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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AFSP

有価証券報告書抜粋 第一三共株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を2025年ビジョンとして掲げております。
2025年ビジョンの達成に向け、重点領域である、がん領域の研究開発を加速するため、研究と臨床開発の組織をグローバルに一体化したオンコロジーRDサブユニットを2016年4月に新設いたしました。さらに、新組織の責任者として豊富な経験と実績を兼ね備えた人材を採用しております。
新たな体制のもと、抗体薬物複合体と急性骨髄性白血病をがん領域の2つのフランチャイズとして設定し、戦略的な研究開発活動に取り組んでおります。
重点領域と定めたがんに加えて、疼痛、中枢神経系疾患、心不全・腎障害、希少疾患を次世代領域と位置付け、研究スピードの加速と生産性の向上に取り組んでおります。
研究から初期開発段階では、パートナリング、オープンイノベーション、トランスレーショナルリサーチを利用して、標準治療を変革する先進的新薬創出を目指した活動を進めております。
後期開発段階では、がん領域と循環代謝領域に加え、疼痛領域の製品等の開発を進めております。
さらに、ライフサイクルマネジメントにおいては、当社の強みの領域である循環代謝領域を中心に継続した取り組みを実施しております。
なお、研究開発の生産性向上への取り組みとして、研究開発組織の運営コストを低減し、開発プロジェクトへ再配分することを目的としたグローバル研究開発体制の見直しを実施しております。その取り組みの一環として、当社の欧州子会社であるU3ファーマGmbHを2016年10月に閉鎖いたしました。さらに、当社のインド子会社である第一三共インドLTD.及び国内子会社であるアスビオファーマ㈱の閉鎖を決定しております。
当連結会計年度の研究開発費は、2,143億円(前連結会計年度比2.7%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、22.4%となりました。
主な研究開発プロジェクトの進捗状況は、次のとおりであります。

(1) 主な研究開発プロジェクト
① プラスグレル
日本では、2014年より経皮的冠動脈形成術を伴う虚血性心疾患の適応症で製品名エフィエントとして販売しております。
なお、虚血性脳血管障害患者を対象とした国内フェーズ3試験(PRASTRO-I試験及び PRASTRO-II試験)を2016年10月に完了いたしました。年齢75歳未満及び体重50kg超の虚血性脳血管障害患者を対象としたPRASTRO-I試験では、主要評価項目を達成しませんでした。一方、年齢75歳以上又は体重50kg以下の虚血性脳血管障害患者を対象としたPRASTRO-II試験では、所期の目的を達成いたしました。
また、米国で実施していた小児鎌状赤血球症患者を対象としたフェーズ3試験結果を米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)に提出しておりましたが、2016年6月に180日間の独占販売期間延長が認められました。
② エドキサバン
日本では、2011年より下肢整形外科手術患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制の適応症で製品名リクシアナとして販売しており、2014年に非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺塞栓症)の治療及び再発抑制の両効能を追加取得しております。
海外では、当期末時点で、米国、スイス、英国、ドイツ、アイルランド、オランダ、韓国、台湾、イタリア、スペイン、ベルギー、香港、オーストリア、ポルトガル、タイ等においても順次販売を開始するとともにトルコで承認を取得しております。また、現在ブラジル、中国等において承認申請中であります。
また、ライフサイクルマネジメントの取り組みとして実施した、電気的除細動を受ける予定の非弁膜症性心房細動患者を対象とした欧米におけるENSURE-AF試験の結果が2016年8月に欧州心臓病学会で発表されました。さらに、以下の無作為化比較試験及び実臨床エビデンスを創出するための臨床研究を開始しております。
