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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007Q3D

有価証券報告書抜粋 鹿島建設株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループは、多様化する社会及び顧客のニーズに対応し、受注並びに生産への貢献を目的に、建設事業の品質及び生産性向上のための技術をはじめとして、将来的なニーズを先取りする技術まで幅広い課題に関する研究開発活動を大学、公共機関や他企業との共同研究も推進しながら、効率的に実施している。
当連結会計年度における研究開発費の総額は78億円であり、主な成果は次のとおりである。なお、当社は研究開発活動を土木事業、建築事業のセグメントごとに区分していないため建設事業として記載している。

(建設事業)

1 当社

(1) 設計・施工合理化技術
① 制震装置の開発
建物用制震ダンパーとして、世界初となる振動エネルギー回生システムを搭載した新世代制震オイルダンパー「HiDAX※-R(Revolution)」を開発した。本ダンパーは、自動車のブレーキ制御等で用いられているエネルギー回生システムの原理を初めて建物に応用したもので、地震による建物の振動エネルギーを一時的に補助タンクに蓄え、ダンパーの制震効率を高めるアシスト力として利用することにより、従来型装置の限界を大幅に超えた世界最高の制震効率を達成した。なお、本技術は、日刊工業新聞社が主催する「日本産業技術大賞」において、「文部科学大臣賞」を受賞した。

② ドローンを用いた写真測量による土量管理
ドローンによる写真測量を利用して高精度な3次元図面を短時間で作成し、土量管理及び工事の進捗管理に利用するシステムを㈱リカノスと共同で開発した。本システムにより、空撮からデータ処理までの一連の作業において、ドローンやカメラ等の機器の選定、作業方法や使用ソフトの最適化を図ることで高精度な空撮測量が可能となった。本システムを大規模造成工事に適用したところ、誤差±6cm以下まで精度が向上し、測定時間や費用の大幅な削減が可能であることが確認できた。

③ 無線LAN環境の構築
建物内の無線LAN環境導入と運用コストの削減を実現するWi-Fiアンテナケーブル(WBLCX:Wireless Broadband Leaky Coaxial Cable)の縦敷設技術を㈱フジクラと共同で実用化した。建物を新築する際に無線LAN環境を構築する事例が増加しているが、本技術は、Wi-Fiアンテナケーブルを建設工事中にパイプシャフトなどの縦貫通孔に敷設し、無線アクセスポイントの配置を工夫しながらその数を大幅に削減するもので、初期導入コストだけでなく、保守経費などの維持管理コストも削減可能となった。


(2) 社会基盤構築技術
① 山岳トンネルの切羽前方湧水評価技術
長大トンネルにおいて有用な地質等の前方探査方法である超長尺コントロールボーリング調査において、これまでは把握が困難であった削孔先端部の湧水圧と口元湧水量(*1)をボーリング削孔と同時に連続的に計測するシステム「スイリモ※(水(すい)リサーチ・モニター)」を開発した。これにより、切羽前方にある湧水区間の状況をこれまで以上に正確に把握し、本掘削の前に適切な湧水対策工を検討・選択できるため、より安全に工事を行うことが可能となった。
*1:口元湧水量:ボーリング削孔を開始した場所(口元)で計測される湧水量

② 重力式コンクリートダムの合理化施工法
近年、重力式コンクリートダムの建設工事は、RCD(Roller Compacted Dam-concrete)工法が主流となり、施工の高速化が進んでいる。当社は、(一財)ダム技術センターによって開発された、打設速度の速い内部コンクリートを打設速度の遅い外部コンクリートよりも先行して施工することで全体の打設速度を向上させる「巡航RCD工法」を、福岡県五ケ山ダム堤体建設工事に初めて全面的に採用するとともに、本工法の更なる高速化を実現する打設技術を開発した。これにより、「巡航RCD工法」を適用する範囲について、工期の約18%短縮を実現した。



