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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1008ITS

有価証券報告書抜粋 株式会社パソナグループ 事業等のリスク (2016年5月期)


対処すべき課題メニュー経営上の重要な契約等


当社グループは経営に重大な影響を及ぼす危機を未然に防止し、万一発生した場合には損失の極小化を図るため、リスクマネジメント規程を定めております。また、リスクに関する統括組織としてリスクマネジメント委員会を設置し、危機管理マニュアルに基づいて日常の対策および緊急時に適切な対応を行う体制を整備しております。また、内部監査室による内部監査を通じて各部署の日常的なリスク管理状況を監視しております。
なお将来に関する事項は、別段の記載のない限り当有価証券報告書提出日時点において判断したものであり、当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありません。

①個人情報および機密情報の管理について
当社グループの各事業においては、派遣登録者、職業紹介希望者および再就職支援サービス利用者、さらにはアウトソーシング事業の会員企業の個人会員情報など、多数の個人情報を保有しております。当社グループでは個人情報保護方針を策定して個人情報の適正な取得・利用・提供等を行うと共に、個人情報についての開示・削除等の要求を受け付ける窓口を明確にしております。また、個人情報の漏洩や滅失を防止するために、技術面および組織面における必要かつ適切な安全管理措置を講じ、全役職員および全従業員に個人情報保護管理に関する教育を徹底しております。
さらに当社グループ、社員、登録スタッフの個人および取引先に関する営業秘密・重要情報の漏洩を防止すべき情報管理体制・管理手法を定め、その周知と実施の徹底に努めております。
当社グループの派遣スタッフおよび受託業務に従事するスタッフについては、各就業規則、秘密情報保持規程を定めています。
こうした当社グループの取組みにも拘わらず、各種規程類等の遵守違反、不測の事態等により個人情報および機密情報が外部に漏洩した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。

②派遣スタッフの確保について
当社グループのエキスパートサービス(人材派遣)事業では、その事業の性質上、派遣スタッフの確保が非常に重要であり、当社グループは、派遣就業希望者をインターネット、新聞、雑誌等による広告や既登録者からの紹介などにより募集しております。また、当社グループでは、登録拠点の立地条件や店舗設備の充実、給与・福利厚生面での就労条件の充実、登録者一人ひとりのニーズに応じた就業機会を提供する担当者制の導入、教育・研修の拡充などにより、派遣スタッフの満足度を高めるよう努力し、派遣スタッフの安定確保に努めております。また、既に当社に登録しているものの現在は就業していない派遣スタッフとのコミュニケーションを強化し、既存登録者の囲い込みも進めております。しかしながら、このような施策によりましても、派遣需要に対して充分な派遣スタッフの確保を行えなかった場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

③派遣料金について
当社グループのエキスパートサービス事業においては、派遣先企業に稼働時間単位または月単位で派遣料金を請求して売上を計上しており、売上原価として、業務内容や能力に応じて労働時間単位で派遣スタッフに支払う給与およびこれに伴う法定福利費、有給休暇取得費用、その他の費用を計上しております。当社グループは適正価格による取引、適正水準の給与支払いに努めており、派遣給与支払い水準の引上げや社会保険料負担増の際には請求料金についても値上げするべく派遣先企業との料金交渉に取り組んでおります。しかしながら、派遣給与と派遣料金の値上げまたは値下げが必ずしも同期しない可能性があることから、このような案件が急激に増加したり、同期しない期間が長期化した場合、エキスパートサービス事業の収益性が低下し、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。


④インソーシング(委託・請負)事業について
当社グループのインソーシング事業は、受託に際して、業務の範囲と内容、受注金額、受託期間、費用見積等を確認したうえで顧客との契約を締結しております。
当社グループが業務履行、進捗管理および労務管理を行うため、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)室を設置して随時状況を確認し、適切な対応に努めております。こうした取組みにもかかわらず、インソーシング事業のため管理する顧客情報・個人情報の取扱い上の事故、パブリック事業にかかわる手続きの過誤、その他予期せぬ事態や想定を超えたコストが発生した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

⑤再就職支援事業について
当社グループの再就職支援事業では、会社都合による企業の退職者または退職予定者に対して、次の再就職先が決定するまでの間、全国の拠点で、職務経歴書作成、面接対策、求人情報の提供、メンタルケアなどの支援を行っております。利用者ごとに担当のコンサルタントを定め、カウンセリング、求人情報の収集・紹介に注力するとともに、再就職支援活動を詳細に把握しアドバイスをすることで早期再就職決定につなげております。サービスレベル向上による取引先からのリピートオーダーの獲得と、積極的な営業活動により新規受注の獲得に努めておりますが、取引先の雇用政策や経済環境の影響を受けやすく、各拠点における受注動向や受注料金水準、再就職決定状況により、収益性が変動する可能性があります。
また、全国的な拠点ネットワークの維持は、求職活動の拠点となる施設を備えた店舗を設置し、コンサルタントを配置して、一定のサービスレベルを維持することを意味しますので、固定費負担も少なくありません。拠点やコンサルタントの配置について、経済環境の変化に応じた機動的な対応ができるとは限らず、拠点ネットワーク維持のための固定費が負担となる可能性があります。今後の経済環境により、再就職決定率が低下したり、再就職決定までの期間が長期化した場合、固定費負担が増加し、収益性が低下することにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

