有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007AB9
株式会社JPMC 事業等のリスク (2015年12月期)
対処すべき課題メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 外部環境について
① 経済情勢の変化について
一般に、不動産オーナーが賃貸マンション・アパートの経営を行おうとする場合、主要な動機の一つとして相続税・固定資産税等の税務対策があげられます。将来において不動産に関連する税制改正が行われた場合、その方向性によっては当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産オーナーが賃貸物件の建築工事を実施する場合、その工事資金を金融機関からの借入れによって調達するケースが多く、不動産オーナーの融資の可否がサブリース契約締結の可否に影響を与える場合があります。金融機関の融資姿勢の変化等により不動産オーナーへの資金調達が困難になった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
その他、資源価格や為替の変動等による建築資材の高騰、金利変動等による借入コストの上昇、景気見通しの悪化等により賃貸住宅経営の収益性が低下した場合、不動産オーナーの投資意欲に影響を与え、場合によっては当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社の動向について
最近のサブリース業界においては、異業種からの新規参入や大手ハウスメーカーの積極的な賃貸住宅市場への参入が取組まれており、競争が激化しております。当社グループは「収益分配型」「最長35年の長期契約」「損害保険による信用補完」といった特徴を持つSSLにより他社との差別化を図っていく方針でありますが、将来において他社との競合が激化した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 賃貸住宅の需給関係について
わが国の人口は、今後も減少が見込まれております。わが国の世帯数は単身者世帯の増加により現時点では増加しておりますが、同様の傾向が将来的にも持続するかどうか現時点では不明であります。今後、賃貸住宅の需給関係が悪化した場合、不動産オーナーの賃貸住宅に対する投資意欲が減退し、新築工事が減少することにより、当社グループのサブリース適用物件の受託獲得数に影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸物件間での入居者の獲得競争が激化して家賃相場が全体的に下落した場合、当社グループがサブリース適用物件の入居者から受け取る「集金賃料」が減少する可能性があります。その場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 法的規制について
① 礼金・敷引金・更新料について
不動産業界の一般的な慣行として、入居者との賃貸借契約において、賃貸住宅への新規入居時に礼金や敷引金を、また、契約更新時に更新料を設定しているケースがあります。礼金とは入居時に賃借人から受領する金銭で、退居時においても返還しないものをいいます。敷引金とは入居時に賃借人から差し入れられる敷金のうち一定割合を退去時においても返還しないことを予め定めておくもので、礼金に似た性格を有しております。更新料は契約更新時に賃借人から受領するものですが、事務手数料名目で受領するものとは異なるものです。
近年、これらの金銭について消費者契約法を根拠として入居者が返還を求める訴訟が複数例発生しております。司法判断も分かれており、今後全国的に拡大するかどうか現時点では不明ですが、当社グループにおいても礼金・敷引金・更新料を受領している物件が存在しており、仮に上記金銭を返還しなければならなくなった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また将来、これら金銭を受領することができなくなった場合、当社グループは収益の減少分を家賃の値上げによって補う必要がありますが、十分に家賃に転嫁できなかった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報の取扱いについて
当社グループは従業員の個人情報を扱うほか、不動産賃貸管理事業において不動産オーナー及び入居者の個人情報をパートナーと共有しております。そのため、当社グループでは社内体制を整備し個人情報の厳重な管理に努めており、パートナーに対しても適宜、それらについての要請・指導等を行っております。しかしながら今後、不測の事態等により当社グループ又はパートナーによる個人情報の外部流出が発生した場合、損害賠償の請求や当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 人材の確保について
当社グループは全国の建築会社・リフォーム会社・賃貸管理会社等に対し、パートナーに加盟していただくことを目的とした営業活動を行っており、また不動産オーナーに対しては、賃貸物件の借上げを目的とした受託獲得活動を行っております。また賃貸物件の借上げ後においては、入居者の募集の促進や適切な管理をJPと連携して行っております。このような業務を遂行するにあたっては不動産賃貸事業に関する幅広い知識と経験を要します。したがって、今後も当社グループが安定的に業容を拡大していくためには、優秀な人材の確保が必要不可欠であります。当社グループでは人事制度の充実等により、優秀な人材の採用・育成に努めていく方針でありますが、今後当社グループの求める人材の確保が十分にできない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 特有の収益構造について
① 新築物件と既築物件について
当社グループでは新築物件と既築物件の両方をサブリース物件として取り扱っております。
