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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1009Y68

有価証券報告書抜粋 株式会社クラレ 研究開発活動 (2016年12月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。
2015年度よりスタートした中期経営計画「GS-STEP」に掲げた「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ企業」の実現を目標とし、技術革新を通じ新たな製品・用途開発を行うことで業容を拡大していきます。「GS-STEP」では「強い素材の開発と成形加工技術の深化・横展開」、「社内で保有しない技術の外部活用」、「カンパニーと関係会社の協働強化」を重点方針として掲げています。本方針に基づき、新事業創出を目指す「高い市場成長力」をもつ分野として定めた、環境(水処理を含む)、エネルギー、光学・電子材料の重点領域において、早期に収益への貢献を果たすことを目指します。
コーポレート研究開発は、くらしき研究センター、つくば研究センター及びクラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC:米国及びドイツ)を擁し、世界規模の体制で運営しています。生産技術に関しては、技術開発センターにおいて「原理原則と現場感覚の最適融合」による生産技術開発を推進しています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発とディビジョン研究開発は密接に連携し、基幹事業の強化及び新事業の開発加速のために活動を推進しています。これらを合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は957人です。当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート5,943百万円、イソプレン1,724百万円、機能材料2,034百万円、繊維1,653百万円、トレーディング153百万円、その他1,058百万円、全社共通(コーポレート研究開発)7,262百万円、合計19,830百万円になります。

セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。
[ビニルアセテート]
・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、樹脂の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。
・ポバール樹脂は当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として日米欧亜の6工場を中心としたグローバルネットワークを強みとして市場開発を推進しています。自消、外販両面で安定かつ高い品質の原料供給を基本とし、クラレ発の新規技術を積極投入や技術サービスネットワークの強化により付加価値の高いビジネス機会を提案します。
・PVBフィルムは、グローバルな研究開発体制を強化しており、自動車用途・建築用途の高付加価値品の開発を進めています。また、グローバル体制を生かし、社外と連携した活動も各極で推進しています。
・ガスバリア材料では、既存銘柄に加え、スーパーバリア材料AP、コーティング系透明バリアフィルムなど食品包装用途を中心に更なる用途拡大を目指します。また、プラスチック製燃料タンクや土壌燻蒸用フィルム用樹脂、家庭用冷蔵庫などに使われる真空断熱板用のフィルムなど、省エネルギー・地球環境保全に貢献する製品を積極的に展開していきます。
・2015年に買収したPlantic Technologies Limitedのでんぷん系バリアプラスチック事業に関しては、原料、成形技術に遡った研究開発を行い、新規製品の上市による市場拡大を加速することで、上記の既存バリア材料事業とのシナジー効果を早期に発現させます。
[イソプレン]
・エラストマー関連では、植物由来の原料ファルネセンを用いた液状ゴム及び熱可塑性エラストマーを開発しています。液状ゴムは、高機能タイヤの「グリップ性能」「耐摩耗性」等の向上が評価され、国内メーカーの2016年モデルに採用されました。海外大手タイヤメーカーでも評価が進んでおり、更なる採用拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を進めていきます。
・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーをさらに進化させた化学品として、香料、溶剤や特殊インキ関連の材料開発、ならびに精密有機合成技術を基盤にした新規材料など機能性化学品の創出に取り組んでいます。
・耐熱性ポリアミド樹脂では、自動車樹脂部品の複合化に伴い普及しつつあるレーザー溶着に対応したレーザー透過グレードを開発し、自動車の冷却部品への販売拡大が進んでいます。また、新規に開発したハロゲンフリー難燃銘柄は幅広い厚みで難燃性を確保でき、電気電子部品用途の市場拡大が進んでいます。
[機能材料]
・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。
・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラントに吸収性骨再生用材料を加え、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。
・人工皮革については、環境対応型革新プロセス(CATS)による特長を生かした新商品開発により、販売拡大が進んでいます。
[繊維]
・PVA繊維については、革新プロセス(VIP)によるフィラメントの実証プラントを建設し、国内外の顧客にて実用化試験の段階に入っています。現在は、高強度フィラメントや新しい繊維の開発を進めています。FRC(セメント補強材)は、欧州の農業向け波板の需要が低迷するも、アスベスト非使用製品が本格化する中南米など新興国を中心に拡販に努めます。また、軽量な成型品の量産化技術がほぼ完成し、アジア地域での実販化を目指します。
・高強力繊維については、高採算の中細繊度品が伸長し、収益を確保しました。

