有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QBUX (EDINETへの外部リンク)
ローランド株式会社 研究開発活動 (2022年12月期)
当社グループの研究開発活動は、グループ全体で利用可能な要素技術開発と、製品カテゴリーに特化した技術開発があります。要素技術には、楽音合成、モデリング、音響効果、音響解析、高効率符号化等のデジタル信号処理システムの開発、USBやBluetooth、Wireless LAN等の通信規格を利用したオーディオやMIDI(Musical Instrument Digital Interface)の伝送を行う通信技術及び、当社のネットワークサービスであるRoland Cloudのワールドワイドのプラットフォームなどの技術開発があります。一方で、製品カテゴリーに特化した技術としては、鍵盤、パーカッションや管楽器などの演奏のためのセンサー技術、ギター関連事業製品のサウンドエフェクト技術、ビデオ映像機器用の映像処理技術などの開発があります。
前連結会計年度まではそれぞれの技術を独立の組織で開発してきましたが、当連結会計年度より要素開発の機能を製品開発の部門に持たせることで両者の距離を縮め、戦略的なテーマもスピード感をもって開発できるようになりました。なお、専門性が高く、開発に期間を要したBMC(Behavior Modeling Core)のような音源とエフェクター用オリジナル・システムLSIについては、引き続き独立した部署で開発を継続しています。
当連結会計年度の具体的な研究開発活動は次のとおりです。なお、当社及び連結子会社の事業は、電子楽器の製造販売であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメントとなっており、セグメント情報に関連付けては記載していません
(a)鍵盤楽器
電子ピアノ関連では、BMC共通プラットフォーム(注1)の普及価格帯電子ピアノへの展開を進め、高品質で競争力の高い製品を効率的に開発しました。2022年10月発売の「RP107」「F107」は、上位モデルに搭載され、グランドピアノの音の響きを忠実に再現し、プロミュージシャンからも高い評価を得ている「スーパーナチュラル・ピアノ音源」を採用しています。無段階の音色変化や自然な減衰音を特長としており、繊細な表現から迫力のあるダイナミックな表現まで、思い通りの演奏を実現します。
また、よりピアノを楽しめるアプリ「Roland Piano App」を2022年8月より公開しました。スマートフォンやタブレットと当社電子ピアノをBluetoothで接続し、ピアノ機能のコントロール、レッスン機能、端末での譜面表示、伴奏機能などデジタルならではの機能で練習や演奏の楽しさを広げることができます。さらに音楽制作用の高品位なシンセサイザー音源やソフトウェアを提供するクラウド・ベースのプラットフォーム「Roland Cloud」からのコンテンツ提供機能も搭載し、「Roland Cloud」有料メンバーシップに加入すると300以上の楽曲や譜面データを練習や演奏に活用することが可能です。これらのBluetooth による電子楽器との接続やコントロールの仕組みを共通APIとして開発し、今後展開する製品でも活用していく予定です。
電子キーボード関連では、エンターテインメントキーボード「E-Xシリーズ」の新製品として「E-X50」を2022年7月に発売しました。新規開発のバスレフポート搭載2wayフルレンジのステレオ・スピーカー・システムによる迫力あるサウンド、多彩な707音色と新規制作を含む300種類以上の高品位な自動伴奏により一人でも楽しく演奏できます。Roland Cloudからのコンテンツ提供も開始し、2022年12月には、「Essential Dance Hits Vol.1,2」「Essential Pop Hits Vol.1,2」の4タイトル、合計20スタイルのコンテンツを取り揃えています。
(注1)従来ピアノ、シンセ、ドラム等楽器の種類毎に音源をつくっていたものを、各機器で利用できる音源として必要な機能を一つのチップに実装し共通基盤としたものをいいます。
(b)管打楽器
デジタル管楽器の製品においては、音をコントロールするブレスセンサーやバイトセンサーなどの演奏表現を高める技術と新世代音源技術「ZEN-Core」(注2)を組み合せた新製品「AE-20」を2022年1月に発売しました。Aerophoneシリーズは管楽器ならではの表現力を実現する進化を続けています。
