有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007ZXO
東洋建設株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
総合技術研究所では、当社グループにおける「経営基盤の強化と新たなステージへの挑戦によって更なる企業価値の向上を目指す」ことを基本方針とする中期経営計画のもと、「技術は人のため、地球に生きるみんなのために使われるべきものであり、技術を使う我々は、それを理解して事業活動を持続していく」と決意し、研究開発活動に取り組んでいる。安全の最優先とコーポレート・ガバナンスの充実を念頭に置き、顧客及び市場の要求を的確に捉え、社会に役立つ企画・技術提案力を強化することが、最終的には事業量の確保と利益向上に結びつくものと確信している。一方で成果を速やかに実務に反映するため、産・官・学との連携強化やオープンイノベーションを推進し、技術の先端化(差別化)、開発のスピードアップ及びコストの低減を図っている。
そのための方策として、(1)当社の基幹技術を中心に先端技術を見据えた業界トップクラスの研究及び技術開発の実施、(2)総合評価方式入札における技術提案力の向上、(3)技術の継承及び人材の育成、(4)社会、地域、顧客及び社内におけるコミュニケーションの強化に取り組んでいる。
技術開発においては、技術部門及び支店と連携し、実際の工事を通した即応的な開発を行うなど、コストの低減、施工効率の向上に迅速に対応できる体制を構築している。また、設計変更や施工方法変更に対する現場支援を迅速かつ的確に行うことで、工事利益の確保と向上及び瑕疵工事の低減を図るなど、会社業績への貢献、すなわち受注拡大と施工利益向上に寄与することを常に希求している。なお、当連結会計年度の研究開発費は357百万円であった。
(1) 浚渫に伴う人工地盤造成に関する研究
浚渫工事で発生する高含水比かつ軟弱な土砂に対して、分級や濁りの発生を回避する投入方法を開発するとともに、埋立・投入管理に必要となる堆積地盤の上昇速度の予測や早期安定化手法の提案を目指すものである。
本年度も昨年度に引き続き、実施工を想定したスラリー土の段階投入試験を行い、沈降・自重圧密を伴う堆積地盤の上昇速度の検証を行うとともに、早期安定化や圧密促進化に関し提案した。また、新規提案中の性状変化の少ないトレミー(伸縮型底開式トレミー)に関して、各種材料を用いた投入実験を行い効果を検証するとともに、室内模型を作製し具体化を進めている。
(2) 濁りや土砂等の投入に関わる水理的検討手法の高度化に関する開発研究
当社グループでは、得意とする浚渫・埋立工事に従事する2隻の大型ポンプ船を保有しており、その稼働率向上が重要課題となっている。一般にポンプ浚渫は余水処理の際の濁りという課題があるため、本研究では、ポンプ船による浚渫土が海面土砂処分場へ投入され、余水吐から濁りを含む余水が排出される事象を対象に、濁りを対象とした水理模型実験手法の構築及び数値計算法の適用性拡張を図り、その中で濁りの抑制に資する要素技術を検討することを目指している。2015年度においては、濁り拡散に関する水理模型実験を実施し、モデルの設定、再現性、着眼点等特有の注意点を把握した。また、濁り拡散計算法では、実験における濁水の挙動を再現するため、密度流効果を表現するよう改良を加えている。
(3) 港湾工事や外洋工事における動揺浮体を解析対象とした検討システムの構築
遠隔離島周辺海域や海外での施工においては、大波浪場で安全かつ安定した作業が求められる。本研究では3ヶ年計画で、大波浪場での作業船や、構築対象の構造物の動揺特性を把握し、対策の検討を容易とするための数値解析及び水理模型実験技術の構築を目指す。2年目の2015年度においては、具体的事例に対する数値解析手法の適用実績を蓄積するとともに、水理模型実験により据付時のケーソン動揺抑制対策を検討した。さらに防波堤築造工事におけるICT化を目指し、作業員経験値の数値化に取り組んだ。
(4) 構造物・地盤の安定性評価と対策法-地震・津波対策と海洋構造物基礎への応用
