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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100PP7S (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社グッドパッチ 事業の内容 (2022年8月期)


沿革メニュー関係会社の状況


当社グループは、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンのもと、「デザインの力を証明する」というミッションを掲げ、「デザイン」を通じて人々の生活がより便利になり、より暮らしやすくなることを目指し事業活動を行っております。

当社グループが考える「デザイン」とは、問題の本質を掘り下げ、解決のための設計を行い、設計に基づいた見た目(ビジュアル表現)を作り上げ、問題解決へと導くことを意味します。一般的に「デザイン」というと、製商品の形や色、模様などの表面的な見え方に言及されることが多いものの、「デザイン」の本質は、製商品を使う“人”を中心に据え、その目的、置かれる状況、付随する思考も含めた情報伝達や体験の創造にあります。色や形、技術や機能は「デザイン」によって統合され、本来の目的に沿って適切に活用されるようになるものと考えております。
当社グループは、現代のビジネスにおいて、この「デザイン」の考え方がより重要視されてきていると考えております。これまで「デザイン」は広告等の表面的なビジュアルのデザインを指すことが一般的であり、その目的は製商品の認知の向上やコンバージョン(購入)という一つの点であったものの、現在では「デザイン」の目的はエンゲージメント(活用)やリテンション(継続)、解約率の低下といったユーザーが使い続けていく体験をつくることやそのような体験の積み重ねによる好循環を生み出すことに変化しています。特に、近年のSaaSなどのサブスクリプションを主軸においたビジネス(サービス)は、繰り返し使い続けることでデータが積み上がっていくモデルを採用していることが多いため、使い続けるための「デザイン」がその価値に大きく影響しています。
当社グループは、この「デザイン」の本質的な考え方のもと、ビジョン・ミッションを達成するために、Webサイトやアプリケーション、ブランドのデザイン支援を行うデザインパートナー事業と、自社開発のSaaSプロダクトや自社を軸として構築した人材プールを活用したデザインプラットフォーム事業の2つの事業を主要事業として運営しております。また当社グループは、当社、連結子会社3社(Goodpatch GmbH、Goodpatch,Inc.、株式会社スタジオディテイルズ)、及び持分法適用関連会社2社(株式会社エックスポイントワン、株式会社Muture)の計6社により構成されております。
なお、以下に示す区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。

(1) デザインパートナー事業

デザインパートナー事業は、顧客企業の持つ本質的な価値を発見し、その要素を紐解きながら、顧客企業のユーザーが持つ価値観に則して、その価値が適切に伝わるように顧客企業の戦略やブランディング、ビジネスプロセス等も踏まえてデザインを実装していきます。その際に、当社のUXデザイナー及びUIデザイナーが中心となり、顧客企業のプロジェクトチームと一体となって、デザインプロジェクトをリードします。
またデザインパートナー事業では、顧客企業に対し、Web・スマートフォンサービス等のデジタルプロダクトに関わる様々なデザインについて、次の3つの領域にまたがりサービスを提供しております。

・Experience Design(UI/UX)領域(プロダクト)
主にスマートフォンやSaaSのアプリケーション等のデジタルプロダクトにおけるUI/UXデザイン支援(戦略立案・企画・設計・開発の支援)。ユーザー視点でより使いやすいサービスを実現します。

・Brand Experience 領域(コーポレート・組織)
顧客企業の経営ビジョン・ミッションを起点とした組織デザインやブランドイメージのデザイン。ブランドの発信者側のサービスに込める思いや提供価値をデザインし、強固なブランドの形成を支援します。

・Business Design 領域(戦略・ビジネスモデル)
顧客企業のデジタルにとどまらないプロダクト全般における戦略・ビジネスモデルのデザイン。ユーザーがサービスを受け入れ、プロダクトを成長させていくための要件を定義し、その実現方法をデザインします。

それぞれの領域は部分的に重なり合うため、領域を跨いだサービスの提供も特徴の一つとなります。例えば、Business Design領域からExperience Design(UI/UX)領域又はBrand Experience領域へサービスを連続的に提供することによって、顧客企業の戦略の策定からプロダクト開発まで一気通貫で支援することができます。顧客企業にとっては、プロダクト開発だけでなく、その基盤となる組織文化の変革を推進することができるなど、より本質的な課題解決を行うことが可能です。

