有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007UMG
日本酸素ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループ(当社及び連結子会社)は、従来技術の延長線上にないナンバーワン技術・オンリーワン技術に代表される「ワン」技術を次々と生み出し、他社との差異化を達成することで、世界の産業ガスメジャーと比肩しうる企業を目指しております。
環境・エネルギー、エレクトロニクス、医療分野といった先端産業分野を中心に、ファインマテリアル等の新素材分野の開発にも積極的に取り組んでおります。また、知的財産の有効活用と特許出願についても鋭意推進しており、2015年の特許保有件数は689件となっております。
当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は33億48百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」27億76百万円、「米国ガス事業」5億4百万円、「サーモス他事業」66百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。
〔国内ガス事業〕
国内ガス事業においては、鉄鋼、化学工業、自動車産業、半導体メーカー、医療・ライフサイエンス分野等、様々な産業で当社製品・技術をご利用頂いております。当社では、つくば研究所、山梨研究所、SIイノベーションセンター及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しております。
エネルギー分野では、燃料電池自動車に70MPaの高圧水素ガスを供給する水素ステーションの開発を継続実施しております。3年前に商品化した低コストでコンパクトな移動式パッケージ型水素ステーション「Hydro ShuttleⓇ」のコストダウンやブラッシュアップに取り組み、最新型にモデルチェンジいたしました。最新型移動式「Hydro ShuttleⓇ」の受注実績は11基となり、定置式水素ステーションのバリエーションを加えて、水素ステーションの早期普及に貢献してまいります。
環境分野では、酸素燃焼技術を応用し、排ガス中に含まれるNH3やシアン化水素を分解・無害化する技術の開発を完了しました。この技術は、今後成長が期待される、炭素繊維製造工程で排出される排ガスの処理に適用が期待されます。既存の空気燃焼式除害設備と比較して、ランニングコストの低減を図る事が可能であり、同分野への拡販を図ってまいります。
熱処理分野では、高性能サブゼロ処理技術の開発を完了しました。この技術は、液体窒素によるサブゼロ処理(低温雰囲気下で金属を冷却する処理)において、処理槽内温度分布の均一化と精密温度制御技術を実現しております。今後、管理温度が厳しくなると考えられる、航空機関連部品や自動車関連部品のサブゼロ処理への本技術の適用に取り組んでまいります。
高温超電導分野では、参画していたNEDOプロジェクト「イットリウム系超電導電力機器技術開発」(期間:2008~2012年度)の成果を用いて、冷凍能力2kWを有するメンテナンスフリーネオン冷凍機の商品化(商品名:NeoKelvin turbo-2kW)を達成しました。本冷凍機は超電導電力機器を-200℃以下まで冷却することが可能な、世界初のネオンガスを冷媒とする冷凍機であり、これまでに5基を納入しました。また、海外においても、当社のネオン冷凍機を用いた超電導送電線のフィールド試験が行われております。超電導電力機器は、省エネルギー電力技術の切り札として期待されており、海外では商用の超電導送電線プロジェクトが進行中です。
ジェネレータ分野では、昨年に引き続きPSA式窒素ガス発生装置「NitrocubeⓇ」の新型機のリリースを行いました。市場が拡大しておりますファイバーレーザ向けに特化した装置を大幅改良し、従来比10%の消費電力削減と20%の設置面積削減に成功しました。この改良により、生産性向上設備投資促進税制の適用を受けることができ、2015年度の販売実績は前年比2倍の17台と順調に販売台数を伸ばしました。一方、台湾のPSAメーカーでありますBenson社から調達した吸着剤中間体を利用した安価な高性能吸着剤の量産を開始、コンパクト化とコストダウンを図った新型機種1号機をケミカルタンカー向けに納入いたしました。今後は船舶分野ではLPG船などへ、一般工業ガス向けでは大型装置向けに高性能吸着剤を採用した新型機種を市場投入し、売上げの拡大を図ってまいります。また、大型の酸素製造装置では、前処理吸着器、蒸留塔、熱交換器など主要機器の最適化及び小型化により、コールドボックスのコンパクト化とコスト低減を図っています。従来比10%動力を削減した低原単位の酸素製造装置の開発を完了させ、実現に向けた取り組みを開始しています。最近ではエネルギー産業等での需要を対象にした新商材として天然ガス液化装置の開発と商品化に取り組んでおります。
