有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1006SR9
カルナバイオサイエンス株式会社 研究開発活動 (2015年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、キナーゼタンパク質(*)を標的とした経口の分子標的薬(*)であるキナーゼ阻害薬(*)の創製研究(*)および開発(*)を行いつつ、このキナーゼ阻害薬を創製するための基盤となる技術「創薬基盤技術」をさらに強化するための研究開発を行っております。さらに長年培ってきたこの創薬基盤技術を活用し、他の製薬企業やアカデミア等に対し顧客ニーズの高いキナーゼ関連製品・サービスを提供するための研究開発活動を続けております。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は417,249千円であり、項目別には以下のとおりであります。
当社グループの研究開発活動は、研究開発本部並びに創薬支援事業本部(製造部及び受託試験部)が中心となって行っております。2015年12月末現在、研究開発本部には24名、創薬支援事業本部には11名が在籍しており、そのうち9名が博士号を取得しております。また、ドラッグデザイン、有機合成、薬理、基質(*)探索、遺伝子クローニング(*)、細胞培養、タンパク質精製、アッセイ(*)開発等の専門家を有し、先端技術の蓄積を行っており、今後の事業の拡大に応じて研究開発要員の増加及び研究施設・設備への投資を計画してまいります。
当社の創薬研究(*)は、キナーゼ阻害薬(*)に特化して当社グループの強力なキナーゼ(*)の創薬基盤技術を最大限に活用し、がん及び免疫炎症疾患を重点領域として、効率的な創薬研究を行なっております。がん領域においては、自社研究に加えて国立研究開発法人がん研究センター及び広島大学と共同研究を行っております。また、重点領域以外の疾患についても、自社独自研究や北里大学等と共同研究を行うことで、パイプラインの拡充を図っております。
創薬には、アッセイ(*)開発、化学合成の他、薬理試験、薬物動態試験、毒性試験等に関する様々な技術が必要です。
優れた技術を保有する企業との業務提携を積極的に推進し、創薬の効率化を目指しています。また、新規創薬ターゲットの同定、新規創薬技術の開発などの基礎的な研究については、大阪府立大学、神戸大学、愛媛大学などのアカデミアとの共同研究を中心に推進しております。
医薬品の研究開発プロセスにおいて、前臨床試験以降を開発段階といいます。当社の創薬プログラムにおいて、2015年12月末現在でCDC7キナーゼ阻害薬、TNIK阻害薬の計2テーマが前臨床試験段階にありますが、前臨床試験では、主に動物を用いた試験により医薬品としての安全性及び毒性の評価を行います。さらに、塩・結晶多形検討、医薬品原体の製造のためのプロセス検討などが必要となります。このような評価・検討は、外部委託先を活用することにより、開発研究の効率化、迅速化を図り、早期の臨床試験開始を目指しております。なお、当社の開発研究は、臨床試験の前期第2層(フェーズⅡa)までの開発投資が比較的少額の段階までを対象としており、それ以降の開発は医薬品候補化合物の導出先である製薬企業等において実施することを想定しています。
当社は、2015年12月末現在で、免疫疾患を対象とした創薬プログラムをジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門である米国ヤンセン・バイオテック社に導出しております。本プログラムの開発は同社において実施され、当社は同社による本プログラムの開発(*)の進展に伴い導出契約時に合意したマイルストーン達成時に一時金を獲得できる契約となっております。
創薬事業において、特許は知的財産の権利確保だけでなく、導出交渉時に重要な要素となるため、特許公開時期も考慮しながら、特許出願をしていく方針です。
他方、創薬支援事業においては、当社グループの高品質かつ網羅的なキナーゼタンパク質(*)の製造方法やキナーゼ活性の測定方法(アッセイ(*)条件)などの技術的ノウハウを社内に着実に蓄積することで、効率的な製品の生産と製品レベルの向上などを図っております。
