有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1008NM2
株式会社 構造計画研究所 業績等の概要 (2016年6月期)
(1) 業績
当事業年度におけるわが国経済は、個人消費の低迷する中、2016年4月に熊本地震が起こるなど景気に対する懸念が膨らんだものの、日銀の金融政策や政府の消費税増税延期などにより、全体として底堅く推移しました。このような経営環境において、当社は前事業年度に、社会とともに目指す未来像・方向性としてソート(Thought)「Innovating for a Wise Future」を掲げました。「工学知」をベースにした有益な技術を社会に普及させることで、より賢慮にみちた未来社会を創出していきたいというソートに込めた思いを実現するため、当社自体の持続的成長を目指しております。そのために、顧客の信頼にこたえるサービスの品質確保、業務の柱となる新規事業への開発投資と産学・パートナー連携、人材の確保・育成と知財の整備などに取り組んでまいりました。
まず最優先の経営施策として、当社は徹底した品質管理に全社を挙げて取り組むことでより安定した収益構造を構築するとともに、マーケティング活動のスピードと効率の向上に努めております。これにより、既存の高収益なエンジニアリングコンサルティング業務を安定的に拡大させ、新規業務についても顧客との信頼関係構築のもと、着実に業績を伸ばしてまいりました。
また、新規事業への開発投資につきましては、当社及び国内外のパートナーとの横断的結束・取り組みで社会デザイン構築へ貢献できる7つのテーマを設定しており、当事業年度は当社の保有する技術の整理、マーケティング調査などを各テーマごとに実施して、中長期を見据えた活動を着実に行ってまいりました。これらに加え、成長著しいASEAN諸国におけるマーケティング調査の拠点である現地法人KKE SINGAPORE PTE.LTD.において、日本で展開し培った「工学知」を世界に向けて発信すべく活動を推進しております。
当社は、「大学、研究機関と実業界をブリッジする」という経営理念のもとで、産学連携や、海外及び大学発ベンチャーを含むパートナー企業との連携についても継続して進めております。2015年10月には、ドイツNavVis社の提供する次世代屋内デジタル化プラットフォームを日本市場にて展開するための業務提携を行いました。当社がこれまで取り組んできたビジネス分野への応用を含め、Wi-Fiと接続して制御可能なスマートロック「リモートロック(米LOCKSTATE社)」や、人の動きを可視化して分析を可能にするマーケティング高度化ソリューション「ピープルカウンター(独Vitracom社)」などの当社のサービスや、これまで当社が培ってきた様々な構築物における技術を複合的に組み合わせて、建物の快適性・利便性を高めるためのIoT(Internet of Things)分野などへサービスを開始しております。さらには2016年2月に、当社と国立大学法人東京大学生産技術研究所とで、社会連携研究部門を新たに設置いたしました。今後は共同で、未来の複雑社会システムの諸問題を解決するための基盤となる数理工学の基礎研究のほか、中長期の課題を視野に入れた応用分野のテーマ掘り起こしに取り組む計画です。2016年3月には、日本郵船グループ、株式会社ウェザーニューズと共同で、海運・物流分野の次世代ソリューション提供に向け共同開発を行うべく、Symphony Creative Solutions Pte.Ltd.をシンガポールに設立することで合意しました。産学・パートナー連携の取り組みとしては、「けいはんな学研都市ATRベンチャーNVCC投資事業有限責任組合」、「MICイノベーション4号投資事業有限責任組合」といったベンチャーファンドへの投資も継続しており、事業の芽の発掘を推進しているほか、ファンドの人脈を通じたイベントの開催も行っております。
さらに当社は、優秀な人材の確保と育成に力を注いでおります。人材確保につきましては、国内外で積極的に採用活動を継続し、特に海外での採用活動には力を入れております。上記シンガポール現地法人は、海外国籍の優秀な人材採用活動の拠点としても活用しています。今後も幅広い学問分野、国籍からの採用活動を継続し、インターン制度の活用なども進めてまいります。人物の育成につきましては、社内の教育制度を拡充させるとともに、次世代リーダー層育成のために、スタンフォード大学(Stanford Silicon Valley New Japan Project)や経済産業省への出向などを含む外部機関に所員を派遣するなど、所員の成長を意欲的に支援しております。増加しつつある外国籍所員(31名、全所員に占める割合 5.3% 2016年6月30日時点)向け教育についても強化し、所員間の異文化コミュニケーションを推進しています。
