有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AH04
帝人株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
帝人グループでは、「社員の多様性を活かし、社会が必要とする新たな価値を創造し続け、未来の社会を支える会社になる」という長期ビジョンを掲げ、10年後の「目指す姿」を実現するための研究開発をグローバルな視野で推進しています。研究開発活動への積極的かつ効率的な投資を継続して実施しており、国内8ケ所、海外8ケ所のグローバル研究開発ネットワークにおいて、研究開発者が基礎研究を含めたグループ全体の研究開発戦略に基づく研究開発活動を推進しています。
10年後には、マテリアル事業領域とヘルスケア事業領域を2本の柱とし、それぞれの事業領域で基礎収益力の更なる強化を目指す「成長戦略」と、既存事業の延長線だけでなく「今はまだ利益に貢献していない新しい事業」を収益の柱とすべく、新規コアビジネスの確立を目指す「発展戦略」を、着実に実行することにより、新たな高収益事業を核とした事業ポートフォリオへと変革を進めていきます。長期ビジョンの実現に向けた、次の3か年における実行計画を明確にするために、2017年2月に中期経営計画「ALWAYS EVOLVING 2017-2019」を定めました。この計画の実現に向け、必要な基盤技術を強化・活用するとともに、技術や機能の融合・複合によりイノベーションを実現する「発展戦略」と、既存事業の中でも“環境価値ソリューション”、“安心・安全・防災ソリューション”及び“少子高齢化・健康志向ソリューション”を重点領域として収益最大化を図る「成長戦略」の推進のため、研究開発を着実に進めていきます。
組織体に関しては、成長戦略・発展戦略の加速を促すべく、研究開発体制を再編します。具体的には、素材関連事業を一つのマテリアル事業に統合し、事業間融合を図るとともに、新事業推進をマテリアルとヘルスケアに分割・吸収することにより連携を深めます。
また、産官学連携等のオープンイノベーションの推進、知財戦略や構造解析能力等、研究開発活動を支える機能・組織の見直しとインフラ機能の強化、技術系人財の育成を一層推進しています。
人財育成に関しては、複合材料・ヘルスケア関連分野を中心とした大学教授や研究者が集まるフォーラムの開催、学界・学術研究機関等の有識者による技術アドバイザリー会議の開催、国内外の最先端研究機関への若手研究員派遣等を積極的に推進しています。2010年度ノーベル化学賞を受賞され、帝人グループの名誉フェローにご就任頂いている根岸英一米国パデュー大学特別教授には、国内研究員のコンサルテーションを継続してお願いしています。
なお、当連結会計期間の研究開発費は354億円(前期比21億円増)でした。
また、報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。
帝人㈱で行うコーポレート研究(グループ共通の基礎研究及び新事業・新製品創出)では、帝人グループの発展戦略を実現すべく、素材技術・ヘルスケア技術・IT技術の融合により、新事業の創出を目指して研究開発に取り組んでいます。
また新たに機能性食品素材の分野として、スーパー大麦「バーリーマックス」の開発を推進しており、食物繊維、難消化性でんぷんを多く含むことによる整腸作用を臨床試験にて確認し、自社商品の試験販売も開始しました。
これらに係る研究開発費は86億円です。これらの費用については、各セグメントへの配賦は行わずに「消去又は全社」に表示しています。
10年後には、マテリアル事業領域とヘルスケア事業領域を2本の柱とし、それぞれの事業領域で基礎収益力の更なる強化を目指す「成長戦略」と、既存事業の延長線だけでなく「今はまだ利益に貢献していない新しい事業」を収益の柱とすべく、新規コアビジネスの確立を目指す「発展戦略」を、着実に実行することにより、新たな高収益事業を核とした事業ポートフォリオへと変革を進めていきます。長期ビジョンの実現に向けた、次の3か年における実行計画を明確にするために、2017年2月に中期経営計画「ALWAYS EVOLVING 2017-2019」を定めました。この計画の実現に向け、必要な基盤技術を強化・活用するとともに、技術や機能の融合・複合によりイノベーションを実現する「発展戦略」と、既存事業の中でも“環境価値ソリューション”、“安心・安全・防災ソリューション”及び“少子高齢化・健康志向ソリューション”を重点領域として収益最大化を図る「成長戦略」の推進のため、研究開発を着実に進めていきます。
組織体に関しては、成長戦略・発展戦略の加速を促すべく、研究開発体制を再編します。具体的には、素材関連事業を一つのマテリアル事業に統合し、事業間融合を図るとともに、新事業推進をマテリアルとヘルスケアに分割・吸収することにより連携を深めます。
また、産官学連携等のオープンイノベーションの推進、知財戦略や構造解析能力等、研究開発活動を支える機能・組織の見直しとインフラ機能の強化、技術系人財の育成を一層推進しています。
