有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10081EP
株式会社 熊谷組 研究開発活動 (2016年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの研究開発活動は、企業業績に対して即効性のある技術、商品の開発、各種技術提案に直結した技術の開発、中長期的市場の変化を先取りした将来技術の研究、開発技術の現業展開と技術部門の特性を生かした技術営業、総合的技術力向上のための各種施策からなっており、社会経済状況の変化に対し機動的に対応できる体制をとっている。
当連結会計年度は、研究開発費として15億円を投入した。
当連結会計年度における主な研究開発活動は、次のとおりである。
(1) 土木事業
① インフラ大更新市場に向けたコッター床版工法の開発
供用中の橋梁の架け替え工事を行うには交通規制や迂回路を用意することが必要となるため、工事による社会的な影響が少なく、利用者の利便性をできる限り損なわない工法が求められている。このため供用路線の橋梁床版の架け替え工事では、あらかじめ工場で製作されたプレキャスト版を敷設する急速施工が可能な工法が主流となっている。現在開発を進めているコッター床版工法は、プレキャスト製品の利点に加えさらなる急速施工が可能で、将来部分的な取り替えが容易等の利点を有し、現在までに静的破壊試験、曲げ疲労試験を経て、ひび割れ抵抗性、耐力・耐疲労性能を確認している。今期は輪荷重試験の実施を計画しており、実用化に向け大きく前進する予定である。
② 無人化施工における高機能遠隔操作室の開発
人の立ち入りが危険な災害現場に導入される無人化施工技術は、高度な現場施工であるほど設備が複雑化し、施工開始までの準備期間が長くなる。災害現場では時間の経過とともに状況が大きく変化するため、この設備構築の時間をいかに短縮して迅速に工事に着手するかが課題となっていた。当社では、初期の無人化施工で導入していた移動式遠隔操作室を改良し、新たにICTを搭載した高機能型の移動式遠隔操作室を開発した。操作室にはデジタル伝送対応機器を搭載し、無線LANによる第4世代の無人化施工に対応している。災害現場に導入する場合、従来であれば準備に5~10日を要していたが、この移動式操作室であれば、屋上に無線基地局を設置して運用する場合は1日で、有線LANや光ファイバケーブルを使用して別途無線基地局の設置が必要となる場合でも3日程度で稼動させることが可能である。
③ シールド線形3Dシミュレーションシステムの開発
シールドトンネルを高品質に施工するためには線形管理が重要である。特にシールド機とセグメントの位置関係を把握することが「出来形精度」や「トンネル品質」を確保するために重要であり、従来は測量結果を方眼紙に手書きでプロットして管理してきた。今回、施工の高品質化と業務の効率化を目的として、3次元モデルで線形を管理するシミュレーションシステムを開発した。このシステムは、機械設計用の3次元CADにシールド機とセグメントを再現し、両者の位置関係を立体的に把握してシールド機の方向制御やセグメントの損傷防止に活用する。表計算ソフトに数値を入力・変更するだけで3次元モデルを自在に動かせることが特徴である。また、この表計算との連動機能を用いてシールドトンネルのCIMモデルを作成し、維持管理に活かすことも可能である。
(2) 建築事業
① 熊谷式基礎梁貫通孔補強工法を開発
当社は鉄筋コンクリート造基礎梁の開孔径について、従来の制限値である梁せい(梁の上端から下端までの寸法)に対する開孔径の比を1/3以下から1/2以下に緩和し、基礎梁せいの低減を可能とする「熊谷式基礎梁貫通孔補強工法」を開発し構造性能評価を取得した。鉄筋コンクリート造建築物において、設備配管等の設置や点検のために梁に貫通孔を設けることが一般的に行われている。梁に開孔を設けると構造性能が低下することから「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」において、開孔が円形の場合には、開孔の直径は梁せいの1/3以下とすることが望ましいとされている。