有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1009YTU
キヤノン株式会社 研究開発活動 (2016年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当グループは、2016年からの5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅤ」のもと、研究開発における主要戦略として、1.「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、2.「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」、及び3.「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げ、その取組みを進めています。
1.では、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。
2.では、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。
3.では、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、ベンチャーとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。
2014年に内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に採択された「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」においては、非侵襲・無被曝な医療検査装置の実現に向けて研究開発を進めております。また、2013年に開設した米国ヘルスケアオプティクスリサーチラボにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院との間で生体医学に関する光イメージングや医用ロボットなどに関する共同研究を進めております。
開発効率の向上に向けては、光学系からメカニクス、センサー、画像処理まで含めた画像形成の一貫シミュレーションシステムを業界に先駆けて開発し、このシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しております。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、302,376百万円であり、事業の種類別セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。
Ⅰ.オフィスビジネスユニット
オフィス向け複合機においては、A3カラー複合機「imageRUNNER ADVANCE C5500シリーズ」が、操作画面の初期表示や言語などを個人ごとに設定できる「パーソナライズ」機能を搭載し、操作性を向上するとともに、同個人設定を同一ネットワーク内の複合機間でサーバーを介せずに同期する機能を業界で初めて※1搭載しました。また、米国で権威あるオフィス機器の独立評価機関であるBLI社より、「imageRUNNER ADVANCE」シリーズがA3複合機の分野で「2016年最優秀A3 MFPラインアップ賞」を受賞※2しました。大量印刷にも対応可能な高い信頼性や、低速機から高速機まで一貫したプリンタードライバーの提供、マルチデバイスへの出力や複合機管理の一元化が可能な統合管理ソフトウエアの提供による利便性などが高く評価されました。
レーザープリンターにおいては、A4対応モノクロレーザープリンター「Satera LBP352i」が、シリーズ最速となる毎分62枚の高速印刷に加え、最大3,800枚の大容量給紙※3を実現し、製造業や自治体、医療現場などさまざまな業種で求められる高速・大量出力業務を強力にサポートします。
デジタルプロダクションプリンティングシステムにおいては、プロダクションプリンター「imagePRESS C850/C750/C650」が、新たに190線ドットスクリーンを追加することで、階調表現の幅を拡大するとともに、高精細な印刷を実現するレーザースキャナーR-VCSEL※4と、耐久性に優れたCV※4トナーの採用により、大量印刷時でも高品質な画像を安定して提供できる高い信頼性を備えました。また、業務用高速・連帳プリンター「Océ ImageStream 2400」が、新顔料インクの採用によりオフセット軽量紙からコート紙まで多様なメディアに対応し、1200×1200dpiによる圧倒的な印刷品質と印刷速度160m/分の高生産性を両立しました。
当事業セグメントに係る研究開発費は、94,440百万円であります。
※1 オフィス向け複合機市場において 2016年6月現在(当社調べ)
※2 2016年2月 BLI社:Buyers Laboratory LLC(米国に本社を置き、50年以上高い信頼を得ている、ビジネス
ユーザー向けのオフィス機器に対する独立評価機関)
※3 「ペーパーフィーダーPF-B1」及び「ペーパーデッキユニットPD-G1」装着時
※4 R-VCSEL:Red-Vertical Cavity Surface Emitting Laser、CV:Consistently Vivid
Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラ(一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)において、2003年から13年連続で世界市場の台数シェアNo.1を達成※5しました。キーデバイスであるCMOSセンサー、映像エンジン、及び交換レンズを独自開発しており、幅広いニーズに応える強力なラインアップを構築しています。また、最高約14コマ/秒の高速連写性能と優れた動態撮影性能を実現した「EOS-1D X MarkⅡ」、及びプロフォトグラファーのニーズに応える高画質と高生産性を実現したA2対応インクジェットプリンター「imagePROGRAF PRO-1000」が、世界有数の写真・映像関連の賞である「TIPAアワード2016」※6、及び「EISAアワード2016-2017」※7の両賞を獲得しました。
