有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100APX1
森永乳業株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの研究開発部門では、2015年7月1日より、食品総合研究所、栄養科学研究所、素材応用研究所、基礎研究所、装置開発研究所、分析センター、および応用技術センターの5研究所、2センターの体制のもと、研究開発活動を行っておりました。
当連結会計年度における6月1日付で、研究開発部門について新たに研究本部制を施行しました。これに伴い研究本部内に「研究企画部」を新設するとともに、栄養科学研究所の内部組織を改編し、「健康栄養科学研究所」と改称しました。
この組織改正の主な目的は以下のとおりです。
各研究開発組織を研究本部内に置くことにより、研究資産や人財の有機的連携・交流を強化し、これらを最大限に活用するなど全体最適な資源配分の下で総合力を発揮できる体制とし、各事業分野に向けた研究開発力を強化します。
また、10月1日付で、「装置開発研究所」を研究本部から独立させ、生産本部エンジニアリング部に「装置開発センター」を設置し、エンジニアリング部との協働による、エンジニアリング業務の一体化と効率化を図ることとしました。
食品総合研究所、健康栄養科学研究所、および素材応用研究所では、関係事業部との連携および研究所間の相互の連携により、商品開発力の増強と研究開発スピードの向上に努め各種商品の研究開発を行っております。基礎研究所では、腸内フローラや新素材に関する研究を進め、事業部門への情報提供のほか、学会などへの情報発信を行っております。分析センターでは、商品の安全性と品質向上のため、分析技術の研究に取り組んでおります。応用技術センターでは、当社グループ商品や乳素材のお客さまにとっての価値を高めることを目的に、レシピの開発と商品の評価を行っております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は5,362百万円であり、セグメント別には以下のとおりです。
各事業分野別の主な新商品開発、商品改良事項は以下のとおりです。
牛乳・乳製品および一般食品を中心とする食品分野では、お客さまニーズの反映と新たな市場開拓を実現できる新技術開発を積極的に進めたほか、従来の技術に新しい製造加工技術を付加し、「おいしさ」、「楽しさ」、「健康」、「栄養」、「環境」に配慮した商品を上市してまいりました。主な新商品、新技術は以下のとおりです。
飲料では、「マウントレーニア」シリーズから、「マウントレーニア カフェラッテ マカダミアナッツモカ」、「マウントレーニア カフェラッテ キャラメル&メープル」、「マウントレーニア ラテ・ド・ショコラ ヘーゼルナッツ」、「マウントレーニア リッチカフェラッテ エキストラミルク」、「マウントレーニア ラテ・ド・キャラメル ~トリュフ仕立て~」、「マウントレーニア カフェラッテ オランジュモカ」などを新発売しました。同シリーズで、使用する原材料の素材を厳選しておいしさにこだわった「SELECTIVE(セレクティブ)」シリーズを立ち上げ、「マウントレーニア SELECTIVE 香るラテ/芳醇ショコラ」の2品を新たに発売いたしました。「リプトン」ブランドの飲料では、「リプトン ライチティー」、「リプトン ビターショコラのミルクティー」、「リプトン グリーンアップルティー」、「リプトン ミントティーラテ」、「リプトン ティーエスプレッソ」、「リプトン TeaSmoothie(ティースムージー) アップルミックス / 洋梨ミックス」、「リプトン パインアップルティー」、「リプトン ショコラ・テ・オ・レ」、「リプトン THEミル挽(び)き」、「リプトン グレープティー」、「リプトン ゆずティー」、「リプトン マスカットティー」を新発売しました。その他、森永製菓コラボ商品として、「小枝チョコレートドリンク」、「ダース/ミルクドリンク」などを新発売しました。
デザートでは、「体脂肪計タニタの社員食堂」がベストセラー書籍となった株式会社タニタと共同し、『おいしさ』と『満足感』を実現した「タニタ食堂®の100kcalデザート」のシリーズとして、「木いちごソース バニラプリン」、「スイートポテトプリン」、「レアチーズプリン オレンジソース」などを発売しました。毎日の生活に配慮し、低糖質かつカロリーを抑えたデザート「おいしい低糖質プリン」シリーズとして、「おいしい低糖質プリン カスタード/抹茶」、「おいしい低糖質プリン カスタード/ミルクココア」を発売しました。
