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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100BZNG

有価証券報告書抜粋 浜松ホトニクス株式会社 研究開発活動 (2017年9月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの研究開発活動は、「光の本質に関する研究及びその応用」をメインテーマとし、主に当社の中央研究所、筑波研究所及び各事業部において行っております。
光の世界は未だその本質すら解明されていないという、多くの可能性を秘めた分野であり、光の利用という観点からみても、光の広い波長領域のうち、ごく限られた一部しか利用することができていないのが現状であります。こうした中、当社の中央研究所及び筑波研究所においては、光についての基礎研究と光の利用に関する応用研究を進めており、また、各事業部においては、製品とその応用製品及びそれらを支える要素技術、製造技術、加工技術に関する開発を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、11,776百万円であり、これを事業のセグメントでみますと、電子管事業2,280百万円、光半導体事業3,201百万円、画像計測機器事業664百万円、その他事業201百万円及び各事業区分に配賦できない基礎的研究5,427百万円であります。
当連結会計年度における主要な研究開発の概要は次のとおりであります。


世界最小サイズの安定型高圧電源モジュール
光電子増倍管の動作には高電圧が必要なため、当社では、各種高圧電源も開発、製造しております。このうち高圧電源モジュールは、数ボルトの電圧を1,000ボルト程度まで昇圧させることができる小型のデバイスで、光電子増倍管とともに、医療用簡易検査機器や空港の手荷物検査機器等の様々な小型計測機器に採用されておりますが、近年、計測機器の小型化が進み、衛生管理、医療、環境計測などの分野で応用が広がり、さらなる小型化が求められております。このような中、当社は、構造設計及び回路設計の改良に加え独自の製造手法の確立により、従来品の半分以下のサイズでありながら同等の高性能を実現した、世界最小サイズの安定型高圧電源モジュールを開発いたしました。本製品は光電子増倍管用の高性能高圧電源モジュールとしては世界で初めて自動実装工程に対応しており、顧客の製造工程での作業時間を大幅に短縮できます。さらに、大量生産を可能としたことで、将来的な市場の拡大にも対応可能です。今後も、より小型、高電圧の電源モジュールの開発を進め、光電子増倍管用のみならず幅広い用途への応用拡大に努めてまいります。


ガス分析用赤外線検出素子
当社は、InAsSb(インジウムヒ素アンチモン)を材料とした赤外線検出素子において、感度波長域をこれまでの8μmから11μmに拡張し、高速、高感度でありながら常温動作する赤外線検出素子を開発いたしました。これは、当社で培った独自の薄膜結晶成長技術及びプロセス技術により実現したものです。これにより、10μm付近の波長を吸収するアンモニア、オゾンなどの測定が可能となり、従来より注目されている窒素酸化物や硫黄酸化物などのより短い波長域に吸収のある大気汚染物質の計測とあわせて、本検出素子のみで対応可能となります。当社は、赤外線波長域の受光と発光の両素子を生産している世界でも数少ない企業です。本検出素子と赤外線波長域に発振波長をもつ当社製発光素子を組み合わせることにより、従来に比べ高速、高感度、高分解能なガス分析を可能とするものとして、さらなる需要の拡大が期待されます。


LSIテスタとのダイレクト接続が可能な半導体故障解析装置「iPHEMOS-DD」
近年、半導体の微細化・複雑化により、故障箇所の特定には、従来からの異物やプロセス不良によるショートや断線を検査する静止状態での解析に加え、半導体を動作状態に設定しながら回路の不良動作を解析するニーズが高まっております。動作状態での解析には、半導体に電気信号を入力し動作させるLSIテスタの故障解析装置との接続が必要です。従来、その接続には長いケーブルを用いて対応しておりましたが、この方式では実際の動作状態と受信する解析情報にタイムラグがあるため、製造工程の検査と同じ環境での不良再現が難しく、正確な故障解析が困難でした。このような中、設計の最適化を進め、LSIテスタとのダイレクト接続を可能とするとともに、動作状態での解析能力を大幅に向上したiPHEMOS-DDを開発いたしました。本装置は、動作状態での高精度な解析が必要なロジック系(注1)の半導体メーカーへの市場展開が期待できます。


医療の分野におきましては、がんの放射線治療における早期効果判定手法の確立に取り組んでおります。現在の放射線治療の効果判定手法では、生体を傷つけずにしかも早期に判定することは困難であるため、新たな判定手法の確立が望まれております。本研究(注2)におきましては、放射線照射ががん細胞のミトコンドリアを活性化することで、がん細胞の増殖を抑制する点に着目いたしました(注3)。そして、ミトコンドリアの活性化に比例してがん細胞への取り込み量が増加する当社開発のPET薬剤を用いて、放射線照射後のマウスのがん細胞におけるミトコンドリアの活性度をPETにより測定いたしました。この結果、外観上はがん組織の大きさに変化がない段階でがん細胞にミトコンドリアの活性化が認められ、新開発のPET薬剤を用いたPET検査が、放射線治療の早期効果判定手法として有用であることが確認できました。
認知症患者は、健常者に比べて脳の糖代謝が低下しており、認知症の種別毎に特徴的な低下パターンを示すことが分かっております。そこで当社は、多数の健常者のPET脳糖代謝画像をデータベース化し、独自の統計解析法により認知症患者の脳糖代謝画像と比較する認知症診断支援システムを開発いたしました。本システムは浜松PET診断センター(注4)の「脳オプションコース」にて運用されており、これまでに約2,400例の実績を積み重ねてまいりました。今後は、本システムを他施設へも展開するため、国立大学法人浜松医科大学と浜松PET診断センターとの間で広域ネットワークを介した実証試験を行い、薬事承認に向けた準備を進めてまいります。
光の基礎研究分野におきましては、超高速量子シミュレーターの研究を進めております。物質内部において、原子や分子は互いに力を及ぼし合っており、半導体デバイスや超電導体、薬品等の性質を決定しています。量子シミュレーターとは、このメカニズムの解明のために、人工的な原子の集合体内で模擬実験を行う手法で、新機能材料や新たな医薬品等の開発にもつながることが期待されております。当社は、長年培ってまいりました空間光変調技術により、再現性の高い任意の光パターンを生成する技術を確立いたしました(注5)。これは、量子シミュレーターの実現に必要とされる光技術の一つであり、外部から与えた刺激が原子の集合体に及ぼす影響を調べるために用いられます。また、本技術は単なる基礎研究にとどまらず、新たな超解像度顕微鏡や三次元計測技術にも応用可能なため、さらなる研究展開が期待できます。

(注)1 半導体は情報を蓄積するメモリー系と演算等の処理を行うロジック系に大別され、従来、当社は主にメモリー系の半導体メーカーに装置を提供してまいりました。
2 本研究は、東海大学と共同で実施しております。
3 細胞は、軽度の傷害であれば自然に修復しますが、修復不可能な大きな傷害の場合、アポトーシスと呼ばれる自発的な自然死に至り、がん化を防ぐことが知られています。放射線照射は、ミトコンドリアを活性化させることでこのアポトーシスを誘導し、がん細胞の増殖を抑制します。
4 浜松PET診断センターは、当社が設立した一般財団法人浜松光医学財団が運営しております。
5 本成果は、日本学術振興会の科学研究費助成事業(特別推進研究)「アト秒精度の超高速コヒーレント制御を用いた量子多体ダイナミクスの探求」のもと、自然科学研究機構分子科学研究所との共同研究より得られたものです。


経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01955] S100BZNG)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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