有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007ZCO
大日本印刷株式会社 業績等の概要 (2016年3月期)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和政策を背景に企業収益や雇用情勢が改善するなど、緩やかな回復基調で推移したが、個人消費の伸び悩みや、中国をはじめとする海外経済の減速に加え、年初からの為替相場や株式市場の変動の影響もあり、本格的な回復には至らなかった。印刷業界においては、出版印刷物をはじめとした紙媒体の需要減少に加え、競争激化による受注単価の下落などにより、引き続き厳しい経営環境にあった。
このような状況のなか、DNPは、経営の基本方針として2001年に策定した「DNPグループ21世紀ビジョン」を見直し、昨年10月に「DNPグループビジョン2015」を定めた。このなかで、企業理念を「DNPグループは、人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」こととし、事業ビジョンに「P&Iイノベーションにより、4つの成長領域を軸に事業を拡げていく。」ことを掲げた。
4つの成長領域のうち、「知とコミュニケーション」の領域では、情報セキュリティ関連の製品・サービスの開発や提供を加速させるため、昨年5月、スマートフォンなどのアプリ改ざん防止用のソフトウェアを提供する「株式会社ハイパーテック」の全株式を取得した。今年3月には、増大する標的型サイバー攻撃への対策要員を訓練・養成するアカデミーの運営会社「株式会社サイバーナレッジアカデミー」を設立した。また、昨年8月には、さまざまなコンテンツの画像データの保管や加工、販売用ウェブサイトの運用、高画質プリントや配送などの機能を提供するサービス「DNPクラウド型画像販売ソリューション Imaging Mall(イメージング モール)」を開始した。
「食とヘルスケア」の領域では、高い光反射性で光合成を促し、適度な保湿性能と防汚性などで植物の育成を促進する「DNP農業用フィルム」など、DNPの材料加工技術を活かした製品開発による新規事業の開拓に注力した。また、医療用画像管理システム大手の「PSP株式会社」とは、2014年12月の業務・資本提携に続いて、今年3月に株式を追加取得し、持分法適用会社とした。今後、病気の原因究明につながる画像解析技術の開発を加速させるなど、ライフサイエンス分野の事業拡大を目指している。
「住まいとモビリティ」の領域では、昨年8月に「田村プラスチック製品株式会社」の全株式を取得し、自動車分野向けに、同社の樹脂成形技術とDNPのハードコート転写フィルムや加飾フィルムなどの技術を組み合わせ、競争力の高い新製品開発を進めている。
「環境とエネルギー」の領域では、昨年10月に、窓からの太陽光を天井などに効果的に反射、拡散させて、室内全体を明るくする「DNP採光フィルム」を発売するなど、省エネやCO2排出量の削減に役立つ製品を開発・提供している。
この新たな経営の基本方針に基づき、4つの成長領域を中心に、グループを挙げて既存の事業の価値を高めるとともに新規ビジネスの開発に注力し、新しい価値の創造による事業拡大に努めた。
その結果、当連結会計年度の売上高は1兆4,559億円(前期比0.4%減)、営業利益は454億円(前期比5.6%減)、経常利益は526億円(前期比2.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は335億円(前期比24.8%増)となった。
セグメントごとの業績は、次のとおりである。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいている。
〔印刷事業〕
(情報コミュニケーション部門)
出版印刷関連は、出版市場の低迷が続くなか、積極的な営業活動によって書籍は前年を上回ったが、雑誌の減少の影響が大きく、全体としては前年を下回った。
商業印刷関連は、チラシやカタログなどの印刷物は低調に推移したが、POPなどの販促ツールが増加し、前年とほぼ同水準を確保した。
ビジネスフォーム関連は、社員や顧客の個人情報の安全かつ適切な管理に対する企業ニーズの高まりを背景に、パーソナルメール等のデータ入力・印刷・発送などを行うIPS(Information Processing Services)や電子マネー向けなどのICカードが増加した。このICカード事業では、2014年3月に行ったベトナム最大手のカードメーカー「MK SMART社」との業務・資本提携に続き、当期は、インドネシアのキャッシュカード製造・販売最大手である「Wahyu Kartumasindo International(ワヒューカルトマシンドインターナショナル)社」と合弁会社を設立するなど、東南アジア地域における競争力強化を図り、グローバルな事業展開を加速させている。
