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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1009ZQT

有価証券報告書抜粋 ルネサスエレクトロニクス株式会社 研究開発活動 (2016年12月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


(1) 研究開発活動の体制および方針
当社グループの研究開発活動は、現在必要な、または近い将来に必要となるであろうソフトウェアおよびシステム開発などを、車載制御、車載情報に関する製品は第一ソリューション事業本部が、産業、OA・ICTおよび汎用製品に関する製品は第二ソリューション事業本部が担当し、デバイス開発やデバイス応用技術などのデバイスソリューション開発を担うルネサスシステムデザイン㈱と協力しながら取り組んでおります。デバイス・プロセス技術、新規実装技術、設計手法などの部門横断的な共通技術については、主に第一ソリューション事業本部と生産本部とが協力しながら担当するという体制で取り組んでおります。
また、コンソーシアムや外部研究機関などへの研究委託や、幅広い分野やお客様へ最適なサポートを行うためのサード・パーティの活用など、自社の研究開発リソースのみならず社外のリソースも必要に応じて活用しております。
電子機器や社会インフラの急速なネットワーク化により訪れるスマート社会では、これまでマイコンが主に使われてきた制御機器と、システムLSIが主に使われてきたIT機器が急速に融合しており、マイコンを軸にした新たな制御機器市場の拡大が期待されます。当社グループは、こうした市場変化に対応するため、マイコンとアナログ&パワー半導体などを組み合わせたセットを提供するキットソリューションを強化するとともに、アプリケーションごとに共通して使用できるIP(設計資産)やOSなどのソフトウェアをプラットフォームとして提供するための研究開発活動を通じて、新市場での成長を実現してまいります。

(2) 主な研究開発の成果
① クルマの自動化やスマート社会を進展させる、16/14ナノメートル世代以降の高性能・高信頼性マイコン向けフラッシュメモリセル技術を世界で初めて開発
当社グループは、回路線幅が16/14ナノメートル世代以降のフラッシュメモリ内蔵マイコン向けに、これまでの28ナノメートル世代マイコンにおける高速読み出し動作や高信頼性を維持しながら、大幅なメモリ容量の増加を実現するフラッシュメモリセル技術を世界で初めて(注)開発しました。
近年、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)に代表されるクルマの自動化やIoTを介したスマート社会の進展に伴い、より微細なプロセスを用いた最先端マイコンが求められております。例えば、自動運転においては、ドライバーの代わりにセンサーから得た情報をもとに外部環境を把握し、車体の制御を行うため、そこに使われるマイコンには、演算処理能力の向上と大容量の内蔵メモリが求められており、プロセスの微細化が必須となっております。
このような中、当社グループは、世界に先駆けて、40ナノメートル世代マイコンを量産し、28ナノメートル世代マイコンを開発しておりますが、さらなる次世代マイコンの実現に向けて、40/28ナノメートル世代よりも微細なプロセス世代を先取りした16/14ナノメートル世代以降のマイコン内蔵用のフラッシュメモリセル技術を今回新たに開発しました。
当社グループは、マイコン内蔵用として、高性能と高信頼性を両立し、微細化が容易な構造の独自フラッシュメモリ技術を有しており、これまで28ナノメートル世代までのマイコンに適用してきました。今回、このフラッシュメモリ技術を従来の2次元構造から3次元の立体構造へさらに進化させたことで、性能の向上と消費電力の抑制を実現し、世界で初めて、16/14ナノメートル以降の世代まで微細化が可能な見通しを得られたため、2016年12月に本技術を発表しました。
本技術は、100メガバイト級のメモリを搭載し、28ナノメートル世代比で4倍以上の処理性能を有する高信頼マイコンの実現に有望なものであります。今後、当社グループは、本技術を用いた大容量フラッシュメモリの動作確認を行ったうえで、2023年頃を目処に16/14ナノメートルプロセスを適用したマイコンの実用化に向けて開発を進め、継続的にクルマの自動化やスマート社会の進展に貢献してまいります。
(注)世界で初めて:アメリカ・サンフランシスコで開催された「電子デバイス国際会議IEDM 2016(International Electron
Device Meeting 2016)」において、現地時間の2016年12月6日に本技術を発表しており、同日時点であります。


