有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1009QVM
日本ペイントホールディングス株式会社 研究開発活動 (2016年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、経営ビジョンとして以下の3点を掲げております。
・我々は、塗料をコアに、優れたスペシャリティケミカル製品とサービスを提供し、お客様に満足と感動を届けます
・我々は、世界各地域の文化と人々の価値観を尊重し、グローバルに成長します
・我々は、果敢にチャレンジする人材が集まり、いきいきと働ける企業風土を追求します
このビジョンのもと、「顧客付加価値の創造」、「環境配慮型商品の開発」はもとより「新たな需要創出のための調査及び技術活動」、「安価製造のための技術開発」さらには「海外展開を見据えた技術活動」を第一の使命と考えて研究開発を推進しております。
当社グループは、各分野において最適化した独自の研究開発・商品開発を行っていると同時に、技術共有、情報交換など互いに連携を強化することにより、グループ全体としての効率性を、常に高め活動しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は120億37百万円であり連結売上高に占める割合は2.6%です。主な研究開発活動の概要及び成果は次のとおりであります。
(1)日本
当地域では、自動車用塗料・工業用塗料・汎用塗料・自動車補修用塗料・船舶用塗料・ファインケミカルを中心に研究開発活動を行っております。自動車用塗料においては、お客様により嬉しさを感じて頂ける塗膜価値を提供することを命題に、機能性や意匠価値を付与した高付加価値商品の市場導入を進めております。機能面では、耐擦り傷性を付与したクリヤー塗膜や、世界で初めて遮熱機能を有した塗膜を自動車ボディに採用頂いております。意匠面では、D-LOG(自動車の内外装の意匠価値を高めていく新色開発活動)を通じて、マットクリヤーや積層塗膜プレミアムカラーの多色拡大など、従来にない意匠価値を新たに提供しております。環境面では工場から排出されるCO2削減に取り組んだ中上塗料や、将来に向けた新規防錆システムの開発を促進しております。高機能、新規意匠、新工程システム、環境配慮を軸に、将来に向けた材料開発を実施しております。
工業用塗料においては、VOC(揮発性有機化合物)排出削減などの環境規制の強化が進む国内外の社会情勢のもと、水性塗料・粉体塗料・ハイソリッド塗料などの環境配慮型商品での当社戦略が成果を発揮しております。粉体塗料では、特殊ボンディング技術を基本としたメタリック粉体塗料「多彩ビリューシアメタフィール」、ヤニ低減低温硬化型粉体塗料「ビリューシアエコレア」、粉体調色システム「ビリューシアアルティーカラー」などが拡大に寄与いたしました。水性塗料では顔料の沈降を抑え、沈降防止に必要な攪拌の為の電力エネルギー量を大幅に削減できる省エネ電着塗料「パワーフロート」が順調に市場展開しております。
また、1回塗りで厚膜化を可能とする省工程タイプの1液速乾万能型下塗り塗料「パワーバインドアルファ」、さらに特化則に対応した「パワーバインドTK」を発売し好評を得ております。低汚染化剤「オーデナノガード」や無機有機ハイブリッド樹脂による長期耐候性塗料「オーデパワー」も住宅外装建材市場で確実に実績を挙げております。グローバル化が進む家電業界の輸出に関するRoHS指令対策用としては、重金属削減塗料「エコ」シリーズを展開し、従来、微量不純物として含まれていた鉛などの規制対象元素の分析結果を提出して、安心してお使いいただける塗料として好評を博しております。 プレコート用塗料については顧客ニーズにいち早く対応すべく、環境配慮型クロメートフリー塗料の研究開発を推進しており、今後とも地球に優しく付加価値の高い商品開発に邁進していきます。
汎用塗料においては、高付加価値商品や環境配慮型商品の開発に注力してまいりました。建設塗料分野では、高い仕上がり感と耐候性が特長の住宅塗替え用塗料「パーフェクト」シリーズのラインナップとして、新たにベランダ・屋上用塗膜防水材「ニッペ パーフェクトプルーフ」、屋根用水性遮熱塗料「ニッペ パーフェクトクーラー」を上市しました。「外壁・付帯部・屋根・内装からベランダ・屋上までまるごとパーフェクトシリーズ」のコンセプトが好評を得て、順調に拡大しております。また、「パーフェクトシリーズ」ブランドの内装用シリーズとして、クロスにはない独創的な意匠性、健康・快適な室内空間創出に貢献する塗膜機能を付与した「ニッペ パーフェクトインテリアシリーズ」を上市しました。鉄構・コンクリート塗料分野では、国立研究開発法人 土木研究所との共同開発にて、コンクリート構造物の保護と視認性による維持管理を両立させる厚膜柔軟形特殊クリヤー被覆工法「タフガードクリヤー工法」を業界で初めて上市し、新たな製品として市場より高い評価を頂いております。また、橋梁やプラントなどの重防食領域向けとして、下塗りから上塗りまでのオール水性化に業界で初めて成功した「ニッペ水性防食システム」の品揃えとして防食下地の水性有機ジンクリッチペイント「水性ジンキー8000HB」を上市し、市場より高い評価を頂き、実績を拡大しております。