日本で唯一の“ツインカップ”デザートでは、「toronne(トロンヌ)」シリーズからは「toronne(トロンヌ) 濃艶(こいつや)黒みつ 抹茶プリン」、「toronne(トロンヌ) 黄金カラメル クリーミープリン」を新発売しました。
また、ソースが主役のツインカップデザート「リッチソースプラス」シリーズより、「リッチソースプラス アフォガート風プリン」、「リッチソースプラス キャラメルラテ風コーヒーゼリー」を新発売しました。ツインカップ形状のデザートとは、小カップ(ソース)と大カップ(デザート)の2つが一体になった容器形態です。小カップを折り曲げてソースをかけることでおいしさが完成するデザートとなっています。食べる直前にソースをかける“作りたてのおいしさ”、ソースをかける際に手が汚れにくく捨てやすい“利便性”をお客さまに体感していただけます。
ヨーグルトでは、定番の森永アロエヨーグルトシリーズからは、「森永アロエヨーグルト ゴールドキウイ」、「森永アロエヨーグルト ぶどう」、「森永アロエヨーグルト グレープフルーツ」、「森永粒ゴロゴロアロエ&ヨーグルト」、「森永アロエヨーグルト マスカット」、「森永アロエヨーグルト みかん」などを新発売しました。
「アロエステロール®」を利用した商品としては、「アロエステヨーグルトドリンク」と「アロエステヨーグルト」の2品を発売しました。
日本初の国産ギリシャヨーグルトとして開発した、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ」シリーズから「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ パインソース入」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ Sweets(スイーツ) タルトレモンソース付」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ キャラメルソース付」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ ぶどうソース入」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ ブルーベリーソース入」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ Sweets モンブランソース付」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ オレンジソース入」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ Dolce(ドルチェ) ティラミスソース付」を発売しました。「ビフィズス菌BB536」を配合した「ビヒダスヨーグルト」シリーズから「ビヒダス ヨーグルト CREAMY(クリーミー) バニラ/いちご 4ポット」、「ビヒダス ヨーグルト CREAMY はちみつ 4ポット」、ボトルタイプのキャップ付き紙容器(以下ボトル容器)入りで、ヨーグルトカテゴリーにおける、“食べる”、“飲む”に続く、新提案“かける”タイプの「ビヒダス とろっとかける プレーンヨーグルト」などを新発売しました。その他、ドリンクヨーグルトとして、“濃厚でとろける乳のコク”を味わえる「KOKU(コク) のむヨーグルト」シリーズの「KOKU(コク) のむヨーグルト ダブルベリー/マンゴー」、「KOKU(コク) のむヨーグルト マンダリンオレンジ」を新発売しました。
アイスクリームでは、定番の「PARM(パルム)」シリーズから「PARM(パルム) ザ・オランジェット(1本入り)」、「PARM(パルム) ストロベリー&ホワイトチョコ(6本入り)」、「PARM(パルム) バニラホワイトチョコ(6本入り)」、「PARM(パルム) ヘーゼルナッツチョコ(1本入り)」、「PARM(パルム) チョコレート&チョコレート~プラリネ仕立て~(6本入り)」を発売しました。新しく生まれ変わった「MOW」シリーズより、「MOW(モウ) ダブルフロマージュ」、「MOW(モウ) あずき」、「MOW(モウ) イタリアンマロン」、「MOW(モウ) バニラ」、「MOW(モウ) 宇治抹茶」、「MOW(モウ) チョコレート~エクアドルカカオ~」を発売しました。ロングセラーブランド「ピノ」シリーズからは、40周年記念アソート「ピノ ハッピーベリー」のほか、「ピノ 香ばしアーモンドキャラメル」、「ピノ 熟成抹茶」などを発売し、高級感や贅沢感が感じられる高単価の「ピノ ソレイユパッション」、「ピノ アロマショコラ」を限定発売しました。その他、新しい食感のアイスとして、「サンキスト まるで果実食感 りんごバー」、「やわり 羊羹風アイス&宇治抹茶氷」などを発売しました。
