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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AGUQ

有価証券報告書抜粋 株式会社ヤクルト本社 研究開発活動 (2017年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした食品・医薬品・化粧品などの研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決や社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。
当連結会計年度の研究開発費の総額は10,549百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。

(1) 基礎研究開発分野

基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学などの多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、食品・医薬品・化粧品などへの利用を目指した機能性素材の開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。
① 帝京大学との共同研究で、育児粉乳で哺育される乳児がプレバイオティクスの一種であるガラクトオリゴ糖を継続的に摂取することにより便中のビフィズス菌の占有率が増加し、腸内フローラが母乳栄養児型へ変化することを明らかにしました。本研究により、ガラクトオリゴ糖の継続摂取が育児粉乳で哺育される乳児のおなかの健康に役立つことが期待されます。本研究成果は、学術誌「Beneficial Microbes」に掲載されました。
② 国立精神・神経医療研究センター神経研究所との共同研究で、大うつ病性障害患者と健常者の腸内細菌について、ビフィズス菌と乳酸桿菌の菌数を比較した結果、うつ病患者で、ビフィズス菌の菌数が有意に少ないこと、さらにビフィズス菌・乳酸桿菌ともに一定の菌数以下である人が有意に多いことを明らかにしました。本研究により、腸内の善玉菌が少ないとうつ病リスクが高まることが示唆されました。本研究成果は、学術誌「Journal of Affective Disorders」に掲載されました。
③ 東京工業大学および帝京大学との共同研究で、母乳オリゴ糖主成分であるフコシルラクトース(以下、FL)を利用できるビフィズス菌が定着した乳児は、FLを利用できないビフィズス菌が定着している乳児に比べて、便中のビフィズス菌の占有率や酢酸濃度が高く、大腸菌群の占有率やpHが低いことを確認しました。また、ビフィズス菌のFLの利用には菌体内にFLを取り込むFL輸送体が重要であることを見出しました。これらの結果から、母乳中のFLの存在と一部のビフィズス菌が有するFL輸送体は、乳児とビフィズス菌が共生関係を構築するための重要な因子であることが示唆されました。本研究により、乳児の腸内ビフィズス菌の定着機構が明らかとなり、今後、乳児の腸内フローラを標的とした疾病の予防法や新たなプロバイオティクスの開発につながることが期待されます。本研究成果は、学術誌「Nature Communications」に掲載されました。
④ 順天堂大学との共同研究で、小児外科疾患患児において周術期(手術の術前・術中・術後を含めた期間)に菌血症が高率に発症し得ることを世界で初めて明らかにしました。さらに、「B.ブレーベ・ヤクルト株(ビフィズス菌)」を継続的に摂取することで、周術期感染症の発症が抑えられること、腸内フローラや腸内環境の乱れが改善されることおよび血液からの細菌の検出が顕著に抑制(菌血症予防)されることを明らかにしました。本研究により、ビフィズス菌の継続摂取が小児外科疾患患児の周術期管理に役立つことが期待されます。本研究成果は、学術誌「Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition」に掲載されました。
⑤ NPO 法人日本健康増進支援機構との共同研究で、通年性アレルギー性鼻炎症状を有する被験者を対象とした「L.プランタルム YIT 0132(乳酸菌)」を含む発酵果汁飲料の飲用試験を実施した結果、同症状を改善する効果が確認されました。これにより、本発酵果汁飲料は、これまでの花粉症およびアトピー性皮膚炎の症状改善といった研究成果に加えて、通年性アレルギー性鼻炎の症状も改善することを明らかにしました。本研究成果は、学術誌「Beneficial Microbes」に掲載されました。

⑥ 東京都健康長寿医療センター研究所との共同研究で、高齢者を対象に「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む乳製品の摂取頻度と高血圧発症リスクの関係を調査した結果、「L.カゼイ・シロタ株」を含む乳製品の週3回以上の習慣的摂取は、高血圧発症リスクの低下に繋がることが示唆されました。本研究成果は、学術誌「Beneficial Microbes」に掲載されました。
⑦ 当社の分析試験研究所では、分析結果の信頼性を確保するため、精度管理手法の導入と組織体制の整備を行うとともに、試験所の技術能力に関する国際規格であるISO/IEC17025の認定取得に向けた作業を進めてきました。その結果、昨年4月に原料水分析の一項目である「上水中の揮発性有機化合物(VOC)試験」でISO/IEC17025認定を取得しました。これにより、国際的に通用する信頼性の高い分析試験結果を提供することが可能となりました。

