有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007L34
雪印メグミルク株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。
原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内生乳生産量の減少による乳原料不足など、いまだ厳しい外部環境の中、このような環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行なっております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心として「おいしさ」と「健康機能」の追及を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は3,846百万円です。
各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。
〔乳製品事業〕
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,841百万円です。
① 当社
バター・油脂カテゴリーにおいては、ロングセラーブランドである「ネオソフト」の更なるおいしさアップを
図り、歴史を重ねても絶え間ない進化を続けて参ります。また、ネオソフトブランド再構築に向けて、中容量ヘ
ルシータイプ「ハーフ」、「キャノーラハーフ」、「べに花」のデザイン改良を行ないました。
プロセスチーズでは、ボリュームカテゴリーの更なる活性化に向けた商品力、ラインナップの強化に取り組ん
でおります。伸長するベビーチーズには、春に「うまみベビーチーズ」、秋に「わさびベビーチーズ」を発売
し、家飲み需要にのって大変好評を得ております。最大ボリュームのスライスチーズでは、「こんがり焼ける
とろけるスライス」に北海道産芳醇ゴーダを加え、コクとうまみを強化し、究極のスライスチーズを目指しまし
た。
ナチュラルチーズでは、人気の「雪印北海道100 さけるチーズ」シリーズに、風味にこだわった「ロース
トガーリック味」、消費者を対象としたアンケートで人気のあったフレーバー「バター醤油味」を発売し、こち
らも大変好評を得ております。
食品カテゴリーでは、牛乳と混ぜるだけで簡単にホイップクリームができる「かんたんホイップ」に、お客様
の声に応えて、「ちょこっと使い」に便利な使い切りサイズ30gにいたしました。今後も様々な食シーンの提案
と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。
乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究では、主においしさを構成する技術と、当社独
自の乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行ない、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品
の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。
主な研究成果は以下の通りです。
・マーガリン類における油脂成分と乳化剤の分布状態について、質量分析イメージング技術を用いた分析によ
り、製品品質の向上に結びつく可能性がある新たな知見を得ました。
・バターの品質および利用価値向上を目的としてバター特有の香気成分の新たな分析方法を確立し、バターらし
さを特徴付ける香気成分に関する新たな知見を得ました。
・当社独自の機能性素材である「ミルクセラミドMC-5」が有する皮膚保湿機能改善効果について、ヒト試験にお
いて肌質を改善する効果と有効量に関する新たな知見を得ました。
・当社独自の機能性素材である「ミルクセラミドMC-5」の摂取が、記憶力などの脳機能を維持または改善する可
能性を、動物試験によって新たに見出しました。
これらの研究成果は、日本食品科学工学会、The International Chemical Congress of Pacific Basin
Societies 2015(開催地:米国・ハワイ州)、アジア栄養学会議(日本栄養・食糧学会大会と合同開催)など
の各学会で発表いたしました。
② 雪印ビーンスターク㈱
「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供す
るために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産
婦・授乳婦の食事調査」などを調査研究し、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん商品、お母さんのための母
