有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AO46
株式会社ジェイテクト 研究開発活動 (2017年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、JTEKT GROUP VISION「No.1 & Only One —より良い未来に向かって—」を2014年4月に策定し、必要な要素として「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」という三本の柱を掲げております。その中の「価値づくり」が技術の分野では特に重要であり、ステアリング、駆動系部品、軸受、工作機械・メカトロ商品を中心に、まだない価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。
お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出し続けるために、先を見据えた将来の商品に繋げる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化・融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗等を対象とする科学技術)・材料技術、超精密加工技術、システム制御技術、要素・基盤技術等をベースにしております。また、「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は482億13百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
(1) 機械器具部品
①ステアリング事業
ステアリング事業では、自動車の低燃費/高機能化に貢献できる電動パワーステアリングの全ラインアップを品揃えしており(Only One)、また、グローバルシェアは25%を超え世界トップであります(No.1)。今後も社会やお客様のニーズにお応えした商品を提供するため、次世代商品の開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。ボールねじ機構を介して操舵力を直接出力軸へ伝えるラックパラレルタイプ電動パワーステアリング(RP-EPS)を当連結会計年度後半に量産を開始いたしました。これにより当社の電動パワーステアリングの競争力を高め、従来の油圧パワーステアリングが搭載されていた車種領域にも、電動パワーステアリングを採用していただくことにより、低燃費/高機能化に貢献してまいります。また、高度運転支援システム(ADAS)が進む中、自動運転の実現に向けたステアバイワイヤ(SBW)方式のステアリングシステムの開発も推進してまいります。
②駆動事業
駆動事業では、走行安定性・安全性向上へのニーズに対応を図る一方で、燃料電池車(FCV)向けの高圧水素供給バルブと減圧弁の開発等、環境に貢献した技術開発にも取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。表面処理を改良することにより耐焼付き性が向上し、その結果、しゅう動面の面積を小さくすることが可能となり、小型軽量化を実現したトルセンを量産いたしました。さらに、しゅう動面に微細溝を付与することにより、お客様の高い静粛性への要求にお応えいたしました。また、ドライブラインのシステムサプライヤーとして、インホイルモータなど将来へ繋がる技術開発も進めてまいります。
③軸受(ベアリング)事業
軸受事業では、環境規制への対応、高効率化のニーズが強くなる中、将来を見据えた長期ビジョンを描き、これまで培ってきた基盤技術をさらに進化・深化させ、新たな商品の創造に取り組んでおります。当連結会計年度における主な成果は、次のとおりであります。自動車用ベアリングでは、年々厳しさを増す環境規制に対応するため、当社の強みである低トルク化技術を用いた商品群を「LFTシリーズ」としてラインアップいたしました。
玉軸受では、CVTなど変速機に使用される円すいころ軸受からの置き換えを見込んだ「高アキシアル荷重対応低トルク玉軸受」を開発いたしました。足回りを支えるハブユニットにおいては、SUVやピックアップトラック用の「低トルク・高耐摩耗性テーパードローラハブユニット」を開発いたしました。
産業機器用ベアリングでは、省エネルギー化、メンテナンスフリー化のニーズに応える「モータ用低トルク長寿命深溝玉軸受」を開発いたしました。グリースを最適化することにより、従来よりも大幅な低トルク化と長寿命化を実現しております。また、医療・介護用のロボットの小型化、減速機の高容量化・高剛性化といった市場ニーズに対応する「超小型円すいころ軸受」を開発いたしました。
これからも、新たな視点で、継続的に新商品を開発し、お客様にお届けいたします。
(2) 工作機械
工作機械では、研削盤、マシニングセンタ、ギヤスカイビングセンタ、制御システムとIoE(Internet of Everything)の各分野において、戦略的に商品力強化を図ってまいりました。お客様に信頼される真のラインビルダーを目指し、モノづくり、コトづくりを通じてバリューを提供してまいります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。
①研削盤
研削盤のトップメーカーとしてお客様の生産活動により貢献するため、主力商品であるCNC円筒研削盤のモデルチェンジを実施いたしました。中型の「GE4i」シリーズに続き、当連結会計年度は「誰でも簡単に高度なモノづくりができる機械」をコンセプトに、小型の「GE3i」シリーズのモデルチェンジを行い、幅広いお客様にお使い頂けるよう3モデルをラインアップいたしました。ⅰ)GE3i:高精度ベースマシン
ⅱ)GE3i-PRO:「プロフェッショナルハンドル」搭載
ⅲ)GE3i-HYPER:超硬の荒加工等、高負荷研削を実現するコンパクトなハイパワー仕様
②マシニングセンタ
エネルギー、農建機、航空機、工作機械等の大型量産部品加工にクラス最大の工作物サイズを誇る超大型横形マシニングセンタFH1600SW5iを開発、これにより横形マシニングとしてパレットサイズ400~1600mmまで幅広いバリエーションから最適な機械を選択頂けるようになりました。また本機は、大型クイル主軸を有し、門形マシニングセンタと横中ぐり盤の2台を必要とする加工工程を1台に集約することを可能とし、2016年日刊工業新聞社十大新製品賞日本力賞を受賞いたしました。
③ギヤスカイビングセンタ
中型歯車向けGS300H、大型歯車向けGS700Hに続き、昨年度は自動車の小型量産歯車向けにGS200Hを新規に開発。量産対応として主軸・構造体の剛性を大幅に向上させ、従来工法ギヤシェーパに対し加工時間を1/4に短縮。また小型サイズ化により、中型GS300Hに対しフロアスペースを半減いたしました。④制御システム・IoE
人と設備が協調し、人の知恵が働く、人が主役のスマートファクトリーと位置づけ、品質・保全・生産の3つの軸において、現場の困りごとをITで解決する、OT(Operational Technology)とITを融合したIoTに取り組んでおります。昨年11月に開催された工作機械見本市(JIMTOF 2016)では、IoT導入の4つのステップを定義し、それぞれのステップでIoTソリューションを提案いたしました。さらに刈谷工場及び数社の中小企業に対してスマートファクトリー化を実施した具体事例を紹介し、好評を得ることができました。翌連結会計年度はさらに、東京・香川・亀山の工場全体をスマートファクトリー化する取り組みを推進しながら、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)といった日本が推進している委員会にも参画し、日本のモノづくりの強化に貢献いたします。
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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