(ⅰ)無作為化比較試験
・非弁膜症性心房細動を有し既存の経口抗凝固剤の投与が困難と判断された80歳以上の患者を対象とした日本におけるELDERCARE-AF試験(2016年8月開始)
・経皮的冠動脈血管形成術を施行した非弁膜症性心房細動患者を対象とした欧州、韓国、台湾等におけるENTRUST-AF PCI試験(2017年2月開始)
・非弁膜症性心房細動を有するカテーテルアブレーション施術後の患者を対象とした欧州、カナダ、アジアにおけるELIMINATE-AF試験(2017年3月開始)
(ⅱ)実臨床エビデンスを創出するための臨床研究
・非弁膜症性心房細動を有する後期高齢者を対象とした日本における企業主導大規模臨床研究「ANAFIE Registry」(2016年10月開始)
・がん患者を対象とした静脈血栓塞栓症に関する日本における企業主導大規模臨床研究「Cancer-VTE Registry」(2017年3月開始)
③ デノスマブ
日本で2012年より多発性骨髄腫による骨病変及び固形がん骨転移による骨病変、また2014年より骨巨細胞腫の適応症で、製品名ランマークとして販売しております。さらに、2013年より骨粗鬆症に対する国内製造販売承認を取得し、プラリアの製品名で販売しております。
なお、関節リウマチの患者を対象とした国内フェーズ3試験を完了し、2016年9月に効能追加の承認申請を行いました。また、乳がん術後補助療法に関しては、グローバル・フェーズ3試験を実施しております。
④ キザルチニブ
欧米及びアジアでFLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病の二次治療の適応取得を目的としたフェーズ3試験を推進しております。
また、欧米及びアジアで同疾患の一次治療の適応取得を目的としたフェーズ3試験を2016年10月に開始いたしました。
⑤ ペキシダルチニブ
2015年10月にFDAより腱滑膜巨細胞腫(以下「TGCT」という。)の治療における画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定されており、欧米でTGCT患者を対象としたフェーズ3試験に取り組んでおります。なお、非致死性の重篤な肝障害症例が2例報告されたことを受け、2016年10月に独立データモニタリング委員会より受領した勧告に従い、新規患者登録を中断し、安全措置を講じた上で、既登録患者(126名の患者登録計画に対して121名)にて試験を継続しております。
また、抗PD-1抗体を含む他剤との併用での進行性固形がん患者を対象としたフェーズ1/2a試験を実施しております。
⑥ パトリツマブ
欧米で局所進行性又は転移性の非小細胞肺がん患者におけるエルロチニブとパトリツマブの併用効果を評価することを目的としたHER3-Lung試験を実施しておりましたが、事前に設定した有効性の基準を達成しなかったため、2016年5月に本試験の中止を決定いたしました。
なお、欧州で実施中のパトリツマブ、セツキシマブ及び白金系製剤の併用による再発又は転移性の頭頸部がん患者を対象としたフェーズ2試験は、継続して取り組んで参ります。
⑦ チバンチニブ
欧米でMET高発現の肝細胞がんの二次治療の適応取得を目的としたフェーズ3試験を実施しておりましたが、主要評価項目を達成しなかったため、2017年3月に当社が権利を有していた本剤の欧米での開発の中止を決定いたしました。
⑧ DS-8201
前治療としてT-DM1を含む抗がん剤治療を受けたHER2陽性の転移性乳がん患者等を対象としたフェーズ1試験パート1(用量漸増試験)の結果が2016年10月に欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のLate Breaking Sessionで発表されました。
本結果を踏まえて、2016年12月にFDAよりHER2陽性の転移性乳がん治療を対象として、優先承認審査(Fast Track)指定を受けました。
なお、現在、日本と米国で4つの異なるHER2陽性がん患者群を対象に安全性と有効性をさらに評価するフェーズ1試験パート2(症例拡大試験)を実施しております。
⑨ DS-3032
再発性又は難治性の急性骨髄性白血病、及び高リスクの骨髄異形成症候群を有する患者を対象とした米国における単剤でのフェーズ1試験(用量漸増試験)の結果が2016年12月に米国血液学会(ASH)で発表されました。