チーズでは、「フィラデルフィア」ブランドから、新技術による、スライスタイプでは日本初の3層構造チーズ「フィラデルフィア 贅沢3層仕立ての濃厚クリーミーチーズ」を新発売しました。当社独自の新製法による雑味のないチーズのうま味となめらかな食感を実現した「クラフト 無垢 大人の熟成チェダー味」、「クラフト 無垢 大人の熟成ゴーダ味」を新発売しました。その他、「クラフト 細切り」シリーズより、「クラフト サラダのための細切りチーズ」を、「クラフト 小さなチーズケーキ」シリーズより、「クラフト 小さなチーズケーキ ストロベリー」を発売しました。
その他、機能性表示食品として、「ビフィズス菌BB536」を機能性関与成分とした、「PREMiL(プレミル) 毎日のカラダに」、小型カプセルタイプのサプリメント「ビヒダス BB536」、「森永 BB536」を発売しました。
業務用食品素材では、乳原料を酵素処理させてバターの特徴的な風味を強化した乳風味強化素材「バターファイン」や、新規開発油脂を活用し、口どけ、保形性を従来より向上させ、冷凍耐性を付与した業務用コンパウンドクリーム「ハイホイップDX」、「ハイホイップEX」を発売しました。
容器包装開発では環境や社会に配慮し、ヨーグルト・デザート等の樹脂カップの軽量化、紙カップ、チーズ用フィルムなどの薄肉化、軽量化および各種商品の外装ダンボールの原紙坪量軽減などに取り組み、資源の有効活用、廃棄物削減を積極的に推進しました。また、ユニバーサル・デザインの実現にも取り組みました。
子ども向けの栄養食品分野では、育児用ミルクの分野で、特別用途食品の許可基準変更に対応してビオチンと、国際規格に合わせたL-カルニチンの新たな配合を順次進め、「森永はぐくみ」、「森永E赤ちゃん」、「森永ARミルク」のリニューアルを行いました。
昨年発売した幼児向けゼリー飲料「フルーツでおいしいやさいジュレ」は、野菜入りのおやつを食べさせたいママと、自分で食べたいというお子さまの両方に好評で、新たに「紫の野菜とくだもの」を加え4品種となりました。さらに、野菜を50%に増やした「野菜をもっと!やさいジュレ」シリーズとして「20種類の野菜とくだもの」、「たっぷり緑黄色野菜とくだもの」を新発売し、全6品種となりました。
また、お客さまからの年間約100件にのぼるご要望に応え、大人に適した栄養素組成で、当社独自の機能性素材(ビフィズス菌、ラクトフェリン、シールド乳酸菌)を配合し、乳のチカラで健康をサポートする大人向けの粉ミルク「ミルク生活」を、通信販売限定で発売しました。
妊娠期・授乳期の女性向けサプリメント「ママのDHA」は、カプセル原料を動物性のゼラチンから植物性に、精製魚油を高純度タイプに変更し、小粒で、口あたりが柔らかく飲みやすく改良いたしました。ゼラチン不使用のため、アレルギー物質(27品目)の表示が該当無しとなり、ご利用いただける対象が広がりました。
パキスタンでは、幼児用の「BF‐3」の大容量タイプ、学童用粉ミルク「Chil School」を新発売するなど、これらミルクの需要が高まっており、パキスタンにおいて新工場建設を決定しその支援も行っております。
医療食分野では、予め水分含量を高くした流動食は、病院施設の現場で加水の手間が省けることから近年要望が多く、ラインアップの強化を進めています。「MA-ラクフィア0.6」「MA-ラクフィア0.8」は、バッグタイプ流動食として初めて当社素材の「シールド乳酸菌」を配合し、さらに3種の食物繊維を併せることによってご利用される方の腸内環境に配慮した商品として新発売しました。栄養補助食品では、リハビリ時の栄養補給にあわせた「リハたいむゼリー」が、医療現場をはじめとして「たんぱく質」補給飲料として好評を得ており、「マスカット味」に続き「もも味」を新発売し、2品種となりました。食が細い方のために、40gと少量の摂取でエネルギー100kcalとたんぱく質5gを摂取できる「エンジョイ小さなハイカロリーゼリー」は今年も2品(いちご味とマスカット味)を追加発売し6品種としました。そのまま温めなくても手軽においしいやわらかご飯とおかずソースがセットになった「やわらか亭」シリーズは、復興庁主催の復興支援インターンに参加した学生による提案を活かし「穴玉丼」を開発しました。お肉を食べたいとのお客さまのご要望に応え、「牛丼」、「酢豚丼」も追加し、全11品種となりました。
