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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AKEE

有価証券報告書抜粋 シスメックス株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、臨床検査の総合サプライヤーを目指して、常に最先端技術に対する積極的な挑戦と信頼性を追求しながら新たな診断技術の研究開発に取り組み、顧客の幅広いニーズを先取りした製品の開発を進めております。
当社グループの研究開発は、主として当社のヘマトロジープロダクトエンジニアリング本部商品開発部、UBプロダクトエンジニアリング本部商品開発部、免疫・生化学プロダクトエンジニアリング本部商品開発グループ、凝固プロダクトエンジニアリング本部商品開発グループ、ライフサイエンスプロダクトエンジニアリング本部商品開発部、ソリューション推進本部システム開発部、技術開発本部及び中央研究所において臨床検査分野及びライフサイエンス分野を中心に推進しております。また、当社の研究開発企画本部において、研究開発全般の技術戦略の立案と研究開発活動の支援を行っており、戦略に基づく経営資源配分の最適化を図る体制を整備しております。
研究開発活動においては、その対象領域を「血液疾患及び免疫疾患」、「がん」、「慢性疾患」、「感染症」とし、細胞を検出するフローサイトメトリー技術、遺伝子を増幅、検出する直接遺伝子増幅技術やDNAチップ技術、抗体検査のための化学発光酵素免疫測定技術やクロマト技術、測定により得られた結果から病態をシミュレーションするシステムバイオテクノロジー技術などを技術プラットフォームとして、疾患の早期発見、患者個々に最適な治療の選択を可能とする価値の高い診断技術の創出を目指しております。
また、トータル・ソリューション・プロバイダーをコンセプトとして掲げ、検体検査機器のみならず検体検査試薬及び臨床検査情報システムを含む一貫した製品開発に取組んでおります。当連結会計年度における主な研究開発活動は、以下のとおりであります。

