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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100B92G

有価証券報告書抜粋 日本国土開発株式会社 研究開発活動 (2017年5月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループの研究開発は、自動化・省力化など生産性を向上する差別化技術及び現場施工に密着した技術に積極的に取り組んでいることが特徴であります。
当連結会計年度の研究開発費は432百万円であり、セグメント別の内訳は土木事業335百万円、建築事業96百万円であります。主な研究開発成果は以下のとおりであります。

(土木事業)

(1) ICT(Information and Communication Technology)省力化技術の開発
省力化、生産性の向上を目的として、ICTの活用を進めております。当期は以下のテーマについて実施しております。
①ICTを利用したスクレーパのインテリジェント化
当社保有技術であるスクレーパのインテリジェント化によっての重機土工の技術革新による生産性向上を目的として、運搬土量管理システムの設計と走行締固め効果の評価を進めております。メーカーと共同で各種センサーの選定及びシステム設計を実施し、現場基礎試験を完了しております。
②ICTを活用した土工品質管理
土工品質管理の自動化・省力化を目的として、品質管理装置を搭載した自律型走行計測台車の設計を進めております。開発はメーカーと共同で進めており、これまでに機械要素、システム仕様の検討及び自律型走行試験を完了しております。
③ICT/CIM(Construction Information Modeling)を活用した総合的土工管理手法の開発
土工現場における測量、設計、施工計画及び施工、維持管理に至るすべてのプロセスにおいて、ICT/CIMを全面活用したきめ細かい管理手法の確立を目指しております。3次元モデルにより工事段階中に刻々と変化する現場状況を予測・再現することで、多発、巨大化する台風・豪雨時等の土砂災害リスクをタイムリーかつ適切に評価し、仮設防災計画・対策に直ちに反映させることで、現場内及び周辺地域の安心安全度の向上を図っております。

(2) 回転式破砕混合工法(ツイスター工法)の高度化
当社保有技術である回転式破砕混合工法について、施工の効率化、独自技術の開発を目標に以下の課題を挙げ、取り組んでおります。
①シールド残土処理対応
大型シールド工事の残土処理を対象としたプラント組込型ツイスターの実用化を目的として、ツイスターの時間処理量拡大に向けた開発を行っております。試験機による能力試験を実施するための検討・調整を行っております。
②不良土改良技術
競争力向上のための差別化技術の開発を目的として、不良土の改良に伴う品質管理手法及び添加材料を用いた独自改良手法の検討を行っております。現在は、土質性状改善と環境面を考慮した添加材料を適用した配合設計手法を開発するためのデータ蓄積を行っております。
③機能性地盤材料
再生資材の有効利用技術の開発を目的として、再生資材を活用した建設発生土の性状改善効果に関する検討を大学との共同研究で進めております。当期は、基礎的な改善効果を確認し、現在は長期耐久性について試験・検討を進めております。


(3) トンネル・シールド関連技術
トンネル・シールド関連の施工技術の開発・向上を目的として、関連する施工技術を調査・検証・開発を行い、実際に現場へ適用することで効果・問題点を明確にし、施工技術の開発を進めております。また、社員の教育活動も実施しており、トンネルに関する技術力向上に成果を上げております。当期は以下の課題を挙げ取り組んでおります。
①覆工コンクリートの品質管理
覆工コンクリートの品質向上を目的として、養生条件の違いによる覆工コンクリートの品質を定量的に評価し、施工品質の向上を図っております。そのために、養生条件を変えた現場施工試験や評価方法の適用性確認などを行うとともに、LHTシート(保湿・保温養生シート)の機能向上の現場実証実験を行っております。
②シールド関連技術
シールドマシンのビット耐摩耗性向上、土量管理の高度化等を課題とし、コスト削減及び安全性向上につながる技術の検討に取り組んでおります。
③掘削土砂量監視システム
シールド工事での掘削土砂取り込み過多による施工事故防止を目的として、正確な掘削土量の計測と掘削直後における計測方法の確立を進めております。当期は、連続式容積計量管理システムを開発し、現場への適用試験を実施しております。

