有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007XXO
東洋紡株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざしています。長年培ってきたコア技術である「重合・変性」、「加工」、「バイオ」をより発展・深化させるとともに、各技術を組み合わせ、融合させることで、新製品や新技術の創出に注力しました。
当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは事業開発企画室が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。
(フィルム・機能樹脂事業)
包装用フィルム分野では、高強度で薄肉化が可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”、飲料向けでは日本で初めてのポリエステル系縦収縮ラベル、高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムにおいて、それぞれ採用・用途が拡大しました。また、タフネス性を有した高強度ポリエステルフィルム“タフスター”、無機二元蒸着バリアフィルム“エコシアール”などの新商品、新技術の開発を進めました。さらに、環境を意識したバイオポリエステルフィルムやリサイクルポリエステルフィルムについても採用が拡大しました。食品用途以外では折れるポリエステルフィルム“オリエステル”はショッピングバックや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”などへの採用が進みました。
工業用フィルム分野では、液晶ディスプレイ用のバックライト光源のLED化が進むなか、LED光源の特徴との組み合わせにより、虹むらを解消し、画像の再現性を高める超複屈折フィルム“コスモシャイン SRF”が液晶テレビ向けやカーナビ用のタッチパネル用途に販売を拡大し、市場ニーズに応えて薄膜化の開発を進めました。また、工業用メカニカルリサイクルポリエステルフィルム“リシャイン”、食品や日用品の外装ラベルに適したポリエステル系合成紙“カミシャイン”などを開発し、販売を開始しました。
重金属を含まず環境にやさしいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れた特徴を活かし、太陽電池用高耐久性フィルム、熱収縮フィルムなどのフィルム用途や、成型および繊維用途などで拡大しました。また、触媒ライセンス事業については、ライセンス先の海外大手PETメーカーにおいて生産化の目処が立ちました。
エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途で年々高まる軽量化要求に応えるべく種々の素材で開発を進め、金属代替樹脂、ゴム代替樹脂などの用途を中心に採用が拡大しました。また、自動車用途でのさらなる環境対応ニーズにあわせて、超微細発泡技術、超耐熱技術、異種素材接着技術を応用したグレードを開発し、高機能性ポリアミド樹脂“グラマイド”と高機能性ポリエステルエラストマー“ペルプレン”を中心に用途開発を促進させました。さらに、高機能性ポリエステル樹脂“バイロペット”ではランプエクステンション材や自動車内装部品において海外での採用が順調に進みました。バイオマス原料を用いた高融点ポリアミド樹脂“バイロアミド”についてはLED、SMTコネクタでの採用が拡大したほか、自動車用途以外の工業用途での採用が始まりました。また、グローバル展開に向けたさらなる開発の促進のため、エンプラR&Dセンター棟を新設し、研究拠点の整備を図りました。
高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”は包装材料用接着剤、太陽電池バックシート用接着剤の開発を進め、主に海外で採用が進みました。電気電子製品用途では高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、高機能ウレタン樹脂、樹脂型導電銀ペーストなどの開発を進め、フレキシブル印刷回路やディスプレイの保護フィルム用粘着材・接着剤、タッチパネルモジュールの導電ペーストインキで採用されました。変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”では自動車用途で水系塗料製品を開発し、販売が拡大しました。また、“バイロン”と“ハードレン”の技術連携により新規接着・塗装剤の製品化を検討し、電気電子製品用途や自動車用途などで評価を進めました。
以上、当事業に係る研究開発費は49億円であります。
(産業マテリアル事業)
自動車関連分野では、高強力細繊度の原糸を開発し、コンパクト化可能なエアバッグ用ノンコート基布の販売を開始しました。また、ポリエステル系皮革調のトノカバーが、海外で採用され、供給を開始しました。
超高強力ポリエチレン繊維“ダイニーマ”では高強度化の新技術を開発しました。
フィルター分野では、高効率でミストに対して極めて高い耐久性を持つエレクトレットフィルター、土木資材分野では、高吸水性繊維“ランシール”を用いたコンクリート用湿潤養生マット“キュアエス”と保温も同時に行う“キュアダブル”の販売を開始しました。
以上、当事業に係る研究開発費は11億円であります。
(ヘルスケア事業)
バイオケミカル分野では、主力の血糖測定用酵素の新製品の採用が着実に進みました。診断システムでは、遺伝子検査システム用の試薬の新銘柄を追加しました。バイオ研究試薬では、エピジェネティクス研究用の画期的な新製品を開発し、販売を開始しました。また、食品検査用試薬の採用も進みました。
医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”がこれまでの四肢末梢神経以外にも顔面神経などでの使用例が増加し、頭頸部や耳鼻咽喉部での適用例が拡大しました。2016年4月以降は医科領域だけでなく歯科領域での保険請求も可能となりました。また、合成系生体適合性材料“セックワン”関連では、新たに末梢静脈挿入用カテーテル(PICC)について製造販売の承認を取得し、販売を開始しました。さらに、骨欠損部に埋入して、新生骨の形成を誘導させる次世代の骨再生誘導材の製品化に向けて、歯科・口腔外科領域において治験を開始しました。