機能性素材分野では、ビフィズス菌、ラクトフェリン、乳たんぱく質や各種ホエイ素材、乳ペプチド、アロエベラ素材、ラクチュロースなどの製造・品質確保、健康食品などへの応用、機能素材としての販売における学術支援、及びこれらの素材によるさまざまな健康機能性に関する臨床応用研究を研究医療機関と共同で推進しております。
ビフィズス菌については、ヒト常在性ビフィズス菌(HRB:Human Residential Bifidobacterium)は非常在性ビフィズス菌(non-HRB)に比べて、母乳中の抗菌物質リゾチームに対する耐性が優れており、その機序解析を実施し、日本乳酸菌学会2016年度大会(2016年7月9日~10日)で発表いたしました。また、当社独自の「ビフィズス菌BB536」および「ビフィズス菌M-63」について、マレーシアのマレーシアサインズ大学(Universiti Sains Malaysia)と共同研究を行い、ビフィズス菌BB536の長期摂取による幼児の風邪症状の発症ならびに罹患日数に対する改善効果、ならびに、ビフィズス菌M-63の摂取による洪水災害後の被災者への精神状態改善効果が確認され、これらの研究成果を、日本農芸化学会2017年度大会(2017年3月17日~20日、京都)にて発表しました。さらに、次世代シーケンサーを用いた腸内菌叢研究成果のひとつとして、日本人における加齢に伴う腸内細菌叢の変化に関する研究がオンライン科学雑誌『BMC microbiology』(2016年5月25日付)に掲載され、アクセス数の多いTOP3に選ばれるなど注目を集めております。中でもビフィズス菌については追加で詳細な解析を行い、国内外の学会にて発表を行いました(腸内細菌学会、Propiobifido2016(9月21~23日、アイルランド)、 台湾の学会)。なお、長年にわたる当社のビフィズス菌・乳酸菌の研究が認められ、研究テーマ「ビフィズス菌・乳酸菌の保健機能と応用技術に関する研究」が、日本酪農科学会(2016年9月9日、東京)において学会賞を受賞しました。
また、免疫力を高める作用に着目して、ヒトの腸管から見出された乳酸菌Lactobacillus paracasei MCC1849株の摂取が、風邪などの自覚症状に及ぼす効果について、九州女子大学 近藤順子准教授、三浦公志郎教授との共同研究を実施しました。今回、乳酸菌L. paracasei MCC1849株の摂取によって、風邪の自覚症状が低下し、症状が軽減する可能性を見出しました。本研究結果は、日本食品免疫学会第12回学術大会(2016年11月9~10日、東京)にて発表しました。
ラクトフェリンは、人などの哺乳類の乳汁や唾液などに含まれるたんぱく質で、抗菌・抗ウイルス活性や免疫調節作用などさまざまな生理機能を示すことが知られています。当社では1963年から50年以上にわたり、ラクトフェリンの様々な生理機能の研究を進めています。長野県松本市、信州大学と産官学連携で、ラクトフェリンの摂取が冬季感染症の発症、症状に及ぼす効果の共同研究を実施し、ラクトフェリンの摂取が、感染性胃腸炎の発症率を低下させ、下痢の有症期間を短縮させることを確認しました。本研究結果は、信州大学医学部衛生学公衆衛生学教室(野見山哲生教授)より、日本ラクトフェリン学会第7回学術集会(2016年10月30日、昭和大学)にて発表され、日本ラクトフェリン学会 学会賞・冨田賞(応用部門)を受賞しました。
また、ラクトフェリンと共に、乳汁や唾液に存在する酵素ラクトパーオキシダーゼを配合した機能性食品素材「オーラバリア®」を開発し、通信販売用タブレットを販売してきました。機能性食品素材「オーラバリア®」を配合した食品の摂取により、口内フローラ(口腔内細菌叢(そう))が改善される可能性を見出しました。本研究結果を、日本歯科衛生学会第11回学術大会(2016年9月17~19日、広島)にて発表しました。なお、本研究は、昭和大学歯学部 弘中祥司教授をはじめとする研究グループと共同で実施しました。
牛乳中のたんぱく質を独自の技術で分解したカゼインペプチドの生理作用について、東京大学と共同研究を実施し、その結果を報告した研究論文が、第29回 日本体力医学会の学会賞を受賞しました。本学会賞は、2015年に日本体力医学会の英文誌(JPFSM)に掲載された論文の中から選出され、日本体力医学会大会会期中の2016年9月25日に、表彰式および受賞講演が行われました。
アロエベラに関する研究では、ヒト皮膚3次元モデルにおいて、紫外線照射による皮膚細胞のダメージが「アロエステロール®」の添加により予防されることを確認しました。これらの研究結果を、第70回日本栄養・食糧学会大会(2016年5月13日~15日、兵庫)にて発表しました。なお、この演題は、日本栄養・食糧学会のトピックス演題に選出されました。
