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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007RNP

有価証券報告書抜粋 住友化学株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループ(当社および連結子会社)は、事業拡大と収益向上に寄与すべく、独自の優位性ある技術の確立を基本方針とし、各社が独自に研究開発活動を行っているほか、当社グループ全体としての効率性を念頭に置きながら、互いの研究開発部門が密接に連携して共同研究や研究開発業務の受委託等を積極的に推進している。
なお、2015年4月1日の組織改正により、基礎化学品研究所および石油化学品研究所を再編し、エネルギー・機能材料研究所を新設した。また、当社のコア技術である有機合成技術をより機動的に事業に活かし、事業化への更なるスピードアップ、川下製品への展開、有機・無機ハイブリッド技術の進展等の要請に応えるために、有機合成研究所を発展的に解消して、個別の事業と密接に関連する研究開発機能については事業部門研究所に移管・統合し、将来の事業になり得る分野の有機合成技術については筑波地区研究所(筑波開発研究所および先端材料探索研究所)と統合した。
当連結会計年度においては、2013年度から2015年度までの中期経営計画に従い、環境・エネルギー、ライフサイエンス、ICT(情報・通信技術)の3分野に研究資源を重点投入するとともに、異分野技術融合による新規事業の芽の発掘とその育成に取り組んできた。
これに基づき、当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度に比べ79億円増加し、1,558億円となった。

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりである。

石油化学分野では、事業のグローバル競争力強化のために、プロピレンオキサイド、カプロラクタム、メタアクリルモノマーを中心とする既存バルク製品の触媒・プロセス改良、合成樹脂の製造プロセスの改良、既存素材の高性能化や新規高付加価値製品の開発に積極的に取り組んでいる。当連結会計年度において、ポリエチレンでは、太陽電池用封止向け材料の性能改良に進展があった。具体的には、太陽電池の大規模発電で出力低下に繋がるPID(Potential Induced Degradation)現象を抑えることが可能な封止材の評価が進展し、顧客への採用が進んだ。ポリプロピレンでは、軽量化等の環境ニーズに対応した自動車材や機能性フィルム材に求められる高性能ポリプロピレンの材料、および、その製造プロセスの開発に進展が見られた。メタアクリルモノマーに関しては、性能が大幅に向上した触媒の製造を開始し、2016年度から使用予定である。新製品開発では、難燃性と柔軟性を兼ね備えた熱可塑性エラストマーの採用に向けた顧客評価、および蓄熱性能を有する樹脂材料の顧客での実用評価に向けた技術開発が進展した。
なお、石油化学部門の研究開発費は62億円であった。

エネルギー・機能材料分野では、自動車用排ガスのすす除去フィルター、低燃費タイヤ用の高性能ゴムや新規添加剤、LED照明用基板原料や高機能樹脂製品など、環境・エネルギー関連事業拡大のため、無機材料、高分子材料、有機合成などの幅広い分野で、新規製品創出や既存製品の競争力強化に向けた研究開発に取り組んでいる。当連結会計年度において、無機材料関連では、独自に開発したチタン酸アルミニウム製のディーゼルエンジンすす除去フィルターについて、ポーランド工場で商業生産を開始した。リチウムイオン電池用のアルミナについては品質改良を実施して他社品との差別化を図り、併せてその生産性向上についても目途を得た。アルミニウム分野では、高純度アルミニウムの耐食性を活かした上で強度、成形性を向上させた新規材料の開発が進捗した。合成ゴム関連では、様々な要求性能を満たす新規グレードの開発に目途を得、顧客評価が進んでいる。化成品関連では、機能性ゴム薬品について、タイヤ用途向け新規製品の本格製造を開始した。
なお、エネルギー・機能材料部門の研究開発費は61億円であった。