人工腎臓用中空糸膜では、血液濾過用ならびに血液透析用の非対称膜の開発を進めました。また、これらの商品の生産性の効率を上げるプロセス開発に取り組みました。
水処理膜では、海水淡水化用正浸透膜の開発と、モジュールの高性能化、およびその実用研究を進めました。
以上、当事業に係る研究開発費は10億円であります。
(繊維・商事事業)
スポーツ分野では、ストレッチ性、イージーケア性に優れたビジネス向けニットシャツのテキスタイルバリエーションを拡充し、採用が進みました。また、ダウンウエア用途向けに、さらに軽量・薄地に特化した織物“シルファイン8T”、中東民族衣装向け生地として長短複合紡績糸使用織物“Royal Mix”の新バージョンを開発しました。
機能加工としては、抗ウイルス加工の開発を進め、繊維評価技術協議会の認証を受けました。
新素材としては吸湿性に優れたポリエステル生地“グレファージュ”、ウエアラブル向けフィルム状導電素材“COCOMI”を開発し、インナー、スポーツ、ユニフォーム分野などへの展開を開始しました。羽毛に替わる粒状詰め綿素材“グレンゲラン”では、縫製での取扱いを容易にし、かつ洗濯での偏りを防止するシート状タイプを開発しました。
以上、当事業に係る研究開発費は6億円であります。
(全社共通)
全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの次代を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務やコンピューターシミュレーションによる解析業務を通じて、研究開発を側面より支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、当社の研究開発力の向上、研究開発のスピードアップを図るため、国内外の企業、大学、研究機関と積極的に連携を図るとともに、ナショナルプロジェクトへ参画するなど、オープンイノベーション活動を進めております。
当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルムについては、ハイエンド製品へ採用され、順調にその用途を拡大させつつあります。ユーザーおよび用途をさらに拡大させるため、一層の研究開発およびマーケティング活動を進めています。
ナショナルプロジェクト「革新的新構造材料等研究開発」を通じて炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)の開発を進めており、また当社で開発した生体情報計測ウエアに適した機能性素材“COCOMI”の技術の一部を、センター・オブ・イノベーションプログラム「運動の生活カルチャー化により活力ある未来をつくるアクティブ・フォー・オール拠点」へ提供しています。いずれも次世代を担う新製品として期待しています。衣料繊維の開発の中で培ってきた「快適性評価技術」については、フィルムやシート材料などの製品開発に活用されています。
以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は36億円です。
当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは事業開発企画室が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。
(フィルム・機能樹脂事業)
包装用フィルム分野では、高強度で薄肉化が可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”、飲料向けでは日本で初めてのポリエステル系縦収縮ラベル、高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムにおいて、それぞれ採用・用途が拡大しました。また、タフネス性を有した高強度ポリエステルフィルム“タフスター”、無機二元蒸着バリアフィルム“エコシアール”などの新商品、新技術の開発を進めました。さらに、環境を意識したバイオポリエステルフィルムやリサイクルポリエステルフィルムについても採用が拡大しました。食品用途以外では折れるポリエステルフィルム“オリエステル”はショッピングバックや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”などへの採用が進みました。
工業用フィルム分野では、液晶ディスプレイ用のバックライト光源のLED化が進むなか、LED光源の特徴との組み合わせにより、虹むらを解消し、画像の再現性を高める超複屈折フィルム“コスモシャイン SRF”が液晶テレビ向けやカーナビ用のタッチパネル用途に販売を拡大し、市場ニーズに応えて薄膜化の開発を進めました。また、工業用メカニカルリサイクルポリエステルフィルム“リシャイン”、食品や日用品の外装ラベルに適したポリエステル系合成紙“カミシャイン”などを開発し、販売を開始しました。
重金属を含まず環境にやさしいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れた特徴を活かし、太陽電池用高耐久性フィルム、熱収縮フィルムなどのフィルム用途や、成型および繊維用途などで拡大しました。また、触媒ライセンス事業については、ライセンス先の海外大手PETメーカーにおいて生産化の目処が立ちました。
エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途で年々高まる軽量化要求に応えるべく種々の素材で開発を進め、金属代替樹脂、ゴム代替樹脂などの用途を中心に採用が拡大しました。また、自動車用途でのさらなる環境対応ニーズにあわせて、超微細発泡技術、超耐熱技術、異種素材接着技術を応用したグレードを開発し、高機能性ポリアミド樹脂“グラマイド”と高機能性ポリエステルエラストマー“ペルプレン”を中心に用途開発を促進させました。さらに、高機能性ポリエステル樹脂“バイロペット”ではランプエクステンション材や自動車内装部品において海外での採用が順調に進みました。バイオマス原料を用いた高融点ポリアミド樹脂“バイロアミド”についてはLED、SMTコネクタでの採用が拡大したほか、自動車用途以外の工業用途での採用が始まりました。また、グローバル展開に向けたさらなる開発の促進のため、エンプラR&Dセンター棟を新設し、研究拠点の整備を図りました。
