有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ARA5
池上通信機株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、顧客に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。 研究開発は、主に技術開発センター(川崎市)で要素技術・機能開発を行い、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)で、製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、19億9百万円です。
(1)放送システム事業関連
放送システム事業関連では、デジタル放送番組素材の撮影取材、中継伝送、編集制作、放送番組の送出・基幹網伝送に注力して、番組制作機器、有線/無線中継機器およびネットワーク機器の研究開発を行っています。 また、総務省の推進する4K・8Kロードマップを重視した研究、製品開発に取り組んでいます。
放送用カメラ・モニタでは、今年度、以下の開発成果がありました。
4K放送カメラは、昨年度製品化した4KシステムカメラUHK-430に、今年度HD/4Kのサイマル出力オプション機能を追加し、4K放送におけるHDR(High Dynamic Range)と従来のHD放送との両立を可能にしました。これにより、HDから4Kへの映像制作環境の移行期のシステム構築に寄与します。また、従来4本のケーブルで伝送していた4K映像信号をケーブル1本で伝送できる12G SDI(12Gbps Serial Digital Interface)を業界に先駆けて放送カメラに搭載しました。これにより、2018年の冬季オリンピック開催に向けた韓国での4K需要に対応しました。今後、国内・海外の4K番組制作の要求にこの12G SDI技術で応えていきます。
HD放送カメラでは、4K映像に伴うHDRへの高まりから、HDRに対応した高機能カメラ「HDK-73」を開発し、米国で開催された世界最大規模の放送機器展NAB2017に出展し注目を集めました。今後、国内・海外の放送局をはじめ、プロダクション、公共施設、学校などへの販売を進めていきます。また今年度、小型・軽量の超高感度多目的HDTVカメラ「HDL-F3000」の販売を開始し、ヘリコプター搭載用途を中心に、官公庁、放送局からの受注を獲得しています。
放送モニタでは、放送市場がHDから4K、さらに8Kと高精細化が進むことに伴い、表示系ヒューマンインタフェースとしてのモニタの重要性は増しています。当社では従来の運用性を踏襲しつつ、4K、8K時代に求められる新たな機能に対応したモニタの製品開発を進めています。 今年度は、HDRに対応した4K対応モニタを11月に開催された国際放送機器展に参考出展し、来場されたお客様から幅広い貴重なご意見を頂きました。これらの貴重なご意見を基に製品化を進めています。
放送映像音声スタジオ機器・システムでは、今年度、以下の開発成果がありました。
4K地上波放送で先行する韓国市場に対し、高信頼性が要求される4Kマスタースイッチャ(放送番組送出の最終段スイッチャ)を開発しました。映像の入出力インタフェースには4K映像を同軸1本で伝送できる12G SDIを採用し、従来のHDマスタースイッチャと同等の設置、運用を実現しています。本製品は韓国の放送局2局(KBS、SBS)へ納入し、2017年2月にスタートした4K地上波放送で運用されています。今後、韓国国内で進む放送局の4K化を支える装置として寄与します。
大型スイッチャ「MuPS-4000」は映像制作において大幅な機能強化を実施しました。具体的には実写映像とコンピュータグラフィック映像の合成に新たな技術を導入し、より自然な合成映像を実現しました。また、番組毎に異なったスイッチャの設定を登録する「番組データ(番組制作におけるシーン別設定データ)」を100から500登録に増枠し、映像制作現場での生放送時の運用性を改善しました。さらに、フレーム周波数50Hz圏内の海外映像制作への対応、および4K映像フォーマットにも対応を図り、各種2K/4K映像フォーマットでの映像制作を可能としました。これらの機能拡充により、民放東京キー局の番組制作サブスタジオに2式を納入、お客様から高評価を得ています。今後は2018年に韓国で開催予定の冬期オリンピックの4K映像制作での需要に応えていきます。小型スイッチャ「CSS-400」では、動画ファイル機能を加えCGワイプ機能を実現しました。この機能により、小型でありながらもスポーツ中継での活用が可能となり、システム受注に貢献しています。
好評を得ていたシステム周辺機器「OnePackシリーズ」は3G SDIに対応し、高品位な映像が求められる昨今のスタジオサブシステムおよび中継車の映像制作システムに組み込まれ活用されています。
無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。
官公庁向けに、低コスト化と機能追加を両立した15GHz帯ヘリコプターテレビ基地局用FPU受信機「PF-158E」を開発し、販売を開始しました。同時に、送信出力を3Wへアップし通信距離を大幅に伸ばしたヘリコプター機上FPU「PF-64H」を開発しました。両製品は他社製品との差別化を図ることで、順調な受注に結びついています。
放送局向けには、ヘリコプター機上FPU「PF-67H」を開発し、納入を開始しました。「PF-67H」は、従来の機能・性能を維持しつつ、従来比約50%の小型軽量化を実現したことから、好評を頂いています。
海外向けFPUとして、韓国の番組素材伝送規格に完全準拠したデジタル変復調方式を開発し、韓国向けFPUを製品化しました。 これは、韓国におけるFPU用周波数帯の移行とチャネル間隔変更(2016年)への対応を図った製品で、順調に販売を伸ばしています。
その他、放送関連のトピックスとして、2016年に開催されたリオデジャネイロ・オリンピックおよびパラリンピックで、日本放送協会(NHK)による世界初8Kスーパーハイビジョンの中継放送では、弊社の8Kスーパーハイビジョン中継車「SHC-1」(2015年10月納入)および現行HD(2K)カメラと同等の運用を実現させ小型軽量化した8Kスーパーハイビジョンカメラ(SHK-810) 6台が貢献しました。