Novartis AGのGlivec®を始めとするキナーゼ阻害剤(*)の成功例により、製薬企業はキナーゼ阻害薬の研究開発を活発に進めており、近年ではそれらの成果として相次いでキナーゼ阻害剤が承認され上市(*)されております。これらキナーゼ阻害薬の研究活動には、高品質かつ網羅的に製品・サービスを揃える当社グループの創薬支援事業ビジネスに対するニーズが依然高いものと考えております。当社グループのキナーゼ阻害薬を創製するための技術(創薬基盤技術)を基盤として、競合他社との更なる差別化を図るべく、積極的な研究開発活動により、顧客要望に応じた製品・サービスの品揃えを拡充してまいります。
当連結会計年度末において、提供可能なキナーゼタンパク質(*)の種類は347種類、また製品数は422種類となり、当社グループは世界で最も多種類のキナーゼタンパク質を製品化し販売しております。また、アッセイ(*)可能なキナーゼ(*)の種類は319製品となり、創薬支援及び創薬に必要なキナーゼアッセイはほぼ実施可能となりました。さらに、表面プラズモン共鳴 (SPR)(*)やバイオレイヤー干渉法 (BLI)(*)といった物質間の相互作用を評価する系(解析機器)で利用可能なビオチン化キナーゼタンパク質の製品数は65種類となりました。また、細胞を用いて薬を評価するセルベースアッセイ(*)では、RPPA(*)セルシグナル解析サービスについて見直しを行っており、より顧客ニーズに沿ったサービス内容となるよう開発に取り組んでまいります。
今後もキナーゼ阻害薬(*)の創薬研究(*)に有用な最新の技術開発を行い、自社研究及び他社との共同研究を通じて、顧客ニーズに応じた創薬基盤技術の強化を図ってまいります。
完全子会社であるProbeX社が保有する相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術(*)に基づくGPCR(*)阻害及びタンパク質間相互作用(*)を確認することが可能な安定発現細胞株として、当連結会計年度末において26製品が提供可能です。ProbeX社の技術と当社が有する創薬基盤技術を融合し、顧客訴求力の高い製品の開発を進めております。
なお、当社グループは自社並びに他社と共同でキナーゼ阻害薬(*)の創製研究を実施しておりますが、早期のキナーゼ阻害薬(*)の導出並びに創薬事業の収益化を目指しており、このために、優秀な研究者の確保・育成や社内での技術的ノウハウの蓄積並びに最先端の技術への早期対応を図るための積極的な研究開発活動を進め、「創薬基盤技術」の強化に努めてまいります。なお、創薬基盤技術の強化は、当社グループの創薬に係る技術全体の底上げを図る目的で行われることから、セグメント別研究開発費では創薬事業に含めて表示しております。
当連結会計年度における研究開発活動をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
1.創薬事業
当社グループは、がん、免疫炎症疾患を重点領域として創薬研究(*)を進めており、2テーマが前臨床試験段階にあります。がん領域におきましては、国立研究開発法人がん研究センターとの共同研究テーマであるTNIK阻害薬プログラムが、創薬支援推進事業の一環として、日本医療研究開発機構(AMED)が実施する創薬ブースター(創薬総合支援事業)の支援課題として採択され、がん研究センターが中心となり前臨床試験を実施しております。また、そのバックアップ化合物についても、前臨床段階へのステージアップを目指し、がん研究センターと共同で研究を進めております。CDC7キナーゼ阻害薬プログラムについては、当社単独開発テーマとして、外部委託先を活用して前臨床試験を実施しております。また、広島大学と白血病幹細胞を標的とした創薬研究を開始し、リード化合物の最適化を行っております。その他テーマは前臨床候補化合物を獲得するまでの探索研究段階にありますが、重点領域以外でも有望な標的キナーゼを同定したものについては創薬研究を実施しており、次世代の研究テーマとして準備を進めております。
今後も積極的にキナーゼ阻害薬(*)に係る創薬研究を進めていくとともに、自社研究及び他社との共同研究を通じて創薬基盤技術の強化を行い、これまでにない新しい特性を示す化合物(*)の発掘を目指していきます。当事業に係る研究開発費は、403,312千円であります。
2.創薬支援事業