情報電子化学分野では、日本国内に留まらず情報電子化学部門内のグローバルな技術・研究開発能力を結集し、IT関連企業の先端技術に対応する新規材料・部材・デバイスに関する新製品の開発に、引き続き積極的に取り組んでいる。当連結会計年度は、機能性光学フィルム分野において、当社が培ってきた差別化技術に基づく最先端製品の開発・製造をさらに推進した。具体的には、スマートフォンをはじめとするモバイル機器向け液晶用光学フィルムにおいて、薄型化・高性能化を支える要素技術の自社開発を進め、それらを活用して上市した製品は大手顧客の好評を得た。また、これから大きく市場拡大することが期待されているフレキシブルディスプレイに代表される次世代ディスプレイに用いられる様々な新製品・新技術の開発に目途をつけつつあり、今後は量産化技術を確立し、新製品の市場投入を進めていく。
電子材料分野では、高性能液晶パネル向け高輝度・高色再現性カラーレジストや半導体向け液浸ArFレジストにおいて、独自性の高い材料技術に立脚した製品が国内外の大手需要家から高い評価を得ている一方、需要拡大の続く半導体向け厚膜i線レジストの新規顧客を獲得した。また、スーパーエンジニアリングプラスチックスの分野では、従来から好評を得ていた航空機向け分野において、新規グレードの開発工業化を完了し市場投入を始めている。さらにMOエピタキシャルウエハ分野では、今後成長が見込まれるパワーデバイス分野においてさらなる開発の効率化と競争優位を獲得すべく、買収したサイオクス社との連携を深めつつ、国家プロジェクトへの参画を通じて最先端分野での技術開発を推し進めている。
電池部材分野では、リチウムイオン二次電池用耐熱セパレータの事業拡大を支える要素技術の開発に力を入れる一方、自動車用途以外への適用を視野に入れた新セパレータの開発を推進している。また、正極材料においては、当社の強みを活かして開発し、市場評価中のハイニッケル系材料を含めたいくつかの品目について、部材メーカー選定に向けて特性の最適化を進めた。
表示デバイス分野では、タブレットPCやスマートフォンに使用されるタッチセンサーパネルに関する設計・開発・製造を韓国の子会社東友ファインケム社にて精力的に実施している。顧客企業の旺盛な需要に応えるべく革新的生産技術の開発を進めている一方、フレキシブルディスプレイ用にも展開が期待されるフィルムベースタッチセンサーの量産化にも成功した。
なお、情報電子化学部門の研究開発費は185億円であった。

健康・農業関連事業分野では、新製品、新技術の開発や製造プロセスの改善・向上に積極的に取り組み、コア事業の強化と周辺事業への展開および川下化を推進し、健康・農業関連事業を取り巻く環境の変化に柔軟に対応している。当連結会計年度において、農業関連事業については、国内では新規農薬・肥料製品の上市により製品ラインナップの拡充を図るとともにその他の取り組みとして、従来より実施している農業法人の運営強化に加え、2014年度から開始したコメ事業の早期確立を進めている。また、グループ会社を通じて、種子、種苗、培土、灌水資材、農業フィルムの販売、農産物販売などを積極展開している。非農耕地分野においても、グループ会社を通じて、家庭用園芸、ゴルフ場、森林防除等の非農耕地分野に農薬・肥料製品を展開している。海外では、米国において、大豆向け種子処理用殺虫殺菌剤と果樹・野菜・トウモロコシなどに適用できる殺ダニ新規製剤を上市し、さらに土壌センチュウ防除用の微生物農薬の開発を推進している。エジプト、韓国では果樹・野菜用殺菌剤の新規登録を取得した。また、ブラジルでは農薬などの農業関連製品の効力評価、開発、分析を行う研究開発拠点を2016年度に開設することを決定し、用地取得・設計に着手した。シンガポールではシンガポール農食品獣医庁と共同で、都市型農業の研究開発プロジェクトを開始した。また、米国子会社ベーラント・バイオサイエンス社と当社との間で、バイオラショナル(天然物由来などの微生物農薬、生物成長調整剤、微生物農業資材など)と化学農薬の海外全般を対象とした開発、マーケティング、事業企画、研究、農薬登録の各機能を統合した事業運営体制を開始した。さらに、現在資本提携している豪州農薬会社ニューファーム社とは混合剤新製品の商業化に向けた開発に取り組んでいる。生活環境事業については、家庭用殺虫剤・業務用殺虫剤・動物用殺虫剤・ヒューマンヘルスケア・エアプロテクション・熱帯感染症剤の各重点分野における新製品開発を推進している。エアプロテクション分野については静電噴霧技術を用いた業務用芳香消臭剤の新製品を上市し、新規市場の開発を加速している。熱帯感染症分野については、アフリカ諸国で上市したピレスロイド抵抗性媒介蚊に有効なマラリア対策用防虫蚊帳の普及と販売推進を行っている。また、熱帯感染症に対する総合防除に係る製品強化のため、新しいコンセプトのピレスロイド抵抗性対策蚊帳、さらに室内残留散布剤や幼虫防除剤などの蚊帳以外の防除手段の開発も推進している。アニマルニュートリション事業においては、引き続きマレーシアのアニマルニュートリションテクノロジーセンターにて新規商材開発を推進している。また、メチオニンについて中米地域の主要国に新規登録を実施し、販売を開始した。医薬化学品事業では、ジェネリック原薬の製法開発と商用生産に注力するとともに、原薬・中間体の受託製造案件の獲得に積極的に取り組んでいる。また、新規分野である核酸医薬原薬の製造については、2016年度中のGMP(Good Manufacturing Practice)生産開始を目指し、製造のスケールアップおよび品質管理体制の整備を進めている。
なお、健康・農業関連事業部門の研究開発費は268億円であった。