新築物件については、借上げ開始から一定期間を入居募集の期間としており、入居者から徴収した「集金賃料」から建物維持管理業務費用を差し引いた額の50%をJPへのインセンティブとして支払い、残りの50%を当社グループが受領しており、したがって不動産オーナーへの支払いは行われません(これを免責期間と言います)。また、新築物件については、SSLを活用して営業活動を行ったことにより物件の建築工事を受注した対価としてCP・SLPより初期手数料を徴収しております。
既築物件については、バリューアップ工事(物件の価値を向上させることを目的に、原状回復の範囲を越えて行われる工事)を実施しない場合、新築物件のような不動産オーナーに対する免責期間は設定されないことから、当社グループの収益は入居者より受領した「集金賃料」から不動産オーナーに対して支払う「保証賃料」、収益分配金、JPへの管理委任報酬及び建物維持管理業務費用を差し引いた額となります。また既築物件の場合、新築物件のように初期手数料は受領しておりません。
上記のとおりSSL適用物件の受託を獲得することから得られる当社グループの収益は、概ね、既築物件よりも新築物件の方が大きいものとなっております。当社グループのSSL適用物件の獲得数における新築物件と既築物件の割合が現状から変化した場合、当社グループの利益率に影響を及ぼす可能性があります。
② 加盟店からの収入について
当社グループはパートナーより当社サブリース商品を利用する対価として加入金及び月会費を徴収しており、損益計算書上では加盟店からの収入として表示しております。加盟店からの収入のうち月会費は毎月得られる比較的安定した売上ですが、加入金はパートナー契約締結時に計上される売上であるため、パートナー契約獲得数の多寡により当社グループの加入金売上は変動しやすい傾向にあります。
加盟店からの収入については会計上の売上原価が計上されないため、売上高全体に占める加盟店からの収入の割合と比較して売上総利益全体に占める加盟店からの収入の割合は相対的に高いものとなっております。したがって、加入金売上の変動による影響は売上総利益でより大きく現れることとなります。当社グループは今後もパートナー数の拡大を図っていく方針でありますが、パートナー契約獲得数の変動により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) サブリースについて
① 受託物件の獲得方法について
大手建築会社・ハウスメーカーにおいては自社でサブリースを手がけている企業もありますが、全国の建築会社やリフォーム会社、賃貸管理会社等のなかには経営資源上の制約等の理由により、それができない企業も多く存在します。そのような企業が不動産オーナーに対する営業提案の場面において大手企業と競合することとなった場合、場合によっては提案内容面で対等な競争ができないケースがあります。当社はそのような企業に対し、サブリースという営業ツールを提供するものであります。
上記のような事業の性格上、不動産オーナーの新規開拓活動は主にパートナー側が行っており、当社グループでは同行訪問による営業支援等を行っております。このような方法を採用することにより、当社グループは経営資源の分散を抑えつつ全国的な事業展開を行うことを可能にしておりますが、反面、サブリース物件の受託獲得活動の面において、パートナーに依存することを想定したビジネスモデルでもあります。今後、当社グループの想定通りにパートナー数が増加しなかった場合や、パートナーにおける営業方針の変更等によりサブリースへの取り組みが積極的でなくなった場合、当社グループのサブリース物件の受託獲得数に影響を与え、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産オーナーがサブリース契約を締結するにあたっては、当社グループのみならずパートナーからの提案内容もあわせて総合的に勘案したうえで意思決定がなされます。パートナー企業の営業力及び競争力次第では当社グループの想定通りにサブリース物件が受託できない可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
但し、札幌、東京、名古屋、大阪及び福岡の大都市圏においては、当社グループが借上げた物件を賃貸管理会社であるパートナー企業に管理委託することなく、当社グループが直接的に管理する形態も近年は徐々に拡大して、上記のリスクを軽減する方策をとっております。
② 入居者の募集及び物件の管理について
当社グループのサブリース物件に関する入居者の募集業務及び物件の管理業務については、基本的に当社グループとパートナー契約を締結した賃貸管理会社であるJPに委託することとしております。
しかしながら、JPは当社グループの物件のみを取り扱っているわけではないため、当社グループのサブリース物件に空室が発生した場合であっても、必ずしも当社グループ物件の空室解消に優先的に取り組むとは限りません。その場合、当社グループの想定通りに入居者の募集が進まず、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは今後のサブリース物件数の増加に伴い、物件の管理を行うJPを適時に確保していく必要がありますが、現時点でそれが可能である保証はありません。JPの適時な確保ができなかった場合、当社グループのサブリース物件の受託ペースの抑制を余儀なくされる等、収益機会を喪失する可能性があります。
さらに、JPに起因する事由により物件の適切な管理が行われなかった場合、不動産オーナーや入居者からの苦情が発生して当社グループの評判が低下する等により、サブリース物件の受託獲得数や入居率等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはJPへの研修・指導等を必要に応じて行い、管理業務が適切に実施されるよう努めておりますが、場合によっては当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 信用リスクについて