親商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い研究・商品開発に取り組んでいます。
商品開発では、当社の基幹商品の新生児からの乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」ならびに9か
月齢からのフォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を発売しました。「すこやかM1」は、永年の母
乳調査研究、とくに免疫機能の研究成果を込めた粉ミルクです。
また、母乳栄養者向け「3つの乳酸菌M1」を発売しました。この商品は母乳栄養児の免疫力を高め、アレルギ
ー発症を抑えることが期待されます。人工栄養児だけでなく、母乳栄養児へのサポートも取組んでいます。
さらに、このたび約30年ぶりに全国的な母乳調査研究を開始しました。母乳調査は雪印乳業時代より、第1回
(1960年)、第2回(1989年)調査を実施し、今回で第3回目の実施となります。本調査では、過去2回の調査
との比較により、約60年間の日本人の母乳成分の変化を把握します。また、今回は母乳成分分析だけでなく、母
親の生活習慣や食事調査、乳児の発達状況、5年間の追跡調査を併せて実施します。本調査により、粉ミルクな
どの育児品開発とともに、新規の機能性食品開発への応用や母子栄養に関する貴重な情報を得ることが期待され
ます。
専門学会での外部発表では、「妊産婦へのプロバイオティクス投与による乳児のアレルギー発症予防の可能性
(新生児栄養フォーラム・東京)」の口頭発表や「αS1-カゼイン加水分解物とL-テアニンを含有する食品が睡
眠の質の悪化を訴える中高年女性の睡眠に及ぼす影響(日本女性心身医学会雑誌)」の論文投稿など、当社の研
究成果を報告しました。また、NHKや中日新聞社、共同通信社などマスコミ関係から取材を受け、当社の研究開
発成果を積極的に情報発信しました。
〔飲料・デザート類事業〕
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,198百万円です。
・ 当社
牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、新たに紙ゲーブル・カップに次ぐ第3の容器「TT容器」の特徴を最大
限引き出し、独自の世界観を持った本格飲料「BOTTLATTE」シリーズを発売しました。複数ラインナッ
プで市場に定着するブランドを目指します。
カップ飲料商品では、オフシーンのリラックスに着目し“上質なひとやすみ”を提供する「なごむブレンド」
シリーズを発売しました。
果汁・野菜・清涼飲料カテゴリーでは、野菜飲料において漠然とした健康感による訴求からの脱却を目指し、
野菜Daysシリーズの刷新をいたしました。果汁混合タイプについては“栄養素訴求”により具体的健康感を
付与し、野菜100%タイプにおいては“野菜の甘み”と“飲みごたえ”が両立した「農協野菜Days美味野菜」
を容量900mlで新たに発売いたしました。
ヨーグルトカテゴリーでは、乳酸菌研究において様々な健康機能が明らかになっている当社独自の2つのプロ
バイオティクス乳酸菌「ガセリ菌SP株」と「ビフィズス菌SP株」を使用した商品開発および商品力向上に引き続
き注力しております。特に「ガセリ菌SP株」においては、これまでの当社乳酸菌研究の中で蓄積してきた研究
成果を用いて、2015年4月より開始された機能性表示食品制度を活用し、はっ酵乳カテゴリーにおいて初めて
「ガセリ菌SP株が内臓脂肪を減らす」機能を訴求した機能性表示食品として「恵ガセリ菌SP株ヨーグルトシリー
ズ」計4品をリニューアル発売しました。リニューアル前と比較し、いずれも3倍以上の売上げを示すなど、大
変好評を得ております。
デザートカテゴリーでは、市場の新定番“トールカップデザート”の充実化を図るため、ブランド力(雪印コ
ーヒー)×技術力を掛け合わせ“あの味”を食べて楽しむ、たっぷりおいしいトールカップデザート「食べる雪
印コーヒー」を発売いたしました。また、国内外で注目を高めている「和風」をイメージし、消費者の魅力度が
高く、かつ和菓子の特長「もっちり」、「もちもち」食感を追求した「和とミルクデザート もっちり白ゴマ
/もっちりミルク」を発売しました。
飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオテ
ィクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行ない、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法な
