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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AO9W

有価証券報告書抜粋 東洋建設株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループでは、「経営基盤の強化と新たなステージへの挑戦によって更なる企業価値の向上を目指す」とする2016年度を最終年度とする中期経営計画の基本方針のもと、「技術は人のため、地球に生きるみんなのために使われるべきものであり、技術を使う我々は、それを理解して事業活動を持続していく」と決意し、日々研究開発活動に取り組んでいる。安全の最優先とコーポレート・ガバナンスの充実を念頭に置き、顧客及び市場の要求を的確に捉え、社会に役立つ企画・技術提案力を強化することが最終的には事業量の確保と利益向上に結びつくものと確信している。一方で、成果を速やかに実業務に反映するため、産・学・官との連携強化やオープンイノベーションを推進し、技術の先端化(差別化)、開発のスピードアップ及びコストの低減を図っている。
そのための方策として、(1)当社の基幹技術を中心に、先端技術を見据えた業界トップクラスの研究及び技術開発の実施、(2)総合評価方式入札における技術提案力の向上、(3)技術の継承及び人材の育成、(4)社会、地域、顧客及び社内におけるコミュニケーションの強化に取り組んでいる。
技術開発においては、技術部門及び支店と連携し、実工事を通した即応的な開発を行うなど、コストの低減、施工効率の向上に迅速に対応できる体制を構築している。また、設計変更や施工方法変更に対する現場支援を迅速かつ的確に行うことで、利益の確保と向上及び瑕疵工事の低減を図るなど、会社業績への貢献、すなわち受注拡大と施工利益向上に寄与することを常に希求している。なお、当連結会計年度の研究開発費は487百万円であった。