今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、生活習慣病予防をターゲットとした次世代プロバイオティクスや新規機能性素材の研究開発に重点的に力を注いでいきます。

当分野の研究開発費は1,689百万円です。


(2) 飲料および食品製造販売事業分野

飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」「B.ビフィダム Y株」などを利用した食品や、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。
また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品および清涼飲料水のラインアップの充実を図っています。
当連結会計年度の成果は次のとおりです。
① 乳製品
ア. カロリーと甘さを抑えた「Newヤクルト カロリーハーフ」について、すっきりとした風味はそのままに、従来品よりも酸味を抑えて、よりおいしく飲みやすい風味に変更し、昨年5月に導入しました。
イ. 「ジョア」のシリーズ品「ジョア マスカット」について、「鉄」を1日に必要な摂取推奨量である6.8mgに増量し、昨年9月に導入しました。さらに、期間限定アイテムとして、「ジョア ピーチ」を昨年6月に、「ジョア 贅沢オレンジ」を9月に、「ジョア 手摘みりんご」を本年2月に、「ジョア ローズ&カシス」を3月に導入しました。
ウ. ハードタイプヨーグルト「ソフール」のシリーズ品「ソフール元気ヨーグルト」の「鉄」を1.0mgから4.0mgに、「カルシウム」を68mgから100mgにそれぞれ増量し、昨年10月に導入しました。さらに、期間限定アイテムとして、ゆずとレモンの爽やかな果汁感とヨーグルトの風味がマッチした「ソフール ゆず&レモン」を昨年10月に導入しました。
② ジュース・清涼飲料
ア. ミルクとコーヒーをバランス良くブレンドした、甘くてまろやかな味わいのコーヒー入り清涼飲料「カフェ・オ・レ」を昨年9月に導入しました。
イ. 果汁入り飲料「さっぱり」シリーズの新商品として、パインアップル果汁入り炭酸飲料「さっぱりパイン Sparkling(スパークリング)」を本年3月に導入しました。
③ その他海外事業支援
ブラジルヤクルト商工株式会社が昨年7月に導入した、「ヤクルト40」と比較してカロリーを41%低減した「ヤクルト40ライト」の技術支援を行いました。
当分野の研究開発費は4,672百万円です。


(3) 医薬品製造販売事業分野

医薬品研究開発分野においては、抗がん剤を中心とした薬剤の研究開発を進めています。
ドイツの4SC AG社から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」については、肝細胞がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験が終了し、現在、グローバル第Ⅲ相臨床試験の実施を検討中です。また、胆道がんおよび膵がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験を実施しています。
日産化学工業株式会社から導入した血小板増加薬「YHI-1501」については、現在、日本人健常人を対象とした第Ⅰ相臨床試験を実施中です。
「結腸・直腸がん」「胃がん」などの標準的治療薬として広く用いられている抗悪性腫瘍剤「エルプラット」(一般名:オキサリプラチン)については、「進行・再発胃がん」の用法・用量の追加を目的とした第Ⅲ相臨床試験を大鵬薬品工業株式会社と共同で実施中です。
ドイツのエテルナゼンタリス社から導入したPI3K/Akt阻害剤「ペリフォシン」については、小児神経芽腫を対象とした第Ⅰ相臨床試験が終了しました。
基礎創薬研究分野では、抗がん剤およびその周辺領域でのシーズを確保するための研究を引き続き実施しています。
当分野の研究開発費は3,486百万円です。

(4) その他事業分野

その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまのニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追究と当社独自の乳酸菌はっ酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。
高機能化粧品「パラビオ」シリーズについては、乳酸菌はっ酵技術を集結することで、エイジングケアを可能にした「パラビオ ベースメイク(3品)」のリニューアルを昨年6月に実施しました。さらに、代表的な肌悩みである「シミ」「シワ」「たるみ」を多面的に分析・検証し、科学的根拠に基づき開発された高機能クリーム「パラビオ ACクリーム サイ」のリニューアルを昨年11月に実施しました。
仕上化粧品「グランティア EX」シリーズについては、流行や季節に応じた新色を開発し、口紅やアイシャドウなどのポイントメイクを導入することによりラインアップの充実を図りました。
当分野の研究開発費は699百万円です。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00406] S100AGUQ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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