(4) コンクリート関連技術
コンクリート関連技術として以下の課題を挙げ、開発に取り組んでおります。
①ADOX工法
ADOX工法は2液無溶剤型のエポキシ樹脂接着剤を使用した構造物補修・補強工法であります。一般的なエポキシ樹脂の施工環境温度が5℃以上であるのに対して、本材料は5℃以下の低温下での施工を可能にし、また施工技術の機械化を確立することにより、各種構造物に広く採用されております。
本材料のひとつは、技術名称「寒冷地用エポキシ樹脂コンクリート補修材ADOX1380W」として、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)に登録済でありますが、加えて、2016年12月に新材料として、技術名称「寒冷地用軟質系エポキシ樹脂コンクリート補修材コンクレッシブ1510Ⅱ」のNETIS登録を完了いたしました。これらの材料は、2012年10月から2016年3月までの期間で実施された、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所のほかに当社を含む材料メーカー6社との共同研究「コンクリートのひび割れ注入・充填後の品質評価及び耐久性に関する研究」の試験材料に取り挙げられております。なお、本共同研究は追加試験等の実施により2017年3月まで延長いたしました。
新たな市場として、道路橋コンクリート床版の耐久性向上に取り組んでおり、「ADOX床版防水工法」として、寒冷地である北海道等の北日本を中心に、更に近畿地方においても採用が増えております。また、昨年度に引き続き、樹脂系あと施工アンカーへの適用として、太陽光発電関連の工事等で採用が増えております。更なる市場開拓として、5℃以下で施工ができる特長を生かした新製品・新工法の開発や、繊維シート補強への適用を目指した取り組みも継続しております。
②リニューアル技術
当社技術である機能性吸着材とADOXのエポキシ樹脂コンクリート補修製品を混和した、塩分吸着性能及び防錆性能を有するハイブリッドエポキシ樹脂製品の開発を行っております。その基本性能については、これまでの基礎試験結果から確認されており、2017年5月には、技術名称「ハイブリッドエポキシ樹脂」として、新材料のNETIS登録を完了しております。ひび割れ注入工法や他工法への適用を目的とした検証試験を実施するにあたり、コンクリート材料やエポキシ樹脂に関する研究実績を持つ大学との共同研究を継続し、また2017年6月からは、コンクリート構造物のライフサイクルマネジメントを専門分野とする大学との共同研究を開始しております。
③高品質コンクリート
高品質コンクリートを製造するための、材料(配合・調合等)や、施工・品質管理に関する新技術の開発を行っております。当期は、スマートセンサや充填管理システムを併用したトンネル二次覆工コンクリートの施工・品質管理システムの構築に向け、施工現場での実証試験を行っております。


(5) 土質・地盤改良技術
土質・地盤改良技術として以下の課題を挙げ、開発に取り組んでおります。
①処分場関連技術
一般廃棄物や産業廃棄物の処分場、放射性廃棄物の埋設施設に活用可能な技術として、降雨浸透抑制型覆土(キャピラリーバリア)とベントナイトを用いた遮水ライナーの研究開発を継続しております。
キャピラリーバリアは天然材料である砂、砂利、粘性土を用いて、廃棄物層内への雨水の浸透を抑制する覆土技術であります。本技術はこれまでに6か所の一般廃棄物処分場の閉鎖工事に適用され、2015年度に受注した同様の工事にも適用され、2016年度はキャピラリーバリアに使用する材料調査等を行いました。また、前年度から放射性廃棄物の埋設を念頭に、数百年の耐久性を有する覆土構成の検討を実施しております。更に、長期間の降雨浸透抑制効果、耐久性を把握するために、屋外の実規模土槽を用いた実証試験施設において、2000年から現位置試験、データの取得を継続しております。
一般廃棄物処分場では、Na型ベントナイトを用いた遮水ライナーの実績が増加してきました。福島県の中間貯蔵施設でも同様の遮水ライナーが計画されております。当社は製造コストを低減するために、現地発生土やNa型ベントナイト原鉱石を利用した遮水ライナーをツイスターで製造する技術を開発し、施工実績もできております。現在は、Ca型ベントナイトを用いた遮水土の製造方法の研究開発を進めております。そして、2015年5月には、公益社団法人日本材料学会の「ツイスター工法(回転式破砕混合工法)を用いた遮水土の製造技術」の第2回更新において、透水係数が1.0×10-10m/sまでの材料製造技術の認証を受け、当学会からNETISに有用な新技術として推薦され、「2016年度準推奨技術」に認定されました。
②石炭灰有効利用
東日本大震災により被災したインフラの復旧や沈下地盤の復旧、防潮堤や防災緑地等の津波多重防御の構築等に大量の土砂が必要となり、その代替品として石炭灰混合材料の有効活用が期待されております。
当社では、沖縄電力株式会社と開発してきた頑丈土破砕材の技術をベースとして、配合範囲の拡大や処分場に堆積している既成灰の利用によって、石炭灰混合材料を大量・安定的に提供すべく技術開発を進めて参りました。その結果、福島県にある火力発電所でこの技術が採用され、石炭灰混合材料が製造販売されております。当期は、土砂よりも高品質な砕石代替材として使用できる石炭灰混合材料の製造を目標として、その配合や製造方法の検討、製品の物性確認等を進めております。本技術は連結子会社である福島エコクリート株式会社の事業化を目的としたものであり、2018年に製造開始を予定しております。
③液状化対策工法
事前混合処理工法(PREM工法)は、当社が開発した液状化を防止した埋立工法でありますが、近年の施工では石分を多量に含むことが多く、そのため、配合試験と比べると強度が過大になりコスト的に不利となっておりました。これを解消するためには、配合試験方法の見直しが必要であり、そのための基礎データを取得しております。
④土壌・水質改良
工場跡地の土壌汚染対策のほか、大型プロジェクト等で課題となっている自然由来の汚染土への対応技術の開発を進めております。新規不溶化材の開発や現場で実施できる簡易分析技術の確立、汚染土のトリータビリティ試験等を行っております。自然由来汚染土の不溶化技術は大学と共同で開発しております。