創薬支援事業の研究開発では、キナーゼタンパク質(*)の品質向上およびプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの作業効率の向上が主要なテーマとなっております。当社製キナーゼタンパク質は高品質との評価を得ており、今後さらに顧客からの信頼を獲得していくための研究開発を行っております。さらに、既存技術を応用した新しいアッセイ(*)系の開発や、よりハイスループットなプロファイリングサービスの開発にも取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は、13,936千円であります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は417,249千円であり、項目別には以下のとおりであります。
当社グループの研究開発活動は、研究開発本部並びに創薬支援事業本部(製造部及び受託試験部)が中心となって行っております。2015年12月末現在、研究開発本部には24名、創薬支援事業本部には11名が在籍しており、そのうち9名が博士号を取得しております。また、ドラッグデザイン、有機合成、薬理、基質(*)探索、遺伝子クローニング(*)、細胞培養、タンパク質精製、アッセイ(*)開発等の専門家を有し、先端技術の蓄積を行っており、今後の事業の拡大に応じて研究開発要員の増加及び研究施設・設備への投資を計画してまいります。
当社の創薬研究(*)は、キナーゼ阻害薬(*)に特化して当社グループの強力なキナーゼ(*)の創薬基盤技術を最大限に活用し、がん及び免疫炎症疾患を重点領域として、効率的な創薬研究を行なっております。がん領域においては、自社研究に加えて国立研究開発法人がん研究センター及び広島大学と共同研究を行っております。また、重点領域以外の疾患についても、自社独自研究や北里大学等と共同研究を行うことで、パイプラインの拡充を図っております。
創薬には、アッセイ(*)開発、化学合成の他、薬理試験、薬物動態試験、毒性試験等に関する様々な技術が必要です。
優れた技術を保有する企業との業務提携を積極的に推進し、創薬の効率化を目指しています。また、新規創薬ターゲットの同定、新規創薬技術の開発などの基礎的な研究については、大阪府立大学、神戸大学、愛媛大学などのアカデミアとの共同研究を中心に推進しております。
医薬品の研究開発プロセスにおいて、前臨床試験以降を開発段階といいます。当社の創薬プログラムにおいて、2015年12月末現在でCDC7キナーゼ阻害薬、TNIK阻害薬の計2テーマが前臨床試験段階にありますが、前臨床試験では、主に動物を用いた試験により医薬品としての安全性及び毒性の評価を行います。さらに、塩・結晶多形検討、医薬品原体の製造のためのプロセス検討などが必要となります。このような評価・検討は、外部委託先を活用することにより、開発研究の効率化、迅速化を図り、早期の臨床試験開始を目指しております。なお、当社の開発研究は、臨床試験の前期第2層(フェーズⅡa)までの開発投資が比較的少額の段階までを対象としており、それ以降の開発は医薬品候補化合物の導出先である製薬企業等において実施することを想定しています。
当社は、2015年12月末現在で、免疫疾患を対象とした創薬プログラムをジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門である米国ヤンセン・バイオテック社に導出しております。本プログラムの開発は同社において実施され、当社は同社による本プログラムの開発(*)の進展に伴い導出契約時に合意したマイルストーン達成時に一時金を獲得できる契約となっております。
創薬事業において、特許は知的財産の権利確保だけでなく、導出交渉時に重要な要素となるため、特許公開時期も考慮しながら、特許出願をしていく方針です。
他方、創薬支援事業においては、当社グループの高品質かつ網羅的なキナーゼタンパク質(*)の製造方法やキナーゼ活性の測定方法(アッセイ(*)条件)などの技術的ノウハウを社内に着実に蓄積することで、効率的な製品の生産と製品レベルの向上などを図っております。
Novartis AGのGlivec®を始めとするキナーゼ阻害剤(*)の成功例により、製薬企業はキナーゼ阻害薬の研究開発を活発に進めており、近年ではそれらの成果として相次いでキナーゼ阻害剤が承認され上市(*)されております。これらキナーゼ阻害薬の研究活動には、高品質かつ網羅的に製品・サービスを揃える当社グループの創薬支援事業ビジネスに対するニーズが依然高いものと考えております。当社グループのキナーゼ阻害薬を創製するための技術(創薬基盤技術)を基盤として、競合他社との更なる差別化を図るべく、積極的な研究開発活動により、顧客要望に応じた製品・サービスの品揃えを拡充してまいります。