新素材分野では、フッ素樹脂に長尺で純度の高い自社製カーボンナノチューブ(CNT)を微量添加し高い電気伝導性を付加した「高機能フッ素樹脂」を商品化しました。PTFEの丸棒、シート等の一次成形品並びにフィルム状の加工品にて販売を開始しております。ガラス・フィルムの帯電防止コーティング向けに、長尺CNTを含んだ「分散液」を塗布プロセスと共に開発し、サンプル出荷を開始しております。帯電防止フィルムについてもサンプル出荷を開始しております。また、低温で焼成可能な高純度銅ナノ粒子は、電子機器の微細配線や電子部品の接合用途に向け開発に取り組みました。一般的な銅系ナノ粒子には、有機物で表面を保護した銅ナノ粒子や亜酸化銅のナノ粒子があります。これらは、高い導電性を得るために、300℃以上の加熱や長時間の還元処理が必要でした。開発した本ナノ粒子は、表層のみ酸化した高純度銅ナノ粒子で、150~200℃の還元雰囲気において、10分程度の短時間の加熱で焼結させることができます。本ナノ粒子は、独自開発した酸素燃焼によるナノ粒子合成技術によって、低コストで大量に製造することが可能です。現在まで、プリンテッドエレクトロニクス分野での導電性インクやパワー半導体の接合用ペースト向けに多くのユーザー様へサンプル提供を行っております。今後もサンプル提供を継続し、お客様のニーズに合わせた改良・改善を進めながら本格的な事業化を進めてまいります。「球状アルミナ」については、TIM(Thermal Interface Material)向けにサンプル提供を行っており、一部のユーザーにおいて量産試作中です。
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置関連では、種々のアプリケーション・ユーザーの要求にマッチした処理基板サイズ、処理枚数の装置開発を進めております。世界各国の顧客からの高度な顧客要求に効率的に応えていくため、国内外の国立研究機関との積極的なアライアンスによる開発を推進して参りました。
窒化ガリウム(以下、GaN)パワーデバイスの分野では、名古屋工業大学「窒化物半導体マルチビジネス創生センター」に参画し、8インチ又は6インチSi基板に対応した大量処理能力を有するMOCVD装置「UR26K」の高性能化を推進、国内外の顧客からの引き合いに対応しております。光デバイスの分野では、台湾の研究機関であるITRI(工業技術研究院)にLED製造プロセスの技術開発を委託、殺菌・UVキュア等の分野で注目されている紫外光のLEDをアプリケーションとしたMOCVD装置「SR4000HT」の商品化に成功、国内外のメーカー・研究機関に複数の受注実績を上げております。当社では製造装置の高付加価値化の開発を継続して実施しており、反応炉内部の部品のドライクリーニング装置及び「その場クリーニング機能」を付備したMOCVD装置「SR8000」を開発、GaN基板上の電子デバイス等の新分野に向けた事業展開を目指しております。また半導体装置メーカーとのコラボレーションワークにて材料及びプロセスの一括提案を加速させ、数社の顧客より実証試験に向けた材料の引き合いを頂き納入致しました。当該提案における引合いが加速しており、今後材料の拡販が見込まれております。
半導体、液晶、太陽電池の製造プロセスで使用される地球温暖化係数が高いパーフルオロ化合物(PFCs)に対しては、排ガス処理装置による排出削減の技術開発を継続して実施しております。当社は燃焼式、吸着式、プラズマ式の排ガス処理装置を有し、お客様の仕様に合わせた最適提案を行うことで多くの納入実績を上げております。
医療・ライフサイエンス分野では、安定同位体の研究開発拠点として、2015年4月1日に「SIイノベーションセンター」を設立いたしました。安定同位体の産業展開に向け、先端研究機関や企業と連携し「素材としての新たな価値を創出する」研究開発を実施しております。前連結会計年度は、タンパク質の機能解明や医薬研究に資する「タンパク質の無細胞合成技術」と関連商品(商品名:無細胞くん)の高度化、並びに体内の代謝物を高精度に解析するための「質量分析向け安定同位体試薬」を中心に開発を進めて参りました。また「無細胞くん」は国内だけではなく、国際学会で商品展示や教育セミナーなどで営業展開し、米国の先端研究機関や製薬会社から受注頂いております。
