有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ALU9
株式会社アイロムグループ 事業等のリスク (2017年3月期)
当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によりその影響を受ける可能性があります。このため、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営全般に関わるリスク
①法令等の遵守について
当社グループの事業は、疾病の克服や健康の維持増進に貢献するサービス・製品を提供していくものであり、一般的な会社法制の遵守に加え、GCP等の遵守など多様な範囲でのコンプライアンスが要求されております。仮にこれら各種ルールのいずれかの遵守状況に疑念が生じた場合等には、製薬企業等主力取引先からの信用が損なわれ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
②債権の貸倒れ
当社グループは、与信管理に十分留意しておりますが、不測の事態による貸付金等の債権の貸倒による損失に備えるために、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。しかし、経済環境の悪化または、その他予期せざる事由により、実際の回収不能額が当該見積りを大幅に上回り、貸倒引当金が不十分となることもありえます。そのような場合には、貸倒費用の増加から当社の業績に重大な影響を与える可能性があります。
③資金の調達
当社グループは、将来、金融システム不安、信用収縮、流動性の低下などの金融情勢の変化により、必要とする十分な資金調達ができない場合、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④人材の確保及び育成
SMO事業においては、薬剤師、看護師、臨床検査技師などの有資格者等を採用し、治験実施の基本であるGCPや標準業務手順書、その他医薬品に関する教育研修を行うなど、SMO業務に適した人材の確保及び育成に努めております。しかし、十分な人材の確保ができない場合及び社員教育の不備により人材育成が不十分な場合、SMO業務の遂行に支障が生じるだけでなく、医療機関及び製薬企業等または患者様からの信用が損なわれることも考えられ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
また、新規事業の先端医療分野においても、円滑な事業推進及び新規医薬候補品の開発のためには、研究開発・ベクター製造・細胞培養加工等を行う専門的な人材の確保が必要であり、適切な人材が確保できない場合及び優れた人材の流出が起きた場合には当社グループの成長が抑制される可能性があります。
⑤業務提携・資本提携等について
当社グループは、医療関連事業の拡大、経営資源の有効活用、企業価値向上を目指して、今後も他社との業務提携や資本提携・買収等を行う可能性があります。しかし、新たに業務提携や買収等が実現したとしても、当社グループが期待するような成果が生まれる保証はなく、かえって当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性もあります。
(2) 各事業推進上のリスク
①SMO事業
イ 法改正による臨床試験の空洞化
薬機法、GCP、その他関連法令等の改正により、海外臨床データの利用が可能となり、アジアでの試験を含む国際共同試験の増大などによる国内における臨床試験規模の縮小や空洞化のリスクがあります。
ロ 顧客ニーズの変化
臨床試験のクオリティ・スピードを求める製薬企業等のニーズの高まりに支えられて、SMO業界は堅調に発展してきました。従来、糖尿病・高血圧症・脂質異常症など生活習慣病が中心であった製薬企業の開発領域は、がんなどの難治性疾患に対する医薬品へと移行してきています。当社グループは、創業以来生活習慣病の患者様の多い診療所等に対する支援を中心に行っておりましたが、そのような製薬企業のニーズの変化に対応すべく、高度専門医療機関への支援を拡大しています。しかしながら、当社グループのSMO事業においては、現在のところ生活習慣病等に対する臨床試験支援による収益が基盤となっており、当該疾病領域の開発が急激に減少した場合には、提携医療機関において実施できる臨床試験数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ハ 競合状況の変化
SMO業界の同業他社もM&Aを積極的に進めており、受注活動において規模面で優位性が保てなくなると、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ニ 臨床試験の中止・延期あるいは臨床試験期間の延長による影響
製薬企業等の開発戦略の変更や試験実施計画書の変更等により、臨床試験の中止や延期、あるいは臨床試験期間が延長された場合には、予定していた売上が計上されない、または計上時期が翌期以降に遅れる可能性があります。当社グループは、安定した収益を確保するために、受注案件の選定には注意を払い、特定の案件に受注が偏らぬようリスクヘッジを行っております。しかしながら、計画通りに受注が進まず大型案件等に著しく受注が偏り、それらの案件が中止や延期になった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
ホ 臨床試験に関わるデータの取扱いについて
SMO事業では、臨床試験において医療機関の指示の元に被験者データの記録や保管の支援を行いますが、データの取り扱いにおいて故意のデータ改ざんや過誤があった場合には、対象となった臨床試験結果全体の信頼性に影響を与えるだけでなく、依頼者である製薬企業が実施している他の臨床試験にも影響を与えることになり、製薬企業から損害賠償を求められる可能性があります。また、当社グループの臨床試験受託施設において被験者データの測定機器の整備不良による誤った結果の報告や運用システム上の不備によるデータの取り違い等があった場合にも、同様に、損害賠償を求められる可能性があります。当社グループは、GCPをはじめとした法令順守はもちろんのこと、社内研修や定期的な点検を通じてデータの取り扱いには細心の注意を払うよう努めておりますが、故意のデータ改ざんや過失による被験者データの取り違い等があった場合には、損害賠償請求を受けるだけでなく、当社グループの信用が損なわれ、経営に影響を及ぼす可能性があります。
ヘ 被験者等の個人情報漏洩