(1) 糖鎖マーカーを用いた診断薬の開発を推進
当社は、糖鎖※1マーカーを用いた新たな診断薬の提供を目指し、グライコバイオマーカー・リーディング・イノベーション株式会社(以下、GL-i社)と免疫検査試薬の共同開発を推進してまいります。
GL-i社は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)から、その知的財産の価値を高め世に送り出す期待を込めて設立され、「産総研技術移転ベンチャー」の称号を付与された会社で、産総研で開発された糖鎖解析技術に関する研究成果の実用化(臨床検査薬、創薬)を推進しております。
糖鎖は、細胞の表面や、血液中に存在するほとんどのタンパク質上に存在し、タンパク質を生産する細胞の状態(病気か健康かなど)が変化すると、糖鎖自身も変化するという特性を持っております。これまでのタンパク質(抗原・抗体)の量的変化ではなく、タンパク質上の糖鎖の質的変化を検出することで、これまでにない新たな臨床価値が提供できると期待されております。
当社はこれまで免疫検査事業において、世界初となる糖鎖マーカーを用いた、肝線維化検査用試薬「HISCL M2BPGi®試薬」の共同開発を通して産総研と関係を構築してまいりました。
当社、産総研及びGL-i社は、胆管がんなどの新たなバイオマーカーの共同開発に取り組んでおり、産総研はマーカー探索等の基礎研究、GL-i社は臨床研究、当社は診断薬の開発、薬事認可取得、製造、販売等の役割を担い、実用化に向けた共同開発を推進しております。
今後、GL-i社との共同開発の推進により、日本発の糖鎖マーカーを用いた診断薬開発メーカーとしての確固たるポジションの確立及び免疫検査事業における新規項目の創出を目指します。
※1 糖鎖:
細胞表面や血液中のタンパク質上に存在する糖が連なった物質。「細胞やタンパク質が羽織る衣装のようなもの」とも例えられる。個々の細胞に特異的な情報伝達や細胞間コミュニケーションなどの役割を果たしている。糖鎖マーカーは糖タンパク質に存在する糖鎖の構造変化をターゲットにしたバイオマーカー。
(2) 他家iPS細胞由来 網膜色素上皮細胞(RPE細胞)の移植前免疫反応検査法に関する共同研究開発を開始
当社、株式会社ヘリオス(以下、ヘリオス)及び大日本住友製薬株式会社(以下、大日本住友製薬)の3社は、他家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞(RPE細胞)の移植前免疫反応検査法を確立するための共同研究開発を開始いたしました。
iPS細胞※2を用いた移植治療には、患者本人由来のiPS細胞から作製した細胞を用いる自家移植と、ある一定の条件を満たしたドナー由来のiPS細胞(他家iPS細胞)から作製した細胞を用いる他家移植の2つの方法が存在します。このうち自家移植は、すでに治療の実績がありますが、患者本人由来の細胞からiPS細胞を作製し、その後iPS細胞を移植に適した細胞に分化※3誘導する必要があり、移植用の細胞の作製に時間を要することや、製造コストが高額となることなどが課題となっております。
一方、他家移植の場合、他家iPS細胞をセルバンク※4等により管理し、標準化された工程で計画的に移植用の目的細胞の生産を行うことによって、品質が担保された移植用の細胞を必要なときに安定的かつ安価に供給することが可能になると考えられております。しかし、他家iPS細胞由来の細胞を治療に用いる他家移植の場合、移植後に免疫拒絶反応※5が生じることも想定されることから、免疫拒絶反応の有無を含めた移植適合性を、移植前に確認するための新たな検査法の開発が求められております。
当社、ヘリオス及び大日本住友製薬は、ヘリオス及び大日本住友製薬が国内で共同開発する加齢黄斑変性※6等の眼疾患を対象とした他家iPS細胞由来のRPE細胞※7を含有する再生医療等製品の、移植前免疫反応検査に関して共同で研究開発を開始いたしました。
ヘリオス及び大日本住友製薬は、他家iPS細胞からRPE細胞を作製して当社に提供し、当社は、自社が保有するイメージングフローサイトメーターやタンパク質解析技術を用いて移植前免疫反応検査法の開発を行います。検査で得られた結果は、患者にとって移植後における免疫抑制剤の投与回数/投与量の最適化といった他家細胞移植後の免疫抑制療法に反映されることが期待されます。
当社、ヘリオス及び大日本住友製薬は、医療のさらなる質の向上や効率化に向けた技術開発を進めるとともに、最先端技術の実用化に向け研究開発に取り組んでまいります。
※2 iPS細胞:
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)の略。ヒトの皮膚の細胞などにいくつかの因子を導入することによって作製された、さまざまな組織や臓器の細胞に分化する能力を持った多能性幹細胞。
※3 細胞分化:
ES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞のような幹細胞、或いは前駆細胞が、特定の機能と形態を持つ細胞へ変化すること。
※4 セルバンク:
最終製品の安定的・継続的製造のため、単一の細胞から一定の方法で調製(拡大培養)された細胞が、複数の容器に分注され、一定条件下で保存されている状態のこと。iPS細胞の場合、日本人の健常ボランティアの細胞を収集する再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトが進められている。
※5 免疫拒絶反応:
生体が自己を守るために持っている、異物の侵入に抵抗し、これを阻止しようと免疫細胞が活性化する反応のこと。組織や細胞の移植の成否に大きく関わるため、現状では免疫抑制剤を用いるなどしてこの拒絶反応をコントロールしている。
※6 加齢黄斑変性:
物を見るときに重要な働きをする網膜の黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受けて変化し、視力の低下を引き起こす病気。加齢黄斑変性には黄斑の組織が加齢とともに萎縮する「萎縮型」と、網膜のすぐ下に新しい血管(新生血管)ができて、この血管が黄斑にダメージを与える「滲出型」がある。
※7 網膜色素上皮細胞(RPE細胞):
網膜の最も外側の層を覆う組織を構成する細胞。メラニン色素を含み、網膜内に入る余分な光を吸収し、散乱を防ぐなどの機能をもつ。また、外側の脈絡膜と内側の網膜の間の物質の出入りを制御する関門の役割も果たす。

今後も、医療を最適化、標準化するための価値の高い検査を提供し、当社グループの企業理念である「Sysmex Way」のミッションとして掲げている「ヘルスケアの進化をデザインする。」の実現を目指した研究開発活動に取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は15,554百万円であります。また、2017年3月31日現在取得の工業所有権の総数は7,031件(海外を含む)となっております。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02015] S100AKEE)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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