(2)産業システム事業関連
セキュリティ機器関連では、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた監視カメラの需要拡大基調の中、当社のフルHDネットワークカメラの出荷量は前年度比220%に増加し、アナログシステムからIPネットワークシステムへの移行が急速に進んでいます。
昨年度、フルHDネットワークカメラとして、ボックス型「IPD-BX300」、ドーム型「IPD-DM300」、バレット型「IPD-BL300」、耐衝撃屋外ドーム型「IPD-VR300」、屋内パンチルト・ミニドーム型「IPD-PT200」、屋外コンビネーションドーム型「IPD-SP200T」、屋内コンビネーションドーム型「IPD-SP200U」の7機種、ネットワークレコーダとして、ネットワークレコーダ「INR-1008P/1016P」、システムネットワークレコーダ「INR-2000/3000」および統合ソフトウェアの製品ラインアップ化を達成しました。このラインアップにより小規模から大規模までのフルHDネットワーク監視システムの構築が可能となり、販売を促進しています。
このような中で今年度は、当社納入実績が多い公共・社会インフラ市場において、多数のIPカメラを操作し映像を切り替える「タッチパネル操作器」、IPカメラ映像をデコードしPCレスで分割表示が可能な「分割表示装置」などの周辺機器を開発するとともに、IPネットワークを統合管理するシステムソフトウェアのブラウザ表示、状態監視等の機能アップ開発を実施しました。これにより、顧客の多様化する様々な要求に対応できるため、販売拡大を推進していきます。
また、経済産業省資源エネルギー庁からの受託事業として、日本原子力研究開発機構と耐放射線性カメラの共同研究を進め、本研究成果である耐放射線センサーと耐放射線性カメラの実験機を発表致しました。今後は、小型化の研究開発を進め、原子炉、核燃料再処理工場、放射性廃棄物貯蔵施設での監視システムの活用を目指していきます。
メディカル機器関連では、微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。
昨年度は、高感度4K出力カメラ「MKC-704KHD」と、高解像度4Kカメラ「MKC-750UHD」を製品化しました。今年度は、モニタの製品化を重点的に進めました。
手術顕微鏡用、術野カメラシステム用、外来診察用等で用いられるHDモニタのラインアップを充実させました。診察室や省スペースでの利用が期待される21型「MLW-2124C」をはじめ、医療で求められる画質と色再現性を追求しDCI 98%、Adobe 99%を実現させた24型モニタ「MLW-2424C」を製品化しました。 また、市場で主流となる26型では、「MLW-2624C」、「MLW-2627C」、「MLW-2627C 3D」の3機種をラインアップしました。「MLW-2624C」は、低コストで汎用性を重視した製品で、SDI信号の他DVI信号やRGB信号等のマルチ表示機能により、手術室を主に様々な医療現場での利用を可能としました。「MLW-2627C」はSDI×2やDVI×2などの同一HDデジタル信号のマルチ表示機能を持ち、業界最高峰の900cd/㎡を実現し、明るい環境での視認性の向上を図った手術室向け最高機種のモニタです。「MLW-2627C 3D」は手術室向けの高輝度3D映像表示用モニタで、3D使用時400cd/㎡、2D使用時850cd/㎡の高輝度映像を実現しました。医療業界で発展する3D映像のアウトプットモニタとして貢献しています。
今後も高精細な新型モニタのラインアップを開発するとともに、高感度4K出力カメラ「MKC-704KHD」や、高解像度4Kカメラ「MKC-750UHD」をはじめとする当社医療用映像機器の組み合わせにより、メディカル市場へ向けたソリューションを提供していきます。
検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。
主要製品である錠剤検査装置TIE-9000シリーズ関連では、患者の高齢化に伴う錠剤医薬品の識別改善の要求に応えて、非接触型のインクジェット錠剤印刷装置「TIE-9000P」の研究開発を進めてきました。 更に今年度は、インターフェックスジャパン2016で、錠剤検査装置「TIE-9000」との連動モデルとして発表し、分離・連動の両方が可能な錠剤印刷・検査として注目を集めました。政府の後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進方針による錠剤医薬品の需要増に応えるべく、検査性能の向上と新機能の開発を進め、更なるソリューションの提供を継続していきます。
平面検査装置では、昨年度開発した高速搬送と高精度検出を両立させる16,000画素、850MHz高速ラインカメラを搭載した検査機器を、2016年4月に開催された高機能フィルム展にPIE-650平面検査装置として発表し今年度4式を納入しました。今後、業界最速・高解像度の平面検査装置として機能強化を進め、お客様へ新たなソリューションを提供していきます。
また、今後の事業領域拡大に向け、新たな検査手法について大学との共同研究および他企業とアライアンスを積極的に進めています。
経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
- 有価証券報告書 抜粋メニュー
- 連結経営指標等
- 提出会社の経営指標等
- 沿革
- 事業の内容
- 関係会社の状況
- 従業員の状況
- 業績等の概要
- 生産、受注及び販売の状況
- 事業等のリスク
- 経営上の重要な契約等
- 研究開発活動
- 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
- 株式の総数等
- 発行済株式総数、資本金等の推移
- 株価の推移
- 最近6月間の月別最高・最低株価
- 株式所有者別状況
- 役員の状況
- コーポレートガバナンス状況
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01819] S100ARA5)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。