当連結会計年度における6月1日付で、研究開発部門について新たに研究本部制を施行しました。これに伴い研究本部内に「研究企画部」を新設するとともに、栄養科学研究所の内部組織を改編し、「健康栄養科学研究所」と改称しました。
この組織改正の主な目的は以下のとおりです。
各研究開発組織を研究本部内に置くことにより、研究資産や人財の有機的連携・交流を強化し、これらを最大限に活用するなど全体最適な資源配分の下で総合力を発揮できる体制とし、各事業分野に向けた研究開発力を強化します。
また、10月1日付で、「装置開発研究所」を研究本部から独立させ、生産本部エンジニアリング部に「装置開発センター」を設置し、エンジニアリング部との協働による、エンジニアリング業務の一体化と効率化を図ることとしました。
食品総合研究所、健康栄養科学研究所、および素材応用研究所では、関係事業部との連携および研究所間の相互の連携により、商品開発力の増強と研究開発スピードの向上に努め各種商品の研究開発を行っております。基礎研究所では、腸内フローラや新素材に関する研究を進め、事業部門への情報提供のほか、学会などへの情報発信を行っております。分析センターでは、商品の安全性と品質向上のため、分析技術の研究に取り組んでおります。応用技術センターでは、当社グループ商品や乳素材のお客さまにとっての価値を高めることを目的に、レシピの開発と商品の評価を行っております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は5,362百万円であり、セグメント別には以下のとおりです。
食品 | 5,351 | 百万円 |
その他 | 11 | 〃 |
計 | 5,362 | 〃 |
各事業分野別の主な新商品開発、商品改良事項は以下のとおりです。
牛乳・乳製品および一般食品を中心とする食品分野では、お客さまニーズの反映と新たな市場開拓を実現できる新技術開発を積極的に進めたほか、従来の技術に新しい製造加工技術を付加し、「おいしさ」、「楽しさ」、「健康」、「栄養」、「環境」に配慮した商品を上市してまいりました。主な新商品、新技術は以下のとおりです。
飲料では、「マウントレーニア」シリーズから、「マウントレーニア カフェラッテ マカダミアナッツモカ」、「マウントレーニア カフェラッテ キャラメル&メープル」、「マウントレーニア ラテ・ド・ショコラ ヘーゼルナッツ」、「マウントレーニア リッチカフェラッテ エキストラミルク」、「マウントレーニア ラテ・ド・キャラメル ~トリュフ仕立て~」、「マウントレーニア カフェラッテ オランジュモカ」などを新発売しました。同シリーズで、使用する原材料の素材を厳選しておいしさにこだわった「SELECTIVE(セレクティブ)」シリーズを立ち上げ、「マウントレーニア SELECTIVE 香るラテ/芳醇ショコラ」の2品を新たに発売いたしました。「リプトン」ブランドの飲料では、「リプトン ライチティー」、「リプトン ビターショコラのミルクティー」、「リプトン グリーンアップルティー」、「リプトン ミントティーラテ」、「リプトン ティーエスプレッソ」、「リプトン TeaSmoothie(ティースムージー) アップルミックス / 洋梨ミックス」、「リプトン パインアップルティー」、「リプトン ショコラ・テ・オ・レ」、「リプトン THEミル挽(び)き」、「リプトン グレープティー」、「リプトン ゆずティー」、「リプトン マスカットティー」を新発売しました。その他、森永製菓コラボ商品として、「小枝チョコレートドリンク」、「ダース/ミルクドリンク」などを新発売しました。
デザートでは、「体脂肪計タニタの社員食堂」がベストセラー書籍となった株式会社タニタと共同し、『おいしさ』と『満足感』を実現した「タニタ食堂®の100kcalデザート」のシリーズとして、「木いちごソース バニラプリン」、「スイートポテトプリン」、「レアチーズプリン オレンジソース」などを発売しました。毎日の生活に配慮し、低糖質かつカロリーを抑えたデザート「おいしい低糖質プリン」シリーズとして、「おいしい低糖質プリン カスタード/抹茶」、「おいしい低糖質プリン カスタード/ミルクココア」を発売しました。
日本で唯一の“ツインカップ”デザートでは、「toronne(トロンヌ)」シリーズからは「toronne(トロンヌ) 濃艶(こいつや)黒みつ 抹茶プリン」、「toronne(トロンヌ) 黄金カラメル クリーミープリン」を新発売しました。