(3) 震災対策関連技術

① 汚染水の漏洩リスク低減
福島第一原子力発電所の海水配管トレンチ(*2)の内部を充填するため、長距離水中流動充填材「HiloTM(High leveling for long distance)(ヒーロー)」を東京電力ホールディングス㈱、東京パワーテクノロジー㈱と共同で開発した。「HiloTM」は、水中100mの距離を流動させても材料分離や品質の低下が生じない特殊な材料であり、本材料を内部充填工事に適用することで、新たに打設孔を設けることなく、既存設備を利用した打設作業を行うことが可能となった。これにより、作業に伴う被ばく線量を最小限に抑えつつ、海水配管トレンチ内に滞留していた約1万トンの高濃度汚染水を除去することに成功した。なお、本技術を適用した工事について、内閣総理大臣より感謝状を受領した。
*2:海水配管トレンチ:配管やケーブルを収納している地下トンネル

② 除去土壌の選別効率化
福島第一原子力発電所事故に伴い広域に拡散した放射能汚染に対して、順次、除染が行われている。除染により発生した除去土壌を減容化するためには、草木や根などを選別・除去する必要があり、その際に用いる選別補助材として、生石灰等の従来品よりも高機能な「泥DRY※(デイドライ)」を開発した。これにより、粘性が高く団粒化した除去土壌を低粘性の細粒に素早く改質することが可能となり、選別作業効率が格段に向上した。


(4) 地球環境技術
① 建築物環境性能評価システムの認証取得
当社技術研究所本館「研究棟」において、2015年8月にLEED-EBOM(*3)の最高ランクであるプラチナ認証を取得した。本研究棟は、当社のZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)実現に向けたリーディングプロジェクトと位置付けられ、2011年11月の建物運用開始以来、当社が開発した様々な技術を適用して、エネルギー効率の向上に努めており、2014年度の一次エネルギー消費量は、オフィス基準値より約52%の削減を実現した。
*3:LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)は、米国USGBC(U.S. Green Building Council)により運営され、世界各国に普及している建築物環境性能評価システムであり、LEED-EBOM(=LEED for Existing Buildings: Operations and Maintenance)はこの中で、既存ビルの運用・管理について、その評価・認証を行うもの。

② 洋上風力発電
今後増加が予想される洋上風力発電施設を建設するための海上作業構台「Kプラットフォーム コンボTM」と、これを利用した洋上風車組立工法や基礎の施工法、風車の急速施工法を開発した。「Kプラットフォーム コンボTM」は、日本国内の洋上ウインドファーム計画地として想定される港湾区域内での建設条件に合わせた作業構台であり、基礎の構築から風車の組立、メンテナンス、最終的な撤去作業までを、用途によりアタッチメントを取り換えることで対応可能である。

③ 水産資源の保全
「蛇カゴ(*4)」を用いて、人力によって組立て可能な簡易型の魚道を開発した。この魚道を鹿児島県高尾野川のコンクリート製の堰(せき)に設置したところ、アユの遡上が観測され、魚道として機能することが確認された。今後、この「組立式蛇カゴ魚道」をアユ以外の生物にも適用させていくことにより、水域生物の生育を図るほか、自然の恵みを利用した地域振興や自然と共生した国土づくりに貢献する。
*4:「蛇カゴ」: カゴ状の構造物で、内部に自然石、砕石などを詰めたもの。

(国内関係会社)
1 鹿島道路㈱
舗装に関する新材料、新工法の開発
高耐久性舗装を開発し、試験施工を実施した。今後、試験施工箇所の性能を評価した上で、実工事に順次適用していく予定である。また、低騒音性と遮水性の両方の特長を併せ持つ「ハイブリッドコンクリート舗装」や施工合理化技術である「転圧管理システム(ICT施工)」の機能向上等について、引続き研究開発を進めている。


2 ケミカルグラウト㈱
「新凍結工法」の開発
地球環境に優しいノンフロン冷媒のCO2気液混合流体を活用した地盤凍結工法を開発した。CO2冷媒を使用する本工法は、従来工法に比べ必要な冷媒量が大幅に少ないため、設備の小型化、電力消費量の削減(従来工法から40~50%減)が可能となった。また、冷媒の粘性が低いことから、従来よりも小型軽量の配管を使用することができるため、作業効率が向上し、工期短縮(同30%減)も可能となった。

(開発事業等及び海外関係会社)
研究開発活動は特段行われていない。

(注) 工法等に「※」が付されているものは、当社の登録商標である。また、「TM」が付されているものは当社の商標である。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00058] S1007Q3D)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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