当連結会計年度末において、提供可能なキナーゼタンパク質(*)の種類は347種類、また製品数は422種類となり、当社グループは世界で最も多種類のキナーゼタンパク質を製品化し販売しております。また、アッセイ(*)可能なキナーゼ(*)の種類は319製品となり、創薬支援及び創薬に必要なキナーゼアッセイはほぼ実施可能となりました。さらに、表面プラズモン共鳴 (SPR)(*)やバイオレイヤー干渉法 (BLI)(*)といった物質間の相互作用を評価する系(解析機器)で利用可能なビオチン化キナーゼタンパク質の製品数は65種類となりました。また、細胞を用いて薬を評価するセルベースアッセイ(*)では、RPPA(*)セルシグナル解析サービスについて見直しを行っており、より顧客ニーズに沿ったサービス内容となるよう開発に取り組んでまいります。
今後もキナーゼ阻害薬(*)の創薬研究(*)に有用な最新の技術開発を行い、自社研究及び他社との共同研究を通じて、顧客ニーズに応じた創薬基盤技術の強化を図ってまいります。
完全子会社であるProbeX社が保有する相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術(*)に基づくGPCR(*)阻害及びタンパク質間相互作用(*)を確認することが可能な安定発現細胞株として、当連結会計年度末において26製品が提供可能です。ProbeX社の技術と当社が有する創薬基盤技術を融合し、顧客訴求力の高い製品の開発を進めております。
なお、当社グループは自社並びに他社と共同でキナーゼ阻害薬(*)の創製研究を実施しておりますが、早期のキナーゼ阻害薬(*)の導出並びに創薬事業の収益化を目指しており、このために、優秀な研究者の確保・育成や社内での技術的ノウハウの蓄積並びに最先端の技術への早期対応を図るための積極的な研究開発活動を進め、「創薬基盤技術」の強化に努めてまいります。なお、創薬基盤技術の強化は、当社グループの創薬に係る技術全体の底上げを図る目的で行われることから、セグメント別研究開発費では創薬事業に含めて表示しております。
当連結会計年度における研究開発活動をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
1.創薬事業
当社グループは、がん、免疫炎症疾患を重点領域として創薬研究(*)を進めており、2テーマが前臨床試験段階にあります。がん領域におきましては、国立研究開発法人がん研究センターとの共同研究テーマであるTNIK阻害薬プログラムが、創薬支援推進事業の一環として、日本医療研究開発機構(AMED)が実施する創薬ブースター(創薬総合支援事業)の支援課題として採択され、がん研究センターが中心となり前臨床試験を実施しております。また、そのバックアップ化合物についても、前臨床段階へのステージアップを目指し、がん研究センターと共同で研究を進めております。CDC7キナーゼ阻害薬プログラムについては、当社単独開発テーマとして、外部委託先を活用して前臨床試験を実施しております。また、広島大学と白血病幹細胞を標的とした創薬研究を開始し、リード化合物の最適化を行っております。その他テーマは前臨床候補化合物を獲得するまでの探索研究段階にありますが、重点領域以外でも有望な標的キナーゼを同定したものについては創薬研究を実施しており、次世代の研究テーマとして準備を進めております。
今後も積極的にキナーゼ阻害薬(*)に係る創薬研究を進めていくとともに、自社研究及び他社との共同研究を通じて創薬基盤技術の強化を行い、これまでにない新しい特性を示す化合物(*)の発掘を目指していきます。当事業に係る研究開発費は、403,312千円であります。
2.創薬支援事業
創薬支援事業の研究開発では、キナーゼタンパク質(*)の品質向上およびプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの作業効率の向上が主要なテーマとなっております。当社製キナーゼタンパク質は高品質との評価を得ており、今後さらに顧客からの信頼を獲得していくための研究開発を行っております。さらに、既存技術を応用した新しいアッセイ(*)系の開発や、よりハイスループットなプロファイリングサービスの開発にも取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は、13,936千円であります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
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