地震や津波による沿岸災害の軽減が求められるとともに、今後は温暖化による海洋環境の変化や海洋利用に伴う外海工事の増加が予想され、厳しい波浪時の海底地盤・構造物の安定性評価がますます重要となる。本研究では、地震・津波対策工法の検討や海底地盤評価の研究に取り組んでいる。2015年度は、遠心模型により実規模レベルを再現しながら地震・津波の複合外力実験を行う方法を世界で初めて開発し、今後発生が懸念されている巨大地震、大津波に対する効果的な対策工法の提案が可能となった。
(5) 海岸・港湾構造物基礎における耐波安定性評価と洗掘対策工法の開発研究
有脚式離岸堤を始め杭式構造物やパイプライン等で問題となる局所洗掘現象に対し、その耐波安定性を評価する方法を確立すべく、模型実験及び数値シミュレーションによる開発研究を進めている。局所洗掘現象の特性を詳細に把握するため、安価で高精度な計測手法として光ファイバを用いた手法を新たに開発し、模型実験でその有用性を確認し、現在は本手法にて現地計測を実施中である。また、画像解析や模型設置における新たな試みを実施し、洗掘を推定するための実験技術の信頼性の確保を確認した。
(6) 海面処分場の遮水材の適用性拡大と埋立地盤の早期安定化に関する研究
管理型海面処分場の遮水材として2011年度より開発している土質系遮水材HCB-F(H25-26鉛直遮水工での施工実績)を底面遮水工に適用するための室内試験を実施し、耐候性試験、打継試験、異種灰での配合試験等の結果では適用可能であることを確認した。また一般財団法人沿岸技術研究センターの民間技術評価(2016年5月認定)に向けた試験を実施した。浸出水のpHを早期に安定化させるための知見を収集するために、室内試験及び衣浦港3号地処分場内での現地水質調査を実施した。これらの成果は土木学会や沿岸域学会の論文及び東建技術レポートに掲載した。
(7) 特殊コンクリートの開発や改良に関する研究開発
学校法人早稲田大学、国立研究開発法人港湾空港技術研究所等との共同研究により、離島工事などで必要とされる、海水や現地で採取・製造される骨材(珊瑚骨材)を用いた自己充填型コンクリートの研究を進めている。本研究は、国土交通省の「遠隔離島における産学官連携型の海洋関連技術開発」の公募で採用されたものであり、初年度となる2015年度は、主に珊瑚骨材の特性の確認、それを用いたコンクリートの基本性状の検討及び暴露試験体の作製を実施し、海水及び珊瑚骨材を用いた自己充填型コンクリートの特徴を明らかにした。また、太平洋マテリアル株式会社との共同研究により、水中不分離性コンクリートのブラッシュアップを図り、従来に比べて硬化時間が早く、乾燥収縮を低減しうる水中不分離性コンクリートについて、実用的な基本配合を選定した。
(8) コンクリートの施工技術に関する研究開発
学校法人東洋大学との共同研究として実施した。けい酸塩がコンクリート中の水酸化カルシウムと反応してC-S-Hゲルを生成して緻密化する効果に着目し、コンクリート打継目下部層におけるレイタンス層の改質、新旧コンクリートの一体性向上、および有害物質の浸入の抑制を目的とした、けい酸塩含浸材を用いた打継ぎ処理工法の開発を進めてきた。本年度は、コンクリートの打継目にけい酸塩含浸材を塗布した供試体を用いて、力学試験(せん断、曲げ)、非破壊試験(透気試験、透水試験、超音波測定)及び電子顕微鏡による打継部の観察を行い、けい酸塩含浸材の塗布による打継目改質効果の可能性があることを確認した。
(9) コンクリートの高品質化・高耐久化に関する研究開発
コンクリートの高品質化や施工の信頼性向上を目指し、コンクリートに生じるひび割れの自己治癒効果に関する基礎研究、コンクリート品質を確保するための内部養生工法の適用性に関する基礎研究及びコンクリート品質の可視化技術の導入検討を進めた。自己治癒については、新規材料を含む治癒材料の効果を通水試験により比較検討し、効果の定量化を行った。内部養生については、改良型の特殊保水性セルロースゲルを添加したコンクリートの収縮抑制効果を検証し、自己収縮が大幅に低減できることを確認した。また、可視化技術については、生コン車のドラム内に設置したプローブを用いることで、流動性の高いコンクリートのスランプフロー推定や見かけの粘性が測定できる可能性があることが明らかになり、各種コンクリートへの適用が可能である。
