有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ALJP
株式会社大林組 研究開発活動 (2017年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(建設事業)
当社グループは、社会及び顧客の多様なニーズに応えるため、環境保全、エネルギー対策等の社会に貢献する技術や、生産性向上、品質確保、コストダウン等に資する工法や技術の開発を行うなど、主に建設事業に関して多岐にわたる研究開発活動を実施している。
また、研究開発活動の幅を広げ、効率化を図るため、国内外の大学、公的研究機関、異業種企業との技術交流、共同開発も積極的に推進している。
当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は約105億円であり、主な研究開発成果は次のとおりである。
なお、当社は研究開発活動を国内建築、海外建築、国内土木及び海外土木の各セグメントには区分していない。
(1) 当社
① 高強度かつ高耐久性のセメント系繊維補強材料「タフショットクリート®」を開発
コンクリート構造物のリニューアル工事に使用する長期耐久性に優れた補修・補強材料「タフショットクリート®」を宇部興産㈱と共同で開発した。
ノンポリマーの補修・補強材料であり、従来のポリマーセメントモルタルに比べ、コストは同等ながら高強度かつ高耐久性を有する。100N/mm²以上の圧縮強度を長期的に確保し、従来よりも部材の厚さを低減できるほか、組織が緻密なため二酸化炭素、塩分、水分が浸透しにくく、中性化、塩害、凍害に対して高い抵抗性がある。また、50年以上の耐久性があることからライフサイクルコストの低減も可能である。
② バックホウなどの建設機械を無人で運転する汎用遠隔操縦装置「サロゲート」を開発
バックホウなどの建設機械を無人で運転する汎用遠隔操縦装置「サロゲート」を大裕㈱と共同で開発した。
低コストで汎用性が高く、一般的な建設機械を改造することなく容易に着脱できる。本装置を装着したままで遠隔操縦と搭乗操縦を簡易な作業で切り替えられるので、作業環境に応じて使い分け、災害復旧の現場などでの作業を迅速かつ柔軟に進めることが可能となる。
③ ICTとCIMを活用したコンクリート施工管理システムを開発
ICTとCIMを活用したコンクリート施工管理システムを㈱スカイシステムと共同で開発した。
コンクリートは時間経過とともに流動性が低下するという特徴があり、一定の時間内に打設する必要がある。本システムは、タブレット端末のアプリケーションやICタグ、GPSなどを使用し、コンクリートの練り混ぜ開始から打設終了までの時間、打設区画、品質試験結果などの情報をリアルタイムかつ一元的に管理することが可能である。本システムの情報はCIMの属性情報としても記録され、現場を監督する技術者などは3Dモデル上で最新情報を共有することができる。これにより正確かつ効率的な施工管理が可能になるとともに、一元化された情報を施工後の維持管理に活用できる。
④ ポリビニルブチラール樹脂及び硅砂を用いた高性能な防食鉄筋「サンドグリップバー」を開発
ポリビニルブチラール樹脂及び硅砂を用いた高性能な防食鉄筋「サンドグリップバー」を㈱川熱、朝日工業㈱と共同で開発した。
コンクリート構造物に使用された鉄筋が塩害や中性化によって腐食すると、鉄筋強度の低下や、錆の膨張圧によるコンクリートのひび割れが発生する。サンドグリップバーは、エポキシ樹脂よりも伸び率の高いポリビニルブチラール樹脂で鉄筋を被覆し、さらにその周囲に硅砂を付着させることで、鉄筋とコンクリートの付着強度の低下などの課題を解決した。エポキシ樹脂塗装鉄筋と同等の防食性を有しながら価格は同等以下であり、鉄筋を重ね合わせる際の継手の延長も不要である。一般財団法人沿岸技術研究センターの「港湾関連民間技術の確認審査・評価事業」において評価を取得している。
⑤ BIMを活用した建物維持管理ツール「BIMobile®(ビーモバイル)」を開発
建物維持管理業務を支援する、BIMを活用した管理ツール「BIMobile®」を開発した。
データ容量を軽量化したBIMの3Dモデルと、モデルにひも付いた属性情報をタブレット端末に表示することが可能で、さらに写真や点検記録などの情報を追加入力することができる。また、サーバーに保存された図面や取扱説明書などのドキュメントを閲覧することも可能である。タブレット端末で3Dモデルやその属性情報を単に参照するだけでなく、その場で同時に点検記録などの情報を入力可能とする技術は建設業界初である。
⑥ 建物利用者を快適な空間へと個別誘導するアプリを開発
利用者にとって快適な空間を個別に紹介する誘導アプリを㈱電通国際情報サービスと共同で開発し、「グランフロント大阪」でデジタルサイネージを用いた実証実験を行った。
