有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100C6IA
クミアイ化学工業株式会社 研究開発活動 (2017年10月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、農薬および農業関連事業セグメントにおいて、農業用および非農耕地における除草剤、殺虫剤、殺菌剤及び植物成長調節剤について国内外の市場に適合する自社化合物を含む新製品の研究開発に注力しております。
国内におきましては、水稲用除草剤として自社開発有効成分「ピリミスルファン」を含有し、1成分で多年生雑草に高い除草効果を有する中後期除草剤「アトトリ豆つぶ250」、自社開発有効成分「フェノキサスルホン」を含有する初中期一発除草剤「ヤブサメ1キロ粒剤」、「ヤブサメジャンボ剤」、「クサビフロアブル」を上市いたしました。また、自社開発新規有効成分「フェンキノトリオン」を含有する新規水稲用除草剤の国内農薬登録の取得が最終段階に入り、自社有効成分である「ピリミノバックメチル」との混合剤、「フェノキサスルホン」および「ピリミスルファン」との混合剤などを開発しております。さらに、本剤を含有する水稲一発除草剤は他の農薬メーカーでも開発が進められており、本剤の上市によって将来的に自社開発原体のさらなる拡販が期待されます。一方、「フェンキノトリオン」のブランド名を「エフィーダ」と命名して本剤のブランド化を進め、自社開発原体の販売最大化を目標に活動を進めてまいります。
水稲殺菌剤分野では本田散布剤として「コラトップ豆つぶ」、水稲殺虫剤としては潅注処理が可能な箱処理剤「ミネクトスター顆粒水和剤」、殺虫殺菌混合剤では「ワイドパンチ豆つぶ」を上市しております。
水稲種子処理剤としては、水稲の直播栽培に適応する「ルーチンFS」、「キラップシードFS」、醸造酢液剤で有機農産物の日本農林規格に適合した「エコフィット」を上市し、様々な水稲栽培体系に貢献していきます。
また、園芸殺菌剤分野では、薬剤抵抗性の発達リスクを抑え、てんさいの褐斑病、葉腐病に安定した効果を示す混合剤「どさんこスター水和剤」を上市しております。
海外におきましては、トウモロコシ、ダイズ、コムギなどに適用可能な自社開発畑作用除草剤「アクシーブ」 (農薬一般名:ピロキサスルホン)が、2017年度に新たにメキシコ、アルゼンチンで登録を取得し、登録取得国は9ヶ国となりました。アルゼンチンでは除草剤抵抗性雑草の繁茂が深刻化しており、「アクシーブ」が安定した農産物の生産に貢献するものと期待されております。また、オーストラリアではアクシーブ単剤である「Sakura」のSC製剤、アメリカでは乾燥マメ類、ヒマワリ、ラッカセイなどの作物の登録を取得いたしました。今後も南米、アジアを中心に開発を進め、グローバル展開を加速し、畑作用除草剤「アクシーブ」のブランド確立を図ってまいります。
韓国では水稲用除草剤「フェノキサスルホン」の登録を取得し、混合剤の製品開発を進めました。また、水稲用除草剤「ノミニー」はイランで登録を取得し登録国が世界58か国となり、世界の穀物安定生産に大きく貢献しております。今後も、除草剤、殺菌剤分野を中心に自社開発有効成分の登録、上市に向けた世界各国での開発を積極的に行ってまいります。
当社グループは研究開発型企業として、自社開発有効成分の開発を行い、農薬製品を上市しております。今後も継続して新規有効成分の創製に注力し、除草剤、殺菌剤、殺虫剤の各分野で次のパイプラインとなる化合物の創出をめざします。
当社グループでは環境負荷低減型農薬の開発に積極的に取組んでおります。そのひとつとして、水稲用の水面施用製剤「豆つぶ剤」があります。「豆つぶ剤」は当社独自の製剤技術を生かした軽量・省力的な剤型であり、「ガンガン」、「ベンケイ」、「アトトリ」をはじめとする除草剤から殺菌剤「オリブライト」、殺虫剤「スタークル」、殺虫殺菌混合剤「ワイドパンチ」まで、豆つぶ剤を水溶性フィルムでパックした「ジャンボ剤」とあわせて、農家の方々のニーズに応じた製品ラインアップをとりそろえています。
また、微生物農薬「エコシリーズ」も環境にやさしい微生物農薬として積極的に開発を進めています。「エコショット」の有効成分バチルス・ズブチリスD747株を含有する製剤は、2017年にブラジルで農薬登録を取得、イタリア、アメリカなど8か国で登録を取得、販売しており、今後、韓国、台湾などでも拡大を図る予定です。
当社グループでは農薬開発で培った周辺技術を活用し、バイオテクノロジー分野にも注力して研究開発を行なっています。「パルセレクト」は、安全性に配慮した植物由来の新規な除草剤耐性遺伝子(変異型ALS遺伝子)を用いた植物形質転換選抜マーカーセットであり、植物バイオテクノロジーベンチャーとの業務提携を通じて販売しております。また、これらの植物バイオ技術を用いて形質転換受託ビジネスを行っております。
さらに、研究開発型企業として最先端技術を開発・導入する目的で、大学や国立研究開発法人との共同研究に積極的に取り組んでいます。その一例として、農林水産省の科学技術推進事業プロジェクト「新しい作用メカニズムにより多種作物で利用可能な新型抵抗性誘導剤の開発」、経済産業省のエネルギー・環境新技術先導プログラム「ファインケミカルズ製造のためのフロー精密合成の開発」などに参画し、各研究機関から新たな技術の導入を図るとともに各研究機関との情報交換などによって研究力の向上に努めております。
以上のように、当社グループでは、環境にやさしく自然と調和した新たな製品および技術を創出していく取り組みを今後も継続して参ります。
経営統合により当社グループの国内研究拠点として、生物科学研究所、製剤技術研究所、プロセス化学研究所、創薬研究所、グリーン研究所を有し、新規有効成分の探索から工業的製造法の研究まで一貫した研究を行います。また、米国におきましては、ケイ・アイケミカルU.S.A.Inc.がミシシッピー試験場を有し、韓国では開発業務を担う組織としてクミカコリア(株)があります。これら各拠点の有機的かつ効率的な運営に努め、自社新規化合物開発、自社独自製剤技術を用いた新製品開発のスピードアップ及び品質保証を含む当社グループの研究開発技術の質的向上を図っております。
化成品事業セグメントにおいては、クロロトルエン・クロロキシレン系化学品、医農薬中間体、精密化学品、産業薬品を主体とした化成品について、当社グループの保有原料及び独自の技術・設備を生かした市場競争力のある製品開発に取り組んでおります。
その他セグメントにおいては、酵素類、生菌剤、ファフィア酵母(飼料添加剤)等のバイオ製品について、当社グループの技術力を生かした高付加価値製品の開発に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における研究開発経費の総額は39億3千2百万円であり、各セグメント毎の内訳は以下のとおりであります。
①農薬及び農業関連事業 37億1千3百万円
②化成品事業 2億1千万円
③その他 9百万円
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