(1) 浚渫に伴う人工地盤造成に関する研究
本テーマでは、浚渫工事で発生する高含水比で軟弱な土砂に対して、分級や濁りの発生を回避しうる埋立投入管理方法を開発するとともに、早期安定化を目指した研究を進めている。これまでに、新規提案の性状変化の少ない水中土砂投入方法に関して、浚渫粘性土や各種の固化処理土を用いた効果確認を行ってきた。2016年度は、石炭火力発電所にて発生するフライアッシュについて実験調査を進め、処分場の減容化対策として有効な高濃度スラリー工法に対して、より高密度で一様な地盤を形成しうる新たな知見が得られた。また、遠心装置を利用した処分場の堆積過程に関する模擬実験を行って、更なる減容化の可能性についても確認した。
(2) 濁りや土砂等の投入に関わる水理的検討手法の高度化に関する開発研究
当社グループでは、得意とする浚渫・埋立工事に従事する2隻の大型ポンプ船を保有しており、その稼働率の向上が重要である。一般にポンプ浚渫は余水処理が必要で、その際の濁りに関して課題がある。そこで、本研究では、ポンプ船による浚渫土が海面土砂処分場へ投入され、余水吐から濁りを含む余水が排出される事象を対象に、濁りを対象とした水理模型実験手法の構築及び数値計算法の適用性拡張を図り、その中で濁りの抑制に資する要素技術を検討することを目指している。2016年度においては、過年度に実施した拡散に関する水理模型実験の結果における濁水の挙動を数値計算で再現するため、濁り拡散計算法に密度流効果を表現するよう改良を加え、また投入土砂の粒度分布を考慮するよう改良を加えた。
(3) 港湾工事や外洋工事における動揺浮体を解析対象とした検討システム運用法の提案
遠隔離島周辺海域や海外での施工においては、大波浪場で安全かつ安定した作業が求められる。本研究では3ヵ年計画で、大波浪場での作業船や構築対象の構造物の動揺特性を把握し、対策の検討を容易とするための数値解析及び水理模型実験技術の構築を目指す。3ヵ年目の2016年度においては、数値解析手法を用いた結果を実施工における作業中止判断基準に用いるとともに、この基準と照合するためにリアルタイムで施工場所周辺の波浪を簡易かつ安全に計測可能な手法を開発した。
(4) 構造物・地盤の安定性評価と対策法-地震・津波対策と海洋構造物基礎への応用
地震や津波による沿岸災害の軽減が求められるとともに、今後は、温暖化による海洋環境の変化や海洋利用に伴う外海工事の増加が予想され、厳しい波・潮流に対する海底地盤・構造物の安定性評価がますます重要となる。本研究では、高波や津波対策工の検討や地盤評価の研究に取り組んでいる。2016年度は、遠心模型により実規模レベルを再現しながら、不規則波浪に対する地盤実験を世界で初めて開発し、厳しい波浪環境に対する地盤・構造物の効果的な対策工事の提案が可能となった。
(5) 海岸・港湾構造物基礎における耐波安定性評価と洗掘対策工法の開発研究
杭式構造物(例:有脚式離岸堤)やパイプライン等で問題となる局所洗掘現象に対し、その耐波安定性を評価する方法を確立すべく、模型実験及び数値シミュレーションによる開発研究を進めている。局所洗掘現象の特性を詳細に把握するため、過年度に開発した光ファイバによる地形変化計測手法により、有脚式離岸堤における局所洗掘の特性を、平面水槽での移動床実験により明らかにし、これらの成果を学位論文として取りまとめた。
(6) 海面処分場の遮水材の適用性拡大と埋立地盤の早期安定化に関する研究
土質系遮水材HCB-Fの側面遮水工への適用実績により一般社団法人沿岸技術研究センターの民間技術評価に認定された。HCB-Fを底面遮水工に適用するための技術ヒアリングにより残課題を整理し、石炭灰埋立時の投入方法と地盤特性の関係を室内実験により明らかにしたほか、処分場浸出水のpHを早期に安定化させる対策について室内実験及び現地調査を実施した。これらの成果は土木学会、廃棄物資源循環学会、沿岸域学会の論文、当社の東建技術レポート等に掲載した。
(7) 特殊コンクリートの開発や改良に関する研究開発
学校法人早稲田大学、国立研究開発法人港湾空港技術研究所等との共同研究により、離島工事などで必要とされる海水や現地(珊瑚)骨材を用いた自己充填型コンクリートの研究を進めており、国土交通省「遠隔離島における産学官連携型の海洋関連技術開発」の公募で採用された。2016年度は、当該コンクリートの暴露試験(遠隔離島及び本土)を開始し、収縮特性、熱特性及び小型部材による力学特性について検討を行い、収縮低減や熱膨張係数の縮小などの特徴を明らかにした。この成果は日本コンクリート工学会、土木学会などへ論文投稿・発表した。
(8) コンクリートの施工技術に関する研究開発
学校法人東洋大学との共同研究として実施した。けい酸塩がコンクリート中の水酸化カルシウムと反応してC-S-Hゲルを生成して緻密化する効果に着目し、コンクリート打継目のレイタンス層の改質、一体性向上及び有害物質の浸入抑制を目的として、けい酸塩含浸材を用いた打継ぎ処理工法の開発を進めてきた。2016年度は、コンクリートの打継目にけい酸塩含浸材を塗布した供試体により、力学試験、非破壊試験、耐久性試験及び電子顕微鏡による打継部の観察を行い、けい酸塩の脆弱部改質効果や、効果に有効な打継処理方法などを確認した。
(9) コンクリートの高品質化・高耐久化に関する研究開発
コンクリートの高品質化や施工の信頼性向上を目指し、ひび割れの自己治癒効果に関する基礎研究、内部養生工法の適用研究及び可視化技術に関する研究開発を進めている。自己治癒では、効果の認められた治癒材料を用いた透水試験や耐久性試験を行い、その効果を検証中である。内部養生では、改良型電子線照射CMC・PVAゲルを添加したモルタル・コンクリートの養生効果を検証した。また可視化技術では、生コン車内に設置したプローブを活用するGNN Machinery Japan株式会社等との共同実験で、流動性の高いコンクリート計測圧力からのスランプフロー推定精度の把握や、圧力と施工性能評価指標との関連性を明らかにした。
(10) 構造物の維持管理に関する研究開発
社会経済情勢から構造物の確実な補修・補強工法の確立が望まれているなか、鋼管杭の新被覆工法やコンクリート中の鉄筋腐食モニタリングシステムの開発を進めている。新被覆工法は、海中部の電気防食の余剰電流を被覆モルタル中に流すことで鋼管杭上部を防食する工法であり、被覆モルタルに導電性骨材を混入することで、防食効果が向上することが示唆された。今後、模擬試験体の海洋暴露により防食性能を確認する予定である。腐食モニタリングは、試作試験体で干満帯を模擬した乾湿繰り返しの促進試験を行い、かぶり厚さと腐食発生確率の関連性がわかり、モニタリングシステムとしての有用性を確認した。
(11) 騒音振動制御技術の研究
工事騒音の抑制を目的に開発した、施工エリア周辺に及ぼす影響をリアルタイムに把握できる工事騒音の広域監視システムの高度化を図るために、詳細な騒音伝搬計算が可能なシステムを導入した。また、工場の環境振動及び固定音低減技術に関するデータベース構築や、アクティブ・ノイズ・コントロール技術を利用した消音器の制御安定性向上のためのシステム改善を実施した。
(12) 制振工法による耐震化技術の開発
耐震診断や耐震改修の法整備などにより、自社保有技術の耐震化工法(マスターフレーム構法)の市場が拡大する一方で、耐震化促進の補助金制度において制振構法の方が有利なため、競合他社の制振補強技術に対抗すべく、制振化構法への取り組みも必要となっている。そこで、マスターフレーム構法に制振ブレースを併用した補強構法を考案し、地震応答解析による効果検証や架構実験を実施し、その結果をもとに、RC造躯体と制振補強用ブレースの取付け部の性能確認と設計法、応答解析による補強設計の手順書作成などの成果を得た。
(13) LCサポートシステムに関する研究開発
設計施工提案型案件獲得に向けた省エネ効果の評価も可能なLCC(ライフサイクルコスト)算定システムの開発に、総合建設業13社共同で取り組み、算定プログラムを完成させた。今後は実務に適用し、信頼性の向上及びより使いやすくするための工夫を検討予定である。
(14) タイル剥離防止工法に関する研究開発
建物外壁面でタイルなどの仕上げ層の剥落により、建物の美観喪失や、落下個所での人的・物的災害につながる場合がある。本工法は、基布に繊維を植え込んだシートを型枠に貼付することにより、下地コンクリート表面に繊維が植え込まれ、その繊維がモルタル層に入り込むことによって、コンクリートとモルタルが機械的に結合される剥落防止技術である。本研究は、共研フォーラムでの共同研究として、性能証明の取得を目指しており、2016年度は、温冷繰り返し試験による接着耐久性の確認や、シートの貼り付け方法の出来形への影響などを確認した。

なお、連結子会社においては、建設事業に係る特段の研究開発活動は行っていない。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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