有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100APHN
株式会社錢高組 研究開発活動 (2017年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(建設事業)
当社は、多様化する顧客のニーズに対応すべく建築・土木・環境の分野において技術研究所を中心にソフト・ハードの研究開発活動を幅広く実施している。
当連結会計年度における研究開発費は163百万円であった。また、当社の研究開発体制及び主な研究開発成果は以下のとおりである。
[建築・土木共通技術]
(1) コンクリート構造物の調査・品質向上技術
構造物の維持・保全に関する技術の社会的なニーズが高まるなか、構造体を傷めず、簡便で精度の良いコンクリート強度の調査法として直径20mm~25mm程度の小径コアによる試験方法「ソフトコアリングシステム」を開発し、現在、広く普及・活用されている。本システムには、既設建築構造物で適用する「ソフトコアリング」と、土木構造物で適用する「ソフトコアリングC+」の技術があり、一般財団法人日本建築センターと一般財団法人土木研究センターの技術審査証明を2013年度に更新取得し、これまでに建築、土木あわせて、約4.9万本の施工実績がある。
この他、2016年度には、生コン車搭載センサーで生コンの時間管理や圧送性の評価等品質管理する技術の研究等、コンクリートの品質向上研究にも取り組んだ。
[建築関連技術]
(1) 柱RC梁S造混合構造
物流倉庫、大型ショッピングセンターの用途に用いる建物を対象に、鉄筋コンクリートの高剛性と鉄骨造の軽量大スパン化の双方の特長を活かせる柱梁混合構造の開発を完了し、2008年11月に一般財団法人日本建築総合試験所より建築技術性能証明を取得した。2011年度に愛知県の物流倉庫に採用した。2012年度には梁段差や梁の偏心など適用範囲拡大、2014年度には更なる工期短縮・コストダウンとなる接合部のプレキャスト化などの追加、2015年度には接合部外周のふさぎ板の施工方法の改良で、それぞれ建築技術性能証明を更新取得した。同構法は、2016年度に大型物流施設に適用し施工中である。
(2) 基礎梁の開孔補強工法
設備配管用開孔と人通孔の間隔を従来は開孔直径平均の3倍以上としなければならなかったものを2倍にして設備設計を簡素化できる「近接開孔基礎梁工法」を開発し、2015年6月に一般財団法人日本建築総合試験所より建築技術性能証明を取得した。2016年度には、基礎梁の開孔が梁せいの1/3以下とする現行基準を緩和してコストダウンを図る「大開孔基礎梁工法」を開発し、建築技術性能証明の取得を進めている。今後もこれら基礎梁の開孔補強技術を設備設計の自由度拡大やコストダウンに活用する。
[土木関連技術]
(1) シールド直接発進到達工法「SEW工法」
RC地中連続壁、柱列式連続壁、ライナープレート、ケーソン工法で構築された立坑のシールド機通過部分に硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した新素材(FFU部材)を組込み、シールド機の直接発進到達の合理化、工期短縮、コストダウンを可能にする技術である。2003年の「第5回国土技術開発賞」を受賞し、2012年には大断面や大深度を可能とするなど改良を加えて、建設技術審査証明を更新取得した。2016年度には、福岡市の地下鉄シールド工事への適用他、道路トンネルの大口径シールド立坑工事など22件に採用された。今後も技術提案や施工のコストダウンに積極的に活用する。
(2) 「Eバッグ工法」
セグメントを地山に固定し推進力を地山に伝え、またテールパッキンからの裏込注入材や地下水の流入を防止する「Eバッグ工法」は、2012年度には、国際ジオシンセティックス学会日本支部の「2012年度JC-IGS技術賞」を受賞した。2016年度には、東京のシールド工事など23件に採用された。今後も、増加している急曲線施工に有効な工法として積極的に技術提案、安全なシールド施工に活用する。
(3) トンネル内空変位監視システム「A-Flash計測」