バイオメディカル分野では、AMED事業「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」において、生体試料の凍結保存から搬送、解凍に至る温度履歴を通信ネットワークを活用して連続記録可能な生体試料温度履歴統合管理システム「CryoLibrary iMasterⓇ」を開発しました。また、液体窒素式全自動凍結保存装置「クライオライブラリーⓇ ADVANCE」においては、収納形態等、お客様のニーズに応じた仕様の充実を図り、海外を含め活発化している創薬分野や再生医療分野への導入展開を進めております。
〔米国ガス事業〕
米国ガス事業では、コロラド州ロングモント研究所においてガス分析・精製技術の開発、半導体産業向け材料ガス・機器の開発に加え、当社山梨研究所からのガスアプリケーション製品の導入やベンチャー投資を含むオープンイノベーションの推進等により、新規事業創出・サプライチェーン最適化・既存ガス事業とのシナジー追求を目的として研究開発を進めております。
ガス分析・精製技術の開発では、ホスフィン、ゲルマン等の水素化物混合ガス製品へ金属不純物の品質基準を導入することで、更なる高品質化を実現するとともに、大手半導体メーカーへの供給量拡大に貢献致しました。
半導体産業向けには、現地企業との次世代半導体向け原料ガス・プロセスガスの共同開発プロジェクト、並びにレーザー用混合ガス・機器の開発に取り組んでおります。
ガスアプリケーション製品では、液体窒素を用いた食品冷凍分野において新規顧客が堅調に増加したことに加え、当社山梨研究所で開発されたバーナー技術及びガス精製装置を受注するなど、2009年に設立した米国ガスアプリケーションセンターの活用を通じた米国市場の開拓が着実に進んでおります。
オープンイノベーションの推進については、2015年にガス精製・分離技術に関する商材を取り扱う戦略事業ユニットとしてMatheson Tri-Gas, Inc.社に設立したFrontier Purification Technology部門が中心となり、当社が出資した硫黄除去剤の開発・製造・販売を行うSulfaTrap社製品のオイル&ガス市場向けマーケティング、並びに三菱化学㈱が開発したZebrex(ゼオライト膜分離によるエタノールの精製)のバイオエタノール市場向けマーケティングを開始致しました。
米国では新規製品・技術の獲得に向けて、引き続き複数のベンチャー企業への資本参加を進め、更なる新規事業の創出を進めてまいります。
〔サーモス他事業〕
家庭用品分野においては、「サーモスマジック」をコンセプトに、独自の断熱技術とユニークな生活快適発想を柔軟に組合せた夢のあるライフスタイルの創造を目指し、積極的な商品開発を推進しております。
直接飲めるスポーツ&キッズボトルのカテゴリーでは、ユーザートレンドに合わせ、デザイン、カラーの一新を図るとともに、ライセンスキャラクター製品の品数を拡充致しました。また、スポーツシーンに多い“氷を持ち運びたい”というニーズに応え、氷を解かさず長時間キープしたまま持ち運ぶための魔法瓶、“真空断熱アイスコンテナー”を商品化しております。
お弁当カテゴリーでは、新しいライフスタイル型商品として急成長しているフードコンテナーのカラーを一新するとともに、これらに付属する小物として、専用スプーンや専用ポーチを取り揃えました。
ベビーカテゴリーにおいては、軽量・コンパクトでさらにお手入れし易くなった調乳用ボトルの商品化に加え、中身が漏れない機能性が人気のストローマグに新シリーズを追加投入致しました。
また、“家庭で手軽に本格アイスコーヒーを楽しみたい”という声にお応えするために、アイスコーヒーの抽出に最適な専用設計を行った、アイスコーヒー専用のコーヒーメーカーを商品化致しました。
上記の商品群に加えて、ボトルの日々のお手入れに対するユーザーの声にお応えするため、ステンレスボトル内部の金属に電流を流すことでボトルに付着した汚れを根元から浮かせて剥がす、サーモス独自の発想によるステンレスボトル専用の洗浄器を開発、酸素系漂白剤と合わせて上市致しました。
引続き市場拡大が続くケータイマグに加え、ドイツの高級魔法瓶ブランドであるalfi GmbH社製品の取り扱い開始などにより、当連結会計年度に投入した新商品は91機種となります。
このように積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けています。