人財育成に関しては、複合材料・ヘルスケア関連分野を中心とした大学教授や研究者が集まるフォーラムの開催、学界・学術研究機関等の有識者による技術アドバイザリー会議の開催、国内外の最先端研究機関への若手研究員派遣等を積極的に推進しています。2010年度ノーベル化学賞を受賞され、帝人グループの名誉フェローにご就任頂いている根岸英一米国パデュー大学特別教授には、国内研究員のコンサルテーションを継続してお願いしています。
なお、当連結会計期間の研究開発費は354億円(前期比21億円増)でした。
また、報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。
高機能繊維・ 複合材料事業 | : アラミド繊維分野では、危険作業に従事する方々の安全確保に向けたソリューションとして、高視認性衣服の国際規格である「ISO 20471」に準拠する、視認性の高い新しいアラミド繊維織物を開発しました。この新しいアラミド繊維織物は、防護衣料の難燃性や耐久性を保ちながら、遠距離でも着用者を目視で確認できるだけの高視認性を付与することを可能とするものです。 また消防団員が着用する防火服向けに、新たにデニム調のアラミド繊維織物「Xfire DENIM」(エクスファイア・デニム)を開発しました。これにより、耐熱性や強度、快適性、高いデザイン性を兼ね備えた防火服の提供が可能となり、火災現場等での消防職員と消防団員の識別にも役立ちます。 ポリエステル繊維分野では、ポリエステル製タテ型不織布「V-Lap」を基材とする天井材「かるてん」を使用した、超軽量天井システムにおける新たな耐震工法「かるてんTB工法」を開発しました。この工法は、2015年6月に一般評定を取得した「かるてんTA工法」の軽量性や耐震性を保ちながら施工性を向上させたものです。また、「かるてん」は、昨年4月にオープンした「イオンモール今治新都市」の天井材として採用されています。 また、自社の高機能素材や技術を活かした快適性に優れる製品群を、新たに「Tcomfort(ティーコンフォート)」シリーズとして展開することとしました。そのブランドの第一弾として、高機能ポリエステルクッション材「エルク」、ポリエステル製タテ型不織布「V-Lap」を積層し、真空高温スチームでセットすることで密度調整、薄型軽量化、耐久性アップを実現する加工技術等、帝人独自の素材、技術を組み合わせることにより、優れたクッション性と快適な寝心地を実現した「Tcomfort」マットレスを開発し、発売しました。一方、帝人グループで人工皮革事業を展開する帝人コードレ㈱は、この度、自社が展開する人工皮革ブランド「コードレ」の新たなラインナップとして、仔牛の革であるカーフやキップ等の上質な天然皮革のような質感、重厚感、ならびに高い機能性を持つ新製品「MAESTLEY(マエストレ)」を開発しました。上質な天然皮革の代替製品として今春上市し、今後、自社が保有する最先端の複合技術を活かしてバリエーションの拡充を進め、シリーズ展開していきます。 炭素繊維・複合材料分野では、高収益・高成長分野での事業拡大を進めるため、ダウンストリームビジネスへの展開を引き続き加速しており、特に自動車用途においては、量産部品への適用を見据え熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)「Sereebo」の開発や、国内外の複数企業との共同開発を進めています。 更にこの度、シート・モールディング・コンパウンド(SMC)を用いた自動車部品でのグローバル最大手である米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationの全株式を取得し、完全子会社といたしました。自動車向け複合材料製品事業のTier1サプライヤーとして、優れた自動車部品設計・生産技術、 品質管理、ノウハウを持つ同社の獲得により、自動車メーカーのニーズを的確に把握するとともに、同社が有するガラス繊維複合材料(GFRP)や、当社が有するCFRTPといった高機能複合材料の特長を活かした部品提案を通じて、従来部品を超える付加価値の提供を目指していきます。 そのほか、昨年5月には欧米の自動車メーカーがTier1メーカーに対して認証取得を必須としている品質マネジメントシステム規格「ISO/TS 16949」の認証を取得する等、グローバル水準の自動車部品メーカーになるための体制構築を進めています。また北米を中心とした炭素繊維の需要増への対応として、新工場建設に向けた検討を推進しており、米国内での土地取得を完了しました。 またこの度、Continental Structural Plastics Holdings Corporationが、米国の自動車専門媒体「Automotive News」が主催し自動車産業における革新的な技術に贈られる賞で20年以上の歴史がある「PACE (Premier Automotive Suppliers' Contribution to Excellence) アワード」を受賞しました。受賞対象はシボレー「コルベット」2016年モデルの外板部材に採用された超軽量成形部材「TCA Ultra Lite」で、車体全体の軽量化を実現しています。素材の低比重化とアルミ等の金属と同等の表面平滑性の両立を実現しただけでなく、自動車の量産ラインにおいて必須である電着塗装にも適応可能となり、外板部材の塗装に要求される「クラスA」品質を実現しています。 当セグメントに係る研究開発費は44億円です。 |
