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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007XJ9

有価証券報告書抜粋 清水建設株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度における研究開発費は85億円であり,うち当社の研究開発費は84億円である。研究開発活動は当社の技術研究所等で行われており,その内容は主に当社建設事業に係るものである。
当社は,建築・土木分野の生産性向上や品質確保のための新工法・新技術の研究開発はもとより,多様化する社会ニーズに対応するための新分野・先端技術分野や,さらに地球環境問題に寄与するための研究開発にも,幅広く積極的に取り組んでいる。技術研究所を中心とした研究開発活動は,基礎・応用研究から商品開発まで多岐にわたっており,異業種企業,公的研究機関,国内外の大学との技術交流,共同開発も積極的に推進している。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は次のとおりである。

(1)生産技術
①高いコンクリート品質を実現する「ゼロシュリンク」の性能を確認
超低収縮コンクリート「ゼロシュリンク」について,優れたひび割れ防止効果が得られることを実証した。いすゞ自動車㈱新研修センター(いすゞものづくりサービストレーニングセンター)の擁壁へ適用し,半年以上の経過時点においても擁壁表面のコンクリート品質に変化が生じていないことを確認した。
②コンクリート表層品質を向上する「アート型枠」を開発
コンクリートの表層品質を向上させる超撥水型枠「アート型枠」を東洋アルミニウム㈱と共同開発した。水を著しくはじく“蓮の葉”の表面機構を模したバイオミメティクス(生物模倣)技術を応用し,コンクリート表面の美観を損なう気泡跡や色むらを大幅に抑制する効果を確認した。
③「タフネスコート」によるトンネル覆工コンクリートの剥落防止効果を検証
コンクリート構造物の耐衝撃性や耐久性等を向上させる技術「タフネスコート」について,トンネル覆工コンクリートの剥落防止工法としての有効性ならびに実工事への適用可能性を,(公財)鉄道総合技術研究所,三井化学産資㈱と共同で検証した。
④掘削サイクルタイムを短縮できる「急速ズリ処理システム」を開発
トンネル工事のズリ処理時間を大幅に短縮する「急速ズリ処理システム」を開発・実用化した。発破工法による長大山岳トンネル工事の工期を短縮できる。当社が兵庫県で施工中の三谷トンネルに適用し,ズリ処理時間33%,掘削サイクルタイム11%の短縮を確認した。
⑤気象予報技術を応用した「地下水流動解析技術」を開発
大規模地下構造物等の建設時に得られる地下水観測データを継続的に活用し,予測精度を向上させる地下水流動解析技術を開発した。観測データによって解析モデルを自動修正する,気象予報分野で発展してきた「データ同化手法」を地下水流動解析に応用した。
(2)ICT活用技術
①掘削機の打撃振動を利用した「切羽前方探査システム」を開発
山岳トンネル工事で掘削機による打撃振動の前方反射波を捉え,地質の変化を予測する「切羽前方探査システム」を開発した。切羽を安定させるために打ち込むロックボルトを受信センサーとし,振動の反射波が戻ってくるまでの時間を計測する。
②シールド機外周部の砂層を高精度に検出する「砂層探査システム」を開発
シールド機外周部の砂層を高精度に検出する「砂層探査システム」を応用地質㈱と共同で開発した。シールド機のカッターヘッド側面に装備した「比抵抗センサー」を用いて,シールド掘進中に掘削断面全周の地盤状況をリアルタイムで把握できる。
③タブレット端末による「地下埋設物可視化システム」を開発
地下埋設物の存在を適切に把握する「地下埋設物可視化システム」を㈱菱友システムズ等と共同で開発・実用化した。現地の風景画像と地下埋設物のデータを重ね合わせて“見える化”することで,地下掘削工事によるライフラインの損傷を防止できる。
④「覆工コンクリートの表層品質管理支援システム」を開発
トンネルの覆工コンクリート表層品質を管理する支援システムを開発した。コンクリート表層を撮影したデジタル画像を解析し,変状を示す展開図を作成する。個々の変状について従来の1/2程度の時間で評価できる。
⑤コンクリートの変状を把握する「画像モニタリングシステム」を開発
タブレット端末の撮影機能を使用して,コンクリートのひび割れや剥落等の変状を点検できる「画像モニタリングシステム」を㈱菱友システムズと開発した。画像データはインターネットで確認でき,専門技術者が現場に行くことなく変状の進行をモニタリングできる。
⑥視覚障がい者向けの音声による「屋内外歩行者ナビゲーション・システム」を開発
屋内外を区別なく案内・誘導できる,視覚障がい者向けの音声による「屋内外歩行者ナビゲーション・システム」を開発し,技術研究所内に常設体験施設“親切にささやく場”を開設した。日本IBM東京基礎研究所の技術協力を受け,2018年の実用化を目指す。
(3)防災・BCP技術
①「スリム耐火ウッド」が1時間耐火性能の認定取得
菊水化学工業㈱と共同開発した「スリム耐火ウッド」について,その耐火性能を証明する国土交通大臣認定を取得した。異なる耐火材料を組み合わせることで,スリムでありながらも1時間耐火を実現した。
②地震後の建物安全性を評価する「安震モニタリングSP」を開発
地震発生後即時に建物の安全性(継続使用の可否)を高精度に評価するシステム「安震モニタリングSP」を開発し,(一財)日本建築総合試験所から評価性能を認定する建築技術性能証明を取得した。プロトタイプは,すでに7棟のオフィスビルに導入されている。
