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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007XKV

有価証券報告書抜粋 ハリマ化成グループ株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランドにおいてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化するなかで再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。
主力のパインケミカル関連事業は国内市場が縮小傾向の中、当会計年度におきましては当社独自製品の開発、及び海外市場展開を見据えた製品開発に注力しました。特に環境や安全性に配慮した製品、また当社が強みを持つ原料を生かした低コスト製品により国内市場シェアの維持、海外における販売の増加に寄与しました。
新規分野におきましては、「イノベーションを支える産業素材」をキーワードに環境・エネルギー分野、自動車・エレクトロニクス分野において当社独自の製品開発を進めており、導電性ペーストや機能性コート剤などでは新たな市場を獲得しつつあります。
中長期的観点より産業素材のみならず、メディカルバイオ分野においても研究者の配置を始めております。現在は大学等社外研究機関との連携を主体に取り進めておりますが、早期に事業化への道筋を定めて参ります。新規分野においては今後更に筑波研究所を拡充していくとともに、開発当初から海外研究開発部門と共同でグローバル市場を見据えた展開を図っていきます。
当連結会計年度の研究開発費は、23億7千万円、特許の登録件数は国内10件、海外が19件、国内の出願件数は24件でした。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

(1)樹脂化成品
当事業においては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム190万トン、塗料164万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤87万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
塗料用樹脂においては、比較的堅調な建築外装用途向けに、環境に配慮した弱溶剤型樹脂新製品の開発を進めるとともに、重防食塗料用の弱溶剤型新製品を開発しました。印刷インキにおいては、縮小傾向が続く平版インキ市場でのシェアを確保するために、当社独自の原料であるトール油製品を応用した樹脂の開発を進め、一部販売を開始しています。また、インキの中でも市場が拡大しているUV硬化型インキ向けの新製品開発を進めています。粘接着剤用樹脂に関しては、粘着力を向上させたタッキファイヤーの開発を進めました。海外においてはアジア市場向けに印刷インキ用樹脂の新製品開発を進めました。またローター社との協業を進めており、特にインキ用新製品及び粘接着剤用樹脂の開発において成果を出しつつあります。今後はさらに世界市場に投入できる製品の開発を進めて行きます。
また、機能性樹脂分野では、タッチパネル用のコーティング剤や、光学フィルム用のハードコート等、可視光の透過率に影響なく機能を付与することができる製品の開発に注力し、顧客評価が進んでいると共に、一部は量産化しました。タッチパネル分野だけではなく、新たに、保護フィルムに求められる耐擦傷性などを付与させるコート剤を開発、顧客で良好な評価をいただいています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は4億8千9百万円でありました。

(2)製紙用薬品
当事業においては、水性インクのにじみを防止するサイズ剤や、紙の強度を高める紙力増強剤、紙の表面を改質する塗工剤といった基盤製品の機能制御をコア技術とする研究開発を行っています。
日本国内における2015年の紙・板紙の内需量は、昨年比2.1%減の2,687万トンとなりました。前年の消費税増税前の駆け込み需要の反動から、1~3月では紙・板紙ともに減少。通年では、紙は減少し、板紙は微減となりました。全体では減少となり、5年連続のマイナスとなっています。
国内の製紙メーカー各社は、紙・板紙の国内需要の大幅な増加が望めない状況において、省資源化(省エネ・省人・省原材料など)、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正により収益改善を進め、同時に、木材・ケミカル事業やエネルギー事業への取組みや、海外(中国・東南アジア・オーストラリアなど)への事業展開を進めています。
当社では、このような環境変化の中で製紙業界のニーズに応えるため、板紙の中性化(硫酸バンド低減によるトータルコスト削減)と軽量化(商品力向上による販売数量確保)に対応した高機能商品を開発しています。
また、紙・板紙の国際的な物流環境に対応するために、間接食品添加物として海外安全基準の規制要件を満たした商品開発を進めています。今年度はFDA認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤及びポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤をプラズミン・テクノロジー,Inc.と共同開発し、販売を開始しています。
海外に於ける事業展開も積極的に進めており、北南米、中国、東南アジアへの製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の年産量が世界第一位(1億1775万t/2015年)の中国では、杭州杭化哈利瑪造紙化学品有限公司(浙江省)において、また、紙・板紙の年産量が世界第二位(7319万t/2014年)の米国では、プラズミン・テクノロジー,Inc.において、研究開発活動並びに販売活動を強化しています。さらに、2012年にタイに駐在員事務所を開設しており、東南アジア新興国への事業展開を推進しています。諸外国では、それぞれの顧客からの要求項目が異なっており、適合化技術を確立させながら製紙用薬品のラインナップを充実させて、個別顧客の要求に応えています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は5億5千6百万円でありました。

