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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ANJW

有価証券報告書抜粋 ニチコン株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサ等の電子デバイスと、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品とし、コンデンサと回路製品設計のコア技術を用いて「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発を展開しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は3,948百万円です。
製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。
(1)電子機器用コンデンサ
①アルミ電解コンデンサは、電極箔、電解液などの基本部材から自社で研究開発し、上記の重点分野に向けてネジ端子の大形品から面実装に適したチップ品、また、導電性高分子材料を陰極に用いた導電性高分子アルミ固体電解コンデンサなど多彩なデバイスを取り揃え、使用環境がますます多様化する中での更なる高機能化のニーズに応える製品開発に取り組んでいます。
基板自立形アルミ電解コンデンサでは、パワーエレクトロニクス用インバータ回路、スイッチング電源回路などの各種産業機器用を主用途に105℃保証 超小形化品「LGMシリーズ」の供給体制を拡大しました。既存の「LGLシリーズ」に比べて最大で体積比16%の小形化を達成し、省スペース化を図った回路設計に最適な製品を提案しています。また、太陽光発電用や風力発電用など、再生可能エネルギー関連分野においては高耐電圧化の強い要求があり、105℃保証小形化品「LGNシリーズ」に、業界最高となる600V定格を追加し、ラインアップを充実させています。
小形アルミ電解コンデンサでは、車載用途市場において要求される振動環境に最適な高耐振動構造を有する「UXYシリーズ」を開発しました。独自技術の新規構造を採用することで、従来までは19Gまでしか対応できなかった製品が、最大40Gの耐振動加速度および125℃以上の高温度対応を実現しています。また、自動車電装を主な用途とする、125~135℃高温度・高容量・高リプル対応の「UBYシリーズ」に定格電圧63~100V品を追加し、製品体系の拡充を図っています。
チップ形アルミ電解コンデンサでは、車載環境への適応および長寿命化に最適な高温度・低温ESR規定品として、業界最高レベルの125℃2000時間保証、耐久試験後ESR規定品「UCHシリーズ」の定格を拡充しました。これまで培ってきた技術をベースに、新規に採用した低蒸散性能電解液、高倍率・高容量電極箔の適用により、既存の125℃低ESR規定チップ品「UCZシリーズ」から、さらなる高容量・低ESR化を実現いたしました。セット機器の小型化、省電力、長寿命化へ貢献することが可能となります。
車載分野や産業機器分野で要求されるアルミ電解コンデンサの高性能化に対応するために、高温度・長寿命・高リプル対応となる導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ「GYAシリーズ」を開発しました。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサは、電解質に導電性高分子と電解液を採用することで導電性高分子の特長である低ESR性能と高耐熱性能に加え、電解液による酸化皮膜修復性能を併せ持っています。非固体アルミ電解コンデンサと比較して寿命で125℃1000時間以上の長寿命化、許容リプル電流で4倍以上の高リプル電流化を実現しています。一方、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサに比較して漏れ電流を約1/5に低減しており、ユニットの省電力化に寄与します。また、電解液がエッチングピット深部まで行き渡るため、一般的な導電性高分子アルミ固体電解コンデンサと比較して約4倍の容量が得られます。当社独自の導電性高分子の成膜技術と導電性高分子膜の物性にマッチングさせた電解液を開発することで、125℃での業界最高レベルの4000時間保証とし、高信頼性化を実現しています。
②フィルムコンデンサは、基本材料である金属蒸着フィルムから開発し、自動車・車両関連機器分野、特に環境負荷が小さく、市場拡大の目覚しいHV、EV、PHVなどの動力モーター駆動用インバータ回路向け平滑用フィルムコンデンサの開発に注力しています。これらの駆動用インバータユニットに用いられるフィルムコンデンサは、高周波特性・耐電流性能に優れ、長寿命で高信頼、高安全性に加え、顧客要求に応じたフレキシブルな対応が可能であることから、国内外の自動車メーカーから高い評価を得ています。また、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー分野や汎用インバータなどの産機分野でも長寿命、高信頼の直流フィルタ用コンデンサが強く求められています。こうした市場ニーズに応える直流フィルタ用・平滑用コンデンサとして乾式樹脂モールド形「EJシリーズ」や円筒形「ERシリーズ」をとりそろえています。また当社のフィルムコンデンサは、蒸着フィルムに保安機構を採用することで安全性を高くするとともに長寿命化を実現しています。
(2)電力・機器用コンデンサ