(6) 機能性吸着材
環境、医薬、触媒、各種添加剤等への用途開発を目的に、機能性吸着材の技術開発を実施しております。これまでに基本性能の把握、製造加工技術等の研究開発を実施し、更に、高度水処理システム、井戸水砒素処理技術等の環境分野、各種添加剤、脱臭剤等への用途開発を進めております。

(7) 小水力発電技術
小水力発電は太陽光発電に続く新エネルギーとして設置や検討中の案件が増加してきております。小水力発電の事業性の調査を実施するとともに、施設の建設に求められる差別化技術の調査を実施しております。





(建築事業)

(1) マンション工事の省力化施工による競争力強化
主にマンション工事の競争力強化を目的とし、工程・工法・省力化に関して検証を実施しながら、全国展開を図っております。
①工程検証
東西支社のマンション工事現場を中心とし、躯体工程サイクルの確認検証を、A積算時・B現場着工時・C実施工程の三段階で検証しております。検証結果を環境・工法・技術・職人・検査等の項目で確認し、汎用性のある良い点を中心に展開し、工期短縮につなげ、生産性の向上を目指しております。
②省力化・工業化の検証
PC化・先組工法・大型パネル工法・既製品利用等の有効性を検証し、設計段階からの取組みを実施して、生産性の向上に取り組んでおります。
意匠や構造上複雑な部分に関し、PC化を図り、現場在来施工の手間を省くことにより、職人事情や現場環境変化に対する影響を軽減し、工程の短縮及び安定化を図っております。また、大阪の超高層マンション現場ではPC工事の複雑な部分は事前にモックアップを作成及び検証し、要求された品質が確保されていることを確認しました。この事により、現場のクリティカルパスを安定させることを狙いとしております。
設計施工物件においては、事前に入手段階より設計部と協議を開始し、生産性向上を目指しております。

(2) 生産性向上技術
①CFT造(コンクリート充填鋼管構造)技術
鋼管とコンクリートを組み合わせた複合構造により、型枠や鉄筋施工を削減し、工期短縮できるCFT造の施工技術ランクを取得しました。更に適用範囲拡大のための、コンクリート強度70N/mm2とした実験を実施し、技術的な蓄積を行いました。今後、都市部のホテル案件にて適用する予定であり、実施物件として高層建物や商業施設等の受注拡大を図っております。
②柱RC造・梁S造(混合構造)技術
RC造とS造の長所を活かし、柱梁接合部を単純化することで、建物の大スパン化、省力化、工期短縮、低コスト化する技術開発に取り組んでおります。当期においては自社研究施設にて接合部の構造実験を実施し、第三者機関への審査申請を行った結果、2017年3月末に第三者機関である一般財団法人ベターリビングの一般評定を取得しました。これにより本技術による設計施工が可能となり、主に物流センターなど大スパン構造物への適用を図っております。
③IT活用技術
BIM(Building Information Modeling)の設計、施工への活用を進め、建設プロセスにおける品質や性能の向上、省力化を図っております。また、施工現場における業務効率を改善し、質の高い施工管理を目指すなど、建築技術と情報技術の融合化を推進しております。