(3)電子材料
当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び車載用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開しており、「クリーン&ハイリライアビリティ」をコンセプトに、環境との調和を重視した高い信頼性を有する電子材料の提供を行っています。
自動車業界の2015年の国内新車販売数は、軽自動車税の増税の影響のため前年比9.3%減の約505万台となり、東日本大震災があった2011年以来4年ぶりに前年を下回りました。車種別ではトヨタ自動車株式会社の「アクア」が首位となり、また、普通自動車販売台数上位もハイブリッドカーが占め、日本において環境に配慮した低燃費の次世代型自動車の普及が確実に進んでいます。
こうした環境の中、当事業では自動車用新規材料として大手自動車部品メーカーと共同で開発した次期鉛フリーソルダペーストの販売が増加し、自動車用ソルダペースト全体の販売促進に寄与しております。今後も適用製品を広げ、グローバル拠点への展開を通して販売量増加の計画を立てています。また、多くの自動車部品装置メーカーでは低燃費化を達成する新型装置の開発が重要となっており、はんだ接合部の信頼性が非常に高い高耐久はんだを要望する声が高まっています。従って、当社もこのような市場の要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペーストの開発を加速しています。
もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。軽量高機能を目的とした熱交換器の小型化にも追従可能な塗布性、熱分解性に優れるろう付け材料の製品群を拡充しています。また、アルミニウム以外の母材を使用する熱交換器用のろう付け材料も展開しており、さらにクリーンな技術が望まれる世界で環境負荷物質である有機溶剤成分を含まないノンVOC型ろう付け材料の開発に引き続き注力しています。今後も益々これらのろう付け材料を適用する熱交換器が拡大すると予想しています。
また、銅の粉末を特殊な樹脂に分散させたハリマ化成の銅ペーストはプリント配線板の表裏を電気的に接合できる製品であり、既存の工法である銅めっきによる電気的な接合に比べ大幅にコストを下げられる技術として注目を集めております。本用途に関する当社の銅ペーストは現在、世界トップシェアの販売量となっております。
金属のナノ粒子を溶媒に分散した“ナノペースト”は低温で加熱する事により金属粒子同士が融着し、極めて低い電気抵抗で、かつ熱を伝えやすい硬化物になります。この特性を活かし、スマートフォンやタブレット端末の高輝度LEDなどの接合材に加え、金型の補修材の様な新規用途にも採用されています。また、現在注目を浴びているプリンテッドエレクトロニクス(印刷による電気配線の形成技術)分野においては、ディスプレイ用配線等への適用について顧客評価が進んでおります。
当セグメントに係る研究開発費の金額は7億2千8百万円でありました。

(4)ローター
当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
印刷インキ用樹脂においては、これまでに様々な産地のトールロジンやガムロジンを柔軟に使用することができる商品の開発体制を構築してきました。特に欧州オフセットインキ市場では、デジタル化の進展により年率5-10%の割合で市場規模が縮小しており、競争が激化、収益改善が喫緊の課題となっておりました。このような状況の中、2012年に粗トール油からバイオディーゼルの原料を製造、販売するスウェーデンのサンパイン社に出資することにより、欧州で安定的にトールロジンを確保することを進めて参りました。本年度は、サンパイン社から調達するトールロジンが、ほぼすべての製品に使用できるようになりました。2016年1月よりサンパイン社のロジン製造設備が稼働を開始したことに伴い、本ロジンを使用した製品の製造、販売を開始しております。これまでは、収益面でロジンの市場価格に大きく影響されましたが、サンパイン社のロジンを使用することで、品質面、価格面でも優位性を持たせ、収益改善に大きく寄与することが期待されます。また、ロジン変性技術に石油樹脂重合技術を組み合わせた、ハイブリット樹脂では、ノンフェノールタイプの新製品を開発する等、ラインアップ拡充に取り組みました。また、顧客との連携をより密にすることでワニス化の製造工程を最適化し、製造コストを最小限に抑える取り組みも実施しました。さらに、ロジン以外の再生可能資源にも注目し、産学共同のコンソーシアムに積極的に参画し、中長期的な視点でも製品開発を進めております。
粘接着剤用樹脂においては、強みである連続乳化技術(ROBUST)を駆使した水系粘着付与剤市場において高いシェアを維持しつつ、汎用紙ラベル用だけでなく、高軟化点樹脂を使用した水系粘接着付与剤も開発中で、テクニカルテープ市場への参入を目指しております。また、現在は比較的シェアの低いホットメルト接着剤市場において、ロジンエステルの淡色化技術とサンパイン社ロジンを駆使し、新たな市場獲得を目指し取り組んでおります。
既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から今後市場伸長が見込める新規事業の開発を推し進めるため、研究、マーケティングが一体となったイノベーションチームを発足させておりますが、研究開発カンパニーとの連携をさらに強化するため、研究開発カンパニーの管理下に置き、戦略的な研究、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は5億9千6百万円であります。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01020] S1007XKV)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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