千寿製薬株式会社 業績等の概要 (2016年3月期)

(1)業績
当連結会計年度における日本経済は、政府の継続的な経済政策や日銀の追加金融緩和策を背景として、設備投資や雇用情勢・所得環境に改善、増加基調が見られる反面、金融市場は円高・株安が進行し、不安定な動きとなっており、経済水準は滞在生産量を下回っている現状で、在庫調整の進捗や欧米向け輸出などの支えにより持ち直しつつあります。訪日外国人観光客による個人消費の増加も加わり、企業収益の改善が見られるなど、緩やかな回復基調となりました。一方、中国経済の減速感が鮮明化し、資源価格の大幅な下落や新興国経済の鈍化は、世界経済の混乱の要因となり、先行き不透明な状況で推移いたしました。
医薬品業界におきましては、医療費抑制策の推進により、後発医療品の使用促進が急激に拡張し、ジェネリック医療品の市場も拡大しており、企業間競争が激化するなど、より一層厳しい環境下が続くものと予測されます。
このような状況のもと2012年度からスタートさせた’12年度-’15年度中期計画の最終年度として「全社売上の拡大」「パイプラインの拡充」「海外事業の拡大」「事業体質の改善(生産性の向上)」を最重要課題にかかげ積極的に事業活動を展開してまいりました結果、売上高は前年同期比7.8%増の377億94百万円となりました。
利益面におきましては、売上高が大きく伸張したものの、日銀のマイナス金利導入に伴う円高基調の変化から為替差損が発生する等の影響により、経常利益は69億95百万円(前年同期比98.5%)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、経常利益と同様の背景に加え、米国における訴訟和解金の発生や法人税の基本税率の引き下げ等により、46億98百万円(前年同期比98.5%)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。

[①製薬事業]
緑内障・高眼圧症治療剤「アイファガン点眼液」が前年度と同様に大きく売上に貢献し、又、中国向けに販売している非ステロイド性抗炎症点眼剤「プラノプリン」、角結膜上皮障害治療用点眼剤「ティアバランス点眼液」等が順調に増加しました。しかしながら非ステロイド性抗炎症点眼剤「ニフラン点眼液」「ブロナック点眼液」、緑内障・高眼圧症治療剤「ミケラン点眼液」、アレルギー専用目薬「マイティアアルピタットNEXα」」が前年を下回りました。
以上の結果、当事業における売上高は、377億34百万円(前年同期比7.8%増)となりました。
[②その他事業]
化粧品原料「EPC」が前年同期に比べ2.5%減少いたしましたことから、当事業における売上高は、59百万円となりました。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 2013年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、法人税等の支払、投資有価証券の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が64億56百万円(前年同期比8.6%減)とほぼ横ばいに推移したことにより、前連結会計年度末に比べ18億20百万円増加し、当連結会計年度末には185億90百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は37億54百万円(前年同期比59.3%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が64億56百万円、減価償却費が20億41百万円、為替差損が6億72百万円の計上があった一方、法人税等の支払31億12百万円、その他の流動負債の減少10億30百万円、受取利息及び受取配当金9億49百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は29億61百万円(前年同期比9.0%増)となりました。これは主に長期貸付金の回収による収入が2億24百万円、投資有価証券の売却による収入が1億16百万円があった一方、投資有価証券の取得による支出17億47百万円、有形固定資産の取得による支出16億16百万円、投資その他の資産の取得による支出1億99百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は10億62百万円(前年同期比310.3%増)となりました。これは主に非支払株主からの払込みによる収入12億1百万円があった一方、配当金の支払い1億26百万円等によるものであります。