建築物の基礎梁にも床下の設備配管の点検などのために人通孔が設けられることが多くあるが、この場合においても設計用応力から定まる必要梁せいにかかわらず上記の制限が適用されるため、土工事・躯体工事のコストアップにつながっていた。今回開発した工法を使用することにより、構造性能は従来工法と同等のままでコストダウンを図ることが可能となる。本補強工法は2015年11月5日付けで日本ERI株式会社より構造性能評価を取得した。建物の用途、上部構造の構造形式に関係なく、人通孔を有する鉄筋コンクリート造基礎梁に適用が可能である。今後は多くの物件に積極的に適用していく予定である。
② 近接開孔基礎梁工法の建築技術性能証明を取得
当社が参加する近接開孔梁研究会(注)は、鉄筋コンクリート造の基礎梁に設ける開孔について、従来よりもこれを近接して設けることを可能とした「近接開孔基礎梁工法 -大開孔と中開孔が近接するRC基礎梁の補強工法-」を開発し、建築技術性能証明(GBRC性能証明第15-04号)を一般財団法人日本建築総合試験所より取得した。鉄筋コンクリート造梁に複数の開孔を設ける場合、従来は隣り合う開孔の中心間隔は、双方の開孔径平均の3倍以上を確保する必要があった。近接開孔基礎梁工法(以下、「本工法」という。)は、これを2倍の位置まで近づけることを可能とした工法であり、近接する開孔全てに開孔補強金物製品を1箇所あたり2枚以上(両側面)配筋し、近接した開孔間にあばら筋を集中的に配筋することで実現した。また、本工法は建物用途、上部構造の構造形式に関係なく鉄筋コンクリート造基礎梁に適用できることから、人通孔をはじめ電気配線、設備配管などの貫通孔を多数基礎梁に設けたい場合に有効であり、同じ範囲でも設けられる開孔数が増えるため、電気配線、設備配管などを迂回させずにほぼ最短距離で配置することが可能になるなど、開孔配置の自由度の向上が期待できる。本工法は汎用性の高い技術であることから、今後は多くの物件に積極的に採用していく予定である。
(注)近接開孔梁研究会:当社、株式会社錢高組、青木あすなろ建設株式会社、株式会社淺沼組、株式会社奥村組、株式会社鴻池組、東亜建設工業株式会社、飛島建設株式会社、株式会社長谷工コーポレーション、株式会社ピーエス三菱、三井住友建設株式会社及びコーリョー建販株式会社(開孔補強金物製品作製メーカー)で構成されている。
③ 品確法の音環境性能評価に対応した乾式遮音二重床「NSフロアー(NS-Qタイプ)」を開発
当社は乾式遮音二重床NSフロアー(NS-Qタイプ)を開発し、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、「品確法」という。)に基づく国土交通大臣の特別評価方法認定を取得した。品確法に定められた住宅性能表示制度において、重量床衝撃音対策や軽量床衝撃音対策の性能評価を受ける場合には、国土交通省が告示した技術基準(評価方法基準)に記載されている仕様を満たす必要がある。しかし、告示に記載されている仕様は、施工誤差等を考慮して定められたものであり、納期及びコスト面等でお客様の負担が増加していた。そこで当社は告示に記載されている仕様以外(独自の仕様)で、環境、納期及びコスト面に配慮した乾式遮音二重床NSフロアー(NS-Qタイプ)を開発し、事業主が品確法に基づく音環境性能の評価を取得できるように、国土交通大臣の特別評価方法認定を取得した。また、これに伴い、NS-Qタイプは品確法の軽量床衝撃音対策における「床仕上げ構造区分3」を等級表記することが可能となった。NS-Qタイプは床下地材にガラス繊維不織布入りせっこう板を用いており、市場への供給と市況価格の変動により価格が安定しにくい合板にかえて、価格・品質・供給が安定し、かつ、環境に配慮したものとなっている。今後は、復興住宅を始めとする公共建築物などにおいても品確法に基づく評価認定を受けた建材の需要が増加すると予想される。当社では、この製品を環境に配慮した共同住宅の乾式二重床に関する重要なツールとして位置付け、発注者や設計事務所などに対して積極的に提案していく予定である。なお本案件は、当社、野原産業株式会社及び有限会社泰成電機工業による共同開発である。