電子材料・ 化成品事業 | : 樹脂分野では、コンパウンド樹脂の高機能化技術開発に注力しています。その一つとして、長年の課題であった成形品での外観不良や表層剥離を解決することで耐薬品性や軽量性の向上が期待できるポリカーボネート樹脂とポリプロピレン樹脂のアロイ化に成功しました。既に、本技術を用いたアロイ樹脂の外観部品用途での評価が進んでおり、住宅設備関係の水回り用途への採用を皮切りに、他の分野でも量産採用を目指しています。 また、透明性・耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂の特性を活かしつつ自動車樹脂グレージング用途で要求される耐擦傷性と耐久性を向上させる技術として、ラボレベルでのプラズマCVD(化学気相成長)法によるコーティング技術の開発を行ってきました。この度、実車サイズの成形品へのコーティング技術に目途が立ったことから、実車サイズのサンプル試作や限定車向けの少量生産等が行える設備を松山事業所に導入し、昨年末に稼動を開始しました。今後、用途や生産数を限定した製品提供体制を段階的に整備し、量産化を見据えた生産技術の確立に取り組み、早期の事業化を図ります。 フィルム分野では、関西大学と共同で世界初となる、ポリ乳酸の積層フィルムをロール状にした圧電体を開発しました。この圧電ロールは、数μmのポリ乳酸フィルムを数百~数千の間で巻回したもので、持続的に荷重をかけることで最大電圧の90%以上が最大2分程度持続するという特性を有する圧電体です。今後、顧客ニーズに応じた圧電性能や加工ノウハウを集積し、センサー用途や起電エネルギー用途を中心に、顧客との共同開発に取り組んでいきます。 当セグメントに係る研究開発費は34億円です。 |
ヘルスケア事業 | : 医薬品分野では、昨年7月に「ソマチュリン*1」について、「神経内分泌腫瘍」への効能・効果追加申請を行うとともに、2型糖尿病における新規の糖尿病性腎症治療薬として「TMX-049DN」の臨床開発(英国、第Ⅰ相)に着手しました。昨年8月には、小児における成長ホルモン分泌不全性低身長症を最初の予定適応症として、米国Versartis Inc.が創製した新規長期作用型成長ホルモン剤「VRS-317」の日本における独占的開発・販売契約を締結しました。昨年11月には、厚生労働省から「ソマチュリン*1」の甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍への適応拡大に向けた開発要請を受け、治験の1年以内の着手に向けて対応を開始しました。昨年12月には米国Amgen Inc.との間で新規腎疾患治療薬に関する共同研究・ライセンス契約を締結しました。本年2月には新規骨粗鬆症治療薬「ITM-058」の第Ⅲ相試験に、本年3月に新規高尿酸血症・痛風治療薬「TMX-049」の第Ⅱ相試験及び新規2型糖尿病治療薬「TMG-123」の第Ⅱ相試験に着手しました。 在宅医療事業分野においては、大阪大学等との産学連携で開発した磁気刺激装置について、医師主導による難治性神経障害性疼痛の治験を多施設において実施しています。昨年11月には上肢用ロボット型運動訓練装置「ReoGo-J」を上市しました。 当セグメントに係る研究開発費は183億円です。 *1 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。 |
製品事業 | : 帝人フロンティア㈱の「新事業開発室」において、現在ウェアラブル電極布技術を応用した用途開発や、纏う化粧品「ラフィナン」の商品強化に向けた技術開発・製品企画のほか、帝人グループ間の融合による環境・防災減災・介護ヘルスケア関連のビジネス案件についての商品開発を進めています。 当セグメントに係る研究開発費は7億円です。 |
帝人㈱で行うコーポレート研究(グループ共通の基礎研究及び新事業・新製品創出)では、帝人グループの発展戦略を実現すべく、素材技術・ヘルスケア技術・IT技術の融合により、新事業の創出を目指して研究開発に取り組んでいます。
また新たに機能性食品素材の分野として、スーパー大麦「バーリーマックス」の開発を推進しており、食物繊維、難消化性でんぷんを多く含むことによる整腸作用を臨床試験にて確認し、自社商品の試験販売も開始しました。
これらに係る研究開発費は86億円です。これらの費用については、各セグメントへの配賦は行わずに「消去又は全社」に表示しています。
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