⑩ U3-1402
日本でHER3陽性の難治性の転移性乳がん患者を対象としたフェーズ1/2試験を2016年12月に開始いたしました。
⑪ DS-1001
日本でIDH1変異のある悪性脳腫瘍(神経膠腫/グリオーマ)患者を対象としたフェーズ1試験を2017年1月に開始いたしました。
⑫ エサキセレノン(CS-3150)
日本で本態性高血圧症患者を対象としたミネラロコルチコイド受容体拮抗薬エサキセレノンのフェーズ3試験を2016年9月に開始いたしました。
⑬ ミロガバリン
欧米で線維筋痛症患者を対象としたフェーズ3試験を推進しており、日本・アジアでは、糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者及び帯状疱疹後神経痛患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。
⑭ CL-108
当社の米国子会社である第一三共Inc.が米国Charleston Laboratories, Inc.から導入し、FDAに承認申請した制吐剤配合麻薬性鎮痛剤CL-108について、FDAから2017年1月末付けの審査完了報告通知を受領いたしました。現状の申請内容では承認されず、課題解決のためのガイダンスが示されました。現在、指摘事項の解決に向けた対応を進めております。
⑮ 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン
2015年9月に米国MedImmune LLCから導入した経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(米国製品名FluMist Quadrivalent)について、2016年6月に国内製造販売承認申請を行いました。

(2) 主な研究開発提携及びオープンイノベーション等
① Celixir Ltd.からの虚血性心不全の細胞治療薬ハートセルの導入
当社は、英国Celixir Ltd.(旧社名 Cell Therapy Ltd.)が開発中の虚血性心不全の細胞治療薬ハートセルについて、同社から日本における開発及び販売の独占的実施権の許諾を得るライセンス契約を2016年5月に締結いたしました。
② Amgen Inc.からのバイオ後続品の導入
当社は、米国Amgen Inc.が開発中のバイオ後続品9品目(後期開発ステージにあるアダリムマブ、ベバシズマブ、トラスツズマブを含む)について、日本における商業化に関する独占契約を2016年7月に締結いたしました。開発及び製造は同社が実施し、日本での販売承認申請、並びに流通と販売は当社が実施する予定であります。また、同社は共同プロモーションの権利を持ちます。
③ がん領域細胞治療薬の研究開発パイプラインに関するKite Pharma, Inc.との包括提携契約の締結
当社は、米国Kite Pharma, Inc.が保有するがん領域における細胞治療薬の研究開発パイプラインに関して、日本におけるKTE-C19(遺伝子改変自家Tリンパ球を用いた細胞治療薬)の開発、製造及び販売の独占的実施権、並びにその他の開発品目と今後3年以内に臨床開発に入る開発候補品目の導入オプション権を同社から取得する契約を 2017年1月に締結いたしました。
④ 健康成人を対象としたバイオマーカーのデータ基盤構築に関する共同研究契約の締結
当社、アステラス製薬㈱及び武田薬品工業㈱は、健康成人におけるバイオマーカーの基礎データを網羅的に取得・解析する共同研究契約を2016年5月に締結いたしました。本共同研究により、これまで個別の製薬企業では難しかった網羅的なバイオマーカーのデータ基盤構築が可能になるとともに、トランスレーショナルリサーチのアプローチを用いた、より効果的な創薬活動にもつながります。
⑤ バイスペシフィック抗体に関するZymeworks Inc.との共同探索研究及びクロスライセンス契約の締結
当社は、がん免疫治療薬の研究開発の加速を目的として、カナダZymeworks Inc.とのバイスペシフィック抗体(二重特異性抗体)に関する共同探索研究及びクロスライセンス契約を2016年9月に締結いたしました。
⑥ がん免疫に関するAgonOx, Inc.との共同研究及びオプション契約の締結