④ 床衝撃音遮断性能が高く、転倒時衝撃力が小さい「乾式浮床ベースケア」を開発
当社は高い床衝撃音遮断性能を有し、転倒時衝撃力が小さい内装用、土足用2種類のグラスウール支持方法による乾式浮床ベースケアを開発した。首都圏(特に東京)、九州圏では、共同住宅は乾式二重床で設計されることが圧倒的に多い一方で、横浜、川崎、京都では建物の高さ制限対策として階高を抑えたるために直貼り床で計画されることも多い。共同住宅に用いられる直貼り床は、厚みは乾式二重床と比べて薄いが、軽量床衝撃音低減性能を確保するために歩行感が柔らかく感じられるという課題があった。また、今後の高齢化社会を見据えた際に、車いすによる長期の繰り返し走行に十分対応できていないことが指摘されている。さらには、乾式二重床に比べて転倒時の衝撃力が大きいため、状況によっては怪我をする可能性もある。こうした課題を解決するため今回開発した「乾式浮床ベースケア」は、内装用には乾式浮床パネルに下地材として環境に配慮したガラス繊維不織布入りせっこう板を用い、その上に化粧シート貼りフローリングを施工している。土足用には乾式浮床パネルに下地材として針葉樹合板を用い、その上に突板貼りフローリングを施工している。乾式浮床パネルの上に下地材を入れることで、転倒時衝撃力を小さくし、高い床衝撃音低減性能を実現し、同時に床板が柔らかく感じられる歩行感も解消した。また、床仕上げ高さを60mm程度としたことで、高さ制限のため直貼りフローリングで計画する建物やリニューアル等で乾式二重床とすることが難しい建物にも対応できる。当社ではこの製品を高齢者に配慮した施設や共同住宅のグラスウール支持方法による乾式浮床の重要なツールとして位置付け、発注者や設計事務所などに対して積極的に提案していく予定である。なお本案件は、当社、大建工業株式会社及び野原産業株式会社との共同開発である。
⑤ 大山ダムホタルビオトープがJHEP認証を取得
当社が施工した大山ダム(大分県日田市)に設置した「ホタルの棲める環境づくり(ホタルビオトープ技術)」において、生物多様性の保全や向上への貢献を定量評価する認証制度(以下、「JHEP認証」という。)をダムの発注者である独立行政法人水資源機構と共同取得した。これはホタルを対象としたビオトープとしては国内初の認証取得となる。大山ダムホタルビオトープは、ダム建設地の日田市が昔からゲンジボタルの里として有名であることから、地域貢献や地元の子ども達への環境教育を目的にダム上流の赤石川右岸側に設置されたものである。大山ダムホタルビオトープが完成した2008年を基準年として、生物多様性の価値(ハビタット評価値)について、過去30年間の平均値と事業実施による50年後の予測値を比較、評価された結果、評価ランクA+が得られ、ホタルが生息する湿性環境を含むビオトープとしては、国内で初めてのJHEP認証取得となった。今回JHEP認証を取得したことにより、当社の取り組みが生物多様性に貢献している「社会的証明」になるとともに、当社のホタルビオトープ技術に対する信頼性が一層向上することが期待できる。今後は広くお客様などにアピールを行い、ダムやトンネルなどの土木工事案件や、都市部ビル屋上などへの技術提案・設計案件に広く展開していく予定である。
(3) 子会社
株式会社ガイアートT・K
① フルファンクションペーブ(FFP:多機能型排水性舗装)の改良・改善
FFPの施工実績の増加に伴い、施工時の施工管理結果や追跡調査結果から挙がった課題を絞り込み、室内試験及び試験施工により改良・改善の検討を行った。
その結果、施工性を保ちつつ所定の品質が得やすい配合、最適な転圧温度及び転圧回数を見出した。また、その結果を反映した技術資料改訂案を作成した。
② 橋面舗装工法の開発
社会インフラの老朽化、とりわけ橋梁の掛け替えが急務となる情勢を受け、急速施工が可能なプレキャスト床版掛け替え工法が注目を集めている。その工法に適した新たな橋面舗装の開発を行った。
