有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007UXC
株式会社有沢製作所 研究開発活動 (2016年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの主な研究開発は、提出会社と連結子会社の新揚科技股份有限公司、カラーリンク・ジャパン㈱が行い、他の連結子会社へ技術展開を図っております。
研究開発は、技術開発企業として、多様化、高度化するユーザーニーズに応えるべく、フレキシブルな組織体制を基本とし、主要分野である電子材料分野、産業用構造材料等の電絶・複合材料分野、電気絶縁材料及びディスプレイ材料分野を中心に、新製品の立上げ、次世代製品の育成及び将来を見据えた技術の振興と基盤技術の拡大をめざし新技術、新製品の研究開発に邁進しております。
電子材料としては、プリント配線板用硝子クロス、特殊プリント配線板用プリプレグ、FPC(フレキシブルプリント配線板)用材料等が、電絶・複合材料としては、水処理関連材料、超伝導関連材料、航空機内装用材料、電気絶縁材料、電子機器関連材料等が、ディスプレイ材料としては、光学機能フィルム、3D(立体表示)関連材料等があげられます。
当連結会計年度末の研究開発活動に係る人員は160名であり、当連結会計年度の研究開発費は17億39百万円であります。
当連結会計年度における各セグメント別の研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
(1)電子材料分野
・FPC材料
電子機器がより高機能に進化するなか、電子部品の薄型化・高密度化が急速に進んでおります。
FPCを薄型化させるため、従来のポリイミドカバーレイに変わる材料として、感光性カバーレイを上市しております。特徴としては厚さが半減でき、屈曲性に優れ、高精細化が可能な材料に仕上げております。昨年は更に絶縁信頼性向上とユーザーでの加工性をアップした改良タイプを開発し、大手ユーザーの認定を獲得しました。今後の採用拡大が期待されます。
LEDの普及に伴い、発光効率向上を目的とした白色カバーレイの採用が進んでいます。光反射効率を落とさずに更なる薄膜化を達成し、モバイル用途のみならず、車載用途としてもユーザー評価が進んでおります。
・放熱材料
各種電子部品の高密度化・高性能化に伴い、ICやパワー部品からの発熱量も増加傾向にあり、より効率的な放熱性能が要求されています。当社では1~7W/m・Kの放熱特性を持つ層間接着絶縁シートのラインナップが完了しておりましたが、昨年、更に高放熱グレードの10W/m・Kタイプを、新たラインナップに加えることができました。現在、車載用や産業機器用パワーモジュール用途での採用を目指し、サンプルワークを行なっております。
電子材料に係る研究開発費は8億80百万円であります。
(2)産業用構造材料・電気絶縁材料分野
・超伝導コイル用絶縁被覆材
核融合による電力エネルギーは核廃棄物を放出しないことから、アメリカ、EU、ロシア、中国そして日本が国際協力してフランスに核融合炉の建設を進めております。核融合の絶縁部材は、耐中性子線性に加えて封入樹脂との良好な真空含浸性、そして核融合コイルへの巻き付け追従性が求められます。開発したポリイミド/ガラスクロス貼合せ絶縁テープは、これらの要求を満足し核融合炉の長軸方向のトロイダルコイル(TFコイル)の絶縁部材として認定され流動を開始しました。TFコイルでの知見を生かして周方向に配されるポロイダルコイル(PFコイル)向に耐中性子線性を最適化した絶縁テープの開発を進めております。2016年の認定、流動を目指しております。
・海水淡水化向エネルギー変換器用圧力容器
