有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007TC4
住友ベークライト株式会社 業績等の概要 (2016年3月期)
(1) 業績
単位:億円前 期 | 当 期 | 増 減 | ||
金 額 | 率 | |||
連結売上高 | 2,097 | 2,070 | △27 | △1.3% |
連結営業利益 | 109 | 102 | △7 | △6.1% |
連結経常利益 | 113 | 106 | △7 | △5.9% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 71 | 38 | △33 | △46.2% |
退職給付会計の数理計算差異影響額(前期4億円の利益、当期20億円の損失)を除いたベースの実質の利益は以下のとおりです。
単位:億円
前 期 | 当 期 | 増 減 | ||
金 額 | 率 | |||
連結営業利益 | 105 | 122 | 17 | 15.8% |
連結経常利益 | 109 | 125 | 17 | 15.3% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 69 | 52 | △17 | △24.5% |
当期の世界経済は、米国では緩やかな景気拡大が続き、欧州も回復基調で推移しましたが、中国をはじめ新興国では成長が鈍化し、日本経済も消費税増税以降続いている個人消費の低迷などで景気回復に力強さがなく伸び悩みました。
当社グループを取り巻く経営環境は、半導体においては、牽引役を果たしていたスマートフォンなど多機能携帯端末の新興国での普及が一巡し、パソコンも大きく落ち込むなど、需要が減少しました。自動車においては、北米および欧州の新車販売が好調を持続しましたが、中国では期後半で自動車取得税の減税効果による上昇があったもののわずかな伸長にとどまり、国内も軽自動車税増税の影響で需要の落ち込みが長期化しました。国内の住宅着工件数は、横ばいで推移しました。
当社グループはこのような経営環境の中、次の方針を掲げて全社の総合力を結集するとともに、社内外での連携・協業も積極的に推進し、更には事業規模に応じた人員の適正化や事業構造改革などの緊急業績向上策実施による新たな経営環境への対応、成長軌道への回帰に向けた取り組みを実施してまいりました。
①国内既存事業の再生、ビジネスモデルの創造
②新製品・新規事業の早期立ち上げ、創生
③海外成長分野の収益力強化、規模拡大
この結果、当期の連結売上高は、一昨年6月に買収したVaupell Holdings, Inc.およびその関係会社の業績が加わった影響や、円安による押上げ効果等があったものの、原料安による売価値下げ影響などもあり、2,069億56百万円と、前期比で1.3%、27億3百万円の減収となりました。損益につきましては、原料安や円安の追い風のなか緊急業績向上策実施によるコスト削減効果により実質的には増益でしたが、退職給付会計の数理計算差異影響により、営業利益は前期比で6.1%減益の102億41百万円となり、経常利益も、前期比で5.9%減益の105億98百万円となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の整理・売却による特別利益がありましたが、希望退職者への特別退職金や、生産拠点再編に伴う設備の減損損失などの特別損失計上により、前期比で46.2%減益の38億28百万円となりました。
なお、前述しました退職給付会計の数理計算差異影響額を除いた実質ベースの利益で比較しますと、連結営業利益は15.8%、連結経常利益は15.3%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は24.5%の減益となりました。
(セグメント別販売状況)
① 半導体関連材料
単位:億円
前 期 | 当 期 | 増 減 | ||
金 額 | 率 | |||
連結売上高 | 472 | 459 | △13 | △2.8% |
実質連結営業利益 | 60 | 62 | 2 | 3.1% |
数理計算差異 | 1 | △4 | △5 | ― |
連結営業利益 | 61 | 58 | △3 | △4.8% |
半導体封止用エポキシ樹脂成形材料および半導体用液状樹脂は、モールドアンダーフィルなど戦略製品の拡販に加え、円安による在外子会社の売上高押し上げ効果もありましたが、スマートフォンなど多機能携帯端末用途が新興国をはじめとした市況の減速により伸び悩み、パソコンや家電用途も低調で、売上高は減少しました。