その結果、プレキャスト床版ジョイント部の動きに追従できるよう開発した特殊基層混合物の疲労抵抗性が通常の混合物に比べ著しく優れていることを再確認した。
また、ジョイント部の動きの影響を緩和できるシートの適用性についても検討を行った。
当連結会計年度は、研究開発費として15億円を投入した。
当連結会計年度における主な研究開発活動は、次のとおりである。
(1) 土木事業
① インフラ大更新市場に向けたコッター床版工法の開発
供用中の橋梁の架け替え工事を行うには交通規制や迂回路を用意することが必要となるため、工事による社会的な影響が少なく、利用者の利便性をできる限り損なわない工法が求められている。このため供用路線の橋梁床版の架け替え工事では、あらかじめ工場で製作されたプレキャスト版を敷設する急速施工が可能な工法が主流となっている。現在開発を進めているコッター床版工法は、プレキャスト製品の利点に加えさらなる急速施工が可能で、将来部分的な取り替えが容易等の利点を有し、現在までに静的破壊試験、曲げ疲労試験を経て、ひび割れ抵抗性、耐力・耐疲労性能を確認している。今期は輪荷重試験の実施を計画しており、実用化に向け大きく前進する予定である。
② 無人化施工における高機能遠隔操作室の開発
人の立ち入りが危険な災害現場に導入される無人化施工技術は、高度な現場施工であるほど設備が複雑化し、施工開始までの準備期間が長くなる。災害現場では時間の経過とともに状況が大きく変化するため、この設備構築の時間をいかに短縮して迅速に工事に着手するかが課題となっていた。当社では、初期の無人化施工で導入していた移動式遠隔操作室を改良し、新たにICTを搭載した高機能型の移動式遠隔操作室を開発した。操作室にはデジタル伝送対応機器を搭載し、無線LANによる第4世代の無人化施工に対応している。災害現場に導入する場合、従来であれば準備に5~10日を要していたが、この移動式操作室であれば、屋上に無線基地局を設置して運用する場合は1日で、有線LANや光ファイバケーブルを使用して別途無線基地局の設置が必要となる場合でも3日程度で稼動させることが可能である。
③ シールド線形3Dシミュレーションシステムの開発
シールドトンネルを高品質に施工するためには線形管理が重要である。特にシールド機とセグメントの位置関係を把握することが「出来形精度」や「トンネル品質」を確保するために重要であり、従来は測量結果を方眼紙に手書きでプロットして管理してきた。今回、施工の高品質化と業務の効率化を目的として、3次元モデルで線形を管理するシミュレーションシステムを開発した。このシステムは、機械設計用の3次元CADにシールド機とセグメントを再現し、両者の位置関係を立体的に把握してシールド機の方向制御やセグメントの損傷防止に活用する。表計算ソフトに数値を入力・変更するだけで3次元モデルを自在に動かせることが特徴である。また、この表計算との連動機能を用いてシールドトンネルのCIMモデルを作成し、維持管理に活かすことも可能である。
(2) 建築事業
① 熊谷式基礎梁貫通孔補強工法を開発
当社は鉄筋コンクリート造基礎梁の開孔径について、従来の制限値である梁せい(梁の上端から下端までの寸法)に対する開孔径の比を1/3以下から1/2以下に緩和し、基礎梁せいの低減を可能とする「熊谷式基礎梁貫通孔補強工法」を開発し構造性能評価を取得した。鉄筋コンクリート造建築物において、設備配管等の設置や点検のために梁に貫通孔を設けることが一般的に行われている。梁に開孔を設けると構造性能が低下することから「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」において、開孔が円形の場合には、開孔の直径は梁せいの1/3以下とすることが望ましいとされている。建築物の基礎梁にも床下の設備配管の点検などのために人通孔が設けられることが多くあるが、この場合においても設計用応力から定まる必要梁せいにかかわらず上記の制限が適用されるため、土工事・躯体工事のコストアップにつながっていた。今回開発した工法を使用することにより、構造性能は従来工法と同等のままでコストダウンを図ることが可能となる。本補強工法は2015年11月5日付けで日本ERI株式会社より構造性能評価を取得した。建物の用途、上部構造の構造形式に関係なく、人通孔を有する鉄筋コンクリート造基礎梁に適用が可能である。今後は多くの物件に積極的に適用していく予定である。