① デザインプロジェクトのデザインプロセス(デザイン支援の流れ)について
当事業においては、顧客企業にとって本来必要とされるデザインの開発のために、ユーザーの製品・サービスとの直接的なやりとりだけでなく、ユーザーを取り巻く生活環境や製品・サービスを利用するシチュエーション、さらに利用前後の関係・時間の流れなどの付加的な情報を勘案し、総合的な「経験・体験」としてとらえて体験のデザイン(UXデザイン)を行います。
また、当社グループでは、プロダクトやサービスの見栄えや表面上の見た目を綺麗に整えることだけでは十分に目的を達成するデザインとはならないと考えており、米国のUXデザイナーであるJesse James Garrett氏の提唱する、ユーザー体験を考える上での5つの要素(戦略、要件、構造、骨格、表層)をもとに、互いに関係するそれぞれの要素を考慮しながらデザインプロジェクトを進めております。



デザインプロジェクトでは、必ずしも前段階を完全に完成させてから次段階に着手するわけではなく、途中まで作った状態で次段階に進み、また前段階に戻りやり直すという段階の行き来、すなわちプロトタイピング(注1)を繰り返しながら発想を深めていきます。企業側の視点だけでなく、ユーザー側の視点からその思考や行動を柔軟に分析していくため、プロトタイピングを繰り返すことで顧客企業が気付かない潜在的な強みを取り入れる、顧客企業がこれまで採ったことのないマーケットへのアプローチを検討する、顧客企業がターゲットと考えているユーザー像を最適化する、顧客企業が持たない技術を外部から取り入れることを検討する等の結果につながり、イノベーションの実現に近づいていくことが可能となります。

当社グループでは、このようなデザイン支援の流れをデザインプロセスと呼んでおり、デザインプロセスは「1. Setup セットアップ→2. Problem プロブレム→3. Solution ソリューション→4. Development デベロップメント→5. Market マーケット」の5つのフェーズで進行します。各フェーズはブレインストーミングのようなアイデアや議論の“発散”と様々なアイデアの絞り込みや整理等の“収束”を含み、フェーズの接続するポイントがデザインプロセスのマイルストーンとなります。デザインプロセスの概念図は次のようになります。




1. Setup セットアップ

プロジェクトで達成すべきことを見つけるフェーズです。デザインプロジェクトが始まり、当社と顧客企業が一体となりワークショップ形式でチームビルディングを行います。プロジェクトの目的を紐解くことで、顧客のビジネスゴールと顧客のユーザーゴールの関係性を明らかにし、未だ明確ではない顧客の課題にアプローチします。プロジェクトで解決する課題の合意を取り、注力する部分を決定します。

2. Problem プロブレム
プロブレムではリサーチ・ユーザーインタビューを基に、本質的な課題を定めるために様々な調査を行います。顧客企業が提供したいと考えているサービス又はビジネスが、どのようなユーザーをターゲットとしているか等により、デザインアウトプット(結果)の内容が変わってきます。顧客企業にとっても自社のユーザーを客観的に分析する機会を持つことで、企業が提供するサービスやビジネスの価値を明確にしながら、ユーザーのインサイト(気づき)を発見・定義することができます。

3. Solution ソリューション
ここでは、アイディエーション(アイデアを出すこと)を行い、課題に対する解決策を提示し、アウトプットにむけた設計及び骨格を構築します。前工程にて発見・定義したユーザーのインサイトに基づき、潜在ニーズやニーズを充足したときのメリットをチーム内で議論しながらサービスの大枠を定めていきます。その後、デザイナーがプロトタイプとしてプロダクトのコンセプトを提示し、これ以降の議論やサービスの初期設計における基盤となるものが出来上がります。

