有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100A097
シンバイオ製薬株式会社 事業等のリスク (2016年12月期)
当社の事業活動においてリスクとなる可能性があると考えられる主な事項について記載しています。また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する積極的な情報提供の観点から開示しています。当社は、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載を慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクへの全てを網羅するものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、本書発表日現在において当社が判断したものです。
① 医薬品の開発事業全般に関するリスク
当社は、製薬企業、バイオベンチャー企業等が創出した新薬候補品を導入し、これらを医薬品として開発する事業を主たる業務としています。医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、更に当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造及び販売に至る過程には多くの規制が存在し、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在及び将来における事業についてもこのようなリスクが付随しています。ア.医薬品開発の不確実性について
一般的に、製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要し、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。従って、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。また、開発に成功し、上市された後も、定期的または臨時で当該時点における医学・薬学等の学問水準に照らして、有効性及び安全性を確認するために再評価が行われ、有用性が認められないとされた場合、あるいは重篤な副作用等により健康被害が拡大する恐れがある場合(詳細は「カ.副作用に関するリスクについて」を参照)には、有用性または副作用を原因として承認が取り消されるリスクがあります。このようなリスクを低減・分散するため、当社ではパイプラインを複数保有するとともに、極力ヒトでPOC(注1)が確認された開発候補品を優先して導入するよう努めていますが、当社のような小規模な製薬ベンチャー企業にとって、ひとつの開発候補品がパイプラインから脱落することの影響は大きく、その場合当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。(注1) POC(Proof of Concept)とは、新薬候補物質の有効性や安全性を臨床で確認し、そのコンセプトの妥当
性を検証することを意味します。
イ.収益の不確実性について
当社が開発を進めている製品から収益を得るためには、当社単独あるいは第三者と共同で、これら新薬候補品の開発、規制当局からの承認、製造及び販売のすべての段階において成功を収める必要があります。しかしながら、当社は、これらの活動において、必ずしも成功しない可能性もあり、また、成功したとしても当社の事業を継続するために必要な採算性を確保できない可能性もあります。当社が現在開発を進めているパイプラインのうちSyB L-0501については2010年10月27日に再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として国内製造販売承認を取得し、抗悪性腫瘍剤トレアキシン®として同年12月に販売を開始しています。また、その追加適応として、未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病を目標効能とした国内製造販売承認申請を2015年12月に行い、慢性リンパ性白血病については2016年8月に、未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫については同年12月に製造販売承認を取得しております。更に、再発・難治性の中高悪性度非ホジキンリンパ腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験を終了しております。リゴセルチブについては、SyB L-1101(注射剤)で再発・難治性の高リスクMDSを目標効能とした国内における国際共同第Ⅲ相試験を、SyB C-1101(経口剤)で高リスクMDSを目標効能としたアザシチジンとの併用による国内第Ⅰ相臨床試験をそれぞれ実施しています。2015年10月にライセンス契約を締結した自己疼痛管理用医薬品 SyB P-1501については、入院期間中の短期術後急性疼痛管理を適応対象とした第Ⅲ相臨床試験を進めております。当社はこれらの開発を推進し、製品上市に至ることにより収益を獲得するべく事業活動を行っています。また、開発品によっては開発・販売に関して他の製薬企業と提携契約を締結し、早期に収益化を図ることも想定しています。しかしながら、これらのパイプラインが製品として上市するまでには相当の時間を要することが予想され、また、製品として上市される、あるいは他の製薬企業と提携契約を締結できる保証はありません。なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の医薬品の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。ウ.遵守すべき法的規制等及び医療保険制度等の不確実性について
当社が参画する医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事に関する法律及び薬事行政指導、その他関係法令等により様々な規制を受けており、当社は医薬品医療機器等法をはじめとする現行の法的規制及び医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提として事業計画を策定しています。しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでの間、これらの規制や制度・価格設定動向等が変更される可能性もあります。もしこれらに大きな変更が発生した場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。エ.海外における開発・販売に関するリスクについて
当社は日本のみならず、経済成長とともに医療ニーズの拡大が予想されるアジアをはじめとしたグローバル地域についても戦略事業地域として位置付け、医薬品事業を展開しています。海外市場においても、医薬品の開発・販売事業の展開に際し、一般的に多額の資金と事業リスクを伴うため、当社では開発品によっては海外の開発権、販売権を他の製薬企業等に導出し、投資資金及び事業リスクの低減を図っています。当社が保有する権利の導出にあたっては、慎重にデューディリジェンスを実施した上で企業選定を行い、かつ導出後も適宜モニタリングを実施していますが、導出先の経営状況や各国の規制、競争環境等の変動により、当初期待していた通りには開発、販売が進捗せず、計画通りのマイルストーン収入、ロイヤリティ収入等が得られないことにより、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。オ.医薬品業界の競合関係について
