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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007RBH

有価証券報告書抜粋 コニカミノルタ株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化し更に複合化・融合化することによるお客様本位の新製品・新技術の開発を進めております。また、持続可能な地球・社会の実現をめざし「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発も進めております。その結果、日本経済新聞社が実施した第19回「環境経営度調査」において、2年連続で製造業総合ランキング1位を獲得しました。また、次世代に向けた低炭素社会の構築を目的とする「低炭素杯2016」においても、「ベスト長期目標賞」を受賞しました。2050年を見据えた長期環境ビジョンのもと、自社内に留まらずバリューチェーンを通じた環境負荷低減にも積極的に取り組む環境経営が高く評価されました。製品ライフサイクルにおけるCO2排出量の2015年度実績は約108万トンで、2050年に2005年度比で80%削減するという長期環境ビジョン「エコビジョン2050」に対して、47%削減まで到達しています。
当社グループの研究活動は、中期経営計画「TRANSFORM 2016」に基づいた中期経営戦略基本方針(持続的な利益成長の実現、顧客密着型企業への変革、強靭な企業体質の確立)に対応して、「持続的成長に向けたインキュベーションの加速」、「顧客価値につながる差別化技術の仕込み」、「一流を目指す技術人財、開発組織力の強化」の3つの技術戦略の基本方針を定め推進してまいります。
既存事業の商業・産業用印刷分野では、出力枚数が多く、特に多彩な用紙への対応力と高い生産性が求められるヘビープロダクションプリント領域へ、コニカミノルタ独自のサービス展開と合わせて業容を広げてまいります。さらに、2014年1月に資本・業務提携した、デジタル方式の高付加価値印刷機器メーカーでは業界トップのMGI Technology社に追加出資を行い、ラベル・パッケージ業界のデジタル化を加速させる製品ラインアップの拡充を図り、産業印刷分野の強化を推進してまいります。ヘルスケア領域では、米国のヘルスケアイメージングソリューションプロバイダー Viztek社を買収し、今後、医療ITソリューションサービスを強化してまいります。また、新規に、創薬研究分野を対象とした蛍光ナノ粒子による病理標本作製サービスの提供を日本市場にて開始しました。コア技術であるナノテクノロジーを駆使した体外診断分野での研究開発を加速し、当該サービスを皮切りに、先進的技術を通じてライフサイエンスにおける社会的課題の解決に貢献してまいります。
新たなビジネスモデルとして、コア技術で差別化されたハードウェア(Input/Output)とソフトウェア(Process)を組み合わせたコニカミノルタのサイバーフィジカルシステムとして、ソリューションサービスをお客様に提供してまいります。その一例として、ICTで介護ワークフローを変革する「ケアサポートソリューション」を開発しています。これは、介護施設において入居者の行動を非接触センサーで検知し、介護スタッフにスマートフォンで知らせるとともに、スマートフォンにアプリケーションを追加することで、ケア記録の入力や情報共有といった機能を付加するサービスであり、高齢化社会による要介護者の増加と、生産年齢人口減少による介護スタッフ不足という大きな社会的課題の解決に貢献してまいります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、前連結会計年度比19億円(2.7%)増加の762億円となりました。また、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであります。なお、研究開発費については、以下の事業部門に含まれない金額及び基礎研究費用131億円(前連結会計年度比0.5%増)が含まれております。

(1)情報機器事業
情報機器事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。
当連結会計年度の主な成果として商業・産業用印刷分野では、産業印刷をターゲットとしたカラーラベル印刷システム「bizhub PRESS(ビズハブ プレス)C71cf」を開発・商品化いたしました。電子写真ならではの高画質と扱い易さを保ち、さらにリーズナブルな導入コストの商品を実現しました。今後も大きな成長が期待できるラベル印刷のデジタル化の流れを早期につかみ、着実に事業の拡大を狙ってまいります。また、企業、官公庁、学校などの集中印刷部門や商業印刷をターゲットとしたモノクロプロダクションプリンター「bizhub PRO(ビズハブ プロ)1100」を開発・商品化いたしました。定評ある信頼性・生産性・堅牢性を継承するとともに、印刷枚数が毎分100枚へと、さらに高速になりました。企業内集中印刷用途に求められる機能を充実させ、より使いやすく進化しています。さらに、新規市場としての新興国での利用を意識したシンプルな排紙トレイを用意するなど、多様な用途に対応することで市場拡大を図ってまいります。これらの商品は、印刷業務における効率化と利便性、機動性を向上させ、印刷に携わるお客様の業容拡大に貢献いたします。