(10) 構造物の維持管理に関する研究開発
土木・建築構造物における維持管理の重要性はますます高まっており、確実な補修・補強工法の確立が望まれている。これらの需要に対応するために、土木分野では鋼管杭の新たな被覆工法や腐食モニタリングシステムの開発を進めており、その効果や性能を模擬試験体の暴露実験により検証中である。また、建築分野では各補修工法における材料評価を行うために、断面修復材での上向き施工における付着性能や、注入材でのひび割れ模擬試験体における充填性能の確認を行うとともに、耐久性試験等を実施し、補修材選定に有用な結果を得た。
(11) 騒音振動制御技術の研究
工事中の騒音振動発生の抑制を目的に開発した、施工エリア周辺に及ぼす影響をリアルタイムに把握できる広域監視システムは、外部開示を契機に、自治体からの引合いや出版社からの取材など大きな反響があった。また、路面状況の違いによる道路交通振動の建物への影響ほかのデータベース構築や、アクティブ・ノイズ・コントロール技術を利用したANC消音器の開発適用などにより、騒音振動制御技術の高度化を図った。
(12) 制振工法による耐震化技術の開発
東京都条例による耐震診断の義務化や、耐震改修促進法改正などにより、自社保有技術である耐震化工法(マスターフレーム構法)の市場が拡大している一方、耐震化促進に向けた補助金制度では、制振構法が有利なため、競合他社の制振補強技術に対抗すべく、制振化構法への取組みも必要不可欠となっている。そこで、制振化補強構法の設計に不可欠な地震応答解析による効果検証を行い、マスターフレーム構法に制振ブレースを併用した架構実験を実施し、その性能を確認した。次年度は、制振化対応のための建築技術審査証明取得を目指す。
(13) 柱RC梁S構造の競争力の向上技術
開発済み保有技術である柱RC梁Sの柱梁接合部において、鋼材隅角部に曲げ加工による工法を追加することで、柱梁接合部の簡素化による省力化・コストダウンが可能なため、曲げ加工部から抽出した部材の力学試験を行い、その結果をもとに建築技術審査証明を取得したことにより実用化した。
(14) LCサポートシステムに関する研究開発
設計施工案件及び提案型案件獲得に向け、省エネ効果を確認し、かつ最新のデータに基づくLCC算定システムを構築することを目的に、総合建設業13社共同で実施している。最新のデータベース構築と省エネ効果の評価方法の決定などを行い、算定プログラム作成のための詳細設計書を作成した。2016年度はプログラムを完成させ、実用化予定である。
なお、連結子会社においては、建設事業に係る特段の研究開発活動は行っていない。
そのための方策として、(1)当社の基幹技術を中心に先端技術を見据えた業界トップクラスの研究及び技術開発の実施、(2)総合評価方式入札における技術提案力の向上、(3)技術の継承及び人材の育成、(4)社会、地域、顧客及び社内におけるコミュニケーションの強化に取り組んでいる。
技術開発においては、技術部門及び支店と連携し、実際の工事を通した即応的な開発を行うなど、コストの低減、施工効率の向上に迅速に対応できる体制を構築している。また、設計変更や施工方法変更に対する現場支援を迅速かつ的確に行うことで、工事利益の確保と向上及び瑕疵工事の低減を図るなど、会社業績への貢献、すなわち受注拡大と施工利益向上に寄与することを常に希求している。なお、当連結会計年度の研究開発費は357百万円であった。
(1) 浚渫に伴う人工地盤造成に関する研究
浚渫工事で発生する高含水比かつ軟弱な土砂に対して、分級や濁りの発生を回避する投入方法を開発するとともに、埋立・投入管理に必要となる堆積地盤の上昇速度の予測や早期安定化手法の提案を目指すものである。
本年度も昨年度に引き続き、実施工を想定したスラリー土の段階投入試験を行い、沈降・自重圧密を伴う堆積地盤の上昇速度の検証を行うとともに、早期安定化や圧密促進化に関し提案した。また、新規提案中の性状変化の少ないトレミー(伸縮型底開式トレミー)に関して、各種材料を用いた投入実験を行い効果を検証するとともに、室内模型を作製し具体化を進めている。
(2) 濁りや土砂等の投入に関わる水理的検討手法の高度化に関する開発研究