医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの製薬企業や研究機関等により、激しい競争が繰り広げられており、その技術革新は急速に進歩している状態にあります。これらの競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財政状態等が当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産・販売する可能性があります。従って、これら競合相手との開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果次第で、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。カ.副作用に関するリスクについて
医薬品は、臨床試験段階から市販後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。これらのうち重篤または予期せぬ副作用が発現した場合、賠償問題の発生や、状況次第では臨床試験の遅れ、開発中止に至るリスクを伴います。更に、健康被害が拡大する恐れがある場合、承認取消・販売中止に至るリスクを伴います。賠償問題に関しては、当社は必要な損害保険に加入することにより、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限に留めるべく対応していますが、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できません。このような場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。キ.製造物責任について
医薬品の開発及び製造には、製造物責任賠償のリスクが伴います。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事項が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社及び当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。② 当社の事業遂行上のリスク
ア.当社のビジネスモデルについて
当社は自社で研究設備・製造設備は保有せず、がん、血液、ペインマネジメント領域における希少疾病分野(注2)を中心に、主にヒトでPOCが確立された開発候補品を製薬企業、バイオベンチャー企業等より導入し、これらを日本並びにアジア諸国(中国、韓国、台湾及びシンガポール等)、更にはグローバルで医薬品として開発・販売することにより収益化を図るビジネスモデルを採用しています。また、パイプラインの開発・販売においては、製薬企業と提携することも計画しています。しかしながら、これらの条件を満たす開発候補品を継続的に導入し、また、これらの提携先企業を確保できる保証はありません。また、導入候補品(注3)については主に希少疾病分野を対象としていることから、当社が期待する売上高が確保できない可能性もあります。更に、導入元の企業における開発が遅延または失敗した場合、日本における開発に影響が出る可能性があります。このような場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。上記に加えて、医薬品業界の競争環境や、当社の財政状態等の変化に伴い、今後、当社のビジネスモデルの変更を余儀なくされる可能性があります。その場合、当社の事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。(注2) 希少疾病分野とは、患者数が少ない疾病分野のことで、この分野に対する医薬品は希少疾病用医薬品
(Orphan Drug:オーファンドラッグ)と呼ばれます。厚生労働省はオーファンドラッグ制度を設定
し、我が国において患者数が5万人未満の重篤な疾病であること、医療上特にその必要性が高いこと
をその指定の基準としています。当該指定を受けると、申請から承認までの期間が短縮され、再審査
期間が10年になる等の優遇措置があります。
(注3) 導入候補品とは、当社の開発候補品として他社より開発権等の権利取得を検討している化合物または
製品を指します。
イ.特定の取引先への依存度について
当社は生産設備を持たない製薬ベンチャー企業であるため、開発品の臨床試験並びに上市後の販売においては他社より製品の供給を受けることとなります。この場合、製品供給元の財政状態、生産状況などによっては、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、パイプラインの開発・販売については、将来的には自社で販売する計画はあるものの、現時点では製薬企業との提携に重点を置いた事業計画を有しています。しかしながら、相手先企業の経営環境の極端な悪化や経営方針の変更など、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、当初の計画通り事業が進捗しない可能性があります。また、契約書に定められた契約解除事項に抵触した場合等には、期間満了前に終了する可能性もあります。その場合には当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、一般に当社のような製薬ベンチャー企業の提携においては、製品上市前の収益として、「契約一時金」「開発協力金」「マイルストーン」を見込むものとなりますが、このうちマイルストーンは所定の成果達成に基づく収益であることから極めて不安定で予測の困難な収益であり、開発の進捗に遅延等が発生した場合には当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。ウ.知的財産権に関するリスクについて
当社は医薬品の開発活動において様々な知的所有権を使用していますが、これらは基本的に製薬企業、バイオベンチャー企業等より使用許諾を受けた権利です。しかしながら、当社が導入する開発候補品について、導入元企業における出願中の特許が登録に至らない可能性があります。また、当社が使用許諾を受けた知的所有権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性を完全に回避することは困難であり、こうした結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。当社は、今後も知的財産権に関する問題を未然に防止するため、開発候補品の導入にあたっては、弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施していきますが、第三者の知的所有権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難であり、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社が導入する開発候補品は、必ずしも特許で保護されているとは限りません。もっとも、当社の開発候補品が特許を有していない場合であっても、当該開発候補品が規制当局より製造販売承認の際に再審査の指定を受けた場合には、再審査期間は後発医薬品の参入が実質的に制限されるため、一定期間市場独占的な保護を受けることとなります。エ.情報管理について