ど)を「ヨーグルト」、「牛乳・乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。
主な研究は以下の通りです。
・当社独自のプロバイオティクス菌「ガセリ菌SP株」が有する内臓脂肪蓄積抑制効果について、ヒト試験にお
いて、その作用メカニズムに関する新たな知見を得ました。
・当社独自のプロバイオティクス菌である「ガセリ菌SP株」の摂取が、インフルエンザワクチン摂取後の抗体
産生を促進し、免疫指標であるNK細胞活性等を高めることにより、インフルエンザに対する防御機能を高める
可能性を、ヒト試験によって新たに見出しました。
・当社独自のプロバイオティクス菌「ビフィズス菌SP株」が産出する菌体外多糖の構造を解析し、産出される
多糖が特徴的な構造を有すること、また腸内環境改善に寄与している可能性について、新たな知見を得まし
た。
・当社独自の機能性素材であり、骨代謝改善効果が認められている「乳塩基性タンパク質(MBP®)」が、骨末
端を伸ばす効果を有する可能性を、動物試験によって新たに見出しました。
これらの研究成果は日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会、アジア乳酸菌学会(開催地:タイ)、アジア栄養学
会議(日本栄養・食糧学会大会と合同開催)などの各学会で発表するとともに、「ガセリ菌SP株」および「ビ
フィズス菌SP株」を使用した「ナチュレ恵megumi」をはじめとする「恵megumi」ブランド商品や、「MBP®」を
使用した「毎日骨太」ブランド商品をはじめとした当社基幹商品の価値向上に活用いたしました。
さらに、北海道大学遺伝子病制御研究室に開設している当社寄附講座「プロバイオティクス・イムノロジー研
究部門」においては、プロバイオティクス菌がもたらす疾病予防機能の評価および作用機序の解明を目指した研
究を行なっております。本寄附講座の研究成果である「ガセリ菌SP株」による免疫系を活性化させる効果と、
「ヘルベティカス菌」による免疫調節作用について、国際酪農連盟主催「ワールドデーリーサミット2015」(開
催地:リトアニア)において、日本から唯一の招待講演として発表を行ないました。
〔飼料・種苗事業〕
当連結会計年度の研究開発費の総額は807百万円です。
・ 雪印種苗㈱
飼料開発関係では、昨年来実施しております代用乳の低コスト素材の商品への組み込みをすすめ、昨年の「ま
るまるみるく」に続いて、「ロボジャック」に組み込んだ製品を5月から販売を開始しました。肉牛用配合飼料
「名人ぐんぐん」改良版の試作の結果良好であったことから11月から販売を開始しました。人工乳関係ではモネ
ンシンの使用が認められたことから、新規人工乳「轟スターターM」の販売を1月から開始しました。
TMRの二次発酵を抑制する原料の試験を昨年来継続し、全国において現地試験を行ない、結果はおおむね良好
であり、併せて特許も申請しました。TMR新規素材(副産物廃糖液)の現地試験結果が良好であったために富士
TMRセンターにて利用を開始しました。
牧草・飼料作物関係ではイタリアンライグラスの優春後継の「タチユウカ」を秋から販売を開始しました。極
早生「ヤヨイワセ」は過去の成績と同じように良好な結果を確認したために、品種採択し、10月に品種登録出
願しました。北農研センターと共同開発した糖含量の高いオーチャードグラス「えさじまん」と早生チモシー
「マオイ」の品種登録・OECD登録が完了しました。トウモロコシは「わかば」後継品種としてSH4812を選抜し平
成28年度より一部販売することにしました。北海道の優良品種に認定されたシロクローバ「アバパール」、都府
県用子実用ソルガム「短尺ソルゴー」、芝生用トールフェスク「ダイナマイトLS」を品種採択することに決定し
ました。
野菜種子は、良食味シリーズ第1弾の「味風香」を販売開始し、良好な評価を受けております。この品種に続
く第2弾として準備しております「夏風香」を品種採択し2016年から販売することにしました。保存性の優れ
る白皮かぼちゃ「つきみ」、水耕用レタス「フレアベル」を8月に品種採択し本格販売を開始します。また、大
根新系統の北海道における試作が良好であり、試作を継続します。花卉は自社育種の系統を含むポットカーネー
ション9品種を8月に品種採択し、品種登録を申請しました。
植物活力資材関係ではホウ素供給用資材:商品名「B作」とビート用液肥SSH-555:商品名「ねぶとり君555」
の販売を開始しました。サイレージ用乳酸菌「サイマスター」は北海道の指導参考事項に認定されたために販売
が順調です。この商材に続く二次発酵抑制の商材として「サイロSP」のリニューアル版「サイマスターSP」を商
品採択し2016年度より販売することとしました。