本アプリは、利用者の空間へのニーズを生理状態や環境条件などからリアルタイムに評価し、その利用者にとって最適な空間での過ごし方を提案する。屋内からより快適な屋外へ利用者を誘導するための快適性評価方法を確立した本アプリの有効性を、今回の実証実験で確認した。
⑦ パイロット孔なしでコンクリート壁や床板を高精度に切断できるワイヤーソー装置「ディープノンループカッタ
ー」を開発
鉄筋コンクリート構造物の解体作業においてダイヤモンドワイヤーを切断面に直接押しつけて切断するワイヤーソー装置「ディープノンループカッター」を㈱コンセックと共同で開発した。
本装置は切断箇所への設置が容易で、前面から直接構造物を切断することができる。ダイヤモンドワイヤーの巻き付け、パイロット孔の削孔など事前準備の手間を省くことができることに加え、より高精度な解体が可能となる。
⑧ VR技術を活用した施工管理者向け教育システム「VRiel(ヴリエル)」を開発
ヴァーチャルリアリティ(VR)技術を用いたVR教育システム「VRiel(ヴリエル)」を開発した。
当社は鉄筋や型枠を組んだ教育用の躯体モックアップを自社施設内に構築し、鉄筋配置の不具合箇所を発見する体験型研修を実施しているが、定期的にモックアップを作り替えたり、受講者が実習施設所在地に赴いたりする必要があるなど、相当のコストと時間を費やしていた。本システムを使用することで、場所を選ばず手軽に、施工現場同様の環境で教育を実施することができる。また、素材としてBIMデータを活用できることから、さまざまな教育ツールを容易に作成することが可能となる。
⑨ 免震建物へのフェイルセーフ機構「免震フェンダー®」を開発
建築基準法などで定められている地震動を超える巨大地震が発生した場合に、免震建物が免震擁壁などへ衝突した際のリスクを軽減する緩衝装置「免震フェンダー®」を開発した。
「免震フェンダー®」は建物と擁壁(またはストッパー)との間に設置する緩衝装置で、高減衰ゴム製の緩衝材が衝突のエネルギーを吸収し、衝撃力を緩和して建物の健全性と居住者の安全性を保つ。シンプルな装置であるため非常に安価であり、建築基準法で定められた大地震の約1.5~2.0倍の地震動に対して、衝突時の衝撃力を約2分の1から3分の2に低減する。
(2) ㈱内外テクノス
美術館展示ケース用空気質対策技術を開発
有害ガスが発生しない展示ケース壁構造を当社、大谷塗料㈱と共同で開発した。
合板への金属箔(ガスバリア層となる)とガス吸着シートの貼付と、有害ガスの発生しない接着剤の使用により、展示ケース内の展示物にとって有害なガスを放出する期間が不要になり、展示ケースの使用開始時期を数か月早めることが可能となる。
(不動産事業及びその他)
研究開発活動は特段行っていない。
当社グループは、社会及び顧客の多様なニーズに応えるため、環境保全、エネルギー対策等の社会に貢献する技術や、生産性向上、品質確保、コストダウン等に資する工法や技術の開発を行うなど、主に建設事業に関して多岐にわたる研究開発活動を実施している。
また、研究開発活動の幅を広げ、効率化を図るため、国内外の大学、公的研究機関、異業種企業との技術交流、共同開発も積極的に推進している。
当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は約105億円であり、主な研究開発成果は次のとおりである。
なお、当社は研究開発活動を国内建築、海外建築、国内土木及び海外土木の各セグメントには区分していない。
(1) 当社
① 高強度かつ高耐久性のセメント系繊維補強材料「タフショットクリート®」を開発
コンクリート構造物のリニューアル工事に使用する長期耐久性に優れた補修・補強材料「タフショットクリート®」を宇部興産㈱と共同で開発した。
ノンポリマーの補修・補強材料であり、従来のポリマーセメントモルタルに比べ、コストは同等ながら高強度かつ高耐久性を有する。100N/mm²以上の圧縮強度を長期的に確保し、従来よりも部材の厚さを低減できるほか、組織が緻密なため二酸化炭素、塩分、水分が浸透しにくく、中性化、塩害、凍害に対して高い抵抗性がある。また、50年以上の耐久性があることからライフサイクルコストの低減も可能である。
② バックホウなどの建設機械を無人で運転する汎用遠隔操縦装置「サロゲート」を開発
バックホウなどの建設機械を無人で運転する汎用遠隔操縦装置「サロゲート」を大裕㈱と共同で開発した。
低コストで汎用性が高く、一般的な建設機械を改造することなく容易に着脱できる。本装置を装着したままで遠隔操縦と搭乗操縦を簡易な作業で切り替えられるので、作業環境に応じて使い分け、災害復旧の現場などでの作業を迅速かつ柔軟に進めることが可能となる。
③ ICTとCIMを活用したコンクリート施工管理システムを開発
ICTとCIMを活用したコンクリート施工管理システムを㈱スカイシステムと共同で開発した。