自動車補修用塗料においては、e3(EASY×EXCITING×ECOLOGY = e3(イーキューブ))コンセプトを開発方針とし、粘性制御技術を駆使した次世代型水性「nax e3WB」、仕上がり外観を重視した環境配慮型クリヤー「nax e3
GLクリヤー」を市場導入し高い評価を頂いております。また、きめ細かで平滑性の高い仕上がりを実現する「Flat & Smoothテクノロジー」を搭載し、特化則やPRTR制度に対応した「naxマルチエコ(3:1)FSクリヤー」を上市しました。今後とも、高付加価値、環境配慮型商品の開発を進めてまいります。
船舶用塗料においては、イルカの皮膚やマグロの表面状態からヒントを得て、塗装表面の摩擦抵抗を低減できるニューテクノロジー防汚塗料「LF-Sea」を開発し、日本ペイントマリン(株)より販売しております。実際の船舶での実験で、現在の一般的な自己研磨型船底塗料よりさらに数%の燃費低減効果があることが確認できており、世界中で注目を集めておりますが、さらに10%の燃費低減を目指した「A-LF-Sea」を2013年4月から市場導入しました。「A-LF-Sea」および「LF-Sea」の採用拡大とともに、環境保全、就航船の燃費低減に寄与しています。
ファインケミカルにおいては、金属表面処理剤で市場のニーズが高まっている機能性表面処理技術、及び環境配慮型技術を中心とした開発と製品の市場導入を進めております。熱交換器用では高機能親水化処理剤を開発し、国内外での採用の実績が拡大しております。亜鉛メッキ鋼板用ではノンクロム型処理剤を開発し、建材分野に導入が順調に進展しております。また、自動車分野や工業用分野に関しては、燐酸や有害な重金属を含まずスラッジが大幅に低減できる新化成処理剤システムを開発し、市場導入実績も順調に拡大しております。
塗料技術をベースにした機能性コーティング材料においては、新規凹凸形成技術や表面に耐指紋性を付与する技術を中心とした光学フィルム向けのコーティング材料を開発し、国内での採用の実績が拡大しております。さらに、環境・エネルギー分野を対象に、環境保全と資源エネルギー消費量低減に貢献する新たな機能性コーティング材料の市場導入にも取り組んでおります。
当地域における研究開発費用は35億2百万円であります。
(2)アジア
当地域では、NIPSEA各社の技術拠点と共同で自動車用塗料・工業用塗料・汎用塗料・自動車補修用塗料などの研究開発活動を行っております。自動車用塗料においては、中国、東南アジア各国で現地法人との協業を推進するとともに環境配慮型水性塗料を拡大展開しており、市場での認知も進んでおります。同時に、各国での現地生産も進んでおり、地産地消の方針のもと現地生産比率向上にも取り組んでおります。また、東南アジアで需要が高い二輪向け塗料については、現地ニーズに対応した商品開発が現地主体で完了し、すでに供給が始まっております。インドにおいては、新たな体制で取組みを始め、シェア拡大に向けて現地強化を進めております。
工業用塗料においては、日本で培った環境配慮型商品の技術を軸にNIPSEA各社と連携し、現地のマーケット仕様に適応した商品開発(水性塗料、電着塗料、およびUV硬化型塗料等)による事業領域の拡大を進めてまいります。
汎用塗料においては、主力である住宅内装用塗料において、居住者の安全性・快適性の向上に重点を置き、VOC(揮発性有機化合物)を含まない塗料や防虫塗料、抗ウィルス塗料などの開発を行なっております。また、施工時の作業性を向上させる塗装用具(刷毛、ローラー)の開発を進めております。
自動車補修用塗料では、国内展開と同時に次世代型水性塗料「nax e3WB」の評価が完了し今後積極的に市場展開を進めてまいります。また中国においては自社製樹脂の設計・生産技術を確立し、現地のコストニーズに見合った商品をタイムリーに提供できる体制を整え、既に生産を開始しております。
当地域における研究開発費用は75億84百万円であります。
(3) 米州
当地域では、自動車用塗料を中心に研究開発活動を行っております。自動車用塗料においては、高機能付加価値塗料の展開が進んでおります。高い要求品質に応えられる現地支援体制を整え安定供給に努めております。
当地域における研究開発費用は3億50百万円であります。
(4)その他
当地域では、自動車用塗料を中心に研究開発活動を行っております。自動車用塗料においては、欧州系自動車メーカーに対して現地で生産された電着塗料の供給及び拡大が進んでおります。従来の日系顧客だけでない新たな顧客として、更なる商品拡大に繋げる活動を引き続き進めております。
当地域における研究開発費用は5億99百万円であります。
今後も引き続き、日本での研究開発で培った技術を各国へ展開し、グローバル市場に向けての技術開発・商品開発に取り組むとともに、さらなる製造コストの低減、安定した品質の確保に取り組んでまいります。
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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