当社グループでは、得意とする浚渫・埋立工事に従事する2隻の大型ポンプ船を保有しており、その稼働率向上が重要課題となっている。一般にポンプ浚渫は余水処理の際の濁りという課題があるため、本研究では、ポンプ船による浚渫土が海面土砂処分場へ投入され、余水吐から濁りを含む余水が排出される事象を対象に、濁りを対象とした水理模型実験手法の構築及び数値計算法の適用性拡張を図り、その中で濁りの抑制に資する要素技術を検討することを目指している。2015年度においては、濁り拡散に関する水理模型実験を実施し、モデルの設定、再現性、着眼点等特有の注意点を把握した。また、濁り拡散計算法では、実験における濁水の挙動を再現するため、密度流効果を表現するよう改良を加えている。
(3) 港湾工事や外洋工事における動揺浮体を解析対象とした検討システムの構築
遠隔離島周辺海域や海外での施工においては、大波浪場で安全かつ安定した作業が求められる。本研究では3ヶ年計画で、大波浪場での作業船や、構築対象の構造物の動揺特性を把握し、対策の検討を容易とするための数値解析及び水理模型実験技術の構築を目指す。2年目の2015年度においては、具体的事例に対する数値解析手法の適用実績を蓄積するとともに、水理模型実験により据付時のケーソン動揺抑制対策を検討した。さらに防波堤築造工事におけるICT化を目指し、作業員経験値の数値化に取り組んだ。
(4) 構造物・地盤の安定性評価と対策法-地震・津波対策と海洋構造物基礎への応用
地震や津波による沿岸災害の軽減が求められるとともに、今後は温暖化による海洋環境の変化や海洋利用に伴う外海工事の増加が予想され、厳しい波浪時の海底地盤・構造物の安定性評価がますます重要となる。本研究では、地震・津波対策工法の検討や海底地盤評価の研究に取り組んでいる。2015年度は、遠心模型により実規模レベルを再現しながら地震・津波の複合外力実験を行う方法を世界で初めて開発し、今後発生が懸念されている巨大地震、大津波に対する効果的な対策工法の提案が可能となった。
(5) 海岸・港湾構造物基礎における耐波安定性評価と洗掘対策工法の開発研究
有脚式離岸堤を始め杭式構造物やパイプライン等で問題となる局所洗掘現象に対し、その耐波安定性を評価する方法を確立すべく、模型実験及び数値シミュレーションによる開発研究を進めている。局所洗掘現象の特性を詳細に把握するため、安価で高精度な計測手法として光ファイバを用いた手法を新たに開発し、模型実験でその有用性を確認し、現在は本手法にて現地計測を実施中である。また、画像解析や模型設置における新たな試みを実施し、洗掘を推定するための実験技術の信頼性の確保を確認した。
(6) 海面処分場の遮水材の適用性拡大と埋立地盤の早期安定化に関する研究
管理型海面処分場の遮水材として2011年度より開発している土質系遮水材HCB-F(H25-26鉛直遮水工での施工実績)を底面遮水工に適用するための室内試験を実施し、耐候性試験、打継試験、異種灰での配合試験等の結果では適用可能であることを確認した。また一般財団法人沿岸技術研究センターの民間技術評価(2016年5月認定)に向けた試験を実施した。浸出水のpHを早期に安定化させるための知見を収集するために、室内試験及び衣浦港3号地処分場内での現地水質調査を実施した。これらの成果は土木学会や沿岸域学会の論文及び東建技術レポートに掲載した。
(7) 特殊コンクリートの開発や改良に関する研究開発
学校法人早稲田大学、国立研究開発法人港湾空港技術研究所等との共同研究により、離島工事などで必要とされる、海水や現地で採取・製造される骨材(珊瑚骨材)を用いた自己充填型コンクリートの研究を進めている。本研究は、国土交通省の「遠隔離島における産学官連携型の海洋関連技術開発」の公募で採用されたものであり、初年度となる2015年度は、主に珊瑚骨材の特性の確認、それを用いたコンクリートの基本性状の検討及び暴露試験体の作製を実施し、海水及び珊瑚骨材を用いた自己充填型コンクリートの特徴を明らかにした。また、太平洋マテリアル株式会社との共同研究により、水中不分離性コンクリートのブラッシュアップを図り、従来に比べて硬化時間が早く、乾燥収縮を低減しうる水中不分離性コンクリートについて、実用的な基本配合を選定した。
(8) コンクリートの施工技術に関する研究開発