⑥福利厚生アウトソーシング事業について
当社グループの福利厚生アウトソーシング事業は、主に企業や官公庁・自治体などが株式会社ベネフィット・ワンと契約することにより法人会員となり、法人会員の従業員が同社と契約関係にあるサービス提供企業の運営する宿泊施設やスポーツクラブ、各種学校等の福利厚生メニューを会員価格で利用できるサービスです。
株式会社ベネフィット・ワンは法人会員から入会金および従業員数に応じた月会費を収受し、従業員が宿泊施設等を利用した際に、加入コースに応じた補助金を支給することがあります。会費収入と補助金支出の割合は一定範囲となるよう注意してバランスをとっておりますが、想定を超える利用がある場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、同社は福利厚生事業で培ったサービスインフラを多重的に活用し、新規事業を創出しております。進捗状況を常に把握し、既存の営業網を活用しながら早期育成に取り組んでおりますが、こうした取り組みにもかかわらず期待した収益を生まない場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

⑦法的規制について
a. エキスパートサービス(人材派遣)事業
(イ)事業の許認可について
当社グループのエキスパートサービス事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」)に基づき、主として一般労働者派遣事業(登録型の人材派遣事業)として厚生労働大臣の許可を取得して行っている事業であります。労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う者(派遣元事業主)が、派遣元事業主としての欠格事由に該当したり、法令に違反した場合には、事業の許可を取り消し、または事業の停止を命じる旨を定めております。当社グループでは株式会社パソナグループの法務室、コンプライアンス室を中心に適正な派遣取引のためのガイドラインを作成し、徹底して社員教育に努めるとともに、内部監査等により関連法規の遵守状況を日頃より監視し、法令違反等の防止に努めております。しかしながら、万一当社グループ各社および役職員による重大な法令違反等が発生し、事業許可の取り消し、または、事業停止を命じられるようなことがあれば、一般労働者派遣事業を行えなくなることが考えられます。また、労働者派遣法および関係諸法令については、労働市場をとりまく状況の変化等に応じて今後も適宜改正が予想され、その変更内容によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

(ロ)労働者派遣法の改正について
2015年9月30日付で労働者派遣法が改正され、派遣スタッフ個人単位の派遣期間制限(3年)と、派遣先の事業所単位の期間制限(3年、一定の場合に延長可)が設けられました。加えて、派遣スタッフに対するキャリアアップ措置や、派遣先従業員と派遣スタッフの均衡待遇に配慮すること、さらには派遣スタッフ個人単位の期間制限の上限に達した場合、派遣元事業主が雇用安定を図るための措置を講じることなどが義務付けられました。
当社グループは従来から派遣スタッフの専門性強化に注力し、実務や資格取得に役立つ教育研修プログラムの開発・提供や、キャリア・コンサルティングの拡充を推進しておりますが、雇用安定措置等の今後の運用や、2013年4月に本格施行された改正労働契約法など諸労働法令の改正および運用状況によっては、エキスパートサービス事業に影響を及ぼす可能性があります。

b. 人材紹介事業
当社グループが行う人材紹介事業は、職業安定法に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業であります。1999年12月には、職業安定法の改正を受けて、取扱職業の拡大、紹介手数料制限の緩和および新規学卒者の職業紹介が可能となっているほか、2000年12月には人材派遣事業と人材紹介事業の兼業規制に関する緩和が行われており、いわゆる紹介予定派遣が可能となっております。
人材紹介事業についても、一定の要件を満たさない場合には人材派遣事業と同様に許可の取消し、事業の停止といった措置が規定されていることから、同様のリスクが想定されます。

c. 再就職支援事業
当社グループが行う再就職支援事業は、職業安定法に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業であります。収益構造やビジネスモデルは人材紹介事業とは異なりますが、求職者を求人企業に紹介するという点において前述の人材紹介事業と同様の規制、指導および監督を受けることから、同様のリスクが想定されます。