そして、当社の付加価値成長の源泉である知的財産につきましては、当社が既に実施している事業の価値向上(対顧客、対社会)のみならず、新規技術の活用や国内外のパートナーとの連携によるビジネス化も視野に、その確保と戦略的利用について継続して取り組んでまいりました。当社は、新しいビジネスモデルの創出を図るとともに、基本的なスタンスとしては、技術を独占・寡占するのではなく、広くシェアし普及させていくことによって、技術を社会の課題解決に役立てたいと考えております。そのためにも高いスキルを有する社内体制を整備し、中長期的な視野で法務知財戦略を推進しております。
このような取り組みの結果、当事業年度の当社の業績は、売上高109億47百万円(前事業年度は110億3百万円)、営業利益は10億7百万円(前事業年度は8億85百万円)、経常利益は9億43百万円(前事業年度は8億36百万円)、当期純利益は6億71百万円(前事業年度は4億68百万円)となりました。当社は経営の透明性を確保し高度化するために、より保守的に売上高を計上しておりますが、当事業年度末における受注残高は前事業年度を上回る51億80百万円(前事業年度末は46億15百万円)を確保しております。また、当社は1959年に熊本城の天守閣再建に関わったことに加え、1984年から熊本県大津町に事務所を構えており、所員の約15%が所属しております。今回ソート(Thought)「Innovating for a Wise Future」に込めた思いとも一致することから、2016年4月に発生した熊本地震に際して、2016年6月に熊本県教育庁「熊本文化財復興支援金」に1億円を寄付いたしました。
なお、上記のとおりシステムソリューション事業の上流工程においてエンジニアリングコンサルティングを積極的に実施するなど、エンジニアリングコンサルティング事業とシステムソリューション事業がより一層密接になってきているため、当事業年度より、両セグメントを統一いたしました。これにより、報告セグメントの管理区分が、エンジニアリングコンサルティング事業とプロダクツサービス事業の2事業になっております。
当事業年度の報告セグメント別の状況は、次のとおりであります。
[エンジニアリングコンサルティング]
当事業年度においては、住宅業界をリードするトップ企業からの差別化に向けた投資に対応するシステム開発業務、構造設計コンサルティング業務、防災・減災のための解析業務、意思決定支援コンサルティング業務などが好調に推移いたしました。この結果、エンジニアリングコンサルティング事業における当事業年度の売上高は87億80百万円(前事業年度は87億68百万円)、セグメント利益は28億67百万円(前事業年度は22億81百万円)となりました。また、受注残高につきましては、42億12百万円(前事業年度末は37億38百万円)となっております。
[プロダクツサービス]
当事業年度においては、設計者向けCAEソフト、統合型粒子法流体解析ソフト、統計解析ソフト、製造業向けリスクマネジメントソリューション、クラウド関連サービスなどの販売が堅調に推移しました。この結果、プロダクツサービス事業における当事業年度の売上高は21億66百万円(前事業年度は22億34百万円)、セグメント利益は3億92百万円(前事業年度は3億60百万円)となりました。また、受注残高につきましては、9億68百万円(前事業年度末は8億77百万円)となっております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて69百万円増加し、当事業年度末には3億85百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は3億15百万円(前年同期比3億84百万円収入減)となりました。
これは、主に税引前当期純利益9億41百万円、減価償却費2億33百万円、たな卸資産の増加額5億56百万円及び法人税等の支払額3億8百万円を反映したものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は5億70百万円(前年同期比3億70百万円支出増)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出1億15百万円、無形固定資産の取得による支出1億7百万円、投資有価証券の取得による支出70百万円、関係会社株式の取得による支出1億31百万円及び関係会社出資金の取得による支出1億20百万円を反映したものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果得られた資金は3億26百万円(前年同期は使用した資金4億48百万円)となりました。
これは主に短期借入金の減少額9億50百万円、自己株式の取得による支出12億6百万円、長期借入れによる収入22億25百万円及び自己株式の処分による収入8億61百万円を反映したものであります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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