山岳トンネル施工の安全管理に有効な内空変位(壁の変位)を光の色でリアルタイムに可視化して現場関係者がその場で分かるシステムで、2015年度に、国土交通省の公共工事における新技術活用システムNETIS登録(KT-150056-A)を行った。2016年度には、山梨県のトンネル工事に採用し施工の安全管理に活用した。今後も、山岳トンネルの坑口や軟弱地盤など地山の監視に適用して、トンネル工事の安全管理に活用する。
(4) トンネル発破の低周波音低減技術「サイレンスチューブ」
山岳トンネル工事における発破掘削にともなう低周波音の低減装置「サイレンスチューブ」を開発し、2015年度に岩手県のトンネル工事で実用化した。「サイレンスチューブ」は、開管(両端が開放された管)の共鳴現象による消音効果を利用した設置が容易な消音装置で、防音扉の二重化などコスト高となる対策が必要な特定の低周波音を大幅に低減することができる。2016年度には、四国のトンネル工事に適用し、発破に伴う低周波音低減に活用した。また、「サイレンスチューブ」が日本騒音制御工学会の環境デザイン賞に選ばれた。
(5) 山岳トンネル工事の安全対策・省エネ制御システム「TUNNEL EYE」
トンネル現場に配置した複数の組込型制御端末を使用し、入坑者の位置、ガス濃度、作業工程の監視等の安全管理データ及び使用電力量を収集し、その情報を遠隔地のサーバーで保存・分析することで、工事照明や換気ファン等の主要な電気機器を適した状態に自動制御できる技術を2015年度に開発し、四国のトンネル工事に適用した。これによって、安全管理の向上に加え、使用電力量を可視化することで、無駄な電気使用を把握・削減し、省エネルギー化につなげることができる。2016年度には、前年から適用した工事での同システムの省エネや見える化による安全管理の効果を確認するとともに、国土交通省の公共工事における新技術活用システムNETIS登録(KT-160070-A)を行った。現在、2例目となる長野県でのトンネル工事への適用やシステムの機能追加など改良を進めており、今後も、山岳トンネル工事の安全性向上や省エネ施工へ活用する。
(6) 光ファイバーによる安価なコンクリート充填検知システム
コンクリート構造物の施工において、コンクリート打設やPCケーブル周りのグラウト注入時の充填性の確保は構造物の品質向上に関わる重要な課題であり、各種の充填検知センサーによる管理が行われてきたが、既存の技術はセンサー価格や測定器などコスト面に課題があった。そこで、安価なプラスチック製光ファイバー(POF:Plastic Optical Fiber)を用いたセンシング技術をコンクリートやグラウトの充填検知に応用し、センサーを多数配置することで品質向上が図れる充填検知システムを開発した。
2014年度には、プレストレスコンクリート(PC)橋梁工事でのPCグラウト充填検知センサーを開発し、2016年度には、沖縄県のPC橋梁工事に適用した。また、コンクリート構造物に適用する光ファイバーを用いた充填検知センサーを開発し、山岳トンネルの覆工コンクリートの充填検知センサーとして適用を進めている。今後も、この安価なセンサーで橋梁・トンネル工事などの品質向上へ活用する。
[環境関連技術]
(1) 環境騒音・振動の評価技術
周辺環境への負荷低減対策について、発生源、伝搬経路、受信側の対策を実測結果から検証した解析シミュレーションで評価する技術で、2016年度においても、総合評価技術提案や建設工事での騒音振動の低減に活用した。
(2) ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)評価ツールの開発
建築物の年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)ゼロまたは、概ねゼロとなるZEBに関して国は、『2020年までに新築の公共建築物で、2030年までに全新築建築物の平均で、ZEBを実現する。』としており、当社でもZEB実現へ向けて、2015年度には、必要な要素技術のデータベース化及びその評価ツールを共同開発した。2016年度には、同ツールを試行するとともに設計者からの要望による省エネ技術や機器性能データの拡充など評価ツールのブラッシュアップ開発を行った。今後は、これらを利用して顧客への省エネ技術提案に活用する。
なお、連結子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。
