シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AIKU

有価証券報告書抜粋 アンリツ株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、安全・安心で豊かなグローバル社会の実現に貢献するため、日本、アメリカ、ヨーロッパに有する開発拠点でグローバルに“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスの研究開発を行っております。
計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Azimuth Systems, Inc.(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)等において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるべく協調して開発を進めております。
PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。
国際会計基準(IFRS)の適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度売上収益比率
計測事業8,324百万円14.0%
PQA事業2,076百万円10.6%
その他の事業609百万円7.0%
基礎研究開発202百万円-
合 計11,212百万円12.8%

また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。

(1) 計測事業
1) 高精度な網同期検証に対応したネットワーク試験器の開発
LTE(Long Term Evolution)をさらに高速化させたLTE-AdvancedにおいてTDD(Time Division Duplex)方式のTD-LTE方式の採用が進んでいます。TD-LTE方式採用に合わせてMBH(Mobile Back Houl)における時刻・位相同期精度クラスに対する要求も高くなっており、高精度かつ安価なPTP(Precision Time Protocol)ネットワーク網評価のニーズが高まっています。本開発ではネットワーク試験器であるMT1000Aネットワークマスタプロに、高精度なPTPネットワーク網評価で必要とされる機能を拡充しました。
従来、PTP網の時刻精度検証のために専用測定器が用いられてきましたが、専用測定器は高価でありPTP網敷設時のコストを押し上げる原因となっています。またPTP網に要求される機能・性能評価では複雑な試験が求められ、検証測定器の複雑化や作業者へのトレーニングコスト増加にもつながっています。これらの問題を解決することを目的として、操作が安易で、安価なPTP網評価測定を提供するため、以下の開発を行いました。
・最新テレコムプロファイル対応、時刻・位相差測定を含めたPTP機能拡張により、最新PTP網評価を可能とします。
・UTC時刻に同期可能な高精度GPS同期モジュールをMT1000Aの新規モジュールとして開発し、MT1000Aポータビリティ
を継承した高精度PTP測定器を提供します。
・簡単な操作で複雑なPTP網評価を可能とすることで作業者の負担を軽減できる自動試験機能を提供します。
今後も時刻・位相同期技術は5Gモバイル技術などを支える重要な基盤技術となっていくと考えられます。引き続き新たな測定ニーズに応えて、今後もネットワークの進展に貢献していきます。

2) MP2100B 12.5Gbit/s 4ch ビットエラーレートテスタの開発
クラウドコンピューティングサービスの普及に伴う、データセンタの情報量の急増により、データセンタで使用されているサーバやネットワーク機器の伝送容量を増やすことが急務となっています。そのためデータセンタではサーバやネットワーク機器の光インタフェース化が進んでおり、光トランシーバの需要が急増しています。特に10GbE用SFP+や40GbE(10Gbit/s×4)用QSFP+の需要が急増しています。
これら急増する光トランシーバの試験要求に応えるべく、今回12.5Gbit/s 4ch ビットエラーレートテスタ(BERT)とサンプリングオシロスコープを1台に搭載したMP2100Bを開発しました。本開発では、4チャネルBERTの小型化設計により、従来機種のMP2100Aの2ch BERTと同じ筐体サイズを実現しました。また性能面ではPPG(Pulse Pattern Generator)波形の高品質化とED(Error Detector)の高感度化に取り組み、光トランシーバの受光感度試験ではMP2100Aより0.7dB改善しました。
今後もビットエラーレートやアイパターン等を評価するための最適なソリューションを提供することで、高速・大容量の通信インフラを支えるさまざまな光トランシーバの開発・生産効率の改善や評価品質の向上に貢献していきます。

3) 低位相雑音シンセサイザを搭載したシグナルアナライザMS2840Aの開発
マイクロ波帯の無線バックホールやVHF/UHF帯の公共・業務用無線機などの評価では、ほかの通信チャネルへの干渉を防ぐため、近傍スプリアスや隣接チャネル漏洩電力等が必須の測定項目となっています。これらの測定には、高い位相雑音性能が求められ、ハイエンドモデルのスペクトラムアナライザが必要とされてきました。
MS2840Aは、ミドルレンジのスペクトラムアナライザでありながら、ハイエンドモデルに匹敵する近傍位相雑音性能を実現し、さらに測定機能を拡充することで、狭帯域通信装置の評価を可能としました。キャリア近傍のSSB位相雑音性能は、ハイエンドモデルに匹敵する値(測定周波数1GHz、オフセット周波数10kHzにて123dBc/Hz)を実現し、低位相雑音オプション(MS2840A-066)を搭載することで最高機種を凌駕する性能(測定周波数500MHz、オフセット周波数10kHzにて133dBc/Hz)を実現しました。
また、MS2840Aはシグナルアナライザ機能を標準で搭載しており、瞬時スペクトラム観測、周波数変化vs.時間、位相変化vs.時間、スペクトログラム表示など多彩な測定ができます。さらにオプションとして位相雑音測定機能(MS2840A-010)、ベクトル変調解析ソフトウェア(MX269017A)、アナログ測定ソフトウェア(MX269018A)、雑音指数測定機能(MS2840A-017)等が追加可能であり、これにより狭帯域通信で必要となる送信試験を1台で実現可能としました。
今後も、進化する無線機器の開発に必要なソリューションを提供し、無線通信技術の進化と発展に貢献していきます。