電子ドラムカテゴリーの製品においては、プロのステージでの高度な要求に応えるプロドラマー向けのサンプリング・パッド最上位モデル「SPD-SX PRO」を2022年9月に発売しました。2003年からスタートしたSPDシリーズの最上位モデルとして、長年にわたり当社が培ってきたトリガー技術をもとに、現場からのフィードバックを各機能の強化に活かしました。さらにマルチ・カラーのPAD LEDやセンサー構造の改良によりステージでの視認性が向上し、高い演奏性を実現しました。
また、自宅での演奏に最適な「Vドラム」シリーズと、存在感のあるデザインにこだわった電子ドラム「VAD(Vドラム・アコースティック・デザイン)」シリーズから新機種を2022年10月に発売しました。従来以上の自然な演奏感を実現した新開発の薄型シンバルと高性能ハイハットを搭載し、演奏表現力が向上しました。
(注2)BMC、コンピューター上で動作する拡張及びカスタマイズ可能なシンセサイザー音源をいいます。
(c)ギター関連機器
BOSSブランドの製品においては、長年にわたるエフェクト/アンプ開発で培ってきたBOSSの知識と経験を、32bit浮動小数点演算による超高音質信号処理技術としてBMCなどの自社システムLSIに実装し、ギタリストにとっての最高の音の表現力を追求してきました。
2022年3月には、BOSSブランドが誇る信号処理技術の集大成ともいえるギター/ベース用マルチ・エフェクター「GX-100」を発売しました。高品位なサウンドと高い汎用性を誇りつつ、タッチ操作に対応した視認性の高いカラー・ディスプレイを採用し、ストレスのないサウンドメイクが可能です。また「AIRD(Augmented Impulse Response Dynamics)」テクノロジー(注3)を採用し、表現力豊かなサウンドを得ることが可能です。
2022年4月には、多くのミュージシャンに愛されたテープ・エコーの名器、Roland Space Echo RE-201をデジタル技術でシミュレートした「RE-2」「RE-202」を発売しました。かつてないレベルでSpace Echoの自然で深みのあるサウンドを再現し、オリジナルを知り尽くしたBOSSの技術により、磁気テープやモーターなどの構造による音色の変化までも徹底的に追求しました。
2022年10月には、BOSSブランド初のディストーション・ペダルとして1978年に登場し、40年以上の歴史を持つレジェンド・ペダル「DS-1」を熟練のエンジニアが再設計した「DS-1W」を発売しました。また同年11月には、サウンドに強烈なインパクトとビートを加えるユニークなエフェクター「SL-2」を発売しました。アナログ、デジタル技術の両面からBOSSの代名詞でもあり広く愛されるコンパクト・ペダルを拡充しています。
(注3)アンプを構成するプリアンプやパワーアンプ、電源トランス、スピーカー・キャビネットなどのコンポーネント間で起きる相互作用を忠実に再現し、真空管アンプ特有のダイナミックなサウンドと弾き心地をアンプやPAといった出力環境を問わず再生することができる技術です。
(d)クリエーション関連機器&サービス
シンセサイザーカテゴリーの製品においては、BMC共通プラットフォーム、新世代音源「ZEN-Core」を活用した「JUNO-X」を2022年5月に発売しました。「JUNO-60」「JUNO-106」といったヴィンテージシンセのモデリングに加え、新世代JUNOとして新しいネイティブ・エンジン「JUNO-X」を搭載し、JUNOらしい広がりのあるサウンドを提案しています。
FANTOMシリーズ 「FANTOM-6」「FANTOM-7」「FANTOM-8」でサウンドメイクの楽しさを刺激する音楽ツールとして、新たなモデルエキスパンション「n/Zyme」(エンザイム)を2022年1月にリリースしました。「n/Zyme」は、63種類のWavetableを備えた2種類のWavetable Oscillatorにより、複雑で個性的な音色変化を創造することができ、またFANTOMのタッチスクリーンで自在にオリジナル波形を描画することも可能です。さらにオシレーター波形のPhase/Shape変調機能などを備えており、これら複数の音源や多くのパラメーターなど複雑な音色変化をLCD上でリアルタイムかつ感覚的に楽しむことができるようになりました。また2022年3月には、FANTOMシリーズとプラットフォームを共通化することで、高品質なサウンド、拡張性の高いシステム、シームレスな操作性をそのまま軽量化ボディに凝縮させたFANTOM-0シリーズ「FANTOM-06」「FANTOM-07」「FANTOM-08」を発売しました。