また、ソースが主役のツインカップデザート「リッチソースプラス」シリーズより、「リッチソースプラス アフォガート風プリン」、「リッチソースプラス キャラメルラテ風コーヒーゼリー」を新発売しました。ツインカップ形状のデザートとは、小カップ(ソース)と大カップ(デザート)の2つが一体になった容器形態です。小カップを折り曲げてソースをかけることでおいしさが完成するデザートとなっています。食べる直前にソースをかける“作りたてのおいしさ”、ソースをかける際に手が汚れにくく捨てやすい“利便性”をお客さまに体感していただけます。
ヨーグルトでは、定番の森永アロエヨーグルトシリーズからは、「森永アロエヨーグルト ゴールドキウイ」、「森永アロエヨーグルト ぶどう」、「森永アロエヨーグルト グレープフルーツ」、「森永粒ゴロゴロアロエ&ヨーグルト」、「森永アロエヨーグルト マスカット」、「森永アロエヨーグルト みかん」などを新発売しました。
「アロエステロール®」を利用した商品としては、「アロエステヨーグルトドリンク」と「アロエステヨーグルト」の2品を発売しました。
日本初の国産ギリシャヨーグルトとして開発した、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ」シリーズから「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ パインソース入」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ Sweets(スイーツ) タルトレモンソース付」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ キャラメルソース付」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ ぶどうソース入」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ ブルーベリーソース入」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ Sweets モンブランソース付」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ オレンジソース入」、「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ Dolce(ドルチェ) ティラミスソース付」を発売しました。「ビフィズス菌BB536」を配合した「ビヒダスヨーグルト」シリーズから「ビヒダス ヨーグルト CREAMY(クリーミー) バニラ/いちご 4ポット」、「ビヒダス ヨーグルト CREAMY はちみつ 4ポット」、ボトルタイプのキャップ付き紙容器(以下ボトル容器)入りで、ヨーグルトカテゴリーにおける、“食べる”、“飲む”に続く、新提案“かける”タイプの「ビヒダス とろっとかける プレーンヨーグルト」などを新発売しました。その他、ドリンクヨーグルトとして、“濃厚でとろける乳のコク”を味わえる「KOKU(コク) のむヨーグルト」シリーズの「KOKU(コク) のむヨーグルト ダブルベリー/マンゴー」、「KOKU(コク) のむヨーグルト マンダリンオレンジ」を新発売しました。
アイスクリームでは、定番の「PARM(パルム)」シリーズから「PARM(パルム) ザ・オランジェット(1本入り)」、「PARM(パルム) ストロベリー&ホワイトチョコ(6本入り)」、「PARM(パルム) バニラホワイトチョコ(6本入り)」、「PARM(パルム) ヘーゼルナッツチョコ(1本入り)」、「PARM(パルム) チョコレート&チョコレート~プラリネ仕立て~(6本入り)」を発売しました。新しく生まれ変わった「MOW」シリーズより、「MOW(モウ) ダブルフロマージュ」、「MOW(モウ) あずき」、「MOW(モウ) イタリアンマロン」、「MOW(モウ) バニラ」、「MOW(モウ) 宇治抹茶」、「MOW(モウ) チョコレート~エクアドルカカオ~」を発売しました。ロングセラーブランド「ピノ」シリーズからは、40周年記念アソート「ピノ ハッピーベリー」のほか、「ピノ 香ばしアーモンドキャラメル」、「ピノ 熟成抹茶」などを発売し、高級感や贅沢感が感じられる高単価の「ピノ ソレイユパッション」、「ピノ アロマショコラ」を限定発売しました。その他、新しい食感のアイスとして、「サンキスト まるで果実食感 りんごバー」、「やわり 羊羹風アイス&宇治抹茶氷」などを発売しました。