⑧社会保険料負担について
当社グループでは、従業員に加えて現行の社会保険制度において社会保険加入対象となる派遣スタッフの完全加入を徹底しております。社会保険料の保険料率や被保険者の範囲等は適宜改定されていることから、社会保険制度の改正に伴って会社負担金額が大幅に上昇する場合、当社グループの財政および業績が影響を受ける可能性があります。
厚生年金保険については、2004年の年金制度改革により、標準報酬月額に対する会社負担分の料率は2004年10月時点の6.967%から毎年0.177%ずつ引き上げられ、2017年以降は9.15%で固定されることとなっております。
また健康保険については、当社グループの従業員および派遣スタッフが属する人材派遣健康保険組合は高齢者加入率が低く、従来の老人保健拠出金は他の健康保険組合に比べ低い水準でした。しかし2008年4月の医療制度改革において、老人保健拠出金に代わって新たに後期高齢者支援金および前期高齢者納付金の負担が課されたため、人材派遣健康保険組合における健康保険料の会社負担分の料率は30.5/1000(2007年度)から38.0/1000(2008年度)へと大幅に引き上げられました。以来、段階的に引き上げられており、2016年度は46.2/1000になります。
さらに介護保険料率も、2012年度に8.5/1000(2011年度)から10.35/1000へと大幅に引き上げられ、2016年度はさらに11.4/1000に引き上げられました。同健康保険組合の財政は大変厳しい状態にあり、今後さらに保険料率が上昇した場合、収益の圧迫要因となる可能性があります。
雇用保険についても、2010年4月1日付の制度改正により、雇用保険料率と会社負担分の料率がともに上昇したうえに、雇用保険の適用基準が緩和され、適用範囲が「6か月以上雇用見込み」(2009年度)から「31日以上雇用見込み」の労働者に拡大しました。2016年度の一般の事業における会社負担分の料率は2015年度の8.5/1000から7/1000に引き下げられましたが、今後、雇用保険制度の改正によって保険料率が上昇したり、加入対象者や被保険者数が大幅に増加した場合、収益の圧迫要因となる可能性があります。

⑨当社代表取締役南部靖之およびその近親者の出資する会社との関係について
当社代表取締役南部靖之およびその近親者(同氏の二親等内の親族。以下同じ)、ならびに同氏およびその近親者が議決権の過半数を自己の計算において保有する会社等は、2016年5月末現在、合わせて当社の議決権の49.68%を保有しておりますが、コーポレートガバナンス体制を十分に機能させることにより、適切な事業運営に努めております。

⑩事業投資について
a.子会社・関連会社への投資
当社グループの関係会社のうち、上場子会社などは市場動向に株価が左右されることもあり、今後の動向によっては関係会社株式の評価替えなどにより、単体の業績や資産の額に影響を与える可能性があります。
当社グループは今後も、取引先や就労者の多様なニーズに応じて事業投資を積極的に行っていく考えであります。新規の事業投資については、進捗状況を常に把握し、既存の事業インフラや営業網も活用しながら、早期育成に取り組んでおりますが、こうした取組みにもかかわらず期待した収益を生まない場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

b.企業買収について
当社グループは、本業の強化補強を図る有効な手段として、積極的に人材関連の企業買収等に取り組んでいきたいと考えております。買収に当たっては、インハウス系(親会社のグループ、系列企業への人材派遣を主目的に設立された派遣会社)や専門特化した分野で強みを持つ派遣会社および周辺事業分野での有力企業を対象とすることで、当社グループの事業領域の補完、連結収益力の向上を図ってまいりたいと考えております。
こうした企業買収に伴い、多額の資金調達およびのれんの償却等が発生する可能性があるほか、これらの買収が必ずしも当社グループの見込み通りに連結収益に貢献したり、シナジー効果を生むとは限らず、買収した企業の収益性が著しく低下した場合、のれんの減損が生じるなど当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

⑪資金調達について
当社グループは、グループCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)によるグループ各社間の資金の有効活用を図っているほか、金融機関との間にコミットメントラインを設定しております。また、資金需要に応じた個別借入れを行うことにより資金を確保していますが、今後の経営状況や金融市場の動向などにより、資金調達に影響が出た場合、当社グループの事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。

⑫人材サービス市場について
当社グループは、人材派遣、委託・請負、人材紹介、再就職支援、アウトソーシング、福祉介護、家事代行など人材サービスの総合化を推進し、特定の領域に偏らない事業ポートフォリオの構築を進め、また海外への展開を積極的に行っているほか、雇用のあり方に関する情報発信、啓蒙活動や各種提案に積極的に取り組んでおります。しかし、国内外の景気変動やビジネス環境の変化に伴う顧客の人材需要、採用動向、外部人材の活用や人材育成に関する戦略などの変化の影響を受け、市場環境や顧客需要が急激に変化した場合、収益に影響を受ける可能性があります。また各種関連法令において規制を受ける場合もあり、様々なサービスを拡充することでリスク分散は図ってまいりますが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。


⑬自然災害およびシステム障害等について
当社グループは全国にグループ会社と営業拠点を有しており、地震や水害など大規模な自然災害が発生した場合に備えて、従業員および派遣スタッフの安否を確認し、安全を確保するための対策を危機管理マニュアルに定めております。また、事業拠点や情報システムの機能分散など事業継続のための施策も講じております。しかしながら、想定を大きく上回る規模で自然災害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは事業活動や情報管理にITシステムを多用しており、何らかの原因によって大規模なシステム障害が発生した場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

対処すべき課題経営上の重要な契約等


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