近年、海水淡水化プラントでは既設のプラントに効率良く海水を送るエネルギー変換の技術が進んでいます。逆浸透膜とは別の圧力容器に海水を溜めておき、淡水化の過程で生ずる濃海水の残留圧力を利用して海水を逆浸透膜へ送り込むものです。残留圧力を利用するため高圧ポンプの大きな電力を必要とせずに海水送水量を1.5倍に向上できます。逆浸透膜の圧力容器は圧力がかかったままとなりますが、エネルギー変換用の圧力容器は7MPaの加圧と0MPaの除圧を1分間に5回繰り返すため高い耐疲労性が求められます。開発したFRP製圧力容器は加圧除圧の繰り返しを20年間続けても疲労破壊しないことが解析で明らかになり、実際のプラントでも5年間、水漏れや疲労破壊なく運転を続けております。この実績が評価され2016年度に量産受注があり今後の受注拡大が期待されます。
複合材料に係る研究開発費は3億73百万円であります。
(3)ディスプレイ材料分野
・3Dディスプレイ材料
当社の3Dフィルター「Xpol®」を使用する3Dシステムは、高い信頼性と3D特性を有しており、特に医療分野から注目されております。2015年度は次世代3Dディスプレイとして期待されている4K2K-3Dモニターの開発を完了し、量産を開始しました。2016年度は高精細・高画質を両立するために新たな技術を確立し、今年度も医療分野を中心に国内・国外ユーザーのさらなる新規採用に向け注力してまいります。
・スクリーン材料
当社のプリズムスクリーンは超短焦点プロジェクター用に最適設計されており、優れたコントラストと視野角特性を有していることから、ユーザー各社から高い評価を得ております。2015年度は大型設備の安定稼動を実現し、120インチの超大型パネルスクリーンの販売を開始しました。今年度は独自の塗工・配合技術を活用しスクリーン素材の高輝度化などの性能改善に取り組み、大きな需要が期待される中国市場への展開を加速し売上増を目指してまいります。
・UV硬化型OCA
近年、スマートフォン等のタッチパネル製品や液晶モニターにはオプティカル・ボンディング技術の採用が拡大しております。当社ではオプティカル・ボンディング用に好適なUV硬化型OCA(Optical Clear Adhesive)を上市しておりますが、更に車載用途で使用可能な高耐久タイプ、及び常温環境でも剥離が可能な常温リワークタイプを開発し、ラインナップに追加しました。既に各社で材料認定を得ており、今年度からの量産流動が期待されます。
ディスプレイ材料に係る研究開発費は4億20百万円であります。
研究開発は、技術開発企業として、多様化、高度化するユーザーニーズに応えるべく、フレキシブルな組織体制を基本とし、主要分野である電子材料分野、産業用構造材料等の電絶・複合材料分野、電気絶縁材料及びディスプレイ材料分野を中心に、新製品の立上げ、次世代製品の育成及び将来を見据えた技術の振興と基盤技術の拡大をめざし新技術、新製品の研究開発に邁進しております。
電子材料としては、プリント配線板用硝子クロス、特殊プリント配線板用プリプレグ、FPC(フレキシブルプリント配線板)用材料等が、電絶・複合材料としては、水処理関連材料、超伝導関連材料、航空機内装用材料、電気絶縁材料、電子機器関連材料等が、ディスプレイ材料としては、光学機能フィルム、3D(立体表示)関連材料等があげられます。
当連結会計年度末の研究開発活動に係る人員は160名であり、当連結会計年度の研究開発費は17億39百万円であります。
当連結会計年度における各セグメント別の研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
(1)電子材料分野
・FPC材料
電子機器がより高機能に進化するなか、電子部品の薄型化・高密度化が急速に進んでおります。
FPCを薄型化させるため、従来のポリイミドカバーレイに変わる材料として、感光性カバーレイを上市しております。特徴としては厚さが半減でき、屈曲性に優れ、高精細化が可能な材料に仕上げております。昨年は更に絶縁信頼性向上とユーザーでの加工性をアップした改良タイプを開発し、大手ユーザーの認定を獲得しました。今後の採用拡大が期待されます。
LEDの普及に伴い、発光効率向上を目的とした白色カバーレイの採用が進んでいます。光反射効率を落とさずに更なる薄膜化を達成し、モバイル用途のみならず、車載用途としてもユーザー評価が進んでおります。