② 近接開孔基礎梁工法の建築技術性能証明を取得
当社が参加する近接開孔梁研究会(注)は、鉄筋コンクリート造の基礎梁に設ける開孔について、従来よりもこれを近接して設けることを可能とした「近接開孔基礎梁工法 -大開孔と中開孔が近接するRC基礎梁の補強工法-」を開発し、建築技術性能証明(GBRC性能証明第15-04号)を一般財団法人日本建築総合試験所より取得した。鉄筋コンクリート造梁に複数の開孔を設ける場合、従来は隣り合う開孔の中心間隔は、双方の開孔径平均の3倍以上を確保する必要があった。近接開孔基礎梁工法(以下、「本工法」という。)は、これを2倍の位置まで近づけることを可能とした工法であり、近接する開孔全てに開孔補強金物製品を1箇所あたり2枚以上(両側面)配筋し、近接した開孔間にあばら筋を集中的に配筋することで実現した。また、本工法は建物用途、上部構造の構造形式に関係なく鉄筋コンクリート造基礎梁に適用できることから、人通孔をはじめ電気配線、設備配管などの貫通孔を多数基礎梁に設けたい場合に有効であり、同じ範囲でも設けられる開孔数が増えるため、電気配線、設備配管などを迂回させずにほぼ最短距離で配置することが可能になるなど、開孔配置の自由度の向上が期待できる。本工法は汎用性の高い技術であることから、今後は多くの物件に積極的に採用していく予定である。
(注)近接開孔梁研究会:当社、株式会社錢高組、青木あすなろ建設株式会社、株式会社淺沼組、株式会社奥村組、株式会社鴻池組、東亜建設工業株式会社、飛島建設株式会社、株式会社長谷工コーポレーション、株式会社ピーエス三菱、三井住友建設株式会社及びコーリョー建販株式会社(開孔補強金物製品作製メーカー)で構成されている。
③ 品確法の音環境性能評価に対応した乾式遮音二重床「NSフロアー(NS-Qタイプ)」を開発
当社は乾式遮音二重床NSフロアー(NS-Qタイプ)を開発し、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、「品確法」という。)に基づく国土交通大臣の特別評価方法認定を取得した。品確法に定められた住宅性能表示制度において、重量床衝撃音対策や軽量床衝撃音対策の性能評価を受ける場合には、国土交通省が告示した技術基準(評価方法基準)に記載されている仕様を満たす必要がある。しかし、告示に記載されている仕様は、施工誤差等を考慮して定められたものであり、納期及びコスト面等でお客様の負担が増加していた。そこで当社は告示に記載されている仕様以外(独自の仕様)で、環境、納期及びコスト面に配慮した乾式遮音二重床NSフロアー(NS-Qタイプ)を開発し、事業主が品確法に基づく音環境性能の評価を取得できるように、国土交通大臣の特別評価方法認定を取得した。また、これに伴い、NS-Qタイプは品確法の軽量床衝撃音対策における「床仕上げ構造区分3」を等級表記することが可能となった。NS-Qタイプは床下地材にガラス繊維不織布入りせっこう板を用いており、市場への供給と市況価格の変動により価格が安定しにくい合板にかえて、価格・品質・供給が安定し、かつ、環境に配慮したものとなっている。今後は、復興住宅を始めとする公共建築物などにおいても品確法に基づく評価認定を受けた建材の需要が増加すると予想される。当社では、この製品を環境に配慮した共同住宅の乾式二重床に関する重要なツールとして位置付け、発注者や設計事務所などに対して積極的に提案していく予定である。なお本案件は、当社、野原産業株式会社及び有限会社泰成電機工業による共同開発である。
④ 床衝撃音遮断性能が高く、転倒時衝撃力が小さい「乾式浮床ベースケア」を開発