交換レンズにおいては、高倍率ズームレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」が、新開発の超音波モーター「ナノUSM」の搭載により、静止画撮影時におけるフォーカスレンズの駆動速度の大幅な向上※8と、動画撮影時におけるスムーズで滑らかなAFを実現しました。
デジタルシネマカメラにおいては、新開発の全画素を同時に露光するグローバルシャッター方式のCMOSセンサーを搭載した「EOS C700 GS PL」が、高速で動く被写体でもゆがみなく、広いダイナミックレンジを持つ4K映像を撮影可能にしました。
放送機器においては、スタジオズームレンズ「UHD-DIGISUPER 27」が、レンズの最適配置を行うとともに、高度な部品精度や組み立て精度を追求することで、4Kを超える高い光学性能と優れた運用性を両立しました。色再現性の優れた高い描写力を発揮し、臨場感あふれる映像制作に貢献します。
業務用ディスプレイにおいては、「DP-V1710」が、4Kの高画質性能を持ちながら、業界初※9となる17型の小型サイズを実現しました。撮影現場での持ち運びや放送局の中継車、スタジオなどのスペースが限られた場所での運用ニーズに応えました。
インクジェットプリンターにおいては、家庭用インクジェットプリンター「PIXUS TS9030/TS8030」が、本体の基板や電源サイズの小型化、用紙の搬送機構の改良などにより、従来機種に比べて、設置面積比で約25%※10の小型化を実現しました。また、大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」シリーズが、BLI社より、「2017年最優秀大判プリンターラインアップ賞」を受賞しました。信頼性や画質、使いやすさ、カラーマネジメント、生産性、接続性などが高く評価されました。
マルチメディアプロジェクターにおいては、「4K500ST」が、独自の光学システム「AYSIS」により、5,000lmの高輝度な4Kプロジェクターで、世界最小・最軽量※11を実現しました。新開発の4K解像度に対応した短焦点ズームレンズと高解像度LCOSパネル、高性能映像エンジンを搭載することで、臨場感のある高精細な4K映像投写を実現しました。
当事業セグメントに係る研究開発費は、91,752百万円であります。
※5 2016年3月現在(当社調べ)
※6 2016年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした5大陸15カ国のカメラ、ビデ
オなどの分野における主要な専門誌30誌が加入する業界団体)より22年連続受賞、他に「EOS 5Ds R」、コン
パクトカメラ「PowerShot G5 X」、「IXUS 285 HS(国内未発売)」が同時受賞
※7 2016年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (カメラ、ビデオ、オーディオなどの分
野における欧州の主要な専門誌約50誌が加入する業界団体)より28年連続受賞、他に「EOS 80D」、「EF35mm
F1.4LⅡUSM」が同時受賞
※8 従来機種に比べて最大約4.3倍:ファインダーAF・静止画撮影時・焦点距離135mm・最短撮影距離から無限遠
までの駆動時(当社基準)
※9 業務用4Kディスプレイ市場において 2016年9月現在(当社調べ)
※10 「PIXUS MG7730」との比較
※11 「4K解像度以上5,000lmクラスのプロジェクターにおいて 2016年1月現在(当社調べ)
Ⅲ.産業機器その他ビジネスユニット
半導体露光装置においては、i線ステッパー「FPA-5550iZ2」が、シーケンス最適化や独自技術のショット形状補正機能「SSC(Shot Shape Compensator)」の搭載などにより、ロジック/メモリー/イメージセンサーなどIoT・ビッグデータ・AI時代のデバイス製造に最適な最高水準※12の生産性と重ね合わせ精度を実現しました。
ネットワークカメラにおいては、「VB-M50B」が、長年培ってきた光学技術を結集した大口径超望遠ズームレンズを搭載し、高感度CMOSセンサーや高性能映像処理エンジンとの組み合わせにより、肉眼の認識が困難な低照度環境でも、遠距離の被写体のカラー撮影※13を可能にしました。また、当社の光学技術やイメージング技術とアクシス社のネットワーク映像処理技術の融合により、高解像度監視が可能なレンズ交換式ネットワークカメラ「AXIS Q1659」を共同開発しました。今後も両社の強みを生かしながら連携を進め、先進的で高性能なネットワークカメラ、及び関連するソリューションを提供していきます。
MRシステムにおいては、ヘッドマウントディスプレイ「MREAL Display MD-10」が、現実映像とCGを融合した3D映像を広画角、高精細で再現し、自動車本体のような大きな立体物のデザインの確認から、細かい部品を用いた作業の確認まで、使用用途を拡大しました。
ヘルスケア事業においては、世界トップクラスの技術力及びグローバル・プラットフォームを有する東芝メディカルシステムズ株式会社(以下「TMSC」という。)を当グループへ迎え入れました。当社の持つX線高速動画センサー技術をはじめとするイメージングデバイスおよびその要素技術、光超音波トモグラフィー技術、医療用ロボットシステム技術、低侵襲技術などと、TMSCが有する研究開発力を生かし、共に技術開発を進めていくことで、今後、グループとして革新的な新製品やサービスをグローバルに提供していきます。
当事業セグメントに係る研究開発費は、67,887百万円であります。
※12 同等クラスのi線ステッパーにおいて 2016年12月現在(当社調べ)
※13 望遠端630mmにおいても最低被写体照度0.07ルクスを達成
また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は48,297百万円であります。
注:製品名は日本国内での名称です。
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