・放熱材料
各種電子部品の高密度化・高性能化に伴い、ICやパワー部品からの発熱量も増加傾向にあり、より効率的な放熱性能が要求されています。当社では1~7W/m・Kの放熱特性を持つ層間接着絶縁シートのラインナップが完了しておりましたが、昨年、更に高放熱グレードの10W/m・Kタイプを、新たラインナップに加えることができました。現在、車載用や産業機器用パワーモジュール用途での採用を目指し、サンプルワークを行なっております。
電子材料に係る研究開発費は8億80百万円であります。
(2)産業用構造材料・電気絶縁材料分野
・超伝導コイル用絶縁被覆材
核融合による電力エネルギーは核廃棄物を放出しないことから、アメリカ、EU、ロシア、中国そして日本が国際協力してフランスに核融合炉の建設を進めております。核融合の絶縁部材は、耐中性子線性に加えて封入樹脂との良好な真空含浸性、そして核融合コイルへの巻き付け追従性が求められます。開発したポリイミド/ガラスクロス貼合せ絶縁テープは、これらの要求を満足し核融合炉の長軸方向のトロイダルコイル(TFコイル)の絶縁部材として認定され流動を開始しました。TFコイルでの知見を生かして周方向に配されるポロイダルコイル(PFコイル)向に耐中性子線性を最適化した絶縁テープの開発を進めております。2016年の認定、流動を目指しております。
・海水淡水化向エネルギー変換器用圧力容器
近年、海水淡水化プラントでは既設のプラントに効率良く海水を送るエネルギー変換の技術が進んでいます。逆浸透膜とは別の圧力容器に海水を溜めておき、淡水化の過程で生ずる濃海水の残留圧力を利用して海水を逆浸透膜へ送り込むものです。残留圧力を利用するため高圧ポンプの大きな電力を必要とせずに海水送水量を1.5倍に向上できます。逆浸透膜の圧力容器は圧力がかかったままとなりますが、エネルギー変換用の圧力容器は7MPaの加圧と0MPaの除圧を1分間に5回繰り返すため高い耐疲労性が求められます。開発したFRP製圧力容器は加圧除圧の繰り返しを20年間続けても疲労破壊しないことが解析で明らかになり、実際のプラントでも5年間、水漏れや疲労破壊なく運転を続けております。この実績が評価され2016年度に量産受注があり今後の受注拡大が期待されます。
複合材料に係る研究開発費は3億73百万円であります。
(3)ディスプレイ材料分野
・3Dディスプレイ材料
当社の3Dフィルター「Xpol®」を使用する3Dシステムは、高い信頼性と3D特性を有しており、特に医療分野から注目されております。2015年度は次世代3Dディスプレイとして期待されている4K2K-3Dモニターの開発を完了し、量産を開始しました。2016年度は高精細・高画質を両立するために新たな技術を確立し、今年度も医療分野を中心に国内・国外ユーザーのさらなる新規採用に向け注力してまいります。
・スクリーン材料
当社のプリズムスクリーンは超短焦点プロジェクター用に最適設計されており、優れたコントラストと視野角特性を有していることから、ユーザー各社から高い評価を得ております。2015年度は大型設備の安定稼動を実現し、120インチの超大型パネルスクリーンの販売を開始しました。今年度は独自の塗工・配合技術を活用しスクリーン素材の高輝度化などの性能改善に取り組み、大きな需要が期待される中国市場への展開を加速し売上増を目指してまいります。
・UV硬化型OCA
近年、スマートフォン等のタッチパネル製品や液晶モニターにはオプティカル・ボンディング技術の採用が拡大しております。当社ではオプティカル・ボンディング用に好適なUV硬化型OCA(Optical Clear Adhesive)を上市しておりますが、更に車載用途で使用可能な高耐久タイプ、及び常温環境でも剥離が可能な常温リワークタイプを開発し、ラインナップに追加しました。既に各社で材料認定を得ており、今年度からの量産流動が期待されます。
ディスプレイ材料に係る研究開発費は4億20百万円であります。
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