(3) 施工品質向上技術
①環境負荷低減コンクリート
石炭火力発電所の副産物である石炭灰を加熱改質したコンクリート混和材(CfFA)を活用した技術開発を推進し、コンクリート構造物の高耐久化や長寿命化、そして資源の有効活用やCO2削減を図っております。本技術開発は、大学と共同研究で取り組んでおり、実用化の第一歩として、免震住宅の基礎部分に試験的に適用しております。
②コンクリート品質向上技術
充填センサーや透明型枠を利用したコンクリート打設管理、スマートセンサ型枠によるコンクリート強度の推定、LHTシートによるコンクリートの保温・保湿養生、高強度・高流動コンクリートの実機試験等を通じて高品質なコンクリート技術の確立に取り組んでおります。


(4) 免震・振動技術
①低床免震システム
仕上高さ200mm、メンテナンスフリーで高性能な「低床免震システム」は、消防署の通信指令室やエネルギー関連の監視制御室、先端技術による微細加工装置など、地震に対して最高レベルの安全性が要求される用途で、多くの導入実績をあげております。また、本免震システムの安全性、有効性を証明するため、第三者機関である一般財団法人日本建築センターに受審した結果、床免震システムでは国内初となる一般評定を2016年10月に取得しました。
②長周期地震・大変位対応の免震装置
長周期・長時間地震動などの想定以上の大きな揺れに対応できる免震装置を大手機械メーカーである株式会社不二越と共同で開発を進めております。装置を小型化、高性能化することで、これまで対応が困難な場所での適用拡大、安全余裕度の向上を目指しております。
③振動台設備の活用
技術センター保有の3次元大型振動台を活用して、大学や企業などの研究機関から様々な振動試験を受託しておりましたが、技術センター移転のため現有各施設の解体に伴い、当期をもちまして受託試験業務を終了しております。

(5) 建物再生技術
スクラップ&ビルドの時代が終わり、資産の有効活用が注目される中、地震対策技術をベースに低コスト、資産価値向上の実現を図るソリューション技術「DRESS」を展開。建物・耐震診断をはじめ、耐震補強、内外装設備のリニューアル・リノベーション技術の研究開発に取り組んでおります。
特に的確な診断が求められる躯体調査では、直径20mmの小さなサンプルでコンクリートの劣化度・強度を判定できる「ソフトコアリング」や耐震補強工事で無振動、無粉塵、無騒音を可能にする接着ブレース工法や炭素繊維補強工法など、建物の状況や条件に合わせた建物再生技術の充実化を図っております。

(6) 省エネルギー・最適環境技術
持続可能な循環型社会に適した建築物を目指し、省エネルギーや長寿命化など設備・環境技術の開発に取り組んでおります。特に省エネ・環境診断で、赤外線カメラを利用した結露測定や気流・温熱解析ソフトによる室内環境の見える化(定量的評価手法)は、既存建物の環境条件をより的確に検証できる技術で、様々な用途分野の活用が期待されております。また、食品工場エンジニアリングではグローバルスタンダードであるFSSC22000等の規格・認証に対応するため、建設の観点から異物混入や虫の侵入、カビの発生等を防ぐサニテーション技術を整備し、食品工場における安全衛生環境の実現を追求しております。
また、東北の現場にて雪室の追跡計測により実用化検証を行った結果、十分な省エネルギー効果があることを確認しております。

(7) タブレットを活用した現場支援システムの実用化
タブレットを現場施工管理に活用する事により、業務の効率化・省力化・ペーパーレス化を図っております。また、労働時間の短縮及び、出来高生産性の向上を目指しております。
タブレットの利用目的は、配筋検査及び写真・仕上げ検査及び写真・各種工程内検査及び写真・簡易連絡メモ、各種会議対応を主目的としており、当社向けのカスタマイズを行っております。
現在、数現場で試用中でありますが、この期間で現場社員の利便性・システムの内容や改良・ハード面の整備等を確認しており、2018年6月からの全国の現場に対する展開・普及を目指し取り組んでおります。

(開発事業)

研究開発活動は特段行われておりません。

(関係会社)

福島エコクリート株式会社
石炭灰混合材料の市場競争力強化を目的に、大学と連携して、環境安全性の早期判定手法を確立するとともに、既存の石炭灰に関する情報のデータベース構築を進めております。また、石炭灰混合材料の使用用途拡大を目指した検討も進めております。

(その他)

研究開発活動は特段行われておりません。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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