・新型不織布については、伸縮包帯用途は欧州での実販を機に、海外での展開を加速しています。またバイオクリーンルームを新設し、メディカル分野への展開を強化します。
・難燃繊維(ポリエーテルイミド繊維)は、耐熱性、低発煙性や分散染料可染等の特長を生かして、航空機用インテリアや資材に採用されました。原料メーカーや欧州大手繊維メーカーとの協働によって、更に各種航空機用資材や防護資材への展開を進めます。
[トレーディング]
・ポリエステル長繊維では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂を用いた水溶性繊維とウールを複合した、②高白度でありながら透け防止性能に優れる など、環境に優しい、高機能性をキーワードにした独自素材の開発に注力しています。
[その他]
・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収、海洋生態系保全のための海水処理などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。
・クラレケミカル株式会社では、「Ecology & Amenity」を企業コンセプトとし、「環境・エネルギー」分野をメインターゲットに、活性炭や炭素材料を用いた新規用途開発に取り組みました。なお、炭素材料事業の早期拡大を企図して、クラレケミカル株式会社は当社に吸収合併され、2017年1月からは炭素材料事業部として引き続き開発に取り組んでいます。
・クラレプラスチックス株式会社では、当社の研究・開発部門と連携し、家電・電子部品、自動車部品、建材、生活用品、メディカル、スポーツ用品等用途でのスチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド、同コンパウンドをべースとしたフィルム・シートや不織布等の二次製品、エバールフィルムに特殊コーティング加工をした新規フィルム、成型加工技術を利用したスマートハウス向け断熱換気ダクトや土木用途を中心とした繊維複合ホース等の開発を推進しています。
[コーポレート研究開発]
・コーポレート研究開発は、市場成長が期待される「水・環境」、「エネルギー」、「電子・光学」分野を重点注力分野とし、新規事業の創出と育成に注力しています。また、当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。2016年度はとが中心となり、欧米・アジア各拠点との連携強化を図りました。各拠点に点在する研究開発ニーズや技術課題の共有、これまで当社が蓄積してきた分析技術の海外拠点での活用などを進め、コーポレート研究開発とディビジョン研究開発のグローバルレベルでの連携が本格的に始動しました。
・リチウムイオン二次電池(LiB)の研究開発・市場開発に関し、クラレケミカル株式会社と株式会社クレハの子会社である株式会社クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパンによる生産合弁会社である株式会社バイオハードカーボンを2016年4月に当社に吸収合併し、当社グループ単独事業として改めてスタートしました。植物を原料とし当社独自炭素構造由来の低吸湿、耐酸化性を備え、黒鉛に迫る電気容量のハードカーボンを中心に、新たに当社ポリマー技術より低抵抗を特徴とする水系バインダーを加え、急速な拡大が見込まれるハイブリッド車や電気自動車などの車載用市場向けの電池負極材の開発を一層加速していきます。
・当社コア技術を用いて水処理膜として有益な新規イオン交換膜を開発しました。急速に工業発展している中国やインド等の新興国においては、水不足や水質汚染が年々深刻化しており、産業排水の再生・再利用の観点から排水をゼロにする技術(ZLD:ゼロ・リキッド・ディスチャージ)が注目されています。当該技術に適応できる新素材の研究開発を進め、水回収率及び排水濃縮率が高く、膜汚染に対する耐久性が高い、ポリビニルアルコール系の水処理膜の開発に成功しました。国内外の水処理エンジニアリング会社と連携して、工場排水を用いたパイロット試験と市場開拓を進めています。
・新規アクリル系の特殊フィルムの開発において、アクリルの透明性を生かしながら、新たな機能を付与させた製品の用途開拓を推進しています。展示会においては、多くの顧客からサンプル供給の要求を受けるなど、注目を集めています。光学や加飾分野での採用が見込まれ、市場投入に向けた販売体制の準備を進めています。
・当社独自技術による新規光硬化性エラストマーを新たに開発しました。当社独自の高分子技術により、エラストマー部と光硬化性部の分子量や配列を自在にコントロールし、これまでの光硬化性樹脂にはない優れた硬化性と柔軟性の両立を実現しました。アクリル系由来の「透明性」「耐候性」「接着性」などの特長を持つとともに、柔軟性と強度の制御が自在、各種モノマーとの配合の自由度が高い、硬化時に収縮しにくく、寸法安定性が良好等の優れた特長も併せ持っています。粘・接着剤、コーティング剤、成形材料等の領域で市場展開を加速していきます。
・電材事業として、①高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルムの事業拡大、及び②半導体製造工程で用いられる高性能CMP(化学機械研磨)パッドの事業化を進めています。①の液晶ポリマーフィルムは、高周波特性が求められる車載用途で数量が拡大しました。②の高性能CMPパッドは販売が始まり、さらに複数の半導体メーカーにて評価が進捗しています。
・微細パターン設計・成形技術を用いた微細パターン付きフィルムを開発し、アミューズメント用途や次世代自動車ディスプレイ用途等での市場開拓活動を進めています。バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)といった用途でマイクロレンズアレイフィルムの採用実績も出てきており、更なる市場拡大を目指し、新しいニーズに合った商品開発を更に加速しています。
・光学設計技術、及び、金型設計技術を活かしたPMMA製導光板をエッジライト方式のLED照明用途へ展開しています。高い照度、配光特性のコントロール及び異方出射特性を有するLED照明器具の開発に成功し、省エネ化、薄型化、軽量化された照明器具への採用実績が出てきており、更なる市場拡大を目指し、大手照明メーカー、設計事務所、及び、大手建設企業との共同開発を進めています。
・当社の微細成形技術を用いて開発したマイクロ空間細胞培養プレートの市場評価が進み、がんの創薬スクリーニング用途、及び、再生医療細胞培養用途での採用実績が徐々に出てきています。将来の市場拡大に向けて、産学官連携プロジェクトへも積極的に参画しています。また、主戦場である米国展開に関しては、大手メディカル商社との提携を模索しており、ローカル化を加速しつつあります。
・オープン・イノベーション推進部を設立しました。2011年開設のシリコンバレーの拠点とリンクさせ、これまで作り上げたネットワークを通して得られた社外提携の種を当社の既存技術や事業と融合させることで、新しいイノベーションを興す作業を進めています。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00876] S1009Y68)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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