チーズでは、「フィラデルフィア」ブランドから、新技術による、スライスタイプでは日本初の3層構造チーズ「フィラデルフィア 贅沢3層仕立ての濃厚クリーミーチーズ」を新発売しました。当社独自の新製法による雑味のないチーズのうま味となめらかな食感を実現した「クラフト 無垢 大人の熟成チェダー味」、「クラフト 無垢 大人の熟成ゴーダ味」を新発売しました。その他、「クラフト 細切り」シリーズより、「クラフト サラダのための細切りチーズ」を、「クラフト 小さなチーズケーキ」シリーズより、「クラフト 小さなチーズケーキ ストロベリー」を発売しました。
その他、機能性表示食品として、「ビフィズス菌BB536」を機能性関与成分とした、「PREMiL(プレミル) 毎日のカラダに」、小型カプセルタイプのサプリメント「ビヒダス BB536」、「森永 BB536」を発売しました。
業務用食品素材では、乳原料を酵素処理させてバターの特徴的な風味を強化した乳風味強化素材「バターファイン」や、新規開発油脂を活用し、口どけ、保形性を従来より向上させ、冷凍耐性を付与した業務用コンパウンドクリーム「ハイホイップDX」、「ハイホイップEX」を発売しました。
容器包装開発では環境や社会に配慮し、ヨーグルト・デザート等の樹脂カップの軽量化、紙カップ、チーズ用フィルムなどの薄肉化、軽量化および各種商品の外装ダンボールの原紙坪量軽減などに取り組み、資源の有効活用、廃棄物削減を積極的に推進しました。また、ユニバーサル・デザインの実現にも取り組みました。
子ども向けの栄養食品分野では、育児用ミルクの分野で、特別用途食品の許可基準変更に対応してビオチンと、国際規格に合わせたL-カルニチンの新たな配合を順次進め、「森永はぐくみ」、「森永E赤ちゃん」、「森永ARミルク」のリニューアルを行いました。
昨年発売した幼児向けゼリー飲料「フルーツでおいしいやさいジュレ」は、野菜入りのおやつを食べさせたいママと、自分で食べたいというお子さまの両方に好評で、新たに「紫の野菜とくだもの」を加え4品種となりました。さらに、野菜を50%に増やした「野菜をもっと!やさいジュレ」シリーズとして「20種類の野菜とくだもの」、「たっぷり緑黄色野菜とくだもの」を新発売し、全6品種となりました。
また、お客さまからの年間約100件にのぼるご要望に応え、大人に適した栄養素組成で、当社独自の機能性素材(ビフィズス菌、ラクトフェリン、シールド乳酸菌)を配合し、乳のチカラで健康をサポートする大人向けの粉ミルク「ミルク生活」を、通信販売限定で発売しました。
妊娠期・授乳期の女性向けサプリメント「ママのDHA」は、カプセル原料を動物性のゼラチンから植物性に、精製魚油を高純度タイプに変更し、小粒で、口あたりが柔らかく飲みやすく改良いたしました。ゼラチン不使用のため、アレルギー物質(27品目)の表示が該当無しとなり、ご利用いただける対象が広がりました。
パキスタンでは、幼児用の「BF‐3」の大容量タイプ、学童用粉ミルク「Chil School」を新発売するなど、これらミルクの需要が高まっており、パキスタンにおいて新工場建設を決定しその支援も行っております。
医療食分野では、予め水分含量を高くした流動食は、病院施設の現場で加水の手間が省けることから近年要望が多く、ラインアップの強化を進めています。「MA-ラクフィア0.6」「MA-ラクフィア0.8」は、バッグタイプ流動食として初めて当社素材の「シールド乳酸菌」を配合し、さらに3種の食物繊維を併せることによってご利用される方の腸内環境に配慮した商品として新発売しました。栄養補助食品では、リハビリ時の栄養補給にあわせた「リハたいむゼリー」が、医療現場をはじめとして「たんぱく質」補給飲料として好評を得ており、「マスカット味」に続き「もも味」を新発売し、2品種となりました。食が細い方のために、40gと少量の摂取でエネルギー100kcalとたんぱく質5gを摂取できる「エンジョイ小さなハイカロリーゼリー」は今年も2品(いちご味とマスカット味)を追加発売し6品種としました。そのまま温めなくても手軽においしいやわらかご飯とおかずソースがセットになった「やわらか亭」シリーズは、復興庁主催の復興支援インターンに参加した学生による提案を活かし「穴玉丼」を開発しました。お肉を食べたいとのお客さまのご要望に応え、「牛丼」、「酢豚丼」も追加し、全11品種となりました。
機能性素材分野では、ビフィズス菌、ラクトフェリン、乳たんぱく質や各種ホエイ素材、乳ペプチド、アロエベラ素材、ラクチュロースなどの製造・品質確保、健康食品などへの応用、機能素材としての販売における学術支援、及びこれらの素材によるさまざまな健康機能性に関する臨床応用研究を研究医療機関と共同で推進しております。
