解任の決議(第10条)
(注)日本の国籍を有しない人は、当社及び東西地域会社の取締役又は監査役となることができない
・ 当社及び東西地域会社の定款の変更、合併、分割及び解散の決議、当社の剰余金処分の決議(第11条)
・ 当社及び東西地域会社の事業計画及び事業計画の変更(第12条)
・ 東西地域会社の重要な設備の譲渡及び担保に供すること(第14条)

(c) その他総務大臣に対する義務
・ 当社及び東西地域会社の貸借対照表、損益計算書、事業報告書の提出(第13条)
・ 当社及び東西地域会社への命令を受ける義務(第16条)
・ 当社及び東西地域会社の業務に関する報告の要求に応じる義務(第17条)

③ 電波法(1950年法律第131号)
(a)総務大臣の免許を必要とする事項
・ 無線局の開設(第4条)

(b)総務大臣の許可を必要とする事項
・ 無線局の目的、通信の相手方、通信事項等の変更等(第17条)

(携帯電話の周波数帯割当て)
移動通信事業において、事業者が無線周波数帯域を使用するためには日本政府(総務省)の免許が必要となります。周波数帯の割当ては電波法及び関連する法令等により規定されています。
(2)当社株式に係る事項
① 外国人等議決権割合の制限(日本電信電話株式会社等に関する法律 第6条)
当社は、外国人等議決権割合が三分の一以上になるときは、その氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録してはならない。
(注)外国人等 一 日本の国籍を有しない人
二 外国政府又はその代表者
三 外国の法人又は団体
四 前三号に掲げる者により直接に占められる議決権の割合が総務省令で定める割合以上である法人又は団体
なお、当社定款において、株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者、およびその有する株式の全部若しくは一部について日本電信電話株式会社等に関する法律第6条に基づき、株主名簿に記載されなかった若しくは記録されなかった株主又は当該株主の有する株式の質権者に対して、剰余金の配当をすることができる旨を規定しております。

② 政府による当社の株式保有義務(日本電信電話株式会社等に関する法律 第4条)
政府は、常時、当社の発行済株式の総数の三分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。
(注)発行済株式の総数の算定方法の特例(日本電信電話株式会社等に関する法律 附則第13条)
・ 第4条第1項の規定の適用については、当分の間、新株募集若しくは新株予約権の行使による株式の発行又は取得請求権付株式若しくは取得条項付株式の取得と引換えの株式の交付があった場合には、これらによる株式の各増加数(「不算入株式数」)は、それぞれ第4条第1項の発行済株式の総数に算入しないものとする。
・ 前項に規定する株式の増加後において株式の分割又は併合があつた場合は、不算入株式数に分割又は併合の比率(二以上の段階にわたる分割又は併合があつた場合は、全段階の比率の積に相当する比率)を乗じて得た数をもって、同項の発行済株式の総数に算入しない株式の数とする。
2016年3月31日時点のNTTの発行済株式総数は2,096,394,470株であり、同日現在の政府保有株式数は738,123,976株、即ち、発行済株式総数の35.21%(自己株式除き発行済株式総数の35.21%)となっております。
(注)当社は2000年12月に公募増資により30万株(2009年1月4日付の株式分割および2015年7月1日付の株式分割後に換算すると6,000万株)の新株発行を実施しました。これらの株式は、前述のとおり、政府が保有する株式の比率を計算する際には発行済株式総数には算入されません。また、政府保有株式数には名義書換失念株等の政府が実質的に保有していない株式が含まれているため、これらの株式は、政府が保有する株式の比率を計算する際には政府保有株式数に算入していません。これらの条件を考慮すると、政府が保有する株式の比率は36.23%となります。
NTTグループと政府の各種部門・機関との取引は、個別の顧客として、かつ独立当事者間の取引として行われております。政府は、株主としての資格において当社の株主総会で議決権を行使し、筆頭株主としての立場から、理論上は株主総会での大多数の決議に重大な影響力を及ぼす権限を有します。しかしながら、過去に政府がこの権限を行使して当社の経営に直接関与したことはありません。

③ 政府保有株式の売却について
政府の保有する当社株式の処分は、その年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならない(日本電信電話株式会社等に関する法律 第7条)
・ 売却の経緯及び売却方針について
当社は発行済株式総数1,560万株で設立され、政府が売却可能である当社株式1,040万株(政府による保有が義務付けられた全体の三分の一に当たる520万株を除いた株式)のうち540万株については、昭和61~63年度において売却されました。
また、1990年12月17日に、未売却となっていた500万株のうち、イ)250万株について毎年度50万株程度を計画的に売却することを基本とすること、ロ)後年度において市場環境から許容される場合、計画の前倒しによる売却があり得ること、ハ)残余の250万株については、当分の間、売却を凍結するという今後の売却方針が大蔵省(当時)より示されました。(ただし、1997年度まで、市場環境等により実際の売却は見送られました。)
1998年度においては、1998年12月に100万株について売却が実施されました。
1999年度においては、100万株が売却限度数として計上されておりましたが、このうち48,000株については1999年7月13日の当社の自己株式買入において売却が実施され、残りの952,000株については1999年11月に売却が実施されました。また、上記の1990年12月に示された売却方針については終了しました。
2000年度においては、2000年11月に100万株の売却が実施されました。
2002年度においては、100万株が売却限度数として計上されておりましたが、このうち91,800株については2002年10月8日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。
2003年度においては、100万株が売却限度数として計上されておりましたが、このうち85,157株については2003年10月15日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。
2004年度においては、100万株が売却限度数として計上されておりましたが、このうち80万株については2004年11月26日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。
2005年度においては、1,123,043株が売却限度数として計上されておりましたが、1,123,043株全てについて2005年9月6日の当社の自己株式買入等において売却が実施されました。
2011年度においては、99,334,255株を売却限度数として計上されておりましたが、このうち57,513,600株については2011年7月5日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。また、41,820,600株については2012年2月8日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。
2013年度においては、62,166,721株を売却限度数として計上されておりましたが、このうち26,010,000株については2014年3月7日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。
2014年度においては、36,156,721株を売却限度数として計上されておりましたが、このうち35,088,600株については2014年11月14日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。また、1,068,100株については2014年11月28日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。
2016年度においては、59,000,043株を売却限度数として計上されておりましたが、このうち59,000,000株については2016年6月14日の当社の自己株式買入において売却が実施されました。


対処すべき課題経営上の重要な契約等


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