サブリース物件の入居者からの家賃は、JPがいったん受領した後、指定の期日までに当社グループに入金されることとなっております。そのため、当社グループではパートナー契約締結前等に与信調査を行っておりますが、JPが入居者からの家賃を受領してから当社グループに入金するまでの期間において、当該JPの資金繰りの悪化や倒産等が発生した場合、家賃収入の一部又は全部の回収不能・遅延が発生する可能性があります。その場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
但し、JPに集金管理を委託することなく、入居者から当社グループへ直接集金する集金形態も近年は拡大して、上記リスクを軽減する方策をとっております。
④ サブリース物件の解約リスクについて
当社グループは不動産オーナーとの間でマスターリース契約(不動産オーナーの所有する賃貸用不動産を、入居者に転貸することを前提として当社グループが賃借する契約)を締結しております。当該マスターリース契約は、契約期間が最長35年という長期の契約となっておりますが、契約期間中においても事前通知することにより、当社グループ及び不動産オーナーのいずれからでも一定の条件の下、中途解約することが可能となっております。したがって、例えば対象物件の譲渡又は相続により、所有者に変更があった場合や収益性の高まった場合において、不動産オーナー側から解約することも可能であります。物件の入居率を高い水準で維持するためには当社グループの継続的な関与が必要であることを、当社グループは不動産オーナーに対して訴求していく方針でありますが、かかる当社グループの努力にもかかわらず不動産オーナーからの解約が増加した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ パートナーによる模倣について
パートナーは当社グループのSSLを利用して事業を行っていることから、そのノウハウを模倣した事業を自ら行うことや、そのノウハウを第三者へ無断で開示又は漏洩する可能性があります。当社グループはパートナー契約においてこれらの行為を禁止しておりますが、万一それらが行われた場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 「借上賃料」の査定について
当社グループは、サブリース候補物件の査定依頼を当該物件の情報と共に案件元のパートナーより受け付けます。当社グループは、JPから提供される近傍同種の物件情報や当該査定物件の現地調査の結果、独自の調査、周辺エリアに所在する物件の運用実績から募集賃料を検証します。この募集賃料は管理を委託する予定のJPによって仮設定されますが、この妥当性を検証し、一方で借上期間中の入替空室発生率、空室日数、家賃の下落率を試算し、オーナーに支払う「借上賃料」を査定します。借主である当社グループと貸主であるオーナーとの間では「借上賃料」の設定について相反する部分がありますが、当社グループではプロパティマネジメント事業部(JPを活用して入居者の募集を促進する部門)とコンサルティング営業本部(不動産オーナーに対してサブリース物件の受託獲得活動を行う部門)を分離し、相互牽制を働かせることで、双方のバランスを勘案した適切な「借上賃料」を設定するよう努めております。しかしながら、当該サブリース物件所在エリアの賃貸市場の著しい環境変化や競合状況によって、当該サブリース物件への入居が計画通りに進まず、募集賃料の減額、募集経費の増大などで、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。
⑦ 損害保険会社との契約について
当社グループはアリアンツ火災海上保険株式会社との間で損害保険契約を締結しております。当該保険契約は、SSL適用物件について入居者から受領する「集金賃料」の年間合計額が、不動産オーナーに支払う「保証賃料」の年間合計額を下回った場合に、同社から当社グループに対し、年間の「集金賃料」と「保証賃料」の差額が保険金として支払われるものであります。年間の「集金賃料」と「保証賃料」の差額の計算は物件ごとに行われ、当該物件の月額の「集金賃料」が「保証賃料」を上回った場合に保険の対象物件となります。
当該保険契約は、当社グループのSSL適用物件の受託獲得の際、当社グループの信用力の一部を補完する役割を担っておりますが、保険契約開始月の「集金賃料」が「保証賃料」を上回った状態にならなければ保険の対象物件には組み入れられないことから、すべてのSSL適用物件が必ずしも保険の対象物件となっているわけではありません。また、保険金の支払上限が当社グループ全体で300,000千円と設定されていることから、当社グループの直面する空室リスクが全てカバーされているわけではありません。
現状、当該保険契約はアリアンツ火災海上保険株式会社1社のみとの契約となっております。今後は事業の拡大に伴い同社以外とも契約を締結する等、リスクの分散をしていきたいと考えておりますが、当社グループ及び損害保険会社を取り巻く環境の変化等により当該保険契約の継続が困難となった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 保有している不動産について
当社グループでは賃貸用不動産を保有しており、2015年12月期末において固定資産(土地・建物)として11件4,589,600千円を保有しております。将来、土地や建物の時価が大きく下落した場合、減損損失が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対処すべき課題財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E25870] S1007AB9)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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