当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内生乳生産量の減少による乳原料不足など、いまだ厳しい外部環境の中、このような環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行なっております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心として「おいしさ」と「健康機能」の追及を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は3,846百万円です。
各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。
〔乳製品事業〕
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,841百万円です。
① 当社
バター・油脂カテゴリーにおいては、ロングセラーブランドである「ネオソフト」の更なるおいしさアップを
図り、歴史を重ねても絶え間ない進化を続けて参ります。また、ネオソフトブランド再構築に向けて、中容量ヘ
ルシータイプ「ハーフ」、「キャノーラハーフ」、「べに花」のデザイン改良を行ないました。
プロセスチーズでは、ボリュームカテゴリーの更なる活性化に向けた商品力、ラインナップの強化に取り組ん
でおります。伸長するベビーチーズには、春に「うまみベビーチーズ」、秋に「わさびベビーチーズ」を発売
し、家飲み需要にのって大変好評を得ております。最大ボリュームのスライスチーズでは、「こんがり焼ける
とろけるスライス」に北海道産芳醇ゴーダを加え、コクとうまみを強化し、究極のスライスチーズを目指しまし
た。
ナチュラルチーズでは、人気の「雪印北海道100 さけるチーズ」シリーズに、風味にこだわった「ロース
トガーリック味」、消費者を対象としたアンケートで人気のあったフレーバー「バター醤油味」を発売し、こち
らも大変好評を得ております。
食品カテゴリーでは、牛乳と混ぜるだけで簡単にホイップクリームができる「かんたんホイップ」に、お客様
の声に応えて、「ちょこっと使い」に便利な使い切りサイズ30gにいたしました。今後も様々な食シーンの提案
と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。
乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究では、主においしさを構成する技術と、当社独
自の乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行ない、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品
の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。
主な研究成果は以下の通りです。
・マーガリン類における油脂成分と乳化剤の分布状態について、質量分析イメージング技術を用いた分析によ
り、製品品質の向上に結びつく可能性がある新たな知見を得ました。
・バターの品質および利用価値向上を目的としてバター特有の香気成分の新たな分析方法を確立し、バターらし
さを特徴付ける香気成分に関する新たな知見を得ました。
・当社独自の機能性素材である「ミルクセラミドMC-5」が有する皮膚保湿機能改善効果について、ヒト試験にお
いて肌質を改善する効果と有効量に関する新たな知見を得ました。
・当社独自の機能性素材である「ミルクセラミドMC-5」の摂取が、記憶力などの脳機能を維持または改善する可
能性を、動物試験によって新たに見出しました。
これらの研究成果は、日本食品科学工学会、The International Chemical Congress of Pacific Basin
Societies 2015(開催地:米国・ハワイ州)、アジア栄養学会議(日本栄養・食糧学会大会と合同開催)など
の各学会で発表いたしました。
② 雪印ビーンスターク㈱
「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供す
るために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産
婦・授乳婦の食事調査」などを調査研究し、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん商品、お母さんのための母
親商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い研究・商品開発に取り組んでいます。