(注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。
環境・エネルギー、エレクトロニクス、医療分野といった先端産業分野を中心に、ファインマテリアル等の新素材分野の開発にも積極的に取り組んでおります。また、知的財産の有効活用と特許出願についても鋭意推進しており、2015年の特許保有件数は689件となっております。
当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は33億48百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」27億76百万円、「米国ガス事業」5億4百万円、「サーモス他事業」66百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。
〔国内ガス事業〕
国内ガス事業においては、鉄鋼、化学工業、自動車産業、半導体メーカー、医療・ライフサイエンス分野等、様々な産業で当社製品・技術をご利用頂いております。当社では、つくば研究所、山梨研究所、SIイノベーションセンター及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しております。
エネルギー分野では、燃料電池自動車に70MPaの高圧水素ガスを供給する水素ステーションの開発を継続実施しております。3年前に商品化した低コストでコンパクトな移動式パッケージ型水素ステーション「Hydro ShuttleⓇ」のコストダウンやブラッシュアップに取り組み、最新型にモデルチェンジいたしました。最新型移動式「Hydro ShuttleⓇ」の受注実績は11基となり、定置式水素ステーションのバリエーションを加えて、水素ステーションの早期普及に貢献してまいります。
環境分野では、酸素燃焼技術を応用し、排ガス中に含まれるNH3やシアン化水素を分解・無害化する技術の開発を完了しました。この技術は、今後成長が期待される、炭素繊維製造工程で排出される排ガスの処理に適用が期待されます。既存の空気燃焼式除害設備と比較して、ランニングコストの低減を図る事が可能であり、同分野への拡販を図ってまいります。
熱処理分野では、高性能サブゼロ処理技術の開発を完了しました。この技術は、液体窒素によるサブゼロ処理(低温雰囲気下で金属を冷却する処理)において、処理槽内温度分布の均一化と精密温度制御技術を実現しております。今後、管理温度が厳しくなると考えられる、航空機関連部品や自動車関連部品のサブゼロ処理への本技術の適用に取り組んでまいります。
高温超電導分野では、参画していたNEDOプロジェクト「イットリウム系超電導電力機器技術開発」(期間:2008~2012年度)の成果を用いて、冷凍能力2kWを有するメンテナンスフリーネオン冷凍機の商品化(商品名:NeoKelvin turbo-2kW)を達成しました。本冷凍機は超電導電力機器を-200℃以下まで冷却することが可能な、世界初のネオンガスを冷媒とする冷凍機であり、これまでに5基を納入しました。また、海外においても、当社のネオン冷凍機を用いた超電導送電線のフィールド試験が行われております。超電導電力機器は、省エネルギー電力技術の切り札として期待されており、海外では商用の超電導送電線プロジェクトが進行中です。
ジェネレータ分野では、昨年に引き続きPSA式窒素ガス発生装置「NitrocubeⓇ」の新型機のリリースを行いました。市場が拡大しておりますファイバーレーザ向けに特化した装置を大幅改良し、従来比10%の消費電力削減と20%の設置面積削減に成功しました。この改良により、生産性向上設備投資促進税制の適用を受けることができ、2015年度の販売実績は前年比2倍の17台と順調に販売台数を伸ばしました。一方、台湾のPSAメーカーでありますBenson社から調達した吸着剤中間体を利用した安価な高性能吸着剤の量産を開始、コンパクト化とコストダウンを図った新型機種1号機をケミカルタンカー向けに納入いたしました。今後は船舶分野ではLPG船などへ、一般工業ガス向けでは大型装置向けに高性能吸着剤を採用した新型機種を市場投入し、売上げの拡大を図ってまいります。また、大型の酸素製造装置では、前処理吸着器、蒸留塔、熱交換器など主要機器の最適化及び小型化により、コールドボックスのコンパクト化とコスト低減を図っています。従来比10%動力を削減した低原単位の酸素製造装置の開発を完了させ、実現に向けた取り組みを開始しています。最近ではエネルギー産業等での需要を対象にした新商材として天然ガス液化装置の開発と商品化に取り組んでおります。