SMO事業は、被験者やその候補者と直接接触し、医療機関が作成・保存するカルテ、症例報告書、その他の個人情報を記録した多くの書類を取り扱っております。このため、当社グループは、個人情報保護ガイドラインを制定しているほか、被験者等のプライバシーや個人情報の保護に最大限の配慮を払っております。しかし、こうした社内体制が十分に機能せず当社グループより被験者等のプライバシーや個人情報が漏洩した場合には、被験者等を始め医療機関や製薬企業等からの信用が損なわれ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
ト 臨床試験に関する機密情報の漏洩
当社グループは、臨床試験に関する機密情報を厳重に管理するとともに、役員及び従業員に対して在職中、退職後を問わず機密情報を他に開示することを禁じております。しかし、万一当社グループ及びその関係者より機密情報が第三者に流出した場合には、製薬企業等からの信用が損なわれ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
②メディカルサポート事業
イ クリニックモールの運営について
当社グループは、クリニックモールを基盤としたメディカルサポート事業の構築を目指し、地域に応じたクリニックモールを展開中であります。しかし、クリニックモールによる事業展開は、資金負担が大きいこと、入居する医療施設等が予定どおりに集まるとは限らないことなど、その将来性は不明確であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ロ 不動産等、固定資産の価値下落
当社グループは、不動産の賃貸等を行っております。将来、不動産市況が悪化した場合や取引相手先の意向に変化が生じた場合などには、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、地価及び賃貸価格の下落が生じた場合には、保有する賃貸用の不動産の評価額について減損処理を行う必要が生じる可能性があります。
③新規事業
イ 当社グループの事業に必要な特許権について
当社グループの事業活動に必要な特許権につきましてはその成立に努力して行く方針ですが、当社グループが出願中の特許が全て成立する保証はなく、また特許出願によって当社グループの権利を確実に保全できる保証はありません。
当社グループの特許権について第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありませんが、当社グループとしては、このような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士及び特許事務所を通じた特別調査を実施しております。しかしながら、当社グループのような研究開発型の事業を有する企業にとって、差止請求、損害賠償請求、使用料請求等の知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。
当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、先端医療分野においては、事業推進の上で重要な技術に関わる特許実施許諾契約等を締結しています。それらの契約が解除、その他の理由に基づく終了及び契約期間満了後に円滑に契約更新がなされなかった場合、または、当社グループにとって不利な契約更新がなされた等の場合には、当社グループの事業戦略や経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの特許権については、プラットフォーム技術であるセンダイウイルスベクター及びその実用化技術について、最善を尽くして優位性の確保を図っております。特にセンダイウイルスベクターの基本特許は、既に日本、米国、中国、及び欧州で成立しております。また、サル免疫不全ウイルスベクターの実用化技術につきましても、積極的に権利化を図っております。
ロ 製造物責任について
新規事業における先端医療分野で、医薬品及びバイオ関連製品の研究開発及び製造販売におきましても、製造物責任賠償のリスクが存在しております。当社グループは、開発・製造・販売した製品により使用者・消費者などに被害を引き起こし、又は臨床試験、製造、もしくは販売において製品の安全性に重大な問題が生じた場合には、製造物責任を負うことがあります。また、訴訟の提起により、当社グループの業務及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。もし訴訟の提起等による請求が認められなかった場合にあっても、当社グループの製造物責任による問題が社会的に与える影響により、当社グループ及び当社グループの製品に対する信用が揺らぎ、当社グループの事業に重大な影響を与える可能性があります。
ハ 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保等について
新規事業における先端医療分野で、当社グループはベクター技術を用いた遺伝子治療用ベクターやiPS細胞作製用ベクター等の生産を行っており、これらの物質は、基礎研究の他、機能未知遺伝子の機能の解析や、創薬のための研究開発、再生医療等に利用されます。ベクターは遺伝子組換え技術により作製され、利用されますが、その際、遺伝子組換え生物の使用における環境面でのリスクに関する「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」による規制を受けております。当社グループは本法律を順守し、安全性及び環境保護の立場から拡散防止の体制を最大限とっております。この規制法成立の前提となったカルタヘナ条約に将来変更等があった場合には、当社グループの行っている研究開発に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ニ 各国薬事法制の改正等による開発・製造・販売への影響
新規事業における先端医療分野で、当社グループは医薬品の研究開発を行い、また将来はその製造及び販売を行うことを想定していますがこれらの活動は各国薬事法制の規制を受けております。薬事法制は医薬品及び医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保のために規制を行い、医薬品及び医療機器等の研究開発によって保健衛生上の向上を図るものです。今後、薬事法制の改正等が行われた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
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