当社は高い床衝撃音遮断性能を有し、転倒時衝撃力が小さい内装用、土足用2種類のグラスウール支持方法による乾式浮床ベースケアを開発した。首都圏(特に東京)、九州圏では、共同住宅は乾式二重床で設計されることが圧倒的に多い一方で、横浜、川崎、京都では建物の高さ制限対策として階高を抑えたるために直貼り床で計画されることも多い。共同住宅に用いられる直貼り床は、厚みは乾式二重床と比べて薄いが、軽量床衝撃音低減性能を確保するために歩行感が柔らかく感じられるという課題があった。また、今後の高齢化社会を見据えた際に、車いすによる長期の繰り返し走行に十分対応できていないことが指摘されている。さらには、乾式二重床に比べて転倒時の衝撃力が大きいため、状況によっては怪我をする可能性もある。こうした課題を解決するため今回開発した「乾式浮床ベースケア」は、内装用には乾式浮床パネルに下地材として環境に配慮したガラス繊維不織布入りせっこう板を用い、その上に化粧シート貼りフローリングを施工している。土足用には乾式浮床パネルに下地材として針葉樹合板を用い、その上に突板貼りフローリングを施工している。乾式浮床パネルの上に下地材を入れることで、転倒時衝撃力を小さくし、高い床衝撃音低減性能を実現し、同時に床板が柔らかく感じられる歩行感も解消した。また、床仕上げ高さを60mm程度としたことで、高さ制限のため直貼りフローリングで計画する建物やリニューアル等で乾式二重床とすることが難しい建物にも対応できる。当社ではこの製品を高齢者に配慮した施設や共同住宅のグラスウール支持方法による乾式浮床の重要なツールとして位置付け、発注者や設計事務所などに対して積極的に提案していく予定である。なお本案件は、当社、大建工業株式会社及び野原産業株式会社との共同開発である。
⑤ 大山ダムホタルビオトープがJHEP認証を取得
当社が施工した大山ダム(大分県日田市)に設置した「ホタルの棲める環境づくり(ホタルビオトープ技術)」において、生物多様性の保全や向上への貢献を定量評価する認証制度(以下、「JHEP認証」という。)をダムの発注者である独立行政法人水資源機構と共同取得した。これはホタルを対象としたビオトープとしては国内初の認証取得となる。大山ダムホタルビオトープは、ダム建設地の日田市が昔からゲンジボタルの里として有名であることから、地域貢献や地元の子ども達への環境教育を目的にダム上流の赤石川右岸側に設置されたものである。大山ダムホタルビオトープが完成した2008年を基準年として、生物多様性の価値(ハビタット評価値)について、過去30年間の平均値と事業実施による50年後の予測値を比較、評価された結果、評価ランクA+が得られ、ホタルが生息する湿性環境を含むビオトープとしては、国内で初めてのJHEP認証取得となった。今回JHEP認証を取得したことにより、当社の取り組みが生物多様性に貢献している「社会的証明」になるとともに、当社のホタルビオトープ技術に対する信頼性が一層向上することが期待できる。今後は広くお客様などにアピールを行い、ダムやトンネルなどの土木工事案件や、都市部ビル屋上などへの技術提案・設計案件に広く展開していく予定である。
(3) 子会社
株式会社ガイアートT・K
① フルファンクションペーブ(FFP:多機能型排水性舗装)の改良・改善
FFPの施工実績の増加に伴い、施工時の施工管理結果や追跡調査結果から挙がった課題を絞り込み、室内試験及び試験施工により改良・改善の検討を行った。
その結果、施工性を保ちつつ所定の品質が得やすい配合、最適な転圧温度及び転圧回数を見出した。また、その結果を反映した技術資料改訂案を作成した。
② 橋面舗装工法の開発
社会インフラの老朽化、とりわけ橋梁の掛け替えが急務となる情勢を受け、急速施工が可能なプレキャスト床版掛け替え工法が注目を集めている。その工法に適した新たな橋面舗装の開発を行った。
その結果、プレキャスト床版ジョイント部の動きに追従できるよう開発した特殊基層混合物の疲労抵抗性が通常の混合物に比べ著しく優れていることを再確認した。
また、ジョイント部の動きの影響を緩和できるシートの適用性についても検討を行った。
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