新素材分野では、フッ素樹脂に長尺で純度の高い自社製カーボンナノチューブ(CNT)を微量添加し高い電気伝導性を付加した「高機能フッ素樹脂」を商品化しました。PTFEの丸棒、シート等の一次成形品並びにフィルム状の加工品にて販売を開始しております。ガラス・フィルムの帯電防止コーティング向けに、長尺CNTを含んだ「分散液」を塗布プロセスと共に開発し、サンプル出荷を開始しております。帯電防止フィルムについてもサンプル出荷を開始しております。また、低温で焼成可能な高純度銅ナノ粒子は、電子機器の微細配線や電子部品の接合用途に向け開発に取り組みました。一般的な銅系ナノ粒子には、有機物で表面を保護した銅ナノ粒子や亜酸化銅のナノ粒子があります。これらは、高い導電性を得るために、300℃以上の加熱や長時間の還元処理が必要でした。開発した本ナノ粒子は、表層のみ酸化した高純度銅ナノ粒子で、150~200℃の還元雰囲気において、10分程度の短時間の加熱で焼結させることができます。本ナノ粒子は、独自開発した酸素燃焼によるナノ粒子合成技術によって、低コストで大量に製造することが可能です。現在まで、プリンテッドエレクトロニクス分野での導電性インクやパワー半導体の接合用ペースト向けに多くのユーザー様へサンプル提供を行っております。今後もサンプル提供を継続し、お客様のニーズに合わせた改良・改善を進めながら本格的な事業化を進めてまいります。「球状アルミナ」については、TIM(Thermal Interface Material)向けにサンプル提供を行っており、一部のユーザーにおいて量産試作中です。
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置関連では、種々のアプリケーション・ユーザーの要求にマッチした処理基板サイズ、処理枚数の装置開発を進めております。世界各国の顧客からの高度な顧客要求に効率的に応えていくため、国内外の国立研究機関との積極的なアライアンスによる開発を推進して参りました。
窒化ガリウム(以下、GaN)パワーデバイスの分野では、名古屋工業大学「窒化物半導体マルチビジネス創生センター」に参画し、8インチ又は6インチSi基板に対応した大量処理能力を有するMOCVD装置「UR26K」の高性能化を推進、国内外の顧客からの引き合いに対応しております。光デバイスの分野では、台湾の研究機関であるITRI(工業技術研究院)にLED製造プロセスの技術開発を委託、殺菌・UVキュア等の分野で注目されている紫外光のLEDをアプリケーションとしたMOCVD装置「SR4000HT」の商品化に成功、国内外のメーカー・研究機関に複数の受注実績を上げております。当社では製造装置の高付加価値化の開発を継続して実施しており、反応炉内部の部品のドライクリーニング装置及び「その場クリーニング機能」を付備したMOCVD装置「SR8000」を開発、GaN基板上の電子デバイス等の新分野に向けた事業展開を目指しております。また半導体装置メーカーとのコラボレーションワークにて材料及びプロセスの一括提案を加速させ、数社の顧客より実証試験に向けた材料の引き合いを頂き納入致しました。当該提案における引合いが加速しており、今後材料の拡販が見込まれております。
半導体、液晶、太陽電池の製造プロセスで使用される地球温暖化係数が高いパーフルオロ化合物(PFCs)に対しては、排ガス処理装置による排出削減の技術開発を継続して実施しております。当社は燃焼式、吸着式、プラズマ式の排ガス処理装置を有し、お客様の仕様に合わせた最適提案を行うことで多くの納入実績を上げております。
医療・ライフサイエンス分野では、安定同位体の研究開発拠点として、2015年4月1日に「SIイノベーションセンター」を設立いたしました。安定同位体の産業展開に向け、先端研究機関や企業と連携し「素材としての新たな価値を創出する」研究開発を実施しております。前連結会計年度は、タンパク質の機能解明や医薬研究に資する「タンパク質の無細胞合成技術」と関連商品(商品名:無細胞くん)の高度化、並びに体内の代謝物を高精度に解析するための「質量分析向け安定同位体試薬」を中心に開発を進めて参りました。また「無細胞くん」は国内だけではなく、国際学会で商品展示や教育セミナーなどで営業展開し、米国の先端研究機関や製薬会社から受注頂いております。