コンクリートは時間経過とともに流動性が低下するという特徴があり、一定の時間内に打設する必要がある。本システムは、タブレット端末のアプリケーションやICタグ、GPSなどを使用し、コンクリートの練り混ぜ開始から打設終了までの時間、打設区画、品質試験結果などの情報をリアルタイムかつ一元的に管理することが可能である。本システムの情報はCIMの属性情報としても記録され、現場を監督する技術者などは3Dモデル上で最新情報を共有することができる。これにより正確かつ効率的な施工管理が可能になるとともに、一元化された情報を施工後の維持管理に活用できる。
④ ポリビニルブチラール樹脂及び硅砂を用いた高性能な防食鉄筋「サンドグリップバー」を開発
ポリビニルブチラール樹脂及び硅砂を用いた高性能な防食鉄筋「サンドグリップバー」を㈱川熱、朝日工業㈱と共同で開発した。
コンクリート構造物に使用された鉄筋が塩害や中性化によって腐食すると、鉄筋強度の低下や、錆の膨張圧によるコンクリートのひび割れが発生する。サンドグリップバーは、エポキシ樹脂よりも伸び率の高いポリビニルブチラール樹脂で鉄筋を被覆し、さらにその周囲に硅砂を付着させることで、鉄筋とコンクリートの付着強度の低下などの課題を解決した。エポキシ樹脂塗装鉄筋と同等の防食性を有しながら価格は同等以下であり、鉄筋を重ね合わせる際の継手の延長も不要である。一般財団法人沿岸技術研究センターの「港湾関連民間技術の確認審査・評価事業」において評価を取得している。
⑤ BIMを活用した建物維持管理ツール「BIMobile®(ビーモバイル)」を開発
建物維持管理業務を支援する、BIMを活用した管理ツール「BIMobile®」を開発した。
データ容量を軽量化したBIMの3Dモデルと、モデルにひも付いた属性情報をタブレット端末に表示することが可能で、さらに写真や点検記録などの情報を追加入力することができる。また、サーバーに保存された図面や取扱説明書などのドキュメントを閲覧することも可能である。タブレット端末で3Dモデルやその属性情報を単に参照するだけでなく、その場で同時に点検記録などの情報を入力可能とする技術は建設業界初である。
⑥ 建物利用者を快適な空間へと個別誘導するアプリを開発
利用者にとって快適な空間を個別に紹介する誘導アプリを㈱電通国際情報サービスと共同で開発し、「グランフロント大阪」でデジタルサイネージを用いた実証実験を行った。
本アプリは、利用者の空間へのニーズを生理状態や環境条件などからリアルタイムに評価し、その利用者にとって最適な空間での過ごし方を提案する。屋内からより快適な屋外へ利用者を誘導するための快適性評価方法を確立した本アプリの有効性を、今回の実証実験で確認した。
⑦ パイロット孔なしでコンクリート壁や床板を高精度に切断できるワイヤーソー装置「ディープノンループカッタ
ー」を開発
鉄筋コンクリート構造物の解体作業においてダイヤモンドワイヤーを切断面に直接押しつけて切断するワイヤーソー装置「ディープノンループカッター」を㈱コンセックと共同で開発した。
本装置は切断箇所への設置が容易で、前面から直接構造物を切断することができる。ダイヤモンドワイヤーの巻き付け、パイロット孔の削孔など事前準備の手間を省くことができることに加え、より高精度な解体が可能となる。
⑧ VR技術を活用した施工管理者向け教育システム「VRiel(ヴリエル)」を開発
ヴァーチャルリアリティ(VR)技術を用いたVR教育システム「VRiel(ヴリエル)」を開発した。
当社は鉄筋や型枠を組んだ教育用の躯体モックアップを自社施設内に構築し、鉄筋配置の不具合箇所を発見する体験型研修を実施しているが、定期的にモックアップを作り替えたり、受講者が実習施設所在地に赴いたりする必要があるなど、相当のコストと時間を費やしていた。本システムを使用することで、場所を選ばず手軽に、施工現場同様の環境で教育を実施することができる。また、素材としてBIMデータを活用できることから、さまざまな教育ツールを容易に作成することが可能となる。
⑨ 免震建物へのフェイルセーフ機構「免震フェンダー®」を開発
建築基準法などで定められている地震動を超える巨大地震が発生した場合に、免震建物が免震擁壁などへ衝突した際のリスクを軽減する緩衝装置「免震フェンダー®」を開発した。
「免震フェンダー®」は建物と擁壁(またはストッパー)との間に設置する緩衝装置で、高減衰ゴム製の緩衝材が衝突のエネルギーを吸収し、衝撃力を緩和して建物の健全性と居住者の安全性を保つ。シンプルな装置であるため非常に安価であり、建築基準法で定められた大地震の約1.5~2.0倍の地震動に対して、衝突時の衝撃力を約2分の1から3分の2に低減する。
(2) ㈱内外テクノス
美術館展示ケース用空気質対策技術を開発
有害ガスが発生しない展示ケース壁構造を当社、大谷塗料㈱と共同で開発した。
合板への金属箔(ガスバリア層となる)とガス吸着シートの貼付と、有害ガスの発生しない接着剤の使用により、展示ケース内の展示物にとって有害なガスを放出する期間が不要になり、展示ケースの使用開始時期を数か月早めることが可能となる。
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