電力・機器用コンデンサでは、防災型進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または、末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその付属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、製品の安全性を重視し、誘電体絶縁破壊時に絶縁回復する信頼性の高い「蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。油入式高圧進相コンデンサのモデルチェンジを行い、従来の製品と比べ製品設置面積を最大27%、製品の高さを最大7%小型化し、キュービクルへの収納性と簡便化を図った業界最小クラスのコンデンサを実現しました。製品の保護については、当社の進相コンデンサの特長である自己遮断可能な保安装置を全機種に内蔵しており、設備容量150kvar以上の機種には保護接点(圧力スイッチ)も付属しています。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電対策装置やパワーコントロールシステムなどの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。
(3)回路製品
当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献します。」と経営理念に掲げており、NECST事業は、その具現化のために、再生可能エネルギーの増大、エネルギーの地産地消、EVやPHVなど次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。
地球環境保護には再生可能エネルギーの活用が注目を集めていますが、発電変動が大きく、その有効活用と安定化には蓄電システムが大きな役割を果たします。当社は2012年に系統連系規定をクリアした家庭用蓄電システムを業界に先駆けて開発し、市場投入してまいりましたが、今年度は、太陽光発電と蓄電システムを組み合わせた大容量・高出力ハイブリッド蓄電システム「ESS-H1L1」を開発し発売すると共に、既に太陽光発電を設置しているお客様向けとして大容量でコストパフォーマンスに優れた単機能蓄電システム「ESS-U2M1」を発売しました。産業用途や避難所向けの大容量蓄電システムは、従来までは太陽光発電と蓄電システムの組合せが標準タイプでしたが、今年度は市販されているすべての太陽光発電パネルと自由に組み合わせることのできる蓄電システムを開発し、市場投入しました。これにより販路が拡大できると期待しています。
一方CO₂排出抑制の大きな柱としてEV、PHVの急激な市場拡大が予想されており、さらに航続距離を伸ばすため、蓄電池容量の拡大や、急速充電器の設置が今後拡充されることが見込まれています。そうした流れを先取りし、現行機より出力をアップさせた25kW・35kW品を開発するとともに、更に小型化し、CHAdeMO 1.01検定に合格したEV・PHV用急速充電器を新たに2機種加えることでCHAdeMO 1.01認定機のラインアップを充実させました。これによりEV、PHV市場における環境の変化に対応してビジネス拡大することを目指しています。
医療関係、学術研究分野では、研究用途の加速器用電源で培ったパワエレ技術を応用し、陽子線用や重粒子線用といった医療用加速器電源の取組みを強化し、4000kWという大容量でかつ高精度を要求される偏向電磁石用電源の開発を行いました。大電流によるノイズ発生を低減する設計手法を開発し、ノイズレベルが低く、高精度を安定して維持する医療用電源を納入することができました。医療用加速器は、その信頼性と安全性が極めて重要であり、ノイズレベルの低減は、競争力強化とビジネス拡大の推進力になると期待しております。研究用途では、X線自由電子レーザー(XFEL:X-ray Free-Electron Laser)施設 SACLAで稼働している2本の硬X線FELビームラインを40ギガワットの高いレーザー出力で同時運転するための振り分けキッカー用電源を開発し、納入しました。この振り分けキッカー電磁石電源は、従来の約6倍の電圧で動作させることを要求され、その実現のため、次世代のパワー半導体デバイスである「SiC パワーMOS-FET」を使いこなすことで、電力の損失が少なく、設定電流値からの偏差が0.001%精度の高効率かつ高安定性を持つ電源を理化学研究所、高輝度光科学研究センターと共同で開発することができました。理化学研究所からも大変高い評価を頂戴し、当社への信頼を高める事が出来ました。
事務機器、デジタル家電機器およびアミューズメント機器向け電源では、デジタル技術を用いたLEDレーザドライバー用電源を開発し商品の幅を広げることができました。
(4)産学連携による研究開発
昨今の技術開発のスピードは極めて速く、また多くの技術を融合、駆使しなければ競争力のある商品を開発することが困難になっています。それには外部の先端技術や知見、経験を活用することが不可欠であり、産学連携の重要性が高まっています。2014年から最先端技術の習得を目的に文部科学省のスーパークラスタープログラムに参画し、京都大学との連携により、SiCのパワーMOS-FETを用いた小型高周波電源の開発を行いました。従来より2桁高い周波数で半導体素子を駆動する技術を習得することができ、設計自由度を大きくすることができました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて、大阪大学、理化学研究所と共に、SiCのパワーMOS-FETを搭載したモジュールを開発し、その信頼性評価を行って、加速器用電源に搭載し、理化学研究所のX線自由電子レーザー施設 SACLAに実装して、その性能が実用上問題ないことを確認しました。
また、東京大学生産技術研究所との包括的な産学連携研究協力協定を2016年9月に締結し、画期的な新技術・新工法を用いた次世代デバイスの開発を目指して、技術者を派遣して研究開発を推進しています。既に10年以上継続している立命館大学とのR&E包括協定では、NECST商品に使用する部材の開発検証や、MOT教育による最新技術を有効活用してビジネスを有利に展開するためのノウハウの習得など、新たな価値創造や、新規ビジネスの立ち上げを担う人材の育成を行っています。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01904] S100ANJW)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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