ビフィズス菌については、ヒト常在性ビフィズス菌(HRB:Human Residential Bifidobacterium)は非常在性ビフィズス菌(non-HRB)に比べて、母乳中の抗菌物質リゾチームに対する耐性が優れており、その機序解析を実施し、日本乳酸菌学会2016年度大会(2016年7月9日~10日)で発表いたしました。また、当社独自の「ビフィズス菌BB536」および「ビフィズス菌M-63」について、マレーシアのマレーシアサインズ大学(Universiti Sains Malaysia)と共同研究を行い、ビフィズス菌BB536の長期摂取による幼児の風邪症状の発症ならびに罹患日数に対する改善効果、ならびに、ビフィズス菌M-63の摂取による洪水災害後の被災者への精神状態改善効果が確認され、これらの研究成果を、日本農芸化学会2017年度大会(2017年3月17日~20日、京都)にて発表しました。さらに、次世代シーケンサーを用いた腸内菌叢研究成果のひとつとして、日本人における加齢に伴う腸内細菌叢の変化に関する研究がオンライン科学雑誌『BMC microbiology』(2016年5月25日付)に掲載され、アクセス数の多いTOP3に選ばれるなど注目を集めております。中でもビフィズス菌については追加で詳細な解析を行い、国内外の学会にて発表を行いました(腸内細菌学会、Propiobifido2016(9月21~23日、アイルランド)、 台湾の学会)。なお、長年にわたる当社のビフィズス菌・乳酸菌の研究が認められ、研究テーマ「ビフィズス菌・乳酸菌の保健機能と応用技術に関する研究」が、日本酪農科学会(2016年9月9日、東京)において学会賞を受賞しました。
また、免疫力を高める作用に着目して、ヒトの腸管から見出された乳酸菌Lactobacillus paracasei MCC1849株の摂取が、風邪などの自覚症状に及ぼす効果について、九州女子大学 近藤順子准教授、三浦公志郎教授との共同研究を実施しました。今回、乳酸菌L. paracasei MCC1849株の摂取によって、風邪の自覚症状が低下し、症状が軽減する可能性を見出しました。本研究結果は、日本食品免疫学会第12回学術大会(2016年11月9~10日、東京)にて発表しました。
ラクトフェリンは、人などの哺乳類の乳汁や唾液などに含まれるたんぱく質で、抗菌・抗ウイルス活性や免疫調節作用などさまざまな生理機能を示すことが知られています。当社では1963年から50年以上にわたり、ラクトフェリンの様々な生理機能の研究を進めています。長野県松本市、信州大学と産官学連携で、ラクトフェリンの摂取が冬季感染症の発症、症状に及ぼす効果の共同研究を実施し、ラクトフェリンの摂取が、感染性胃腸炎の発症率を低下させ、下痢の有症期間を短縮させることを確認しました。本研究結果は、信州大学医学部衛生学公衆衛生学教室(野見山哲生教授)より、日本ラクトフェリン学会第7回学術集会(2016年10月30日、昭和大学)にて発表され、日本ラクトフェリン学会 学会賞・冨田賞(応用部門)を受賞しました。
また、ラクトフェリンと共に、乳汁や唾液に存在する酵素ラクトパーオキシダーゼを配合した機能性食品素材「オーラバリア®」を開発し、通信販売用タブレットを販売してきました。機能性食品素材「オーラバリア®」を配合した食品の摂取により、口内フローラ(口腔内細菌叢(そう))が改善される可能性を見出しました。本研究結果を、日本歯科衛生学会第11回学術大会(2016年9月17~19日、広島)にて発表しました。なお、本研究は、昭和大学歯学部 弘中祥司教授をはじめとする研究グループと共同で実施しました。
牛乳中のたんぱく質を独自の技術で分解したカゼインペプチドの生理作用について、東京大学と共同研究を実施し、その結果を報告した研究論文が、第29回 日本体力医学会の学会賞を受賞しました。本学会賞は、2015年に日本体力医学会の英文誌(JPFSM)に掲載された論文の中から選出され、日本体力医学会大会会期中の2016年9月25日に、表彰式および受賞講演が行われました。
アロエベラに関する研究では、ヒト皮膚3次元モデルにおいて、紫外線照射による皮膚細胞のダメージが「アロエステロール®」の添加により予防されることを確認しました。これらの研究結果を、第70回日本栄養・食糧学会大会(2016年5月13日~15日、兵庫)にて発表しました。なお、この演題は、日本栄養・食糧学会のトピックス演題に選出されました。
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