オフィスサービス分野では、モバイル端末、クラウドサービスとの連携をさらに強化したA3カラー複合機「bizhub C368/ C308」、「bizhub C287/C227」、「bizhub C258」及びA3モノクロ複合機「bizhub 287/227」を開発・商品化いたしました。小規模オフィスから大規模オフィスまで、新しいワークスタイルに柔軟に対応すべく、コニカミノルタのクラウドサービス「INFO-Palette(インフォ パレット)Cloud」を活用することで、オフィス外からモバイル端末でオフィスの複合機へ印刷指示やFAX閲覧・送信等も可能であり、ワークフローのさらなる効率化に貢献いたします。
環境性能においては、再生プラスチックの外装全体への採用、スリープ中の待機電力は業界トップクラスの0.5Wを実現、TEC値(注)を従来機から大幅に削減することで同時にCO2排出も大幅に削減する等、環境負荷低減に貢献し、お客様のTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減にも効果を発揮いたします。
また、当事業では、「エコビジョン2050」達成に向けて、省エネ技術、軽量化技術、石油由来資源削減技術、高耐久化技術等を開発して参りました。省エネ技術では、トナーと定着部材の両面から低温定着技術を開発しプリント中に大幅な電力削減に加えて、機器のスリープ状態の省エネにも着目し低電力モードやスリープモードの低電力技術を開発し業界トップレベルの低電力化を実現しました。軽量化技術では、質量の大きい製品が主流である高速領域において、低中速製品の高速化・高耐久化技術を使用することにより、高速領域における業界トップレベルの軽量化を実現しました。また、石油由来資源削減技術では、プラスチック素材の外装に当社独自のケミカルプロセッシング技術による複合リサイクル素材「再生PC/PET」(PC:ポリカーボネート PET:ポリエチレンテレフタレート)を開発し日常生活で使われる資源の有効利用の促進に貢献するのに加えて、内装にも高配合の再生プラスチック素材を開発し2015年度に発売したA3カラー複合機「bizhub C368/C308/C258シリーズ」で業界トップレベルの再生プラスチック採用率を実現しました。
また、デザイン面においてはA3モノクロ複合機「bizhub287/227」とスマートフォンアプリ「bizhub Remote Access」が日本のグッドデザイン賞(2015年)を同時受賞しました。bizhubシリーズの統一コンセプトである「INFO-Palette」の複合機として4年連続の受賞となります。
オフィスで働く様々なユーザーに対応して、普段使い慣れているモバイル端末からの遠隔操作や給紙カセットの上下アクセス、画面表示を含めたカラーユニバーサルデザインやフリック操作などの配慮、全体にハード面とソフト面においてバランスよくデザインされている点が高く評価されております。
産業用インクジェットにおいては、微小インクの高精度着弾を実現するMEMS精密加工技術を採用したインクジェットプリントヘッドを開発しました。2016年度中には量産工程へ移行し、様々な出力アプリケーションへの対応を行ってまいります。
またインクジェット出力システムとして、従来の捺染印刷(スクリーン印刷)機の生産速度に匹敵するシングルパス方式採用のインクジェットテキスタイルプリンター「NASSENGER(ナッセンジャー)SP-1」を開発し、市場展開を始めました。さらにB2サイズの両面印刷を可能にした商業印刷用インクジェットプリンター「KM-1」を開発。2016年度より市場展開を始めます。
プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続けるアプリケーションへの対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を推進しております。
当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比10億円(2.3%)増加の442億円となりました。
(注)TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値です。

(2)ヘルスケア事業
ヘルスケア事業においては、主にデジタルX線画像読取装置(CR:コンピューテッドラジオグラフィー)「REGIUS(レジウス)」シリーズ及びフラットパネルディテクタ(FPD)搭載のデジタルX線撮影装置(DR:デジタルラジオグラフィー)のラインナップ拡充や電子カルテ、情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波画像診断装置シリーズの拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携、地域連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。