③特定天井対応の耐震天井構工法「リニアブレース」を開発
特定天井に対応した新たな耐震天井構工法「リニアブレース」を開発した。斜め部材(ブレース)で躯体と天井ボードを直接連結し,建物の揺れと共振しにくい剛性の高い吊り天井をローコスト・短工期で構築できる。本構工法は,(一財)日本建築センターから一般評定を取得している。
④ローコスト液状化対策「グラベルサポート工法」の適用拡大
小規模施設・外構向けローコスト液状化対策工法「グラベルサポート工法」の効果とコストパフォーマンスが高く評価され,適用実績が20件を超えた。
(4)環境・eco技術
①四国最高クラスのecoBCPオフィス「清水建設四国支店新社屋」が竣工
「清水建設四国支店新社屋」が竣工した。経済産業省が求める“ZEB Ready(50%以上のエネルギー削減)”を上回る省エネ性能と,南海トラフ巨大地震を想定した事業継続性能を備え,当社が提唱する“ecoBCP”を実現している。
②米国ニューヨーク州でZEB実証を開始
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と清水建設㈱,Shimizu North America LLCは,ニューヨーク州立工科大学(SUNY Poly)と共同で,2015年に竣工したSUNY Poly内のZEN(Zero Energy Nanotechnology)ビルへの省エネルギー技術の導入を完了し,ZEB(Zero Energy Building)実現に向けた実証試験を開始した。
③中小規模オフィス向けの天井輻射空調システム「S-ラジシステム ライト」を開発
中小規模オフィス向けの天井輻射空調システム「S-ラジシステム ライト」を開発した。天井内部に設置した冷却装置で生成した冷気によって,静粛かつ温度ムラの少ない快適な室内環境を創出,さらに,ビル全体で15%程度の消費エネルギー削減効果がある。
④建物の自然換気性能を評価する「VisualNETS-3D」を開発
設計初期段階で建物の自然換気性能を評価する3次元シミュレーションシステム「VisualNETS-3D」を開発・実用化した。建築物の実態に即した効果的・経済的な自然換気方式が提案でき,空調に要するエネルギーを最大20%程度削減できる。
⑤放射線医療施設の高エネルギー化に対応した遮蔽計算手法を開発
高エネルギー放射線医療施設の放射線遮蔽性能を高精度に解析するために不可欠な「光核反応データベース」を開発した。このデータベースを活用することで,リニアック(直線加速器)室や粒子線治療室等における安全性と経済性を両立した遮蔽設計が可能となる。
⑥騒音対策効果をVR技術で再現できる「騒音シミュレーションシステム」を開発
バーチャルリアリティ(VR)技術を活用し,工事現場等から発生する騒音とその対策効果が体感できる「騒音シミュレーションシステム」を開発した。騒音源とその発生位置,騒音対策案を入力するだけで,任意の地点で聞こえる騒音を再現できる。
⑦ルーバーによる風切音を防止する「ルーバーサイレンサー」を開発
集合住宅の手摺やオフィスビルの目隠し壁等に用いるルーバーの風切音を防止する消音材料「ルーバーサイレンサー」を開発・商品化した。技術研究所の風洞実験棟を使ったルーバーの風切音に関するコンサルティング業務の受託を始める。
⑧汽水域でも緑化できる植生浮島を開発
東京都中央区の協力を得て同区佃の石川島公園船溜まりに植生浮島を2010年から設置し,汽水域における緑化性能と耐久性に関する実証実験を継続的に実施した。19種類の在来種による長期的な緑化を実現するとともに,カルガモの産卵や昆虫の生息などを確認した。
(5)エネルギー技術
①水素関連施設の爆発影響を予測するシミュレーションシステムを開発
水素関連施設の安全性と経済性の向上を目的に,水素ガス爆発の影響を予測するシミュレーションシステムを開発した。このシステムにより,安全性と経済性を備えた施設の意匠・構造計画を策定することが可能となる。
②建物付帯型の水素エネルギー利用システムの開発に着手
水素社会の早期実現に向けて,国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究として,施設内で使用する太陽光などの再生可能エネルギーの余剰電力を水素に変換して貯蔵し,必要に応じて放出・発電する水素エネルギー利用システムの研究開発に着手した。
③福島復興・浮体式ウィンドファーム実証研究事業のうち第2期工事
「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」の第2期実証研究事業のうち,福島県小名浜港における7MW油圧ドライブ型浮体式洋上風力発電設備(世界最大規模)の組立作業がこのたび完了し,実証研究実施海域への曳航・設置作業を開始した。
(6)震災復興支援技術
①コンクリート放射化レベルを評価する「廃炉ソリューションシステム」を開発
原子力発電所の原子炉建屋に使われているコンクリートの放射化レベルを高精度に評価する廃炉ソリューションシステムを開発し,日本原子力発電㈱東海発電所の廃炉検討に適用した。今後,国内外の電力会社を対象とした廃炉エンジニアリング業務の受注活動に活用する。
②除去土壌等のトレーサビリティを確保する「シミズFITシステム」を構築
除去土壌等のトレーサビリティや輸送車両の運行状況を総合的に管理できる「シミズFITシステム」を㈱エジソンと共同で構築し,当社JVが実施した除去土壌等のパイロット輸送(環境省発注)に適用し,安全・確実な輸送管理とともにデータ処理業務の大幅な省力化を実現した。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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