商品開発では、当社の基幹商品の新生児からの乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」ならびに9か
月齢からのフォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を発売しました。「すこやかM1」は、永年の母
乳調査研究、とくに免疫機能の研究成果を込めた粉ミルクです。
また、母乳栄養者向け「3つの乳酸菌M1」を発売しました。この商品は母乳栄養児の免疫力を高め、アレルギ
ー発症を抑えることが期待されます。人工栄養児だけでなく、母乳栄養児へのサポートも取組んでいます。
さらに、このたび約30年ぶりに全国的な母乳調査研究を開始しました。母乳調査は雪印乳業時代より、第1回
(1960年)、第2回(1989年)調査を実施し、今回で第3回目の実施となります。本調査では、過去2回の調査
との比較により、約60年間の日本人の母乳成分の変化を把握します。また、今回は母乳成分分析だけでなく、母
親の生活習慣や食事調査、乳児の発達状況、5年間の追跡調査を併せて実施します。本調査により、粉ミルクな
どの育児品開発とともに、新規の機能性食品開発への応用や母子栄養に関する貴重な情報を得ることが期待され
ます。
専門学会での外部発表では、「妊産婦へのプロバイオティクス投与による乳児のアレルギー発症予防の可能性
(新生児栄養フォーラム・東京)」の口頭発表や「αS1-カゼイン加水分解物とL-テアニンを含有する食品が睡
眠の質の悪化を訴える中高年女性の睡眠に及ぼす影響(日本女性心身医学会雑誌)」の論文投稿など、当社の研
究成果を報告しました。また、NHKや中日新聞社、共同通信社などマスコミ関係から取材を受け、当社の研究開
発成果を積極的に情報発信しました。
〔飲料・デザート類事業〕
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,198百万円です。
・ 当社
牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、新たに紙ゲーブル・カップに次ぐ第3の容器「TT容器」の特徴を最大
限引き出し、独自の世界観を持った本格飲料「BOTTLATTE」シリーズを発売しました。複数ラインナッ
プで市場に定着するブランドを目指します。
カップ飲料商品では、オフシーンのリラックスに着目し“上質なひとやすみ”を提供する「なごむブレンド」
シリーズを発売しました。
果汁・野菜・清涼飲料カテゴリーでは、野菜飲料において漠然とした健康感による訴求からの脱却を目指し、
野菜Daysシリーズの刷新をいたしました。果汁混合タイプについては“栄養素訴求”により具体的健康感を
付与し、野菜100%タイプにおいては“野菜の甘み”と“飲みごたえ”が両立した「農協野菜Days美味野菜」
を容量900mlで新たに発売いたしました。
ヨーグルトカテゴリーでは、乳酸菌研究において様々な健康機能が明らかになっている当社独自の2つのプロ
バイオティクス乳酸菌「ガセリ菌SP株」と「ビフィズス菌SP株」を使用した商品開発および商品力向上に引き続
き注力しております。特に「ガセリ菌SP株」においては、これまでの当社乳酸菌研究の中で蓄積してきた研究
成果を用いて、2015年4月より開始された機能性表示食品制度を活用し、はっ酵乳カテゴリーにおいて初めて
「ガセリ菌SP株が内臓脂肪を減らす」機能を訴求した機能性表示食品として「恵ガセリ菌SP株ヨーグルトシリー
ズ」計4品をリニューアル発売しました。リニューアル前と比較し、いずれも3倍以上の売上げを示すなど、大
変好評を得ております。
デザートカテゴリーでは、市場の新定番“トールカップデザート”の充実化を図るため、ブランド力(雪印コ
ーヒー)×技術力を掛け合わせ“あの味”を食べて楽しむ、たっぷりおいしいトールカップデザート「食べる雪
印コーヒー」を発売いたしました。また、国内外で注目を高めている「和風」をイメージし、消費者の魅力度が
高く、かつ和菓子の特長「もっちり」、「もちもち」食感を追求した「和とミルクデザート もっちり白ゴマ
/もっちりミルク」を発売しました。
飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオテ
ィクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行ない、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法な
ど)を「ヨーグルト」、「牛乳・乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。
主な研究は以下の通りです。