Dance & DJカテゴリーの製品においては、ポケットに入るほど小型でありながら、AIRAシリーズに採用されているAnalog Circuit Behavior(ACB)(注4)のハイクオリティなサウンドを、高効率な内蔵バッテリーの制御設計によって、場所を選ばずお楽しみいただける新製品AIRA Compactシリーズ「T-8」「J-6」「E-4」を2022年に5月に発売しました。
また、2021年11月に発売した「SP-404MKII」のシステム・プログラムVersion2.0を、2022年7月に発表しました。かつてシンセサイザー・サウンドに変革をもたらした製品「V-Synth」(2003年発売)のVariPhrase技術(注5)を復活させ、機能を追加・改善し、これまで事前にエンコード処理が必要であったものをリアルタイムにエンコード処理することが可能となり、さらに最大同時発音数も32音まで向上させることができました。
音楽・メディア制作者向けのクラウドを利用したソフトウエア音源のサブスクリプション・サービスである「Roland Cloud」においては、ネットワーク上のプラットフォームの整備、サービスの拡大を継続して行っています。2022年6月には、BOSSブランドのギターアンプやエフェクターの音色データをユーザー間で交換が行えるオンライン・サービス「BOSS TONE EXCHANGE」を公開しました。また、同年8月には、ピアノ製品と接続して、ピアノのレッスンコンテンツが利用できる「Roland Piano App」を公開しました。サービス拡大にあたり、Roland Cloudでは、課金や支払いの仕組みを共通APIライブラリとして開発し、今後展開していく他のアプリでも簡単にCloudの課金システムに接続できるようになりました。
(注4)アナログ電子楽器の音色を再現するため、アナログ・パーツの特性、アナログ回路独特の振舞いをデジタルでモデリングする技術をいいます。
(注5) オーディオ・フレーズのピッチ/タイム/フォルマントを独立してコントロールできるオリジナルの信号処理技術をいいます。
(e)映像音響機器
昨今のコロナウイルス対策による活動制限で、会場の参加者への映像/音声演出と、ネットワーク上の参加者への 映像/音声演出の両方を同時に行う「ハイブリッド・イベント」が多く開催されるようになり、当社のAVミキサーのVRシリーズや、ビデオミキサーのVシリーズはその需要に応えてきました。
2022年8月には、映像や音声の切り替え、配信、録画の機能を1台に集約し、パソコンを使用せずにライブ配信ができるダイレクト・ストリーミング・AVミキサー「SR-20HD」を発売しました。映像のスイッチングと音声のミキシングを行うAVミキサー機能に加え、トラブルを回避して高品質で安定した配信を行えるさまざまな機能を搭載しています。さらには、ネットワークの状態を監視し、ストリーミング・データを自動的に調整して配信の中断を防ぐアダプティブ・ビットレート機能、アクシデント発生時に映像や音声をスムーズに静止画に切り替えるセーフティ・ディレイ機能、物理的な回線トラブルが発生した際、スマートフォンを予備回線として使用できるテザリング機能などにより、安心してライブ配信を行うことが可能です。
(f)その他
2022年10月3日には、ドラム事業のさらなる成長に向け、当社の100%子会社として新たに設立したRoland Drum Corporationが、Drum Workshop, Inc.(以下、DW)の全発行済株式を取得し子会社化しました。当社グループとDWの専門知識と経験が融合することで、アコースティック・ドラム、電子ドラム及びパーカッションの製品開発を加速させ、次世代に向けて画期的な製品を生み出し、ドラマー/ミュージシャンのためのイノベーションを推し進めることを目指します。
以上のような研究開発活動の成果により、当連結会計年度の研究開発費は、4,196百万円となりました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01834] S100QBUX)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。