(不動産事業)
研究開発活動は特段行われていない。
当社は、多様化する顧客のニーズに対応すべく建築・土木・環境の分野において技術研究所を中心にソフト・ハードの研究開発活動を幅広く実施している。
当連結会計年度における研究開発費は163百万円であった。また、当社の研究開発体制及び主な研究開発成果は以下のとおりである。
[建築・土木共通技術]
(1) コンクリート構造物の調査・品質向上技術
構造物の維持・保全に関する技術の社会的なニーズが高まるなか、構造体を傷めず、簡便で精度の良いコンクリート強度の調査法として直径20mm~25mm程度の小径コアによる試験方法「ソフトコアリングシステム」を開発し、現在、広く普及・活用されている。本システムには、既設建築構造物で適用する「ソフトコアリング」と、土木構造物で適用する「ソフトコアリングC+」の技術があり、一般財団法人日本建築センターと一般財団法人土木研究センターの技術審査証明を2013年度に更新取得し、これまでに建築、土木あわせて、約4.9万本の施工実績がある。
この他、2016年度には、生コン車搭載センサーで生コンの時間管理や圧送性の評価等品質管理する技術の研究等、コンクリートの品質向上研究にも取り組んだ。
[建築関連技術]
(1) 柱RC梁S造混合構造
物流倉庫、大型ショッピングセンターの用途に用いる建物を対象に、鉄筋コンクリートの高剛性と鉄骨造の軽量大スパン化の双方の特長を活かせる柱梁混合構造の開発を完了し、2008年11月に一般財団法人日本建築総合試験所より建築技術性能証明を取得した。2011年度に愛知県の物流倉庫に採用した。2012年度には梁段差や梁の偏心など適用範囲拡大、2014年度には更なる工期短縮・コストダウンとなる接合部のプレキャスト化などの追加、2015年度には接合部外周のふさぎ板の施工方法の改良で、それぞれ建築技術性能証明を更新取得した。同構法は、2016年度に大型物流施設に適用し施工中である。
(2) 基礎梁の開孔補強工法
設備配管用開孔と人通孔の間隔を従来は開孔直径平均の3倍以上としなければならなかったものを2倍にして設備設計を簡素化できる「近接開孔基礎梁工法」を開発し、2015年6月に一般財団法人日本建築総合試験所より建築技術性能証明を取得した。2016年度には、基礎梁の開孔が梁せいの1/3以下とする現行基準を緩和してコストダウンを図る「大開孔基礎梁工法」を開発し、建築技術性能証明の取得を進めている。今後もこれら基礎梁の開孔補強技術を設備設計の自由度拡大やコストダウンに活用する。
[土木関連技術]
(1) シールド直接発進到達工法「SEW工法」
RC地中連続壁、柱列式連続壁、ライナープレート、ケーソン工法で構築された立坑のシールド機通過部分に硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した新素材(FFU部材)を組込み、シールド機の直接発進到達の合理化、工期短縮、コストダウンを可能にする技術である。2003年の「第5回国土技術開発賞」を受賞し、2012年には大断面や大深度を可能とするなど改良を加えて、建設技術審査証明を更新取得した。2016年度には、福岡市の地下鉄シールド工事への適用他、道路トンネルの大口径シールド立坑工事など22件に採用された。今後も技術提案や施工のコストダウンに積極的に活用する。
(2) 「Eバッグ工法」
セグメントを地山に固定し推進力を地山に伝え、またテールパッキンからの裏込注入材や地下水の流入を防止する「Eバッグ工法」は、2012年度には、国際ジオシンセティックス学会日本支部の「2012年度JC-IGS技術賞」を受賞した。2016年度には、東京のシールド工事など23件に採用された。今後も、増加している急曲線施工に有効な工法として積極的に技術提案、安全なシールド施工に活用する。
(3) トンネル内空変位監視システム「A-Flash計測」
山岳トンネル施工の安全管理に有効な内空変位(壁の変位)を光の色でリアルタイムに可視化して現場関係者がその場で分かるシステムで、2015年度に、国土交通省の公共工事における新技術活用システムNETIS登録(KT-150056-A)を行った。2016年度には、山梨県のトンネル工事に採用し施工の安全管理に活用した。今後も、山岳トンネルの坑口や軟弱地盤など地山の監視に適用して、トンネル工事の安全管理に活用する。