当社パイプラインの開発並びにその他事業遂行等に関する重要な機密情報が流出するリスクを低減するために当社は、役職員、科学的諮問委員会(SAB)メンバー、外注委託先、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するなど、厳重な情報管理に努めています。しかしながら、役職員、SABメンバー、外注委託先、取引先等によりこれが遵守されなかった場合等には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、このような場合には当社の事業や財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。オ.重要な契約に関する事項
当社の事業展開上重要と考えられる契約につき、将来、期間満了、解除、その他何らかの理由により契約の終了が生じた場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。③ 組織に関するリスク
ア.社歴が浅いことについて
当社は、2005年3月に設立された、社歴の浅い企業です。また当社は、創業時より開発候補品の導入活動を開始し、ゼロベースから医薬品開発事業を立ち上げ、2010年8月に、創業以来初となる製品売上による収益を計上しました。今後、未だ経験していない事業上のトラブルが発生する可能性はありますが、当社の業績に影響を及ぼすような外部環境の変化を予想することは現状においては困難です。従って、今後当社が成長を続けられるか等を予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績だけでは、不十分な面があると考えられます。イ.小規模組織であることについて
当社の研究開発活動については、業務受託企業(CRO(注4)等)を活用することにより、比較的少人数による開発体制を敷いていますが、今後の既存パイプラインの開発推進及び新規開発候補品のパイプライン化に伴い、更なる研究開発人員の増加が想定されます。しかしながら、何らかの理由により業務受託企業との関係が解消された場合や、計画通りの人員の確保ができない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。(注4) CRO(Contract Research Organization)とは、製薬企業が、自社で実施する開発業務を遅滞なく進める
ために、一部の業務について委託を行う機関です。委託業務の内容としては、治験が実施計画書どおり
に遂行されているかをモニタリングするモニター業務や、臨床データを管理するデータ管理業務などが
あります。
ウ.特定人物への依存度について
当社の代表取締役社長の吉田文紀は、当社創業者として、創業当時より経営全般にわたる事業の推進者として中心的な役割を担ってまいりました。従って、何らかの理由により、同氏の業務の遂行が困難となった場合には、当社の事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。エ.科学的諮問委員会(SAB)について
当社は、新規開発候補品の導入評価に関する社長の諮問機関として、科学的諮問委員会(SAB)を組成し、優れた実績と経験を有すると判断する臨床医や基礎科学者を招聘しています。SABは毎年2~3回開催され、世界中から集まる膨大な導入候補品について、医療ニーズの高さや収益性などの観点も踏まえ、リスクバランスのとれたポートフォリオを構築するために、それぞれの専門の立場から活発に意見交換や議論を行っています。当社は、今後も優秀なSABメンバーの確保に努めてまいりますが、現在のメンバーとの間の契約が解除、期間満了、更新拒絶、その他の理由で終了するなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合や、メンバーの流出が生じた場合には、当社の開発候補品導入の推進に影響を及ぼす可能性があります。④ 経営成績の推移について
ア.過年度における業績推移について
当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。回次 | 第8期 | 第9期 | 第10期 | 第11期 | 第12期 |
決算年月 | 2012年12月 | 2013年12月 | 2014年12月 | 2015年12月 | 2016年12月 |
事業収益(千円) | 1,955,178 | 1,532,054 | 1,955,027 | 1,933,241 | 2,368,112 |
営業損失(△) (千円) | △1,700,273 | △1,680,528 | △1,303,279 | △2,551,662 | △2,127,049 |
経常損失(△) (千円) | △1,729,480 | △1,601,424 | △1,110,316 | △2,630,386 | △2,316,806 |
当社は、現在まで、第4期を除き、研究開発費やその他一般管理費の合計が収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しています。このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。
イ.研究開発費の増加予測について
当社の過去5期間の研究開発費の推移は以下のとおりです。回次 | 第8期 | 第9期 | 第10期 | 第11期 | 第12期 |
決算年月 | 2012年12月 | 2013年12月 | 2014年12月 | 2015年12月 | 2016年12月 |
研究開発費 (千円) | 1,438,125 | 1,052,790 | 774,103 | 2,034,714 | 1,667,098 |
当社は、今後更に研究開発活動を推進する計画であり、当面の間、累積損失は増大するものと想定されます。今後、トレアキシン®の適応拡大による製品販売収入の増大、リゴセルチブの注射剤及び経口剤、SyB P-1501の早期の承認取得に伴う製品販売収入の確保、並びに製薬企業等との提携に基づき発生する収入等により、経営成績の早期改善を図ってまいりますが、当社の想定どおりに早期改善が実現する保証はありません。
ウ.マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて
当社は、製薬ベンチャー企業であり、臨床段階にある開発品が上市し、製品販売収入並びにロイヤリティ収入等の安定した収益を継続して計上できる体制となるまでは、多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、創業以来第4期を除き当期純損失を計上しており、第12期事業年度末には△14,812,843千円の繰越利益剰余金を計上しています。当社は、パイプラインの開発を計画通り、迅速、効率的かつ着実に推進することにより、早期の利益確保を目指していますが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社の事業が計画通りに進展せず、当期純利益を獲得できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。エ.資金繰りについて
当社は製薬ベンチャー企業として多額の研究開発資金を必要とします。事業計画が計画通りに進展しない等の理由から資金不足が生じた場合には、戦略提携内容の変更、新規提携契約の獲得、新株発行等の方法による資金確保に努めますが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。オ.税務上の繰越欠損金について
当社には現在、税務上の繰越欠損金が存在しています。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておらず、今後も数期間はこの状態が続くものと想定しています。しかしながら、現在の繰越欠損金の控除制度が改正されるなどの理由により、想定よりも早期に繰越欠損金が解消され、これによる課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益若しくは当期純損失及びキャッシュ・フローの計画に影響を及ぼす可能性があります。⑤ その他のリスク
ア.株主還元政策について
当社は創業以来配当を実施していません。当社の現時点における事業ステージは、医薬品開発の先行投資の段階にあるため、今後も当面は資金を財務体質の強化及び研究開発活動の継続的な実施に優先的に充当し、配当は行わない方針です。しかしながら、当社では株主への利益還元を経営の重要な課題と認識しており、今後の経営成績及び財政状態を勘案し、利益配当についても検討してまいります。イ.資金調達について
急速な事業規模の拡大に伴い、開発資金の需要増加が予想されることから、株式発行等による資金調達を実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。ウ.潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について
当社は、当社取締役、従業員等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、旧商法第280条ノ19、旧商法第280条ノ20及び旧商法第280条ノ21、並びに、会社法第236条、第238条、第239条及び第240条の規定に基づき、新株予約権を取締役、従業員に対して付与しています。また、当社は、2012年12月27日に開催した取締役会において、第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(発行価額の総額10億円)並びに第29回新株予約権(発行価額の総額5,100千円、新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価額の総額5億円)の発行決議を行い、2014年11月14日に開催した取締役会において、第三者割当の方法による第2回無担保転換社債型新株予約権付社債(発行価額の総額5億円)並びに第34回新株予約権(発行価額の総額10,363千円、新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価額の総額10億円)の発行決議をそれぞれ行いました。更に、2016年4月6日に開催した取締役会において、第三者割当の方法による第3回無担保転換社債型新株予約権付社債(発行価額の総額30億円)並びに第39回新株予約権(発行価額の総額9,776千円、新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価額の総額943,592千円)の発行決議をそれぞれ行いました。これらのうち、2016年12月末現在において、第34回新株予約権9,758個(新株予約権の目的となる株式数975,800株)、第39回新株予約権104個(新株予約権の目的となる株式数4,472,000株)、及び第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の対象となる新株予約権6個(新株予約権の目的となる株式数2,132,708株)がそれぞれ残っています。
2016年12月末現在における上記新株予約権の目的となる株式数(以下「潜在株式数」といいます)は合計11,038,308株となり、発行済株式数及び潜在株式数の合計の約19.2%を占めています。今後、これらの潜在株式の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。従って、今後付与する新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
エ.ベンチャーキャピタルによる株式保有について
一般的に、ベンチャーキャピタル及び投資事業組合による株式の所有目的は、株式上場後に株式を売却してキャピタルゲインを得ることにあるため、当社株主であるこれらのベンチャーキャピタル及び投資事業組合が、所有する株式の全部または一部を売却した場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。オ.外国為替損失の発生に関するリスクについて
当社は、パイプライン拡充のために日々新規開発候補品のリサーチを行っていますが、導入の際に支払われる一時金を米ドル建てと想定し、予め相当の金額を外貨預金あるいは外国為替先物予約にて手当をしています。これらの外貨建て資産は時価評価にて毎期財務諸表に表示していますが、将来の為替変動によってその評価損失が発生するリスクがあり、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。カ.自然災害等に関するリスクについて
当社が事業展開している地域や拠点において、災害(地震、台風、火災等)・疫病等が発生し、人的・物的被害の発生、業務停止及び遅延が生じた場合、社会的信用の失墜や、補償などによって、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。- 有価証券報告書 抜粋メニュー
- 提出会社の経営指標等
- 沿革
- 事業の内容
- 従業員の状況
- 業績等の概要
- 生産、受注及び販売の状況
- 対処すべき課題
- 事業等のリスク
- 研究開発活動
- 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
- 株式の総数等
- 発行済株式総数、資本金等の推移
- 株価の推移
- 最近6月間の月別最高・最低株価
- 株式所有者別状況
- 役員の状況
- コーポレートガバナンス状況
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E24682] S100A097)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。