当連結会計年度においては、2011年の発売以来多くの医療現場で高い評価をいただいておりますワイヤレスタイプカセッテ型DR「AeroDR(エアロディーアール)」シリーズの特長を継承しながら、筐体及び構成部品の設計を見直すことで2.5kgという更なる軽量化(弊社従来同等品に対し約10%の軽量化)、耐荷重、耐落下性能、防水設計といった堅牢性の向上を実現した「AeroDR PREMIUM 1417S」(14×17インチサイズ)を発売いたしました。「AeroDR PREMIUM 1417S」はスタンダードモデルでありながら、撮影間隔短縮による患者様待ち時間軽減、ストレスフリーな急速充電等を実現し、ご好評をいただいております。また、X線の散乱線の影響を取り除き画像コントラストを改善する「インテリジェントグリッド」、肋骨及び鎖骨の画像信号を減弱させて肺野部の画像視認性を高める「Bone Suppression(ボーンサプレッション)処理」、そして複数枚のAeroDRパネルを組み合わせて一回のX線照射で広範囲の撮影を可能とする「OneShot(ワンショット)長尺システム」を発売いたしました。いずれも長年培ってきた画像処理技術を進化させることにより実現した機能であり、読影精度の向上、診断時間の短縮、ワークフローの改善といった価値をお客様にご提供いたしました。
サービス・ソリューション分野におきましては、「連携BOXサービス」、「遠隔読影支援サービス」等の機能を有するICTサービスプラットフォーム「infomity(インフォミティ)」の機能向上開発を継続的に行いました。また製薬会社や医療機関にてイメージングを専門とした臨床試験支援にご利用いただける「臨床試験支援サービス」を実現する「Trial BOX」の販売を開始するなど、ラインナップの拡充を図りました。
超音波画像診断装置では、ハンドキャリー型で最高レベルの分解能を実現した超音波画像診断装置「SONIMAGE(ソニマージュ) HS1」の整形外科向け専用機「SNiBLE(スナイブル)」を発売いたしました。「SNiBLE」では、超音波ビームの送信方向を調整することで穿刺針の視認性および、最浅部描写力の向上を図り、整形外科運動器エコーに必要な機能を強化いたしました。「SONIMAGE HS1」の可搬性高いコンパクトなボディや様々な検査スタイルに対応できるデザインは、多くのご評価をいただき、グッドデザイン賞(2014年度)受賞に続き、2015年度機械工業デザイン賞「日本デザイン振興会賞」を受賞いたしました。
今後も、医療用画像分野において最先端の技術開発に挑戦し、質の高い製品・サービス・ソリューションを通じてお客様へ新たな価値をご提供できるよう取り組んでまいります。
当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比5億円(10.2%)減少の48億円となりました。

(3)産業用材料・機器事業
機能材料分野においては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用TACフィルムについての薄膜化や視野角拡大といった高機能化・多機能化に関する研究開発や、材料技術を生かした機能性フィルム(遮熱フィルム等付加価値製品)及び有機素材の研究開発を実施しております。
また、偏光サングラス着用下でもディスプレイ本来の色を再現するためのディスプレイ用偏光サングラス対応フィルム「QWPフィルム」を新たに開発いたしました。
当連結会計年度におきまして有機EL用青色りん光材料で一般社団法人近畿化学協会が主催した第67回「化学技術賞」を受賞しております。
産業光学システム分野における計測機器においては、これまでディスプレイ・光源色測定におけるトップメーカーとして、高品質な製品を提供してまいりました。今年度は、米ディスプレイ検査機器メーカーのRadiant社の買収により、総合的な光源色測定分野においてのトップポジションを更に確固たるものとし、ICT・自動車分野製造検査領域向けのソリューション開発力を強化しています。また、新たに印刷業界向けに自由フォーマット機能を有した自動スキャン分光測色計「FD-9」を開発・発売しました。
光学機器につきましては、長年培ってきたコンポーネント技術やユニット技術を活用した、車載関連・光通信関連などの新規事業の創出に向けた取組みを本格化させております。
当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比14億円(11.8%)増加の140億円となりました。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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