当社は、米国AgonOx, Inc.と特定のがん免疫薬に関する共同研究及びオプション契約を2016年10月に締結いたしました。当社と同社は、特定のがん免疫薬に関する非臨床試験を共同で実施いたします。また、当社は、非臨床試験結果の評価後、全世界における同がん免疫薬の研究、開発、製造及び商業化に関する権利を取得できる独占的オプション権を獲得いたしました。
⑦ 肺がんに関するDana-Farber Cancer Institute, Inc.との研究提携契約の締結
当社は、米国Dana-Farber Cancer Institute, Inc.と肺がんの非臨床試験に関する研究提携契約を2016年10月に締結いたしました。当社は、同社と連携し、同社が開発した独自の動物実験モデルを活用し、当社が保有する肺がん治療候補薬のトランスレーショナル非臨床薬理試験を実施いたします。
⑧ がん領域におけるDarwinHealth, Inc.との研究開発提携契約の締結
当社は、米国DarwinHealth, Inc.とがん領域における研究開発提携契約を2016年12月に締結いたしました。同社の各種薬剤に対するバイオマーカー及び適応がん種を予測する新規技術を当社が保有するがん領域の研究開発パイプラインの開発戦略決定と優先度付けに活用いたします。
⑨ 血中循環がん細胞解析法構築に関する基本合意書の締結
当社、シスメックス㈱及びアステラス製薬㈱は、血中循環がん細胞の解析法構築に関する基本合意書を2016年12月に締結いたしました。本合意書に基づき、3社は、リキッドバイオプシーを活用した診断薬や医薬品の研究開発に加え、臨床検査における標準化を視野に入れた新たな血中循環がん細胞解析法の確立に取り組みます。
⑩ 疼痛治療に向けた新規低分子治療薬に関するHeptares Therapeutics Limitedとの研究開発提携契約の締結
当社は、英国Heptares Therapeutics Limitedと疼痛緩和に重要な役割をもつGタンパク質共役受容体(以下「GPCR」という。)を標的とした新薬研究及び研究技術ライセンスに関する契約を2017年3月に締結いたしました。
同社はGPCR結晶化技術を活用して、ヒット化合物の獲得及びリード化合物の最適化を実施し、当社は同社と共同で化合物の探索及び動物実験での安全性と有効性の評価を実施いたします。
⑪ 毛細血管幹細胞CapSCsに関するオープンイノベーション研究の開始
当社と国立大学法人旭川医科大学(以下「旭川医科大学」という。)は、旭川医科大学心血管再生・先端医療開発講座川辺淳一特任教授が発見した新規幹細胞である毛細血管幹細胞(以下「CapSCs」という。)に関するオープンイノベーション研究を2016年4月に開始いたしました。本研究では、CapSCsの各種疾患に対する治療効果の検証とともに、細胞治療ソースとしての実用化に向けた検討を進めて参ります。
なお、本研究を行うために、2013年9月に当社と三菱UFJキャピタル㈱が共同で設立したOiDEファンド投資事業有限責任組合(以下「OiDE ファンド」という。)から共同研究等に必要な資金を全額出資し、OiDE CapiSEA㈱を設立しております。
⑫ 新規がん免疫治療に関するオープンイノベーション研究の開始
当社と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所は、新規がん免疫治療に関するオープンイノベーション研究を2017年3月に開始いたしました。本研究により、がん領域における新しい創薬シーズを育成して参ります。
なお、本研究を行うために、OiDE ファンドから共同研究等に必要な資金を全額出資し、OiDE Adjubilee㈱を設立しております。

(3) バイオ医薬品の開発体制の強化
2017年4月にバイオ医薬品の研究開発と生産技術開発の機能を集約化したバイオロジクス本部を新設いたしました。
バイオ医薬品の創薬、治験薬供給及び商業生産準備に亘るシームレスな連携体制を構築し、種類、量ともに増加するモダリティ(低分子を除く全ての化合物)の製造技術開発基盤の確立、及び抗体薬物複合体DS-8201をはじめとするバイオ医薬品の開発スピードの加速化を図って参ります。


事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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