タキロンシーアイ株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)

当連結会計年度において当社グループの研究開発活動は、基礎研究部門・商品企画部門・技術開発部門・知的財産部門・設備技術部門・工場技術部門のそれぞれ独自の活動に加え、次世代戦略として、ビジネスユニット活動により新事業の芽を次の成長エンジンに育てることを重点として取り組み、次の収益の柱となる新事業育成を加速するべく推進しております。
さらに、商品企画部門・技術開発部門と工場技術部門、事業部及び営業最前線とが密接に連携したプロジェクト活動やグループ会社との協業により、顧客ニーズに応える魅力ある商品づくりを推進しており、全社環境保全活動に基づく環境影響に配慮した技術開発・商品開発にも取り組んでおります。これらの取り組みを通してコア技術の拡大や商品開発力の強化を図り、快適な生活空間の提案、社会基盤強化への貢献、産業基盤の企業活動への貢献をしてまいります。
一方、これらの研究開発活動を支える信頼性の高い性能評価・分析評価機能の充実も、継続して図ってまいります。

住環境事業
住設資材では、雨水関連の商品開発に注力しました。埋設型の雨水貯留浸透槽では施工性と経済性に優れた新タイプの採用が拡大してきました。さらに経済性を追求した改良を実施し市場浸透を図ります。また、狭所地での戸建住宅への対応を容易にするために塩ビ小口径の雨水ますの改良を進めてまいります。
採光建材では、特殊複層PC板の採光性と断熱性の省エネ効果がより活かせるよう設計提案型のソリューションビジネスを積極的に展開しております。新製品としてPC製の中空折板屋根材を市場投入し、採用の拡大を図ります。
大型樹脂パイプのハウエル管は、外圧管用途として耐圧、軽量、耐震性が評価され採用が拡大しています。より信頼性を高めるため、現場にて継手部を電熱線で溶融し溶着する技術、パイプを直接溶着する技術の適用拡大を実施しています。内圧管用途向けも採用事例が拡大してきており、各種規格の認定取得を目指しております。
管更生分野では、大口径に対応できる新工法の開発が完了し公的機関の審査証明も取得し、本格販売へと移行しております。さらに、適用範囲の拡大、施工性の向上をめざし開発・改良を継続してまいります。

床事業
「教育施設市場」において、従来の防滑性能はそのままに、表面のメンテナンス性能を向上し、さらに抗菌性を付与した屋内廊下用防滑性ビニル床シート「タキストロンGK」を開発いたしました。
また、階段については、踏み面部のメンテナンス性・抗菌性に加え、段鼻部についてはゴミの掃出しが容易で耐久性に優れた、屋内用防滑性階段用床材「タキステップ7F」も開発いたしました。

高機能材事業
塩ビプレートは、レーザ光シールドプレート「タキシャロン®」がレーザ加工装置用カバーとして、採用が進んでまいりました。今後は海外のレーザ加工機メーカーへのスペックインに向け開発を進めてまいります。
ポリカーボネートプレートは、耐衝撃性を向上した表面硬度の高いPC/PMMA複層板が海外のスマートフォン・携帯電話メーカーに、保護面板として採用していただいております。今後も更なる機能性の向上に注力してまいります。
PETプレートは、植物由来原料を30%使用したバイオPET樹脂を用いた「ペテック®バイオ」の発売を開始し、大手流通グループの商品陳列棚として採用していただきました。今後もバイオプラスチックプレートを企画・開発し、低炭素化社会に貢献する製品の拡充を進めてまいります。
切削加工用エンジニアリングプラスチック材料である「ポリアセタール板(POM)TSグレード」の販売を開始し、厚さ・サイズの品揃えを進めてまいりました。また、新たにガラスフィラー充填PP(TSグレード)を開発し、発売いたしました。
熱伝導ゲルシート「クールサポートゲル®」は経済性・低アウトガス・平易な作業性を特徴とし、LED照明器具向けに採用が進んでまいりました。更に、耐熱性を高めたグレードの開発も進みましたので電子機器、自動車分野への販売を強化してまいります。導電性粘着ゲルは、従来の低周波治療器向けに加え、EMS向けパッドとして採用されております。











メディカル事業
骨と直接結合する性能を有する吸収性骨接合材の開発で培った技術を活かし、特にプラスチックの特徴を活かしやすいメッシュ状の胸部外科向け(胸骨閉鎖固定用)デバイスや市場での評価が高いスポーツ整形向け(靭帯固定用)デバイス等の開発に注力しております。
さらに従来の手技では治療困難であった複雑な骨折、高齢者の特定の疾患の治療等では、専門医と共同で最適な形状を有する当社独自のデバイスや手術方法の開発を積極的に進めています。
骨伝導能・誘導能をもつ医療工学用の独自形態の足場材料(Scaffold)を、整形・脊椎・脳外科および口腔外科分野に臨床応用するための開発を行い、実用化のための準備を進めております。
加えて、プラスチックの処方技術や加工技術を幅広く展開した、新規バイオマテリアルの開発による新事業の創出にも積極的に取り組んでおります。

全社共通
低炭素社会の実現に有効な技術の確立を進めると共に、グループ会社を含めた全社商品開発戦略に基づく基盤技術の深耕・拡大、及び商品開発に必要とされる先端技術開発に取り組んでおり、高度な配合設計技術・設備設計技術・成形加工技術を活用して、独自性・優位性のある素材の開発、表面機能化技術の開発、形状(意匠)設計技術の開発、施工技術・新工法の開発、新しい機能を生み出せるプロセスの構築などに注力しております。
これら研究開発のレベルアップ、スピードアップのために外部研究機関との連携を積極的・精力的に推進し、大学及び公的研究機関との共同研究などを通して、高度な分析技術、基盤技術を蓄積してきております。
なお、当連結会計年度に支出した研究開発費は基礎研究に係るもので、総額841百万円(消費税等を除く)であります。