・当社独自のプロバイオティクス菌「ガセリ菌SP株」が有する内臓脂肪蓄積抑制効果について、ヒト試験にお
いて、その作用メカニズムに関する新たな知見を得ました。
・当社独自のプロバイオティクス菌である「ガセリ菌SP株」の摂取が、インフルエンザワクチン摂取後の抗体
産生を促進し、免疫指標であるNK細胞活性等を高めることにより、インフルエンザに対する防御機能を高める
可能性を、ヒト試験によって新たに見出しました。
・当社独自のプロバイオティクス菌「ビフィズス菌SP株」が産出する菌体外多糖の構造を解析し、産出される
多糖が特徴的な構造を有すること、また腸内環境改善に寄与している可能性について、新たな知見を得まし
た。
・当社独自の機能性素材であり、骨代謝改善効果が認められている「乳塩基性タンパク質(MBP®)」が、骨末
端を伸ばす効果を有する可能性を、動物試験によって新たに見出しました。
これらの研究成果は日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会、アジア乳酸菌学会(開催地:タイ)、アジア栄養学
会議(日本栄養・食糧学会大会と合同開催)などの各学会で発表するとともに、「ガセリ菌SP株」および「ビ
フィズス菌SP株」を使用した「ナチュレ恵megumi」をはじめとする「恵megumi」ブランド商品や、「MBP®」を
使用した「毎日骨太」ブランド商品をはじめとした当社基幹商品の価値向上に活用いたしました。
さらに、北海道大学遺伝子病制御研究室に開設している当社寄附講座「プロバイオティクス・イムノロジー研
究部門」においては、プロバイオティクス菌がもたらす疾病予防機能の評価および作用機序の解明を目指した研
究を行なっております。本寄附講座の研究成果である「ガセリ菌SP株」による免疫系を活性化させる効果と、
「ヘルベティカス菌」による免疫調節作用について、国際酪農連盟主催「ワールドデーリーサミット2015」(開
催地:リトアニア)において、日本から唯一の招待講演として発表を行ないました。
〔飼料・種苗事業〕
当連結会計年度の研究開発費の総額は807百万円です。
・ 雪印種苗㈱
飼料開発関係では、昨年来実施しております代用乳の低コスト素材の商品への組み込みをすすめ、昨年の「ま
るまるみるく」に続いて、「ロボジャック」に組み込んだ製品を5月から販売を開始しました。肉牛用配合飼料
「名人ぐんぐん」改良版の試作の結果良好であったことから11月から販売を開始しました。人工乳関係ではモネ
ンシンの使用が認められたことから、新規人工乳「轟スターターM」の販売を1月から開始しました。
TMRの二次発酵を抑制する原料の試験を昨年来継続し、全国において現地試験を行ない、結果はおおむね良好
であり、併せて特許も申請しました。TMR新規素材(副産物廃糖液)の現地試験結果が良好であったために富士
TMRセンターにて利用を開始しました。
牧草・飼料作物関係ではイタリアンライグラスの優春後継の「タチユウカ」を秋から販売を開始しました。極
早生「ヤヨイワセ」は過去の成績と同じように良好な結果を確認したために、品種採択し、10月に品種登録出
願しました。北農研センターと共同開発した糖含量の高いオーチャードグラス「えさじまん」と早生チモシー
「マオイ」の品種登録・OECD登録が完了しました。トウモロコシは「わかば」後継品種としてSH4812を選抜し平
成28年度より一部販売することにしました。北海道の優良品種に認定されたシロクローバ「アバパール」、都府
県用子実用ソルガム「短尺ソルゴー」、芝生用トールフェスク「ダイナマイトLS」を品種採択することに決定し
ました。
野菜種子は、良食味シリーズ第1弾の「味風香」を販売開始し、良好な評価を受けております。この品種に続
く第2弾として準備しております「夏風香」を品種採択し2016年から販売することにしました。保存性の優れ
る白皮かぼちゃ「つきみ」、水耕用レタス「フレアベル」を8月に品種採択し本格販売を開始します。また、大
根新系統の北海道における試作が良好であり、試作を継続します。花卉は自社育種の系統を含むポットカーネー
ション9品種を8月に品種採択し、品種登録を申請しました。
植物活力資材関係ではホウ素供給用資材:商品名「B作」とビート用液肥SSH-555:商品名「ねぶとり君555」
の販売を開始しました。サイレージ用乳酸菌「サイマスター」は北海道の指導参考事項に認定されたために販売
が順調です。この商材に続く二次発酵抑制の商材として「サイロSP」のリニューアル版「サイマスターSP」を商
品採択し2016年度より販売することとしました。
当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
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