(4) トンネル発破の低周波音低減技術「サイレンスチューブ」
山岳トンネル工事における発破掘削にともなう低周波音の低減装置「サイレンスチューブ」を開発し、2015年度に岩手県のトンネル工事で実用化した。「サイレンスチューブ」は、開管(両端が開放された管)の共鳴現象による消音効果を利用した設置が容易な消音装置で、防音扉の二重化などコスト高となる対策が必要な特定の低周波音を大幅に低減することができる。2016年度には、四国のトンネル工事に適用し、発破に伴う低周波音低減に活用した。また、「サイレンスチューブ」が日本騒音制御工学会の環境デザイン賞に選ばれた。
(5) 山岳トンネル工事の安全対策・省エネ制御システム「TUNNEL EYE」
トンネル現場に配置した複数の組込型制御端末を使用し、入坑者の位置、ガス濃度、作業工程の監視等の安全管理データ及び使用電力量を収集し、その情報を遠隔地のサーバーで保存・分析することで、工事照明や換気ファン等の主要な電気機器を適した状態に自動制御できる技術を2015年度に開発し、四国のトンネル工事に適用した。これによって、安全管理の向上に加え、使用電力量を可視化することで、無駄な電気使用を把握・削減し、省エネルギー化につなげることができる。2016年度には、前年から適用した工事での同システムの省エネや見える化による安全管理の効果を確認するとともに、国土交通省の公共工事における新技術活用システムNETIS登録(KT-160070-A)を行った。現在、2例目となる長野県でのトンネル工事への適用やシステムの機能追加など改良を進めており、今後も、山岳トンネル工事の安全性向上や省エネ施工へ活用する。
(6) 光ファイバーによる安価なコンクリート充填検知システム
コンクリート構造物の施工において、コンクリート打設やPCケーブル周りのグラウト注入時の充填性の確保は構造物の品質向上に関わる重要な課題であり、各種の充填検知センサーによる管理が行われてきたが、既存の技術はセンサー価格や測定器などコスト面に課題があった。そこで、安価なプラスチック製光ファイバー(POF:Plastic Optical Fiber)を用いたセンシング技術をコンクリートやグラウトの充填検知に応用し、センサーを多数配置することで品質向上が図れる充填検知システムを開発した。
2014年度には、プレストレスコンクリート(PC)橋梁工事でのPCグラウト充填検知センサーを開発し、2016年度には、沖縄県のPC橋梁工事に適用した。また、コンクリート構造物に適用する光ファイバーを用いた充填検知センサーを開発し、山岳トンネルの覆工コンクリートの充填検知センサーとして適用を進めている。今後も、この安価なセンサーで橋梁・トンネル工事などの品質向上へ活用する。
[環境関連技術]
(1) 環境騒音・振動の評価技術
周辺環境への負荷低減対策について、発生源、伝搬経路、受信側の対策を実測結果から検証した解析シミュレーションで評価する技術で、2016年度においても、総合評価技術提案や建設工事での騒音振動の低減に活用した。
(2) ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)評価ツールの開発
建築物の年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)ゼロまたは、概ねゼロとなるZEBに関して国は、『2020年までに新築の公共建築物で、2030年までに全新築建築物の平均で、ZEBを実現する。』としており、当社でもZEB実現へ向けて、2015年度には、必要な要素技術のデータベース化及びその評価ツールを共同開発した。2016年度には、同ツールを試行するとともに設計者からの要望による省エネ技術や機器性能データの拡充など評価ツールのブラッシュアップ開発を行った。今後は、これらを利用して顧客への省エネ技術提案に活用する。
なお、連結子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。
(不動産事業)
研究開発活動は特段行われていない。
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