半導体パッケージ基板材料の「LαZ®」は、メモリー用途が実績化し成果があがっているものの、従来用途のスマートフォン用アプリケーションプロセッサー向けの既存採用機種での販売が伸びずに、売上高は減少しました。今後市場に投入される高機能機種向けアプリケーションプロセッサー用途の拡大に加え、メモリーなどボリュームが期待できる分野にも注力してまいります。
② 高機能プラスチック
単位:億円
前 期 | 当 期 | 増 減 | ||
金 額 | 率 | |||
連結売上高 | 945 | 915 | △30 | △3.2% |
実質連結営業利益 | 46 | 52 | 5 | 11.8% |
数理計算差異 | 1 | △5 | △6 | ― |
連結営業利益 | 47 | 47 | △0 | △0.6% |
フェノール樹脂成形材料、工業用フェノール樹脂、航空機内装部品および成形品は、北米および欧州の自動車用途の伸長や、一昨年買収したVaupell社の航空機内装部品事業が加わった効果もありましたが、日本国内の需要停滞や原料安による売価引き下げ影響などにより、売上高は減少しました。
銅張積層板は、車載やLED照明用途が堅調でしたが、民生機器が低調で、売上高は減少しました。
③ クオリティオブライフ関連製品
単位:億円
前 期 | 当 期 | 増 減 | ||
金 額 | 率 | |||
連結売上高 | 671 | 688 | 17 | 2.5% |
実質連結営業利益 | 28 | 38 | 10 | 34.2% |
数理計算差異 | 2 | △9 | △10 | ― |
連結営業利益 | 30 | 29 | △1 | △1.8% |
医療機器製品は、栄養管理製品や消化器内視鏡関連製品が好調で、一昨年買収したVaupell社の医療機器事業も加わり、売上高は増加しました。なお、血管内治療デバイス「ステアリングマイクロカテーテル」は、昨年10月にメリット・メディカル・システムズ社(米国)と日本国内以外の独占販売契約を締結し、欧州をはじめ海外で実績化したほか、国内でも本年4月に販売を開始しました。有望な戦略製品として更なる拡販に取り組んでまいります。
ビニル樹脂シートおよび複合シートは、スマートフォン向けなどの産業用フィルムが伸長し、売上高は増加しました。鮮度保持フィルム「P-プラス®」は、カット野菜や産地野菜の新規採用が進み、売上高が大幅に増加しました。従来用途以外にも動きが出ており、結露防止材が輸出用のさつまいもに採用されました。今後一層の販路拡大に注力してまいります。
ポリカーボネート樹脂板、塩化ビニル樹脂板のプレート製品は、サングラス用偏光板や電子機器用絶縁材等の高付加価値品は引き続き好調に推移しましたが、建装材用途の低迷により売上高は減少しました。
防水関連製品は、新築住宅向けの需要が回復傾向であったものの、一般建築向けやリフォーム向けの低迷により、売上高は減少しました。
デコラ製品は、高圧メラミン化粧板、不燃メラミン化粧板から撤退し、鉄道車両用内装材や業界最薄の不燃メラミン化粧シート「デコライノベア®」などの高機能・高付加価値分野に特化し、新たな事業展開を図ってまいります。
④ その他
連結売上高は8億円(前連結会計年度比4.8%減)となり、連結営業利益は2億円(同190.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金および現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ50億98百万円減少し、448億68百万円となりました。①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は192億33百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益および減価償却費の計上による収入と、仕入債務の減少および法人税等の支払による支出の結果であります。前年同期と比べると35億61百万円の収入の増加となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動に用いた資金は69億62百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出と、投資有価証券の売却による収入の結果であります。前年同期と比べると293億91百万円の支出の減少となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動に用いた資金は155億30百万円となりました。
これは主に、コマーシャル・ペーパーの減少、自己株式の取得による支出および配当金の支払による支出の結果であります。
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