学校法人東洋大学との共同研究として実施した。けい酸塩がコンクリート中の水酸化カルシウムと反応してC-S-Hゲルを生成して緻密化する効果に着目し、コンクリート打継目下部層におけるレイタンス層の改質、新旧コンクリートの一体性向上、および有害物質の浸入の抑制を目的とした、けい酸塩含浸材を用いた打継ぎ処理工法の開発を進めてきた。本年度は、コンクリートの打継目にけい酸塩含浸材を塗布した供試体を用いて、力学試験(せん断、曲げ)、非破壊試験(透気試験、透水試験、超音波測定)及び電子顕微鏡による打継部の観察を行い、けい酸塩含浸材の塗布による打継目改質効果の可能性があることを確認した。
(9) コンクリートの高品質化・高耐久化に関する研究開発
コンクリートの高品質化や施工の信頼性向上を目指し、コンクリートに生じるひび割れの自己治癒効果に関する基礎研究、コンクリート品質を確保するための内部養生工法の適用性に関する基礎研究及びコンクリート品質の可視化技術の導入検討を進めた。自己治癒については、新規材料を含む治癒材料の効果を通水試験により比較検討し、効果の定量化を行った。内部養生については、改良型の特殊保水性セルロースゲルを添加したコンクリートの収縮抑制効果を検証し、自己収縮が大幅に低減できることを確認した。また、可視化技術については、生コン車のドラム内に設置したプローブを用いることで、流動性の高いコンクリートのスランプフロー推定や見かけの粘性が測定できる可能性があることが明らかになり、各種コンクリートへの適用が可能である。
(10) 構造物の維持管理に関する研究開発
土木・建築構造物における維持管理の重要性はますます高まっており、確実な補修・補強工法の確立が望まれている。これらの需要に対応するために、土木分野では鋼管杭の新たな被覆工法や腐食モニタリングシステムの開発を進めており、その効果や性能を模擬試験体の暴露実験により検証中である。また、建築分野では各補修工法における材料評価を行うために、断面修復材での上向き施工における付着性能や、注入材でのひび割れ模擬試験体における充填性能の確認を行うとともに、耐久性試験等を実施し、補修材選定に有用な結果を得た。
(11) 騒音振動制御技術の研究
工事中の騒音振動発生の抑制を目的に開発した、施工エリア周辺に及ぼす影響をリアルタイムに把握できる広域監視システムは、外部開示を契機に、自治体からの引合いや出版社からの取材など大きな反響があった。また、路面状況の違いによる道路交通振動の建物への影響ほかのデータベース構築や、アクティブ・ノイズ・コントロール技術を利用したANC消音器の開発適用などにより、騒音振動制御技術の高度化を図った。
(12) 制振工法による耐震化技術の開発
東京都条例による耐震診断の義務化や、耐震改修促進法改正などにより、自社保有技術である耐震化工法(マスターフレーム構法)の市場が拡大している一方、耐震化促進に向けた補助金制度では、制振構法が有利なため、競合他社の制振補強技術に対抗すべく、制振化構法への取組みも必要不可欠となっている。そこで、制振化補強構法の設計に不可欠な地震応答解析による効果検証を行い、マスターフレーム構法に制振ブレースを併用した架構実験を実施し、その性能を確認した。次年度は、制振化対応のための建築技術審査証明取得を目指す。
(13) 柱RC梁S構造の競争力の向上技術
開発済み保有技術である柱RC梁Sの柱梁接合部において、鋼材隅角部に曲げ加工による工法を追加することで、柱梁接合部の簡素化による省力化・コストダウンが可能なため、曲げ加工部から抽出した部材の力学試験を行い、その結果をもとに建築技術審査証明を取得したことにより実用化した。
(14) LCサポートシステムに関する研究開発
設計施工案件及び提案型案件獲得に向け、省エネ効果を確認し、かつ最新のデータに基づくLCC算定システムを構築することを目的に、総合建設業13社共同で実施している。最新のデータベース構築と省エネ効果の評価方法の決定などを行い、算定プログラム作成のための詳細設計書を作成した。2016年度はプログラムを完成させ、実用化予定である。
なお、連結子会社においては、建設事業に係る特段の研究開発活動は行っていない。
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