4. Development デベロップメント
ここでは、デザイナーがデザインしたものをユーザーが使えるプロダクトへと変えていきます。様々な機能が付け加えられ、その体験価値を確認しながら検証作業が繰り返されます。ここでの成果物はMLP(Minimum Lovable Product:ユーザーにとってそのコア機能が本当に心から求められているものなのかを検証するための、初期バージョンのプロダクト)です。最終的なMLPにたどり着くまでにデザイン検証作業の反復を行います。

5. Market マーケット
ここでは、最終プロトタイプをベースに本番環境に組み込むデザインを制作します。マーケット検証から適切なフィードバックを得て、プロダクトの最終的なデザインを進め、ビジネスと強い紐付けが行われます。プロジェクトによっては、続いて当社エンジニアがアプリ開発のコーディングを行うこともあります。


② 当社グループのデザイナーについて
当社グループのデザインプロジェクトでは、プロジェクト開始段階からUXデザイナーとUIデザイナーが少なくとも一人ずつ参加することを原則としています。デザインプロジェクト全体のスコープ(範囲・広がり)によっては、それぞれが複数名ずつ参加する場合もあります。UXデザイナー及びUIデザイナー並びにエンジニアの役割は次のようになります。

・UXデザイナー
UXデザイナーはデザインプロジェクトにおいて、顧客のサービス体験を設計する役割を担い、デザインプロセスの主に前半から中盤部分を担当します。ユーザー像を絞り込んで定義し、ユーザー像から顧客のサービスにおける問題の本質を発見し、解決のための体験設計を行い、UIのデザインのベースとなる要素を絞り込んでいきます。

・UIデザイナー
UIデザイナーはデザインプロジェクトにおいて、絞り込まれたユーザー像からプロトタイプを設計し、本番に実装するデザインを制作します。デザインプロセスにおいては、主に中盤から後半部分を担当します。

・エンジニア
エンジニアはデザインプロジェクトにおいて、デザインが確定した後のアプリの実装を担います。iOS、Android、Web、サーバーなどの様々な専門スキルを持ったメンバーが在籍しております。

③ 事業拠点について
デザインパートナー事業では、主として日本でのビジネス展開のために当社及び株式会社スタジオディテイルズを、ヨーロッパ全土でのビジネス展開のために連結子会社Goodpatch GmbHをそれぞれ事業拠点としております。UIデザイン(注2)及びUXデザイン(注3)についてクライアントへ提供するためのデザインプロセスは、日本とヨーロッパ等においても異なるところはなく、そのオペレーションは類似しています。一方で、デザインを活用するエンドユーザーの文化的背景によっては表現方法が異なることがあるため、当社グループでは人材の多様性(出身国や言語等)ある組織運営を実施し、グローバルレベルでのターゲットユーザーについては、当社及びGoodpatch GmbHが連携をして対応しております。

(2) デザインプラットフォーム事業

デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からサポートするサービスを提供しております。デザインが有効に活用され、プロダクトとして世の中にリリースされるまでのプロセスをデザインビジネス環境(クラウドソーシング-「Goodpatch Anywhere」)、企業内デザイン人材(デザイナー採用支援サービス-「ReDesigner」)、ソフトウェア(デザインITツール-「Strap」「Prott」「Athena」)の点からサポートし、デザインパートナー事業をサポートする基盤(プラットフォーム)として機能しております。
具体的には当社グループが顧客に提供している主な製品・サービスは以下のとおりであります。

① Goodpatch Anywhere
「Goodpatch Anywhere」は、全国各地に居住するフリーランスのデザイナーの中からスキルの確かなデザイナーを厳選してプロジェクトチームを組成し、インターネットを通じてプロジェクトを進行する、フルリモート形態によるWebサイトやアプリケーションのデザイン支援を展開しております。
世の中のデザイナーの働き方は、インターネットの発展にともない時間と場所の制約にとらわれず、また企業の一社員にとどまらないフリーランスの形態へと広がりをみせています。また、ウェブ会議システムやコラボレーション(協働)ツールが広く普及し、一堂に会することなく円滑なコミュニケーションが可能になっています。企業においても、有事の際にも業務を継続でき、かつ柔軟な働き方を提供できるリモートワーク(注4)導入への取り組みが進んでおります。
このような背景から、全国各地に居住する経験豊富なデザイナーを集め、プロジェクトの内容に応じてメンバー選定を行い、UIデザイン及びUXデザインを軸として、当社のこれまでのデザイン支援の知見を活かしプロジェクト品質を担保しながら、当社従業員及び選定されたメンバーが協働して、フルリモートで顧客企業とのデザインプロジェクトを進めます。なお、Goodpatch Anywhereにおけるデザインプロジェクトは、デザインパートナー事業におけるデザインプロジェクトと同様、顧客企業は当社と準委任契約を締結し、役務の提供が行われます。2022年8月末現在では、427名のUIデザイナー及びUXデザイナーを中心としたフリーランスのメンバーが登録されており、そのうち48名が稼働しております。

