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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AJBP

有価証券報告書抜粋 東レ株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究・技術開発は、有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーという当社が培ってきたコア技術をベースに、基幹事業である繊維、プラスチック・ケミカル事業の安定収益基盤強化・収益拡大を推進するとともに、成長する重点4領域(①環境・水・エネルギー、②情報・通信・エレクトロニクス、③自動車・航空機、④ライフサイエンス)に絶え間なく革新的先端材料を供給する役割を担っている。また、地球温暖化防止や環境負荷低減に対して、当社グループの総合力を発揮してソリューションを提供する新たな切り口で、さらなる成長を推進していく。
2017年2月に策定した中期経営課題“プロジェクトAP-G 2019”では、「グリーンイノベーション」、「ライフイノベーション」事業に重点を置き新技術・新素材を創出するとともに、そうした技術・素材の持つ本質的価値を顕在化させるための取り組みを進めることで収益を確保する。また、知的財産戦略による参入障壁の構築により技術競争力の優位性を堅持していく。

当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は次のとおりである。

(1) 繊維事業

基幹事業としての安定収益基盤の強化と収益拡大に向け、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進している。その成果として、当社が開発した、複合繊維の断面形状を任意にかつ高精度に制御する革新複合紡糸技術“NANODESIGN®”を適用して、超極細繊維特有の滑らかでしなやかな風合いを有しながら、コンパクトな嵩高性や伸縮性を併せ持ったポリエステル超極細微細捲縮テキスタイル“uts-FIT”を開発した。また、生体情報検知機能素材hitoe®の商品開発を推進し、生体情報の連続計測による「hitoe®作業者みまもりサービス」の提供を開始した。さらに医療分野での用途拡大のため、心電測定用製品の開発を進め、一般医療機器として独立行政法人 医薬品医療機器総合機構へ「hitoe メディカル電極」の届出・登録を完了した。

(2) プラスチック・ケミカル事業

基幹事業として安定収益基盤の強化と収益拡大、そして持続可能な循環型社会の発展に主眼を置いた研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、ポリアミドに、分子結合部がスライドする環動ポリマーの構造を組み込むことで、加えられた力を分子レベルで分散し、硬さや強さを保ちながらも、衝撃を受けても壊れにくいポリマー材料を開発することに世界で初めて成功した。また、経口プロスタサイクリン(PGI2)製剤 ラプロス®について、猫の慢性腎臓病治療薬としての製造販売承認を取得した。国内で「腎機能低下の抑制」を効能効果として承認を取得した薬剤はラプロス®が初めてである。そのほか、独自のバリア膜形成技術をベースに、当社現行品と同等の水蒸気バリア性を有しながらも、フレキシブル性を向上させたハイバリアフィルムを開発した。

(3) 情報通信材料・機器事業

戦略的拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として東レ水なし平版®と、当社のコア技術である機能性高分子設計技術を用いて新規開発した親水性ポリマーの適用により、揮発性有機溶剤を用いない究極のエコ印刷方式である水溶性インキを用いた水なしUV印刷システムを開発した。また、半導体型単層カーボンナノチューブにおいて、塗布型半導体として世界最高となる従来比2倍の移動度81cm2/Vsを達成した。この成果により、IoT時代において必須ともいえる通信距離の長いICタグであるUHF帯RFID等の高機能デバイスを、塗布技術により安価に製造できる可能性を世界で初めて示した。そのほか、「有機ELディスプレイ絶縁膜用ポジ型感光性ポリイミドの開発」について、財団法人大河内記念会より「第63回(2016年度)大河内記念生産賞」を受賞した。

(4) 炭素繊維複合材料事業

当社の代表的ナンバーワン事業であり戦略的拡大事業として、グリーンイノベーション事業拡大、アジア・新興国及び米州での事業拡大のための研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、次世代の航空宇宙用途向けに引張強度と耐衝撃性を従来材対比30%向上させた、世界最高性能のトレカ®プリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)を開発した。本技術はこれまでトレードオフの関係にあり難易度が高いとされてきたマトリックス樹脂の弾性率と靭性を両立させることで、極低温から高温までの使用環境において世界最高性能を発現し、航空宇宙用途で要求される厳しい環境下においても力学特性の大幅な向上が可能となる。そのほか、「反応誘起型ナノ相分離エポキシ樹脂と高性能CFRPの開発」について、公益社団法人日本化学会より「第65回(2016年度)化学技術賞」を受賞した。

(5) 環境・エンジニアリング事業

情報通信材料・機器、炭素繊維複合材料に続く次の収益拡大の柱とするために、重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、水処理関連では、東京大学物性研究所と共同で、これまで未解明であったRO膜の細孔中における水分子の状態と拡散の挙動の詳細解析に取り組み、水分子の動的挙動計測と計算化学の両面から、細孔中の水運動性を明らかにした。本解析結果を活用し、革新省エネルギーRO膜の開発など、先端分離材料の開発を加速していく。また、「高機能性逆浸透膜の開発」について、「第15回GSC(グリーンサステイナブルケミストリー)賞」の「経済産業大臣賞」「環境大臣賞」をダブル受賞した。今回の受賞は、高水質・省エネ特性を飛躍的に向上させた高機能性RO膜を日本発の技術として世界的に展開し、地球規模で深刻化する水問題に対して大きく貢献したことが、グリーンサステイナブルケミストリーの発展に寄与したことを高く評価されたものである。

(6) ライフサイエンス事業

重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んでいる。その成果として、固形がんに対する治療薬として当社が独自に開発を進めてきた「TRK-950」について、米国での第I相臨床試験を開始した。今後、欧米でのグローバルな臨床開発を展開し、First-in-class(画期的医薬品)のがん治療薬として、早期承認取得を目指す。また、血液透析患者、慢性肝疾患患者におけるそう痒症改善剤(既存治療で効果不十分な場合に限る)の「レミッチ®*カプセル2.5μg」市場に、新たな剤形として、口腔内崩壊錠の「レミッチ®*OD錠2.5μg」の製造販売承認を取得した。本剤の上市により、患者様の服用の選択肢が広がることとなる。

*レミッチ®は鳥居薬品㈱の登録商標である。


上記セグメントに属さない基礎研究、基盤技術開発として、「全ての事業戦略の軸足を地球環境におき、持続可能な低炭素社会の実現に向けて貢献していく」という経営方針の下、環境関連では、サトウキビ製糖工場で発生するバイオマスを原料とする菌体リサイクル型連続発酵プロセスによるエタノール製造技術において、水処理膜技術とバイオ技術を融合した「膜利用発酵プロセス」のスケールアップ実証に成功した。今回の実証により、従来プロセスに比べ約10倍の高い生産速度で効率よくサトウキビからエタノールを生産することが可能になり、また収量が10~20%向上することでエタノールの増産も可能になる。また、創立90周年記念の一環として創業の地である滋賀事業場に新たな研究拠点として、「未来創造研究センター」の整備を開始した。「未来創造研究センター」では、当社グローバル研究のヘッドクォーターとして、未来社会に必要な機能や仕組を探究し、材料の強みを活かしたコトづくりの実現を目指す未来創造型研究・技術開発を推進・強化していく。

当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、592億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は419億円)である。セグメント別には、繊維事業に約9%、プラスチック・ケミカル事業に約14%、情報通信材料・機器事業に約19%、炭素繊維複合材料事業に約11%、環境・エンジニアリング事業に約5%、ライフサイエンス事業に約8%、本社研究・技術開発に約34%の研究開発費を投入した。
当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,651件、海外で3,981件、登録された件数は国内で613件、海外で1,776件である。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00873] S100AJBP)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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