有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007UTR
三井住友建設株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループでは、技術の信頼、受注の拡大、利益の向上を目指して、顧客ニーズに応える技術開発をタイムリーに推進することを技術開発の基本方針とし、技術本部、土木本部、建築本部、事業開発推進本部を中心として、技術開発を積極的に進めてきました。当連結会計年度の技術開発に要した費用の総額は、1,380百万円です。なお、当該費用については、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しています。
当連結会計年度における主な技術開発成果は次のとおりです。
(1) 3D技術を用いたトータルなマネジメントシステムの構築を開始
土木、建築の各フェーズを、3次元モデルとその属性データを用いてマネジメントするトータルな建設マネジメントシステムの構築を開始いたしました。土木、建築の各部門で着手しているBIM/CIMの取り組みについて土建の垣根を取り払い、各建設フェーズの共通技術(設計段階:Design Information Management、施工段階:Construction Information Management、維持管理段階:Maintenance Information Management)と捉えることで相乗効果を生み出します。さらにICTと組み合わせることで、従来のBIM/CIMから一歩進んだ提案力、対応力、生産性の向上を目指します。
(2) Dura-Bridge(デュラ-ブリッジ)の実証橋を施工
Dura-Bridge(Durable-Bridge)は、西日本高速道路株式会社との共同研究により開発した、非鉄製材料を用いた超高耐久橋梁です。鉄筋やPC鋼材などのように物理的に腐食の可能性のある材料に替わり、腐食しない新材料を緊張材として用い、耐久性を向上させて維持管理費用を低減することによりトータルコストを削減、また鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者災害の防止を図る、新しい橋梁です。国内初の実証橋を、2015年8月に長崎自動車道の4車線化事業に伴う工事用道路の一部として建設しました。今後、供用中の全体挙動をモニタリングするとともに、載荷試験などにより安全性を確認して、新設の橋梁構造物への適用を進めていきます。
(3) SuKKiT(スキット)シリーズが「2015年度グッドデザイン賞」を受賞
SuKKiT(スキット)シリーズが、2015年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。グッドデザイン審査委員会からは「構造的な工夫は、開口部の高さや外観のデザインなど、マンションの基本的な性能に効果的な影響を与えるもので、汎用性も高い。(抜粋)」として高く評価されました。SuKKiTシリーズは、ゼネコン発の新しい集合住宅設計のパッケージです。板状外廊下型マンションからタワーマンションまで、耐震構造・免震構造合わせて全15種の豊富なラインナップで展開中です。
(4) 水上太陽光発電用フロートシステムを開発・製品化
水上は日射を遮るような障害物が少ないうえに、太陽光パネルの冷却効果が得られ陸上よりも高い発電量が期待できます。本システムは、太陽光パネルを装着するフロート、フロートを連結する連結板(ブリッジ)、フロートと連結板を固定する緊結バンドによって構成されており、低コストの実現と安定的な提供が可能です。販売開始後、国内外から多数の引き合いが来ています。水上での太陽光発電は、今後、売電事業をはじめ、施設における電力自家消費、非常時電源、地域の分散電源、さらに海外における電力インフラが整っていない地域での電源など、さまざまな用途で普及していくものと考えます。
(5) 生物多様性簡易評価ツール「いきものプラスⓇ」をバージョンアップ
「いきものプラス」は、設計者が敷地情報や取り組み内容をパソコン上で入力することにより、CASBEEの新築(簡易版)における生物多様性に関連した項目の点数を算出し、緑化計画立案を支援するツールで、2014年2月に当社を含むゼネコン8社が共同開発しました。今回のバージョンアップでは、これまで東京23区に限定されていた利用対象地域を、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)と大阪府・愛知県に拡大して、利便性を高めました。本ツールの概要は、2014年9月の日本建築学会大会や、2015年10月の世界屋上緑化会議 名古屋大会で発表を行い、多くの関係者から高い関心を集めました。
(6) 超低収縮/低環境負荷型/設計基準強度220N/mm2コンクリートを実用化
産業副産物を使用することで CO2 排出量を削減しつつ、高強度で流動性が高く、さらに自己収縮を大幅に低減した設計基準強度 220N/mm2の超高強度コンクリートを東京大学大学院 野口貴文教授と共同で開発しました。特に自己収縮ひずみを従来品の20~30%にまで大幅に低減したことが大きな特徴で、自己収縮によるひび割れ発生を防止できます。さらに、200N/mm2級で比較すると、材料生産過程におけるCO2 の排出量は、従来よりも約40%削減されます。一般財団法人 日本建築総合試験所の「建築構造部材プレキャストコンクリート製品に用いるコンクリートの生産技術証明」をSMCプレコン株式会社と共同で取得しました。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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