② ReDesigner及びReDesigner for Student
「ReDesigner」は、2018年にリリースしたデザイナーに特化した人材紹介サービスです。デザイナーの実際の就業現場において発生しがちなスキルやマインドセットなどのミスマッチを、デザイン会社である当社自らが人材紹介を行うことで解消し、企業側とデザイナー側両面のニーズを満たしたサービス提供が可能です。
デザイナーの採用を検討している企業は、企業の求めるデザイナーのスキル等、デザイナーの知りたい情報を網羅した求人票を当社と共に作成します。またデザインに対する理解度が高い当社のキャリアアドバイザーが、転職を希望するデザイナーの悩みや希望を聞くことで適切な情報を提供していきます。当社がデザイナーと企業の間に入ることで、相互のニーズをより深く理解し、デザイナー及び企業双方にとってのベストマッチを図っております。
2019年6月には「ReDesigner for Student」というデザイナー志望の学生に向けた採用支援Webサービスを正式リリースしております。学生は当サービスに登録し、Web上にポートフォリオ(作品集)の掲載を行い、企業からの採用アクションを待ちます。一方、採用企業は月定額の利用料を支払い、ポートフォリオを登録している学生に向けて求人を発信しております。
また、2021年7月には副業・フリーランスマッチングサービスをリリースし、ビジネス領域の拡大を図っております。

③ Strap及びPrott
「Strap」は、2020年9月にリリースしたオンラインホワイトボードツールです。
リアルタイムで図解やテキスト情報の共同編集が可能となり作業及びコミュニケーションの効率化を実現することが可能です。リモートワークが加速し、異なる場所にいるという制約を飛び越えながらプロジェクトを推進することが様々な企業でも必要となる今、ホワイトボードを見ながらチーム全員で情報を共有し作業するようなコラボレーション(協働)空間をオンラインで実現します。
「Prott」は、2014年にリリースしたプロトタイピングツールです。Web、iOS、Androidの3つのプラットフォームにて展開しております。
デザイナーは「Prott」を用いることで簡易的に画面設計を行うことが可能になります。アプリにおける画面遷移の動作やタッチパターンなどの設定をプログラミング無しで表現することが可能です。また、プロトタイプをメンバー間で共有することで、フィードバックの授受やコーディング時の意思疎通等がスムーズに進み、デザインの制作現場の効率化に貢献します。

④ Athena
「Athena」として、カーデザインをVR環境(注5)で行うことができるソフトウェアの開発を連結子会社Goodpatch GmbHにて進め、機能拡充を図っておりましたが、当該サービスの事業成績を鑑み、2022年6月30日に終了することを決定し、当連結会計年度においてサービスを終了しております。

(注)1.プロトタイピングとは、最終成果物の試作品を早い段階から作り、改善を繰り返す手法のことを意味します。
2.UIデザインとは、ビジュアルや情報設計、インターフェースのデザインなど、より具体的なアウトプットを意味します。
3.UXデザインとは、デジタル領域/非デジタル領域に関わらず、ユーザーとの全ての接点における体験の設計を指しています。
4.リモートワークとは、働き方の多様化が進む現代において広がりつつある、会社のオフィス以外の場所で働くワークスタイルのことを意味します。
5.VRとは、Virtual Reality(仮想現実)の略であり、現物・実物(オリジナル)ではない機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術及びその体系を意味します。


【事業系統図】



沿革関係会社の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E35773] S100PP7S)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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