高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”は包装材料用接着剤、太陽電池バックシート用接着剤の開発を進め、主に海外で採用が進みました。電気電子製品用途では高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、高機能ウレタン樹脂、樹脂型導電銀ペーストなどの開発を進め、フレキシブル印刷回路やディスプレイの保護フィルム用粘着材・接着剤、タッチパネルモジュールの導電ペーストインキで採用されました。変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”では自動車用途で水系塗料製品を開発し、販売が拡大しました。また、“バイロン”と“ハードレン”の技術連携により新規接着・塗装剤の製品化を検討し、電気電子製品用途や自動車用途などで評価を進めました。
以上、当事業に係る研究開発費は49億円であります。
(産業マテリアル事業)
自動車関連分野では、高強力細繊度の原糸を開発し、コンパクト化可能なエアバッグ用ノンコート基布の販売を開始しました。また、ポリエステル系皮革調のトノカバーが、海外で採用され、供給を開始しました。
超高強力ポリエチレン繊維“ダイニーマ”では高強度化の新技術を開発しました。
フィルター分野では、高効率でミストに対して極めて高い耐久性を持つエレクトレットフィルター、土木資材分野では、高吸水性繊維“ランシール”を用いたコンクリート用湿潤養生マット“キュアエス”と保温も同時に行う“キュアダブル”の販売を開始しました。
以上、当事業に係る研究開発費は11億円であります。
(ヘルスケア事業)
バイオケミカル分野では、主力の血糖測定用酵素の新製品の採用が着実に進みました。診断システムでは、遺伝子検査システム用の試薬の新銘柄を追加しました。バイオ研究試薬では、エピジェネティクス研究用の画期的な新製品を開発し、販売を開始しました。また、食品検査用試薬の採用も進みました。
医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”がこれまでの四肢末梢神経以外にも顔面神経などでの使用例が増加し、頭頸部や耳鼻咽喉部での適用例が拡大しました。2016年4月以降は医科領域だけでなく歯科領域での保険請求も可能となりました。また、合成系生体適合性材料“セックワン”関連では、新たに末梢静脈挿入用カテーテル(PICC)について製造販売の承認を取得し、販売を開始しました。さらに、骨欠損部に埋入して、新生骨の形成を誘導させる次世代の骨再生誘導材の製品化に向けて、歯科・口腔外科領域において治験を開始しました。
人工腎臓用中空糸膜では、血液濾過用ならびに血液透析用の非対称膜の開発を進めました。また、これらの商品の生産性の効率を上げるプロセス開発に取り組みました。
水処理膜では、海水淡水化用正浸透膜の開発と、モジュールの高性能化、およびその実用研究を進めました。
以上、当事業に係る研究開発費は10億円であります。
(繊維・商事事業)
スポーツ分野では、ストレッチ性、イージーケア性に優れたビジネス向けニットシャツのテキスタイルバリエーションを拡充し、採用が進みました。また、ダウンウエア用途向けに、さらに軽量・薄地に特化した織物“シルファイン8T”、中東民族衣装向け生地として長短複合紡績糸使用織物“Royal Mix”の新バージョンを開発しました。
機能加工としては、抗ウイルス加工の開発を進め、繊維評価技術協議会の認証を受けました。
新素材としては吸湿性に優れたポリエステル生地“グレファージュ”、ウエアラブル向けフィルム状導電素材“COCOMI”を開発し、インナー、スポーツ、ユニフォーム分野などへの展開を開始しました。羽毛に替わる粒状詰め綿素材“グレンゲラン”では、縫製での取扱いを容易にし、かつ洗濯での偏りを防止するシート状タイプを開発しました。
以上、当事業に係る研究開発費は6億円であります。
(全社共通)
全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの次代を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務やコンピューターシミュレーションによる解析業務を通じて、研究開発を側面より支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、当社の研究開発力の向上、研究開発のスピードアップを図るため、国内外の企業、大学、研究機関と積極的に連携を図るとともに、ナショナルプロジェクトへ参画するなど、オープンイノベーション活動を進めております。
当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルムについては、ハイエンド製品へ採用され、順調にその用途を拡大させつつあります。ユーザーおよび用途をさらに拡大させるため、一層の研究開発およびマーケティング活動を進めています。
ナショナルプロジェクト「革新的新構造材料等研究開発」を通じて炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)の開発を進めており、また当社で開発した生体情報計測ウエアに適した機能性素材“COCOMI”の技術の一部を、センター・オブ・イノベーションプログラム「運動の生活カルチャー化により活力ある未来をつくるアクティブ・フォー・オール拠点」へ提供しています。いずれも次世代を担う新製品として期待しています。衣料繊維の開発の中で培ってきた「快適性評価技術」については、フィルムやシート材料などの製品開発に活用されています。
以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は36億円です。
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