医薬品分野では、自社研究、技術導入、ベンチャーやアカデミアとの共同研究等あらゆる方法で、最先端の技術を 取り入れて、研究開発活動に取り組んでおり、精神神経領域とがん領域を重点領域とし、革新的な医薬品の創製を目指している。さらに、治療薬のない疾患分野や再生医療・細胞医薬といった新規分野において、世界に先駆けて事業展開を図っていく。当連結会計年度においては、大日本住友製薬株式会社、日本メジフィジックス株式会社保有の先端技術を活かした創薬研究等を進めるとともに、国内外の大学を含む研究機関等とのアライアンスも積極的に進めている。
研究初期段階では、ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクス等に関する自社保有の先端技術等の活用により研究効率の向上に取り組むとともに、iPS細胞等の最先端サイエンスを創薬や再生医療・細胞医薬に応用する取組を進めている。また、京都大学iPS細胞研究所と難治性希少疾患の治療薬の創製を目指した共同研究を推進中であり、産官学連携プロジェクトである「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」にも積極的に参加している。
研究後期および開発段階では、研究重点領域および新規分野を中心に他の領域も含めて、グローバルな視点からグループ全体でのポートフォリオの最適化を行っている。加えて、製品価値の最大化を目指した剤形展開等の製品ライフサイクルマネジメントにも積極的に取り組んでいる。
精神神経領域では、次の進展があった。①「アプティオム」について、米国において2015年8月に、部分てんかん発作の単剤療法を適応とした追加承認を取得した。②ルラシドン塩酸塩について、日本において統合失調症を対象とした新規第Ⅲ相臨床試験を開始し、中国において2015年12月に、統合失調症を対象とした承認申請を行った。③dasotraline(開発コード:SEP-225289)について、米国において、注意欠如・多動症(ADHD)を対象とした第Ⅲ相臨床試験を進めており、これに加えて、過食性障害(BED)を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始した。
がん領域では、次の進展があった。①napabucasin(開発コード:BBI608)について、米国等において、胃または食道胃接合部腺がんを対象とした併用での国際共同第Ⅲ相臨床試験を進めており、これに加えて、米国において、結腸直腸がんを対象とした併用での国際共同第Ⅲ相臨床試験を開始した。また、日本において、悪性胸膜中皮腫を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の第Ⅱ相段階を開始した。②Amcasertib(開発コード:BBI503)について、米国において、卵巣がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験を開始した。③DSP-7888について、日本において、骨髄異形成症候群(MDS)を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の第Ⅱ相段階を開始した。
再生医療・細胞医薬の領域では、大日本住友製薬株式会社と株式会社ヘリオスとの合弁会社である株式会社サイレジェンが、商用を視野に入れた網膜色素上皮細胞の製法検討を開始し、大日本住友製薬株式会社において、新規細胞生産設備の設置に向けた準備を進めている。細胞医薬について、米国において、サンバイオ・インクと共同でSB623について慢性期脳梗塞を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験を開始した。
当社グループは、開発品の導入および研究提携にも積極的に取り組んでおり、国内の研究機関および研究者を対象に、当社グループの創薬研究ニーズと合致するアイデアを募集する公募型オープンイノベーション活動「PRISM」を開始した。
放射性医薬品では、2003年度にライセンス導入した新規がん診断用PET製剤で開発が進捗し、2013年度にライセンス導入したアルツハイマー診断剤も、医薬品としての製造販売承認申請に向けて準備を進めている。また、RI治療事業の増強のため、小線源治療用医療機器の品目拡充を図り、海外から新製品2品目を導入し、2015年度に承認を取得した。
なお、医薬品部門の研究開発費は837億円であった。

全社共通およびその他の研究分野では、上記5事業分野の事業領域を外縁部へ積極拡大するための研究およびマテリアルズ・インフォマティクス等の計算機科学をはじめとする共通基盤技術開発とともに、既存事業の枠に属さない新規事業分野への展開を図るべく、環境・エネルギー、ICT、ライフサイエンスの各分野で研究開発に取り組んでいる。当連結会計年度においては、次の進展があった。ICT分野では、ディスプレイ用途において、引き続き高分子有機EL材料の性能向上に取り組むとともに、想定パネル生産プロセスにおける性能具現化の検討を行った。さらに、プリンテッド・エレクトロニクス技術を使った有機半導体の開発や、有機成分と無機成分をナノレベル・分子レベルで機能設計することにより、これまでにない機能を有する材料を生み出す技術の開発を進めている。環境・エネルギー分野では、高分子有機EL照明において、フレキシブルな基板を用いた一般照明パネルの開発を進めた。今後は当該パネルの事業化に向け、パネル性能の確保、生産プロセスの確立に取り組む。また、膜分離法によるCO2分離技術では、実際のプラント稼働下での実証試験で良好な結果が得られた。ライフサイエンス分野では、培養細胞を用いた、生体を使わない化学品安全性評価システムの構築に取り組んでいる。
なお、全社共通部門の研究開発費は145億円であった。

このように、事業拡大および競争力強化を図るべく、新製品・新技術の研究開発および既存製品の高機能化・既存技術の一層の向上に取り組み、各事業分野において着実に成果を挙げつつある。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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