② 自動運転時代を牽引するソリューションキットを発売し、自動運転のデモカーに搭載
当社グループは、従来、車載情報システム向けに高性能なSoC「R-Car」を提供し、カーナビゲーションやダッシュボードの画像処理、高精細表示等に広く採用されており、当分野では、No.1の市場実績があります。この実績のあるR-Carを一層高性能化するとともに、堅牢性を高めることにより、R-Carは、急速に進む自動運転車の頭脳となる「車載コンピューティング用プラットフォーム」として進化を遂げております。
自動運転車を開発するためには、周囲の状況を検知するセンシング、センサー情報を集めて周囲の状況を認識し、自動走行ルートを素早く決定する判断処理、ドライバーに危険を知らせ、ドライバーの状態を見守るヒューマンインタフェース、そして、「走る・曲がる・止まる」を協調して制御する処理など、多くの処理が必要となります。そのため、そこで使われるソフトウェアの開発にも膨大なリソースが必要になり、いかに多くのソフトウェア開発者が簡単に開発できる環境を提供できるかが重要になります。
そこで、当社グループでは、開発者が簡単にR-Carのソフトウェア開発を開始できる環境として、「R-Carスタータキット」を発売しました。これにより、IT業界をはじめとする様々な分野の優れたソフトウェア開発者が簡単に自動運転車用のソフトウェアの開発に携わることができ、1人1台の開発環境を容易に構築することができます。その結果、車載ソフトウェアの開発人口も広がり、当社グループは、開発スピードの加速に大きく貢献できるものと考えております。
また、この開発したソフトウェアを実際の自動車に搭載して公道での実験や評価を繰り返し行えるように、R-Carスタータキット2セットと、クルマの「走る・曲がる・止まる」をつかさどる車載制御用マイコン「RH850/P1H-C」を1ボックス化した「高度自動運転ECU向けソリューションキット」も同時に発表しました。そして、パートナ企業と共同で、市販の自動車を活用して、本ソリューションキット2台と、OSやセンサー情報の処理機能、外部との通信機能などの各種ソフトウェアを搭載し、自動運転が可能なデモカーを開発しました。このデモカーについては、2017年1月にアメリカ・ラスベガスで開催されたCES2017(Consumer Electronics Show 2017)において、会期中の4日間で延べ260名以上の来場者に試乗いただき、堅牢かつ安全性の高い自動運転のデモンストレーションとして、多くのお客様から高い評価をいただきました。
当社グループは、これらにより、自動運転システムの開発を支援し、開発スピードを格段に加速させ、これからの自動運転時代を牽引していきます。

③高度な産業機器の開発を容易にする「RZ/G Linuxプラットフォーム」の提供を開始
現在、産業分野では産業機器の使いやすさを向上させるため、動画を使った操作ガイダンスや、スマートフォンのような直観的な操作機能の搭載が進んでおります。また、産業機器間をネットワークで繋いで作業の効率化を図ったり、インターネットと接続して外部情報を活用するなど、ネットワーク機能の搭載も進んでおります。それに伴い、こうしたマルチメディア処理やネットワーク機能の高度化を実現するためのアプリケーションソフトウェアが増加しております。
産業機器の一般的なOSとしては「リアルタイムOS」があげられ、当社グループもリアルタイムOSベースの32ビットマイコンのプラットフォームとして、「Renesas Synergy Platform」を提供していますが、高度なマルチメディアやネットワーク関連の処理には、より高性能な半導体とソフトウェアが必要になります。
そこで、当社グループは、より高性能なマイクロプロセッサ「RZ/G」をベースに、オープンソースのOSである「Linux」を使用した「RZ/G Linuxプラットフォーム」を発売しました。これは、これまでLinuxを使用したことがないユーザでも、容易に開発できるように、マイクロプロセッサ「RZ/G」と、あらかじめ動作検証をしたLinuxなどのソフトウェア標準パッケージ、評価ボード、また、クラウド上の開発ツール群やオプションのミドルウェア群を、パートナ企業と連携して提供するものであります。
Linuxは、仕様が公開されているオープンソースであるため、これに対応したソフトウェアを入手しやすく、開発評価環境をクラウド上に置くことにより、ユーザが自社で開発評価環境を整える必要がなくなるため、初期投資も大幅に削減することができます。また、製品寿命が長い産業機器については、そこで使用されるOSのサポート期間が重要となるため、当社グループは、長期サポートも順次提供していく予定であります。これらにより、ユーザは、産業機器の開発期間やコスト、ソフトウェアのバージョンアップ管理などの負担を大幅に軽減することが可能になり、新たな付加価値サービスの開発に注力することができます。
当社グループは、「Renesas Synergy Platform」に加えて、この「RZ/G Linuxプラットフォーム」をプラットフォームソリューションに位置づけ、ユーザが新しい機能を早期に実現できるよう、半導体だけでなく、ソフトウェアや開発サポートツールも組み合わせたソリューションとして提供してまいります。


(3)研究開発費
当連結会計年度の研究開発費は、781億円となり、前期同一会計期間の701億円と比べ80億円増加しました。これは主に、製品設計、システム開発、デバイス開発、プロセス技術開発、実装技術開発に使用しました。
また、当社グループの会計期間を1月から12月の12ヵ月と仮定した場合の2016年暦年ベースの研究開発費は、1,053億円となり、前年同期の911億円と比べ143億円増加しました。これは主に、製品設計、システム開発、デバイス開発、プロセス技術開発、実装技術開発に使用しました。
なお、当社グループは半導体事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02081] S1009ZQT)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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