バイオメディカル分野では、AMED事業「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」において、生体試料の凍結保存から搬送、解凍に至る温度履歴を通信ネットワークを活用して連続記録可能な生体試料温度履歴統合管理システム「CryoLibrary iMasterⓇ」を開発しました。また、液体窒素式全自動凍結保存装置「クライオライブラリーⓇ ADVANCE」においては、収納形態等、お客様のニーズに応じた仕様の充実を図り、海外を含め活発化している創薬分野や再生医療分野への導入展開を進めております。
〔米国ガス事業〕
米国ガス事業では、コロラド州ロングモント研究所においてガス分析・精製技術の開発、半導体産業向け材料ガス・機器の開発に加え、当社山梨研究所からのガスアプリケーション製品の導入やベンチャー投資を含むオープンイノベーションの推進等により、新規事業創出・サプライチェーン最適化・既存ガス事業とのシナジー追求を目的として研究開発を進めております。
ガス分析・精製技術の開発では、ホスフィン、ゲルマン等の水素化物混合ガス製品へ金属不純物の品質基準を導入することで、更なる高品質化を実現するとともに、大手半導体メーカーへの供給量拡大に貢献致しました。
半導体産業向けには、現地企業との次世代半導体向け原料ガス・プロセスガスの共同開発プロジェクト、並びにレーザー用混合ガス・機器の開発に取り組んでおります。
ガスアプリケーション製品では、液体窒素を用いた食品冷凍分野において新規顧客が堅調に増加したことに加え、当社山梨研究所で開発されたバーナー技術及びガス精製装置を受注するなど、2009年に設立した米国ガスアプリケーションセンターの活用を通じた米国市場の開拓が着実に進んでおります。
オープンイノベーションの推進については、2015年にガス精製・分離技術に関する商材を取り扱う戦略事業ユニットとしてMatheson Tri-Gas, Inc.社に設立したFrontier Purification Technology部門が中心となり、当社が出資した硫黄除去剤の開発・製造・販売を行うSulfaTrap社製品のオイル&ガス市場向けマーケティング、並びに三菱化学㈱が開発したZebrex(ゼオライト膜分離によるエタノールの精製)のバイオエタノール市場向けマーケティングを開始致しました。
米国では新規製品・技術の獲得に向けて、引き続き複数のベンチャー企業への資本参加を進め、更なる新規事業の創出を進めてまいります。
〔サーモス他事業〕
家庭用品分野においては、「サーモスマジック」をコンセプトに、独自の断熱技術とユニークな生活快適発想を柔軟に組合せた夢のあるライフスタイルの創造を目指し、積極的な商品開発を推進しております。
直接飲めるスポーツ&キッズボトルのカテゴリーでは、ユーザートレンドに合わせ、デザイン、カラーの一新を図るとともに、ライセンスキャラクター製品の品数を拡充致しました。また、スポーツシーンに多い“氷を持ち運びたい”というニーズに応え、氷を解かさず長時間キープしたまま持ち運ぶための魔法瓶、“真空断熱アイスコンテナー”を商品化しております。
お弁当カテゴリーでは、新しいライフスタイル型商品として急成長しているフードコンテナーのカラーを一新するとともに、これらに付属する小物として、専用スプーンや専用ポーチを取り揃えました。
ベビーカテゴリーにおいては、軽量・コンパクトでさらにお手入れし易くなった調乳用ボトルの商品化に加え、中身が漏れない機能性が人気のストローマグに新シリーズを追加投入致しました。
また、“家庭で手軽に本格アイスコーヒーを楽しみたい”という声にお応えするために、アイスコーヒーの抽出に最適な専用設計を行った、アイスコーヒー専用のコーヒーメーカーを商品化致しました。
上記の商品群に加えて、ボトルの日々のお手入れに対するユーザーの声にお応えするため、ステンレスボトル内部の金属に電流を流すことでボトルに付着した汚れを根元から浮かせて剥がす、サーモス独自の発想によるステンレスボトル専用の洗浄器を開発、酸素系漂白剤と合わせて上市致しました。
引続き市場拡大が続くケータイマグに加え、ドイツの高級魔法瓶ブランドであるalfi GmbH社製品の取り扱い開始などにより、当連結会計年度に投入した新商品は91機種となります。
このように積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けています。
(注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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