イメージングコミュニケーション事業では、証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」を使って、顔写真の撮影から、高セキュリティな通信環境によるマイナンバーの個人番号カードの申請まで行えるサービスをスタートさせた。また、北米や東南アジアでの写真プリント用の需要拡大によって、昇華型熱転写記録材(カラーインクリボンと受像紙)が好調に推移し、前年を大きく上回った。
教育・出版流通事業は、書店での販売とネット通販、電子書籍販売サービスを連携させたハイブリッド型総合書店「honto」が順調に推移した。また、業務効率化や利用者向けサービスの向上に努める図書館サポート事業が、受託館数の増加によって拡大するなど、前年を上回った。
その結果、部門全体の売上高は8,216億円(前期比4.0%増)、営業利益は293億円(前期比32.3%増)となった。
(生活・産業部門)
包装関連は、紙カップやプラスチック成型品が増加したが、紙のパッケージやフィルムのパッケージのほか、ペットボトル用無菌充填システムの販売が減少したことにより、前年を下回った。
住空間マテリアル関連は、DNP独自のEB(Electron Beam)コーティング技術を活かした環境配慮製品などの販売や海外市場の開拓に注力したが、住宅建設需要の回復の遅れにより、前年を下回った。なお、一部の製品の不具合により、補修対策を実施した。
産業資材関連は、太陽電池用部材、リチウムイオン電池用部材がともに好調に推移し、前年を上回った。
その結果、部門全体の売上高は3,826億円(前期比1.5%減)、営業利益は125億円(前期比7.9%減)となった。
(エレクトロニクス部門)
ディスプレイ関連製品事業は、次世代ディスプレイとして期待される有機ELディスプレイの製造に使用する蒸着マスク(メタルマスク)が順調に推移したが、液晶ディスプレイ用カラーフィルターは、スマートフォンやタブレット端末向けの中小型品及びテレビ向けの大型品がともに減少し、前年を下回った。また、光学フィルムは主力の反射防止フィルムが減少し、前年を下回った。
電子デバイス事業は、半導体製品用フォトマスクは、海外向けは増加したものの国内向けが伸び悩み、またリードフレームも減少して、前年を下回った。
その結果、部門全体の売上高は1,993億円(前期比13.4%減)、営業利益は205億円(前期比20.8%減)となった。
〔清涼飲料事業〕
(清涼飲料部門)
清涼飲料業界では、価格競争によるメーカー間のシェア争いなどで厳しい市場環境が続いたが、新ボトル缶の投入やリニューアルによる主要ブランド商品の強化、エリアマーケティングを活かした自動販売機事業の推進など、既存市場でのシェア拡大と新規顧客の獲得に努めた。
その結果、新抽出技術を採用したコーヒー飲料や、主力ブランド「綾鷹」などのティー飲料が増加したが、北海道地域以外のグループボトラーへの販売減少に加え、「コカ・コーラ」やスポーツ飲料が減少し、部門全体の売上高は580億円(前期比2.6%減)、営業利益は9億円(前期比8.0%減)となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,755億円(前期比17.5%減)となり、前連結会計年度末より372億円減少した。(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は726億円(前期比15.3%減)となった。これは、税金等調整前当期純利益548億円、減価償却費653億円等によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は608億円(前期比20.5%増)となった。これは、有形固定資産の取得による支出644億円等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は471億円(前期比97.6%増)となった。これは、配当金の支払額208億円、自己株式の取得200億円等によるものである。
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