4) LTE-Advanced商用端末評価に対応したMD8475Bシグナリングテスタの開発
最新の移動通信方式であるLTE(Long Term Evolution)並びに、LTEを発展させたLTE-Advancedの導入が、携帯電話のデータ通信量の増加を背景に世界中で加速しています。これらの通信方式に加え、GSMやW-CDMAに代表される既存の移動通信システム(第2~3.5世代)にも対応し、第2世代から最新のLTE-Advancedまでの主要な移動通信規格に1台で対応できるMD8475Bシグナリングテスタを開発しました。
本器は基本的な各種呼接続試験に加えてデータ転送試験、消費電流試験、複数セル試験、またVoLTE(Voice over LTE)などに代表されるIMS(Internet protocol Multimedia Subsystem)をフレームワークとした各種サービス試験機能を提供できます。
また、これまでのシグナリングテスタでは、試験内容に合わせたシナリオの準備が必要であり、より複雑化する商用端末の試験需要に伴う煩雑なシナリオスクリプトの作成と管理の必要性から、シミュレーション環境構築までに多大な労力を要していました。これらの問題を解決するために、基地局と商用端末間のさまざまな通信状況を再現し、多岐にわたる煩雑な試験をスマートに行うためのコンセプトツールとしてMD8475A/Bシグナリングテスタのアプリケーション・ソフトウェアであるSmartStudioの開発も行いました。

5) 標準化活動
計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T(注1)、IEEE(注2)等へ参加し、4G/5G、データセンタ、IoT/M2M(注3)、コネクテッドカー(注4)といった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。
特に携帯電話システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advancedの規格策定段階から数多くの寄書を行い、2016年度はリリース14(注5)の公開に貢献し、引き続きリリース15(注5)の規格化に参画していきます。
(注1)ITU-T
International Telecommunication Union-Telecommunicationの略。国際電気通信連合の電気通信標準化部門。
(注2)IEEE
The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略。アメリカ合衆国に本部を持つ電気工学・電子工学技術の学会。IEEE 802.11(WiFi)や、IEEE802.3(Ethernet)などの規格を策定している。
(注3)IoT/M2M
Internet of Things、Machine to Machineの略。コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在するあらゆる物に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり人手を介さずに相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行う技術。
(注4)コネクテッドカー
ICT端末としての機能を有する自動車のこと。車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。
(注5)リリース14、15
3GPPから公開されている移動通信システム規格の版数。リリース14は2017年3月に公開。

(2) PQA事業
高機能化と多様化が進む食品包装に対応する品質検査機器の開発
世界的な人口の増加が進むなか、安全で安心な食糧の安定供給は持続可能な社会の実現に向けて国際社会が協調して取り組むべき最重要の課題となっています。食品包装の業界では、生産ラインの自動化・高度化による生産性の向上や、食品ロスを低減するための包装技術の研究開発が進んでいます。
このような食品生産ラインの発達と包装形態の多様化に追従しつつ、安全・安心な食品の安定供給に貢献する品質保証ソリューションの開発に取り組んでおります。
当連結会計年度におきましては、包装技術の進化に対応した「X線かみこみ検査機」や「複連用重量選別機」などの品質検査機器を開発し、販売を開始しました。
X線かみこみ検査機は、当社独自の画像センシング技術を駆使し、従来のカメラ式検査機では検査が困難であったアルミ蒸着包装などの不透明包装の封止部分への食材のかみこみ検査を実現しました。複連用重量選別機は、その利便性から世界的に増加傾向にある小袋包装の質量検査に特化し、最大12連の複列包装ラインにおいて同時かつ高速な検査を実現することで生産ラインの生産性向上に貢献します。
PQA事業は、オリジナルでハイレベルな商品と、お客様の品質保証活動をサポートするサービスのご提供を通じて、安全・安心な社会の実現に貢献していきます。

(3) その他の事業
情報通信事業 ユニファイドネットワークコントローラ PureFlow WSXシリーズの開発
昨今、企業活動で取り扱うデータの大容量化が進み、集められたビッグデータの保管・分析・共有のためにクラウドサービスをグローバルに活用する企業が続々と登場しています。このデータグローバル化の波を受けて、WAN回線を利用した長距離間通信の利用頻度は増加の一途を辿っています。
長距離における大容量データ通信で発生するパフォーマンス低下などの諸問題を解決し、快適な事業環境を提供するソリューションとして2015年度に商品化した「トラフィックアクセラレータPureFlow WSX」の機能強化開発を行いました。
主として、ファイル共有プロトコルの高速化や、障害発生時に冗長回線へ切り替え通信を維持するバイパス機能、SDNを見据えたOpenFlow機能などに対応し、WSXシリーズの製品ラインナップを拡充しました。
また、製品コンセプトを「ユニファイドネットワークコントローラ」へと変更し、様々な課題をアプリケーションの追加により統合的に解決可能なワンボックスソリューションと位置付け、今後も世界中のネットワークで安全・安心、そして高速で快適な通信環境の実現に貢献していきます。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01774] S100AIKU)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。