有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ALKI
株式会社ニコン 研究開発活動 (2017年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループでは、各事業部門の開発担当部門がコアテクノロジー本部と連携しながら研究開発を推進しております。
「光利用技術」と「精密技術」の2つの中核技術を基軸に、デジタル技術や制御技術、情報通信技術など、多彩な技術をクロスオーバーすることで、要素技術開発から商品開発、生産技術開発に至るまで上記体制の下に積極的な研究開発活動に取り組んでおり、当連結会計年度の研究開発投資は636億36百万円でありました。なお、当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、研究開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでおります。
当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりであります。
① 精機事業
半導体露光装置事業においては、NSR-S630Eに対してNSR-S631Eへのフィールドアップグレードを可能とするソフトウエア、及びハードウエアの開発を実施、販売を開始しました。
NSR-S631Eは、新型投影レンズ、アライメントシステムのマーク検出・計測能力の強化により、装置間重ね合わせ精度(MMO:Mix and Match Overlay) 2.3ナノメートル以下、スループット毎時270枚以上(96shots)の生産性を実現します。
FPD装置事業は液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイの生産にて、お客様の将来のニーズに応える露光装置を早期に市場に投入するため、さらなる高精細化や高生産性、基板サイズの大型化などの技術開発を進めました。
なお、当事業に係る研究開発投資の金額は162億17百万円であります。
② 映像事業
レンズ交換式デジタルカメラでは、D5同等の性能と進化した機動力を融合したDX最強モデルであるDXフォーマットデジタル一眼レフカメラ「ニコンD500」を開発しました。新世代の153点AFシステムと、約10コマ/秒(AF・AE追従)で、最大200コマまで撮影可能な高速連続撮影性能によって、さまざまな状況で被写体をより確実に捉えることができます。また、新設計のニコンDXフォーマットCMOSセンサーと新画像処理エンジン「EXPEED 5」により、最高常用感度ISO 51200を実現。静止画撮影時はもちろん、新たに対応した4K UHD(3840×2160)動画撮影時にも優れた高感度性能を発揮します。さらに、タッチパネル採用の高精細画像モニター、有線LAN・無線LAN通信により、ワークフローの高速化を可能にしています。このほか、180KピクセルRGBセンサーを新採用したアドバンストシーン認識システムがAF、AE、AWBの高性能化に寄与。低消費電力化、高精度・高耐久性シャッターなどとともに、制御精度と耐久性の両面から信頼性を高めています。
交換レンズでは、ニコンFXフォーマットデジタル一眼レフカメラ対応の大口径望遠ズームレンズ「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR」を開発しました。軽量化に貢献する蛍石レンズと高屈折率レンズの採用に加え、レンズ鏡筒にはマグネシウム合金製部品を採用し、堅牢性と軽量化を両立しました。また、解像性能に定評のある従来製品よりも、ズーム全域で、画像周辺部まで安定した高い解像性能を発揮。各収差を効果的に補正する蛍石レンズ、高屈折率レンズ、6枚のEDレンズや、ゴーストやフレアを低減する「ナノクリスタルコート」の採用とあいまって、卓越した描写性能が得られます。
なお、当事業に係る研究開発投資は249億21百万円であります。
③ インストルメンツ事業
マイクロスコープ・ソリューション事業においては、発売以来、生物学・医学分野の大学・研究機関等の幅広い分野で高い評価を得ている研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti」の後継機種として、「ECLIPSE Ti2」を開発・発売しました。最新の大型CMOSイメージセンサーの能力を最大限に利用した大量データの高速取得ニーズに応えるために、再設計した内部観察光路により、ボディサイズはそのままにクラス最大の広視野を達成しました。また、内蔵センサーにより顕微鏡の状態を自動的に判断し、正しい操作手順をナビゲーションするアシストガイド機能を新たに搭載(Ti2-E/A)。様々な熟練度の研究者をヒューマンエラーから解放し、研究の効率を向上させます。さらにライブセルイメージングの統合プラットフォームソフトウエアNIS-Elementsの優れた操作性・柔軟性により、ECLIPSE Ti2は最先端の生命科学研究を強力にサポートします。
産業機器事業においては、優れた性能を持つ製品をお客様により有効的に利用して頂くため、ソリューションの提供・開発を行っています。以前より取り組んでいる、高精度非接触計測システム「HN-C3030」向け歯車評価用アプリケーションソフトは測定対象の歯車種類を拡充いたしました。自動車車体向けの「Laser Radar」向けアプリケーションソフトは、引き続き開発を進めております。また、「非破壊X線/CT検査システム」向けのアプリケーションソフトとして、鋳造工程向けのアプリケーションソフトを開発いたしました。このソフトは、鋳造部品内部に存在する「す(空洞)」の検査における効率化を実現し、設計工程を含む鋳造工程全体の最適化などにも活用できます。これ以外にも、お客様のご要望に応じてシステムを柔軟にカスタマイズすることで、お客様にとって、より一層価値のあるソリューションの提供・開発をしております。
なお、当事業に係る研究開発投資の金額は62億29百万円であります。
④ メディカル事業
メディカル事業においては、傘下にある英国Optos Plcと共に、ニコンの光学技術/特性を活かした超広角(Ultra-Widefield)、光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography)の製品開発を加速しております。
また米国Verily Life Sciences社との網膜画像診断領域における戦略的提携に伴い、糖尿病関連の次世代診断ソリューションの共同開発に向けた積極的な活動を推進しております。
なお、当事業に係る研究開発投資の金額は37億93百万円であります。
⑤ その他の事業
その他の事業に係る研究開発投資の金額は124億85百万円であります。
(注) 事業別に記載している研究開発投資の金額には、内部消去額を含んでおります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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